ゲスト
(ka0000)
嵐に備えよ
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2019/06/27 19:00
- リプレイ完成予定
- 2019/07/06 19:00
オープニング
賽は投げられた。
これより世界は、邪神討伐の方向に向かう。
●タホ郷
カチャは実家の玄関先で荷造りをしていた。
側には母親のケチャがいる。娘が作った荷を受け取っては、荷車に乗せていく。
「子供は一時ノアーラ・クンタウに避難させることにしたのよ。都市の方が守りが堅いからね」
「避難するのは、子供だけ?」
「いいえ。その子たちの親も避難するの。片方だけね。片方はここに残る。守りの人手は必要だから」
「どうやって行く人と残る人を決めたの?」
「くじ引きよ。ほっといたら皆残るって言うんだもの。乳飲み子がいるか、妊娠している場合は、くじを引くまでもなく母親の方が行くってことになるけど」
最後の荷を固定し終わったケチャは、カチャに問うた。
「ところで、あなたはどうするの? リゼリオの守りに参加する? それとも、郷の守りに参加する?」
カチャは、周囲をぐるりと見回した。高い空や、青い山並みや、郷の家屋や、そこに住む人々を、記憶に止めておこうとするかのように。
「私、グラウンド・ゼロに行くんです。今しか使い時がないと思うから。ずうっと前に買った、あの銀の錫杖」
ケチャは一拍置いてから、ふっと小さく息を吐く。
「そう。じゃあ頑張りなさい。ちゃんと帰ってくるのよ」
そこで家の中から、旅支度を終えた弟のキクルと父親が出てきた。
泣きたいのを堪えているせいでキクルは、変な顔をしていた。
「お母さん、姉ちゃん――後で迎えに来てくれるよね?」
カチャもケチャも何と返したらいいか迷った末、無難なところに落ち着いた。
「もちろん」
「さあ、行ってらっしゃい。荷物は準備出来ているから」
●バシリア刑務所
「囚人たちを一時的に、都市圏へ避難させておくことは出来ませんか」
「出来ない。それとなく各都市に伺いを立ててはみたんだが、どこも難色を示したのだ。『一般人を受け入れるだけで手一杯。前科者を受け入れる余地はない』とな」
「まあ、そう言う気持ちも分からんではないがな……仕方ない。囚人たちにはここにいてもらう。もちろん我々もだ。彼らだけをほっぽり出すわけにはいかん」
「しかし所長、襲撃を受けた際にはどうしますか」
「籠城して助けを待つしかあるまい」
「籠城と言っても、この刑務所がどれだけ持ちますかね。確かに一般の建物よりは、丈夫に作ってありますが」
「それ以前に、もし助けが来なかったら?」
「その時は――枕並べてなんとやらだな」
囚人たちは普段業務をすべて中断し、刑務所の守りを固める作業に従事している。
作業棟、居住棟、運動場、管理棟――さまざまな場所に土のうを積み、杭を打ち、鉄条網を張ってバリケードを築く。
普段やらないような労働をすることが気分転換になったか、皆比較的楽しげだ。
「これから戦争でもやるみてえな騒ぎだな」
「鉄兜でも被るかね」
囚人更生プログラムのため飼われている犬や猫もばたばたした空気を察し、いつもより多めに鳴いたり騒いだり。
そんな中スペットは、刑務所をぐるりと取り囲む結界を作っていた。ブルーチャーと手分けして自作の符をあちらにこちらに、貼ったり埋めたり忙しい。
「スペットの旦那、わしはこの騒ぎが落ち着いたら、ユニゾンへ定期奉仕活動に行くってことになってるんですがね」
「ああ、そう言うとったな。グリーク商会の支所で雑用すんねんな」
「さようで。そこでですなあ、英霊マゴイへの接し方で何か気をつけた方がいいってことってありますかね? 話には色々聞いていますが、わしは、あの人と会うのは初めてなんで」
「せやなあ……とりあえず『母親みたい』とか『お母さんみたい』とかいう譬えだけはすんなや。間違いなく機嫌損ねるからな」
●ペリニョン村
村の広場に置かれた簡易住宅のそばで、跳ねているのは英霊ぴょこ。
『うほ、簡易住宅じゃ簡易住宅じゃ。皆の丈夫な避難場所が出来たのじゃ。貸し出し感謝するぞマゴイよ』
それに相対しているのは、英霊マゴイ。
