ゲスト
(ka0000)
【血断】散りゆく華の様に 傾く夕陽の様に
マスター:凪池シリル

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在5人 / 3~5人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/06/25 15:00
- リプレイ完成予定
- 2019/07/04 15:00
オープニング
※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
あちこちの建物が崩れ落ちていた。
人々は悲鳴を上げて逃げ惑う。だがそこに、天から紫電が落ちて突き刺さる。
黒焦げになり倒れる人たち。その中心には黒い影があった。黒い影に覆われシルエットしか分からない、槍を掲げた男の姿。逃げるものたちに回り込むように駆け抜け、立ちはだかると今度は己を中心に雷の環を広げて泣き叫ぶ人々を焼き滅ぼしていく。
ハンターたちが漸く駆けつけたときに広がっていたのはそんな光景だった。
「くっ……! もうやめろ! 街の人たちに手を出すな! 私が相手だ!」
一人がそういって影──おそらくシェオルだろう──に、飛びかかる。
一撃をシェオルは手にした槍で受け……
『街の人に手を出すな……だと?』
そしてハンターの言葉に、あえて見せつけるかのように、人々を巻き込みながらの雷の攻撃を繰り返す。
『何を言っている。何故逃がす。何故立ち向かわせない。お前たちが?』
そうして、侮蔑を込めた声でそう言い放った。
「何を……馬鹿なことを……」
『馬鹿なこと、だと!? お前たちの選択はそう言うことだろうが! 勝ち目の無い戦いだろうが、諦めずに足掻くのが正しいのだろう!? 希望を捨てなければ、どんな困難でも乗り越えられると言うのだろう!?』
シェオルは跳躍し立ちはだかるハンターたちの封鎖をすり抜ける。槍を高く掲げ、ハンターたちの後ろで恐怖にすくんで動けなかった一人の人間を貫き殺す。
『こいつらが死ぬのは諦めたからだ! 工夫が足りないからだ! 実力差に恐れず皆で作戦を考えて立ち向かえば勝てたんだ! だから死ぬのはこいつらが悪い、お前たちはそう言うんだろう!?』
「な……滅茶苦茶だ! 俺たちがやろうとしてるのはそんなのとは……」
『違うのか? 本当に? 邪神とお前たちの実力差が、俺とこいつら程度の差でないと何故言える?』
シェオルの全身に紫の雷光がみなぎる。怒りのように。周囲の空気を焼きながら。
『これでも! これでも! 諦めずに戦うのが正しいのか! 最後まで、立ち向かうと、そう言うのか! 諦めなければ勝てる、望めば全て上手くいくというなら──!』
負けた者は全て努力が足りなかったというのか。
なんだかんだで途中から諦めてたんだろうとでも言うのか。
必死で。必死で。必死で戦ったんだ……そして滅びを迎えても、本当に諦めない方が正しかった、やり方が悪かっただけだとでも言うのか。
──その雷が、その怒りが焼こうとしているのは何なのだろう。
一瞬、どう答えれば良いのか分からず顔を歪めたハンターたちに、シェオルは振り向き。
……紫電の中、輪郭しか分からないその顔が、にぃ、と邪悪に笑った気がした。
『ほぉら、必死で足掻け! 足掻けば何とかなる筈だ! 実力差なんて関係ない! 目を背けてる現実なんて無い! 立ち向かえ! お前たちの希望はそう言ってるぞ!』
嗤う。
嘲う。
誰にともつかない虚しい笑い声を上げながら、槍が振るわれ、雷が散る。
──そんな姿に、何を……。
「答えようなんて、考えても無駄でしょうね」
言葉と共に銃声が上がり、シェオルに撃ち込まれる。
後続として新たに対処にやって来た者の一人、高瀬 康太はそうして、シェオルを静かに見つめていた。
会話など無駄なのだ。
する必要がない。
シェオルとはもはや会話など成立しない──という以上に。
【それ】が、どういう存在で、どういう思考に基づいて動いているのか、康太には判る気がしたからだ。
議論を交わしたい訳ではないのだ。
慰めが欲しいわけでもない。
ただ汚点を染み付けてやりたいだけなのだ。その成功を、その未来を、ぐちゃぐちゃに掻き乱して滅茶苦茶にしてやりたいだけなのだ。
その輝きに汚泥を塗り付けてそれだって卑しいものなのだと叫ばなければ。
そうしなければ自分は惨めなだけの存在になってしまうじゃないか。
だから憎む。
だから汚す。
反動存在。
反動存在。
反動存在!!!
