ゲスト
(ka0000)
川の精霊、イアンを考える
マスター:狐野径

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在8人 / 1~25人
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/06/24 07:30
- リプレイ完成予定
- 2019/07/08 07:30
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●川の精霊は考えた
グラズヘイム王国の西寄りにある地域にある町の川に精霊が住んでいる。名前はリオ、それ以外もいろいろ呼ばれる。
精霊として長いことここにいて、時々見える人間がいて、話すことはあった。その中の一人が、現領主イノア・クリシスの兄だったニコラス・クリシスだった。歌声がきれいだし、色々話をしてくれて嬉しかった。いい領主になると言われていたニコラスは、歪虚に殺されたと聞いた。
当時のリオは寂しいと思うと同時に、歪虚は怖いと思っていた。
しばらく経って、また魔法生物が現れた。その時、ニコラスが歪虚の手を取っていたということを知った。人間というものがよくわからなくなり、人間を追い出したいと考え始めた。
よく分からないだけでなく、川を汚すものだから。
なお、ハンターたちの説得もあり、人間と関わってみることにした。
歪虚となったニコラスとも会った。リオは歪虚が怖いと思っていたが、向こうのほうが恐れていたようだった。その理由はよく分からないけれども、ニコラスは歪虚になってしまったということははっきりしたのだった。
結局、歪虚となったあの子も、もういない。
それでいいのだ。
年月は流れ、町の人との交流は進む。
ハンターも時々現れて話し相手になってくれる。
傲慢王の浮遊大陸が近くを通ったときは、川の側から離れられないため、威嚇だけしかできなかった。自分より無力だと思っていた、近所の人間の年寄りたちがリオを心配してくれたり、色々興味深かった。
それらも収まって穏やかになるのかと思っていたけれども、ハンターたちが邪神のことを伝えてきた。
怖いというより、ハンターたちの気持ちが不思議だった。
なぜ、戦えるのだろうかと。
この町に人たちは恐怖を覚えたりしないのだろうか。
このあたりにいた歪虚より強い存在が来ていることがあるというのに。
リオはここの人間たちが好きだった。
だからこそ、何かあったら守りたいと思うようになった。隣の町も仲良くなってきたということは良いことだと思った。
ふと、隣も同じ川に住んでいるということに気づいた。たまたま、リオはこちら側に住んでいるだけなんだということに。
人を守るにはどうすればいいのかわからない。
ぼんやりと朝日を見ながら考えていると、毎朝掃除に来る老人たちがやってきていた。
「川の精霊さん、今日もいい天気だねぇ」
「この町に何もないのは領主さんや隠居さんや、精霊さんのおかげじゃ」
雨だと来ないから、毎回同じ会話をしている。
それでもリオは幸せだった。
何か役に立ちたいと考える。魚と仲良くなったり、水を飛ばしたり、あふれさせるしかできない。
そういえば、一度、楽しげなことがあった記憶がある。
「じー、ハンターの親分を呼んでなのーじゃー」
掃除に来ていた老人たちは了解したといって、日課が終わった後、ハンターオフィスに向かった。
それから、その伝言を聞いたところで要領を得ないため、夕方にオフィスの職員がやってくる。
「えっとー、川の精霊さん?」
呼びかけられると、川から水っぽい少女が現れる。流れる水が人の姿をとっているのだ。
「なのー」
「なの?」
リオに言われて首をかしげる職員。
「ハンターも、町の人もー、次々大変なのー」
「そうですね」
「でーなのーじゃー、イアンもかねて、一日楽しむといいのじゃ!」
職員はコロコロ変わるリオの口調と間延びする言い方の二つに苦しみつつ、話を理解しようとする。
「えっと……イアンとは?」
「イーアン? イアーン?」
「……う!?」
リオは発音が間違っているか単語が間違っているのかと言い直す。
職員はより一層混乱する。
「精霊さんは『慰安』といいたいのじゃよ」
通りすがりの老人が口をはさんだ。リオは「それー」と告げる。
職員は理解した。
「つまり、色々忙しいのだから、隙を見て、一日くらいみんなで楽しむ日を作ればいいじゃない? という提案ですね!」
リオは大きくうなずいた。
「分かりました、領主様に掛け合います」
「あとー、あっちもねー」
「……え?」
「仲良くなのー」
リオは川の反対側の岸を見た。
「……分かりました、相談しておきます」
職員は請け負った。別に隣ともめる必要もないし、楽しいことは一緒にすべきだという精霊の考えも理解できたからだった。
●イアンのイベント?
