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【血断】アンナの訓練日誌F

マスター:のどか

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在4人 / 3~4人
サポート
現在0人 / 0~4人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2019/06/28 07:30
リプレイ完成予定
2019/07/12 07:30

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。


 その日、アンナ=リーナ・エスト(kz0108)はヴァリオスのとある喫茶店を訪れていた。
 ここ1年ほど人気のスイーツカフェは、某受付嬢の友人が好きそうだなと思いながらも、自分にはやや縁遠い場所だなとも感じていた。
 甘い物が嫌いというわけではないが、テイクアウトして自分なりに茶葉を宛てながらつつきたいなと考えてしまう。

 ではなぜここに居るかと言うと、呼び出されたからだ。手紙で。
 その送り主“たち”は、女性客に囲まれた店内で居心地悪そうにしながらアンナの向かいに座っていた。
「お久しぶりですエスト曹ちょ……エストさん」
「アンナで良い。ピーノもバンも元気そうでなによりだ」
 名前を呼ばれ、2人の青年は条件反射で姿勢を正す。
 アンナが咳払いで諫めると、眼鏡の青年――ピーノは軍服の襟を正しながら、表情を隠すように咳払いを真似た。
 その隣ではツンツン頭の青年――バンがこれまた軍服の襟を、こっちは緩めてながらぱたぱたと扇いでいた。
 軍服の青年2人というのは洒落た店内ではなかなかのミスマッチ。
 心なしか、周りのお客の目線を感じる。
「フィオーレは来ていないんだな。彼女の方が、こういうお店は興味がありそうだ」
「あいつは士官コースっすから、毎日勉強っすね」
「そうか。大変そうだが息災ならよかった」
「それなんですがアンナさん、実はバンとフィオーレ――」
「だーッ!? いらんことは言わんでいいッ!」
 バンが無理やりピーノの口を押さえつけると、ピーノは降参とばかりに彼の腕をタップする。
 周りからの視線がどこか色めいた。
「そういうこいつだって、わざわざヴァリオス中の口コミ集めまくって今日の場所決めたんすから」
「それは関係ない話だと思うが!?」
 今度はピーノがバンの開いた襟元をぐっと掴み上げる。
 周りの視線が熱を持つ。
 これ以上は店の迷惑になりそうなので、アンナはなあなあに2人を宥めた。

「2人は歩兵部隊に配属されていたな。次の戦地は決まっているのか?」
「はい。グラウンド・ゼロです」
 あまりにさらりと答えるものだから、アンナは面食らってしまった。
「連合軍に合流して、以降はあちらの指示に従います」
「兵階級の俺たちなら配属だけで1階級。帰還したらもう1階級の昇進。美味い任務だぜ」
 合わせて2階級昇進分の任務――その意味するところを、アンナも察しがつかないわけではない。
「目先の昇進に釣られたわけではないよな」
「もちろん。この昇進が意味するところも理解しています」
「こんな時に剣を振らずにいられるかって感じっすよ」
 彼らは自分の意思で向かうのだ。
 それが分かっただけで心の底から安心できた。
「フィオーレはジェオルジ駐在軍の司令官補佐――てか雑用を命じられてるから、こっちに残るんすけどね」
「アンナさんも、ハンターとしてグラウンド・ゼロに?」
「ああ、そのつもりだ」
 その言葉を聞いて、2人の青年兵士は何かを確かめ合うように見つめ合い、そして頷き合う。
 再びアンナに向けられた視線は、ある種の覚悟を持ったものだった。

「アンナさん……軍に戻ってくる気はありませんか?」
 突然の申し出に、アンナは思わず眉をひそめる。
「同盟軍は連合軍に合流する一方で、領土も守らなければなりません。人手が欲しい状況です。僕たちが評価しても失礼でしょうが、アンナさんなら申し分ない。だから――」
「――連れ戻してこい、と言われたんだな。大佐あたりに」
「かー! 流石に見抜かれてっか」
 バンがぴしゃりと額を打った。
「まあ実際は『聞いてみて』くらいのものでしたが」
 ピーノが謙遜するように頬を掻く。
 アンナはそれを本心と受け止めておいて、はっきりと首を横に振った。
「悪いが、それはできない」
 すると2人の表情に明らかに落胆の色が見えた。
「いえ……こちらこそ、すみません」
 無理に苦笑するピーノの隣で、バンが眉間に皺を寄せながら目を伏せる。
 やがてパッと表情を明るくすると、テーブルに乗り上がる勢いでアンナへ迫った。
「じゃあ、選別に訓練つけてくださいよ! なーんか最近甘っちょろくて、鍛えられてる気がしないんすよね」
「おい、いきなり何を……」
 止めようとしたピーノの二の腕をバンが鋭く小突く。
 意外と痛かったのかピーノは腕をおさえながら涙目を浮かべていた。
「そ、そうですね。アンナさんにも僕たちの成長をみせたいですし、手合わせして貰いたいです」
「それで選別になるのなら」
「もちのろんっすよ!」
 バンがぐっと拳を握りしめ、鍛えられた力こぶをアピールした。