(ああ──そうだとも)
判る。
だって己だって、かつては。
そうやって初めて、ハンターたちの前に姿を現したんじゃないか。
世界を守るという役割と同時に個としての夢を持ち個人としての存在を認められようとしていた『彼』の。反動存在だった。世界の守護者としてそんな在り方は誤っている、そんな中途半端な奴らが英雄として認められて自分達が蔑ろにされるのは間違っている。
前に立つべきなのは、戦いに専任し、その覚悟を自ら請け負った者であるべき──なのだ。
──だから。
「対話や説得が必要とは思いませんが、しかしその主張の一部に理解できる部分はありますけどね」
康太はそのシェオルの前へと立ちはだかる。
逃げ惑う人たち、負傷する先行したハンターたち、それらを逃がすために、己の身を、どう使うか。
「認めるべき現実というのはあります。足掻いてもどうにもならない状況というものはあるし、減らせる犠牲にも限度はある──それでも選ばれたのは、犠牲を覚悟し乗り越えて進む道だという事実は、依然としてある」
ああ、そうだ。
己のかつての主張だって。その全てが間違っていたとは、今も思っていない。
個より優先すべき全体の事情というものは、せねばならないことというものは、ある。
──例え己の命を、それによって叶わなくなる夢を、犠牲にしてでも。
そうだ。この道が選ばれてから、覚悟はしていた。
当てもないのに何とかなる、と思い込むのは希望なんかじゃない。現実から目を反らしているだけだ。
犠牲は出るのだ。この作戦は。
そして、先のない己がその犠牲となるべき役割を避けようとするなど許容できない。
やっと分かった。
己は、日向に輝く花ではなく陰に咲く花だ。
昇る朝日ではなく傾く夕陽だ。
眩く明るい光に憧れはした。それでも、日向に出そうなど、また高みに上げようなどしてくれなくていい。
己がやり遂げるべきことは。
日陰からそれでも己の華を咲かせて散り、沈み行くその色で空を彩ることだ。
康太は覚悟する。
かつて語った己の夢を。
その夢のことを思う度にちらつく面影を。
それを彼は──破り捨てる。
この身は以降全て、人類の勝利のために。未来のために。
その為に生き延びるべき誰かのために。
──ただ。
(この命を使い果たすべきは、まだここではないとも……思いたいですけどね)
そうして彼は、共にこの場に救援へと駆けつけた者たちと、改めてシェオルへと向き直った。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
あちこちの建物が崩れ落ちていた。
人々は悲鳴を上げて逃げ惑う。だがそこに、天から紫電が落ちて突き刺さる。
黒焦げになり倒れる人たち。その中心には黒い影があった。黒い影に覆われシルエットしか分からない、槍を掲げた男の姿。逃げるものたちに回り込むように駆け抜け、立ちはだかると今度は己を中心に雷の環を広げて泣き叫ぶ人々を焼き滅ぼしていく。
ハンターたちが漸く駆けつけたときに広がっていたのはそんな光景だった。
「くっ……! もうやめろ! 街の人たちに手を出すな! 私が相手だ!」
一人がそういって影──おそらくシェオルだろう──に、飛びかかる。