領主のイノア・クリシスは職員から話を聞き驚いた。
「……わかりました」
あの川の精霊には迷惑も掛けた。隣の領地には歪虚が発端とはいえ魔法公害で迷惑をかけたり、一方的に競い合われたり……結局はお互い様という部分もなくはなかった。基本的に領民たちは行き来自由なのはあちらの領主の考えかたも感じ取れる。
イノアはペンをとる。
状況が落ち着くまで領地の縁に行ける位置にいる父と、そこにいる隣の領地の領主ユリアン・メトーポンに手紙を書くために。
隣で代行をしているはずのリアン・メトーポンにも書いておく。
「最終的な決断は領主のユリアン様でしょうけれども、リアン様にも出しておくといい気がするのですよね……」
イノアの兄が生きていたころ、散々比べられていたためどこか卑屈なところがあると噂で聞いている。話を聞けば普通にできる人らしいけれども。
「もちろん、お兄様はあんなことにならければ、すごく素敵な殿方になっていたはずだもの」
文武両道に秀で、優しい兄。
想像の兄は年を取るけれども、記憶の兄は十四歳のまま。
外を見た。
暗い闇に街の明かりが浮かぶ。
「……早く書いてしまいましょう」
イノアは微笑んだ。
二つの街を使ったイベントが開催されることになった。
イベントと言っても大がかりなことがあるわけではない。
店は屋台を出し、有志が出し物をする。互いに今後も仲良くできるようにと。周囲の町や村の人も来られるように道の状況は注意しておくということ。
ハンターたちにも目に留まるところに掲示が出される。
よろしければ、一息つきませんか、と。
●川の精霊は考えた
グラズヘイム王国の西寄りにある地域にある町の川に精霊が住んでいる。名前はリオ、それ以外もいろいろ呼ばれる。
精霊として長いことここにいて、時々見える人間がいて、話すことはあった。その中の一人が、現領主イノア・クリシスの兄だったニコラス・クリシスだった。歌声がきれいだし、色々話をしてくれて嬉しかった。いい領主になると言われていたニコラスは、歪虚に殺されたと聞いた。
当時のリオは寂しいと思うと同時に、歪虚は怖いと思っていた。
しばらく経って、また魔法生物が現れた。その時、ニコラスが歪虚の手を取っていたということを知った。人間というものがよくわからなくなり、人間を追い出したいと考え始めた。
よく分からないだけでなく、川を汚すものだから。
なお、ハンターたちの説得もあり、人間と関わってみることにした。
歪虚となったニコラスとも会った。リオは歪虚が怖いと思っていたが、向こうのほうが恐れていたようだった。その理由はよく分からないけれども、ニコラスは歪虚になってしまったということははっきりしたのだった。
結局、歪虚となったあの子も、もういない。
それでいいのだ。
年月は流れ、町の人との交流は進む。
ハンターも時々現れて話し相手になってくれる。
傲慢王の浮遊大陸が近くを通ったときは、川の側から離れられないため、威嚇だけしかできなかった。自分より無力だと思っていた、近所の人間の年寄りたちがリオを心配してくれたり、色々興味深かった。
それらも収まって穏やかになるのかと思っていたけれども、ハンターたちが邪神のことを伝えてきた。
怖いというより、ハンターたちの気持ちが不思議だった。
なぜ、戦えるのだろうかと。
この町に人たちは恐怖を覚えたりしないのだろうか。
このあたりにいた歪虚より強い存在が来ていることがあるというのに。
リオはここの人間たちが好きだった。
だからこそ、何かあったら守りたいと思うようになった。隣の町も仲良くなってきたということは良いことだと思った。
ふと、隣も同じ川に住んでいるということに気づいた。たまたま、リオはこちら側に住んでいるだけなんだということに。
人を守るにはどうすればいいのかわからない。