『……どういたしまして……それでは……』
『おや、もうユニゾンへ帰ってしまうのかの? もっとゆっくりしていってもいいのじゃぞ、じゃぞ』
『……そういうわけにはいかないのよ……簡易住宅の貸し出しを要請して来たのは……ここだけではないから……』
●ポルトワール
今ポルトワールには――いや、ポルトワールに限らずどの国の都市も――田舎にいるより都会にいたほうが安全だと考える人々が移動して来ている。
彼らがまず確保しなければならないのは、住むところ。
しかし、親類親戚など個人的なつてを持たない場合、それがなかなか難しい。どこの宿屋もホテルもすでに満杯となっているのだ。
これを好機と見て個人的な部屋貸しを始めるものも続出している――法外な高値で。それでもまだ、溢れるものが大勢出ている有り様。
なのに後から後から、人が押し寄せてくる。
「あんた、どうすんだよ。泊まれるところが一軒もないじゃないかね」
「さっきあったじゃねえか。それなのにお前がごねて止めるって言ったんだろう」
「当たり前だよ。あんな狭い相部屋で一流ホテル並の宿泊料を取ろうって言うんだよ。おまけに赤ん坊の分まで払えってさ。あんまりにもあこぎじゃないかね」
口喧嘩しながら歩いていた夫婦は、港の辺りで足を止める。係留された複数の船に、こんな張り紙がつけられるところを目にしたのだ。
『船室/宿泊可能。個室・相部屋共にあり――ご相談はグリーク商会へ。連絡先は以下――』
「……あんた、もうここにするかね」
「ええ? しかしお前、船だぞこりゃあ」
「船だって何だっていいよ。値段もまあまあ普通じゃないか。早く個室をとらないと」
マルコは、窓の外を眺めているニケに言った。
「修理を控えた船を宿泊所として貸し出す、ですか。他人の弱みにつけこんでませんかね」
「需要と供給の問題ですよ。修理と言ってもマスト部分の話で、本体は傷んでませんから。浮いているだけなら十分出来ます」
と返しながらニケは振り向く。背にした窓枠に手をついて。
「あなたはユニゾンから借り受けた簡易住宅がベレン学院に置かれることが不満なんですか?」
「……いえ、不満じゃありません。でも、それが生徒と学院関係者のみに限って使われるのは問題では、と」
「正論ですね。でも、生徒の保護者はそう思わない。学院はすでに、2度も歪虚に踏み込まれています。そのうち1度は生徒の生死に拘わる事態だった。これ以上失態を演じるわけにはいかないんですよ、あそこも」
「ですが……」
反論しようとして言いよどむマルコ。
そこでニケは、思いがけない提案を差し出す。
「あなた自身がマゴイさんに頼んでみてはどうです? もう1つか2つ簡易住宅を貸してはいただけないかと――承知してくれるかどうかは分かりませんが。彼女は、もうすぐここに来るはずです。私が呼んでおきましたから」
これより世界は、邪神討伐の方向に向かう。
●タホ郷
カチャは実家の玄関先で荷造りをしていた。
側には母親のケチャがいる。娘が作った荷を受け取っては、荷車に乗せていく。
「子供は一時ノアーラ・クンタウに避難させることにしたのよ。都市の方が守りが堅いからね」
「避難するのは、子供だけ?」
「いいえ。その子たちの親も避難するの。片方だけね。片方はここに残る。守りの人手は必要だから」
「どうやって行く人と残る人を決めたの?」
「くじ引きよ。ほっといたら皆残るって言うんだもの。乳飲み子がいるか、妊娠している場合は、くじを引くまでもなく母親の方が行くってことになるけど」
最後の荷を固定し終わったケチャは、カチャに問うた。
「ところで、あなたはどうするの? リゼリオの守りに参加する? それとも、郷の守りに参加する?」
カチャは、周囲をぐるりと見回した。高い空や、青い山並みや、郷の家屋や、そこに住む人々を、記憶に止めておこうとするかのように。
「私、グラウンド・ゼロに行くんです。今しか使い時がないと思うから。ずうっと前に買った、あの銀の錫杖」
ケチャは一拍置いてから、ふっと小さく息を吐く。
「そう。じゃあ頑張りなさい。ちゃんと帰ってくるのよ」
そこで家の中から、旅支度を終えた弟のキクルと父親が出てきた。
泣きたいのを堪えているせいでキクルは、変な顔をしていた。