 数日後、アンナはオフィスで何人かのハンターに声をかけ、せっかくだからと付き合ってもらうことにした。
 だが実際に陸軍の訓練用グラウンドに着いてみると、そこに居たのは総勢20余名の青年兵士たちの姿だった。
「アンナさんに訓練付けて貰うって大佐に報告したら、じゃあ希望者を募って一緒に扱いて貰えって言われまして……」
 ピーノが言うには、集まったのはすべて後日連合軍へと派兵される兵士たちとのこと。
 もちろんこれで全員ではないが――普段の訓練とは違う何かが得られるのでは、と集まった向上心ある若者たちである。
「……助っ人を連れてきて良かった」
「軍の正式な依頼ってことになったので、報酬も出ますから」
 なんとも言えない気分のまま、アンナは兵士たちの姿を見渡した。
 笑顔で軽口を叩き合っている姿は、とても激戦地に向かう前とは思えない。
 それが蛮勇ではなく、程よい自信と緊張を持ったものであることはひしひしと伝わって来た。
「そうそう、アンナさんに渡すものあったんすよ」
 突然、バンが大きなアタッシュケースを抱えてやってくる。
 アンナの前でそれを開くと、中には巨大な銃型魔導機械が入っていた。
「これは……」
 軍にいたころ愛用の大型射杭機――パイルバンカー。
「まともに扱えるヤツがいないんで、とりあえず俺が借りてたんすけど馴染まなくって――返します」
「いや、備品だろう」
「訓練中に破壊、即廃棄したことにします!」
 バンが過去最高に美しい敬礼で応える。
 それを受けてアンナは、思わず噴き出したように笑みを浮かべていた。

「誉れ高い戦士諸君、並んでくれ!」
 アンナはいつかの顔になって声を張る。
 途端に兵士たちは縦横乱れなく整列し胸を張った。
「我々は今日の特別訓練を引き受けるハンターだ! 諸君にはこれから、我々の指示するメニューをこなしてもらう! 場合によっては普段の訓練よりも過酷で、凄惨なものであるかもしれない! 覚悟はできているか!」
「はい!」
 気持ちの良い返事。
 肌にピリピリと伝わるその覇気だけで、気持ちが幾重にも引き締まった。
「まず軽く20km! 汗と共に甘えを捨ててくるように!」
「はい!」
 兵士たちは隊列を乱さぬまま、グラウンド周回へと駆けていく。
 晴天の下、陸軍式ケイデンスコールが高らかに響いた。

解説

▼目的
同盟陸軍兵士たちの特別教官を務める

▼概要
みなさんは同盟陸軍の特別教官として招かれたハンター達です。
今回集まった兵士たちは後日にクリムゾンウェスト連合軍に合流し、戦場へ赴く者たちです。
士気は高く、錬成の目的は恐怖を払うよりも「より力と自信をつけたい」がための前向きな意思によるものです。
集まったのは総勢20名あまりの青年兵士たち。
戦場を共にするであろう彼らを鼓舞するつもりで、一日教官を務めてください。

▼できること
訓練の内容や進め方はハンターが自由に考えてください。
相手は比較的若いとはいえ、これまでそこそこの戦場を潜り抜けてきた軍のホープです。
みなさんのがどんな訓練をするのか期待を寄せていますので、ぜひ応えてあげてください。

教官ではありますが、みなさんも一緒に訓練に混ざってもOKです。
訓練を通して様々な方法で兵士たちの士気を高めるというのが今回の主旨となります。

また、元エスト隊の2名は当初の目的であるアンナとの模擬戦を希望しています。
人数比的に1人までならアンナ側にハンターが入っても構いませんので、ご希望の方がいれば選出してください。
希望が被った場合は、別のハンターと組んで2戦目を行うとかいうことも可能です。
いっそのこと全体で模擬戦の時間にしてしまうのも良いでしょう。
希望者がいない場合はリプレイの行間で済まされてますので、必ずしも選出する必要はありません。

▼NPC
「アンナ=リーナ」
機導師Lv60×機導師Lv12。
スキルで中距離戦もこなせるインファイター。
武器は右:ハンドガン、左:ナイフ、両:大型射杭機。

「バン」
闘狩人Lv35×練筋術師Lv7。
ゴリゴリの前衛でパワー自慢。
武器は盾代わりにもなる両手大剣と、護身用ハンドガン。

「ピーノ」
疾影士Lv35×猟撃士Lv7。
戦況に合わせて中~近距離を立ち回るオールラウンダー。
武器は魔導銃とレイピア。

マスターより

おはようございます、のどかです。
久しぶりのアンナ単体シナリオとなります。
決戦を前に、同盟軍も派兵準備が行われています。
今は立場は違えど、かつての部下たちとの訓練の日々を思い返しながら、彼女も今回の依頼に臨みます。
タイトルの「F」は特に意味はありません。
みなさんなりに当てはめた「F」が、この訓練の意義になると思います。

質問がありましたら別途卓を立ててアンナまでどうぞ。
ご参加をお待ちしております。

関連NPC


  • アンナ=リーナ・エスト(kz0108
    人間(リアルブルー)|20才|女性|機導師(アルケミスト)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/07/12 01:13

参加者一覧

  • 白き流星
    鬼塚 陸(ka0038
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • 未来を示す羅針儀
    ジャック・エルギン(ka1522
    人間(紅)|20才|男性|闘狩人
  • 凛然奏する蒼礼の色
    イルム=ローレ・エーレ(ka5113
    人間(紅)|24才|女性|舞刀士
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 質問卓
鬼塚 陸(ka0038
人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2019/06/25 11:52:29
アイコン 相談?雑談?卓
鬼塚 陸(ka0038
人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2019/06/27 22:57:27
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/06/23 11:02:33