ぼんやりと朝日を見ながら考えていると、毎朝掃除に来る老人たちがやってきていた。
「川の精霊さん、今日もいい天気だねぇ」
「この町に何もないのは領主さんや隠居さんや、精霊さんのおかげじゃ」
雨だと来ないから、毎回同じ会話をしている。
それでもリオは幸せだった。
何か役に立ちたいと考える。魚と仲良くなったり、水を飛ばしたり、あふれさせるしかできない。
そういえば、一度、楽しげなことがあった記憶がある。
「じー、ハンターの親分を呼んでなのーじゃー」
掃除に来ていた老人たちは了解したといって、日課が終わった後、ハンターオフィスに向かった。
それから、その伝言を聞いたところで要領を得ないため、夕方にオフィスの職員がやってくる。
「えっとー、川の精霊さん?」
呼びかけられると、川から水っぽい少女が現れる。流れる水が人の姿をとっているのだ。
「なのー」
「なの?」
リオに言われて首をかしげる職員。
「ハンターも、町の人もー、次々大変なのー」
「そうですね」
「でーなのーじゃー、イアンもかねて、一日楽しむといいのじゃ!」
職員はコロコロ変わるリオの口調と間延びする言い方の二つに苦しみつつ、話を理解しようとする。
「えっと……イアンとは?」
「イーアン? イアーン?」
「……う!?」
リオは発音が間違っているか単語が間違っているのかと言い直す。
職員はより一層混乱する。
「精霊さんは『慰安』といいたいのじゃよ」
通りすがりの老人が口をはさんだ。リオは「それー」と告げる。
職員は理解した。
「つまり、色々忙しいのだから、隙を見て、一日くらいみんなで楽しむ日を作ればいいじゃない? という提案ですね!」
リオは大きくうなずいた。
「分かりました、領主様に掛け合います」
「あとー、あっちもねー」
「……え?」
「仲良くなのー」
リオは川の反対側の岸を見た。
「……分かりました、相談しておきます」
職員は請け負った。別に隣ともめる必要もないし、楽しいことは一緒にすべきだという精霊の考えも理解できたからだった。
●イアンのイベント?
領主のイノア・クリシスは職員から話を聞き驚いた。
「……わかりました」
あの川の精霊には迷惑も掛けた。隣の領地には歪虚が発端とはいえ魔法公害で迷惑をかけたり、一方的に競い合われたり……結局はお互い様という部分もなくはなかった。基本的に領民たちは行き来自由なのはあちらの領主の考えかたも感じ取れる。
イノアはペンをとる。
状況が落ち着くまで領地の縁に行ける位置にいる父と、そこにいる隣の領地の領主ユリアン・メトーポンに手紙を書くために。
隣で代行をしているはずのリアン・メトーポンにも書いておく。
「最終的な決断は領主のユリアン様でしょうけれども、リアン様にも出しておくといい気がするのですよね……」
イノアの兄が生きていたころ、散々比べられていたためどこか卑屈なところがあると噂で聞いている。話を聞けば普通にできる人らしいけれども。
「もちろん、お兄様はあんなことにならければ、すごく素敵な殿方になっていたはずだもの」
文武両道に秀で、優しい兄。
想像の兄は年を取るけれども、記憶の兄は十四歳のまま。
外を見た。
暗い闇に街の明かりが浮かぶ。
「……早く書いてしまいましょう」
イノアは微笑んだ。
二つの街を使ったイベントが開催されることになった。
イベントと言っても大がかりなことがあるわけではない。
店は屋台を出し、有志が出し物をする。互いに今後も仲良くできるようにと。周囲の町や村の人も来られるように道の状況は注意しておくということ。
ハンターたちにも目に留まるところに掲示が出される。
よろしければ、一息つきませんか、と。
解説
クリシスとメトーポン、それぞれが治める町で一日をのんびりと過ごす。
イベント開催は午前10時から午後7時。
●出し物
・会場A クリシス側の街の丘。