「お母さん、姉ちゃん――後で迎えに来てくれるよね?」
カチャもケチャも何と返したらいいか迷った末、無難なところに落ち着いた。
「もちろん」
「さあ、行ってらっしゃい。荷物は準備出来ているから」
●バシリア刑務所
「囚人たちを一時的に、都市圏へ避難させておくことは出来ませんか」
「出来ない。それとなく各都市に伺いを立ててはみたんだが、どこも難色を示したのだ。『一般人を受け入れるだけで手一杯。前科者を受け入れる余地はない』とな」
「まあ、そう言う気持ちも分からんではないがな……仕方ない。囚人たちにはここにいてもらう。もちろん我々もだ。彼らだけをほっぽり出すわけにはいかん」
「しかし所長、襲撃を受けた際にはどうしますか」
「籠城して助けを待つしかあるまい」
「籠城と言っても、この刑務所がどれだけ持ちますかね。確かに一般の建物よりは、丈夫に作ってありますが」
「それ以前に、もし助けが来なかったら?」
「その時は――枕並べてなんとやらだな」
囚人たちは普段業務をすべて中断し、刑務所の守りを固める作業に従事している。
作業棟、居住棟、運動場、管理棟――さまざまな場所に土のうを積み、杭を打ち、鉄条網を張ってバリケードを築く。
普段やらないような労働をすることが気分転換になったか、皆比較的楽しげだ。
「これから戦争でもやるみてえな騒ぎだな」
「鉄兜でも被るかね」
囚人更生プログラムのため飼われている犬や猫もばたばたした空気を察し、いつもより多めに鳴いたり騒いだり。
そんな中スペットは、刑務所をぐるりと取り囲む結界を作っていた。ブルーチャーと手分けして自作の符をあちらにこちらに、貼ったり埋めたり忙しい。
「スペットの旦那、わしはこの騒ぎが落ち着いたら、ユニゾンへ定期奉仕活動に行くってことになってるんですがね」
「ああ、そう言うとったな。グリーク商会の支所で雑用すんねんな」
「さようで。そこでですなあ、英霊マゴイへの接し方で何か気をつけた方がいいってことってありますかね? 話には色々聞いていますが、わしは、あの人と会うのは初めてなんで」
「せやなあ……とりあえず『母親みたい』とか『お母さんみたい』とかいう譬えだけはすんなや。間違いなく機嫌損ねるからな」
●ペリニョン村
村の広場に置かれた簡易住宅のそばで、跳ねているのは英霊ぴょこ。
『うほ、簡易住宅じゃ簡易住宅じゃ。皆の丈夫な避難場所が出来たのじゃ。貸し出し感謝するぞマゴイよ』
それに相対しているのは、英霊マゴイ。
『……どういたしまして……それでは……』
『おや、もうユニゾンへ帰ってしまうのかの? もっとゆっくりしていってもいいのじゃぞ、じゃぞ』
『……そういうわけにはいかないのよ……簡易住宅の貸し出しを要請して来たのは……ここだけではないから……』
●ポルトワール
今ポルトワールには――いや、ポルトワールに限らずどの国の都市も――田舎にいるより都会にいたほうが安全だと考える人々が移動して来ている。
彼らがまず確保しなければならないのは、住むところ。
しかし、親類親戚など個人的なつてを持たない場合、それがなかなか難しい。どこの宿屋もホテルもすでに満杯となっているのだ。
これを好機と見て個人的な部屋貸しを始めるものも続出している――法外な高値で。それでもまだ、溢れるものが大勢出ている有り様。
なのに後から後から、人が押し寄せてくる。
「あんた、どうすんだよ。泊まれるところが一軒もないじゃないかね」
「さっきあったじゃねえか。それなのにお前がごねて止めるって言ったんだろう」
「当たり前だよ。あんな狭い相部屋で一流ホテル並の宿泊料を取ろうって言うんだよ。おまけに赤ん坊の分まで払えってさ。あんまりにもあこぎじゃないかね」
口喧嘩しながら歩いていた夫婦は、港の辺りで足を止める。係留された複数の船に、こんな張り紙がつけられるところを目にしたのだ。
『船室/宿泊可能。個室・相部屋共にあり――ご相談はグリーク商会へ。連絡先は以下――』
「……あんた、もうここにするかね」
「ええ? しかしお前、船だぞこりゃあ」
「船だって何だっていいよ。値段もまあまあ普通じゃないか。早く個室をとらないと」