一撃をシェオルは手にした槍で受け……
『街の人に手を出すな……だと?』
そしてハンターの言葉に、あえて見せつけるかのように、人々を巻き込みながらの雷の攻撃を繰り返す。
『何を言っている。何故逃がす。何故立ち向かわせない。お前たちが?』
そうして、侮蔑を込めた声でそう言い放った。
「何を……馬鹿なことを……」
『馬鹿なこと、だと!? お前たちの選択はそう言うことだろうが! 勝ち目の無い戦いだろうが、諦めずに足掻くのが正しいのだろう!? 希望を捨てなければ、どんな困難でも乗り越えられると言うのだろう!?』
シェオルは跳躍し立ちはだかるハンターたちの封鎖をすり抜ける。槍を高く掲げ、ハンターたちの後ろで恐怖にすくんで動けなかった一人の人間を貫き殺す。
『こいつらが死ぬのは諦めたからだ! 工夫が足りないからだ! 実力差に恐れず皆で作戦を考えて立ち向かえば勝てたんだ! だから死ぬのはこいつらが悪い、お前たちはそう言うんだろう!?』
「な……滅茶苦茶だ! 俺たちがやろうとしてるのはそんなのとは……」
『違うのか? 本当に? 邪神とお前たちの実力差が、俺とこいつら程度の差でないと何故言える?』
シェオルの全身に紫の雷光がみなぎる。怒りのように。周囲の空気を焼きながら。
『これでも! これでも! 諦めずに戦うのが正しいのか! 最後まで、立ち向かうと、そう言うのか! 諦めなければ勝てる、望めば全て上手くいくというなら──!』
負けた者は全て努力が足りなかったというのか。
なんだかんだで途中から諦めてたんだろうとでも言うのか。
必死で。必死で。必死で戦ったんだ……そして滅びを迎えても、本当に諦めない方が正しかった、やり方が悪かっただけだとでも言うのか。
──その雷が、その怒りが焼こうとしているのは何なのだろう。
一瞬、どう答えれば良いのか分からず顔を歪めたハンターたちに、シェオルは振り向き。
……紫電の中、輪郭しか分からないその顔が、にぃ、と邪悪に笑った気がした。
『ほぉら、必死で足掻け! 足掻けば何とかなる筈だ! 実力差なんて関係ない! 目を背けてる現実なんて無い! 立ち向かえ! お前たちの希望はそう言ってるぞ!』
嗤う。
嘲う。
誰にともつかない虚しい笑い声を上げながら、槍が振るわれ、雷が散る。
──そんな姿に、何を……。
「答えようなんて、考えても無駄でしょうね」
言葉と共に銃声が上がり、シェオルに撃ち込まれる。
後続として新たに対処にやって来た者の一人、高瀬 康太はそうして、シェオルを静かに見つめていた。
会話など無駄なのだ。
する必要がない。
シェオルとはもはや会話など成立しない──という以上に。
【それ】が、どういう存在で、どういう思考に基づいて動いているのか、康太には判る気がしたからだ。
議論を交わしたい訳ではないのだ。
慰めが欲しいわけでもない。
ただ汚点を染み付けてやりたいだけなのだ。その成功を、その未来を、ぐちゃぐちゃに掻き乱して滅茶苦茶にしてやりたいだけなのだ。
その輝きに汚泥を塗り付けてそれだって卑しいものなのだと叫ばなければ。
そうしなければ自分は惨めなだけの存在になってしまうじゃないか。
だから憎む。
だから汚す。
反動存在。
反動存在。
反動存在!!!