丘の上には一本の木と川の精霊の分社がある。
草地でのんびりと景色を楽しめる。何軒か屋台は出ている。
屋台参加も可能。
・会場B クリシス側のエクラ教会。
昼前後、お菓子の販売と合唱隊の歌がある。
観客もしくは販売の手伝いなど。
・会場C 川の船着き場
川で行ったり来たりすることができる。今回、真っ直ぐではなく少し遊覧していくコースが用意されている。
クリシス側には川の精霊の社がある。
メトーポン側は軽食サンドイッチやクッキーなどの販売コーナーがある。
終了時間近くに小さな花火大会がある。
・会場D メトーポン側の広場。
大きな舞台があり、飛込参加も可能。町の有志による、音楽や出し物がある。
屋台も多数あり、飲食可能。
●NPC
・リオ 川の精霊、ニアなど呼び名はいっぱいある。
川の所で魚に芸をさせるとか? 魚は魚である。
・イノア・クリシス 17歳くらい、領主。
軍事以外のことは領主として形に放ってきた。だいぶ肩の力は抜けてきている。
・リアン・メトーポン 長男、22歳。おとなしい。
現在、父が町を離れ気味なので、ある程度仕事を任されている。
三歳年下の弟レオン・メトーポンがいる。こちらは陽気な上、よく町にいる。
・ユグディラ 一匹、クリシス側の町に住み着いている。
●連れの方
お連れ様とはぐれないようプレイングに【名前・ID】があると大変助かります。
イベント開催は午前10時から午後7時。
●出し物
・会場A クリシス側の街の丘。
丘の上には一本の木と川の精霊の分社がある。
草地でのんびりと景色を楽しめる。何軒か屋台は出ている。
屋台参加も可能。
・会場B クリシス側のエクラ教会。
昼前後、お菓子の販売と合唱隊の歌がある。
観客もしくは販売の手伝いなど。
・会場C 川の船着き場
川で行ったり来たりすることができる。今回、真っ直ぐではなく少し遊覧していくコースが用意されている。
クリシス側には川の精霊の社がある。
メトーポン側は軽食サンドイッチやクッキーなどの販売コーナーがある。
終了時間近くに小さな花火大会がある。
・会場D メトーポン側の広場。
大きな舞台があり、飛込参加も可能。町の有志による、音楽や出し物がある。
屋台も多数あり、飲食可能。
●NPC
・リオ 川の精霊、ニアなど呼び名はいっぱいある。
川の所で魚に芸をさせるとか? 魚は魚である。
・イノア・クリシス 17歳くらい、領主。
軍事以外のことは領主として形に放ってきた。だいぶ肩の力は抜けてきている。
・リアン・メトーポン 長男、22歳。おとなしい。
現在、父が町を離れ気味なので、ある程度仕事を任されている。
三歳年下の弟レオン・メトーポンがいる。こちらは陽気な上、よく町にいる。
・ユグディラ 一匹、クリシス側の町に住み着いている。
●連れの方
お連れ様とはぐれないようプレイングに【名前・ID】があると大変助かります。
マスターより
こんにちは、狐野径です。
【王戦】ではお世話になりました。
クリシスがどうの、メトーポンがどうのという過去はとりあえず放置で、OPと解説の内容からを楽しんでいただければ幸いです。
ニコラスがプエル(kz0127)になってるとか……色々積み重なり、ここまで来られたのは皆様のおかげであります。
のんびり過ごしていただければ幸いです。
よろしくお願いします。
【王戦】ではお世話になりました。
クリシスがどうの、メトーポンがどうのという過去はとりあえず放置で、OPと解説の内容からを楽しんでいただければ幸いです。
ニコラスがプエル(kz0127)になってるとか……色々積み重なり、ここまで来られたのは皆様のおかげであります。
のんびり過ごしていただければ幸いです。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/07/04 16:45