マルコは、窓の外を眺めているニケに言った。
「修理を控えた船を宿泊所として貸し出す、ですか。他人の弱みにつけこんでませんかね」
「需要と供給の問題ですよ。修理と言ってもマスト部分の話で、本体は傷んでませんから。浮いているだけなら十分出来ます」
と返しながらニケは振り向く。背にした窓枠に手をついて。
「あなたはユニゾンから借り受けた簡易住宅がベレン学院に置かれることが不満なんですか?」
「……いえ、不満じゃありません。でも、それが生徒と学院関係者のみに限って使われるのは問題では、と」
「正論ですね。でも、生徒の保護者はそう思わない。学院はすでに、2度も歪虚に踏み込まれています。そのうち1度は生徒の生死に拘わる事態だった。これ以上失態を演じるわけにはいかないんですよ、あそこも」
「ですが……」
反論しようとして言いよどむマルコ。
そこでニケは、思いがけない提案を差し出す。
「あなた自身がマゴイさんに頼んでみてはどうです? もう1つか2つ簡易住宅を貸してはいただけないかと――承知してくれるかどうかは分かりませんが。彼女は、もうすぐここに来るはずです。私が呼んでおきましたから」
解説
補足説明
これは、邪神決戦に備える人々の手伝いをすることを目的とするシナリオです。
お手伝いの内容は、大きなところで2つ。
1:バシリア刑務所へ行って、防衛力強化作業に参加。
2:ポルトワールへ行ってマゴイさんに、も少しシェルター(簡易住宅)を貸し出してくれるよう頼む。
これ以外にも手伝いたいなと思うことがありましたら、どしどしプレイングにお書きください。
ちなみにマゴイさんが所有している簡易住宅は、全部で18。
そのうち3つが南方大陸へ贈与。残り15。
2つペリニョンへ貸し出し。
2つ商会(から学院へ)貸し出し。
というわけで、現在手元にあるのは11棟。
防御力抜群な簡易住宅。ひと棟の最大収容人数(個人個人に身動き可能なスペースを十分与えるとして)は150名。詰め詰めにしたらもっと入ります。
これは、邪神決戦に備える人々の手伝いをすることを目的とするシナリオです。
お手伝いの内容は、大きなところで2つ。
1:バシリア刑務所へ行って、防衛力強化作業に参加。
2:ポルトワールへ行ってマゴイさんに、も少しシェルター(簡易住宅)を貸し出してくれるよう頼む。
これ以外にも手伝いたいなと思うことがありましたら、どしどしプレイングにお書きください。
ちなみにマゴイさんが所有している簡易住宅は、全部で18。
そのうち3つが南方大陸へ贈与。残り15。
2つペリニョンへ貸し出し。
2つ商会(から学院へ)貸し出し。
というわけで、現在手元にあるのは11棟。
防御力抜群な簡易住宅。ひと棟の最大収容人数(個人個人に身動き可能なスペースを十分与えるとして)は150名。詰め詰めにしたらもっと入ります。
マスターより
KINUTAです。
何事にも備えが大事、ということで。
カチャにあたかも死亡フラグが立っているかのように見えるのは、気のせいです。
何事にも備えが大事、ということで。
カチャにあたかも死亡フラグが立っているかのように見えるのは、気のせいです。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/07/02 01:51
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/06/27 01:30:35 |
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質問卓だよ 天竜寺 詩(ka0396) 人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2019/06/27 02:11:38 |
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![]() |
相談卓だよ 天竜寺 詩(ka0396) 人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2019/06/27 01:32:46 |