(ああ──そうだとも)
判る。
だって己だって、かつては。
そうやって初めて、ハンターたちの前に姿を現したんじゃないか。
世界を守るという役割と同時に個としての夢を持ち個人としての存在を認められようとしていた『彼』の。反動存在だった。世界の守護者としてそんな在り方は誤っている、そんな中途半端な奴らが英雄として認められて自分達が蔑ろにされるのは間違っている。
前に立つべきなのは、戦いに専任し、その覚悟を自ら請け負った者であるべき──なのだ。
──だから。
「対話や説得が必要とは思いませんが、しかしその主張の一部に理解できる部分はありますけどね」
康太はそのシェオルの前へと立ちはだかる。
逃げ惑う人たち、負傷する先行したハンターたち、それらを逃がすために、己の身を、どう使うか。
「認めるべき現実というのはあります。足掻いてもどうにもならない状況というものはあるし、減らせる犠牲にも限度はある──それでも選ばれたのは、犠牲を覚悟し乗り越えて進む道だという事実は、依然としてある」
ああ、そうだ。
己のかつての主張だって。その全てが間違っていたとは、今も思っていない。
個より優先すべき全体の事情というものは、せねばならないことというものは、ある。
──例え己の命を、それによって叶わなくなる夢を、犠牲にしてでも。
そうだ。この道が選ばれてから、覚悟はしていた。
当てもないのに何とかなる、と思い込むのは希望なんかじゃない。現実から目を反らしているだけだ。
犠牲は出るのだ。この作戦は。
そして、先のない己がその犠牲となるべき役割を避けようとするなど許容できない。
やっと分かった。
己は、日向に輝く花ではなく陰に咲く花だ。
昇る朝日ではなく傾く夕陽だ。
眩く明るい光に憧れはした。それでも、日向に出そうなど、また高みに上げようなどしてくれなくていい。
己がやり遂げるべきことは。
日陰からそれでも己の華を咲かせて散り、沈み行くその色で空を彩ることだ。
康太は覚悟する。
かつて語った己の夢を。
その夢のことを思う度にちらつく面影を。
それを彼は──破り捨てる。
この身は以降全て、人類の勝利のために。未来のために。
その為に生き延びるべき誰かのために。
──ただ。
(この命を使い果たすべきは、まだここではないとも……思いたいですけどね)
そうして彼は、共にこの場に救援へと駆けつけた者たちと、改めてシェオルへと向き直った。
解説
●目的
街中に現れたシェオル型一体の撃破
●状況
シェオルは大通りで暴れまわっており、現在地に既に生存者は居ない。
まず住人を少しでも助けるために初動に当たった者とシェオル討伐のために後続として編成されたハンターがおり、貴方たちは高瀬 康太と共に後続として到着した。
先発にまだ戦闘不能者はおらず、貴方たちの到着をもって自主的に撤退、更に周辺の住民たちの避難に当たる。
貴方たちの役割は、被害を抑えるためにシェオルをなるべくこの場に留めつつ撃破することである。
●敵情報
シェオル型歪虚一体。
雷を纏い槍を持っ男のシルエット。サイズ1
・能力
雷環…メイン。自身を中心に直径5スクエアに広がる雷の環による攻撃。ダメージを与えた場合痺れによる「BS:行動阻害(強度6)」。
招球…ファースト。下記「雷球」を一体召喚する。
天雷…メイン。天から雷を落とす。高威力、超射程の単体攻撃で回避に1/3の修正を受ける。「雷球」が二体行動可能だと使用する。
雷走…サブ。占有を無視して高速移動し、また直後のメインフェイズの攻撃に回避マイナスの補正を与える。
雷球
上記シェオルの能力により召喚されるエネルギー体。単体では体当たり攻撃。
実体が無く、移動に占有の影響を受けず、また彼らは占有を行えない。
また、物理攻撃でダメージを受けない。防御力生命力自体はそれほどでもない。
開始時は0体。
街中に現れたシェオル型一体の撃破
●状況
シェオルは大通りで暴れまわっており、現在地に既に生存者は居ない。
まず住人を少しでも助けるために初動に当たった者とシェオル討伐のために後続として編成されたハンターがおり、貴方たちは高瀬 康太と共に後続として到着した。
先発にまだ戦闘不能者はおらず、貴方たちの到着をもって自主的に撤退、更に周辺の住民たちの避難に当たる。
貴方たちの役割は、被害を抑えるためにシェオルをなるべくこの場に留めつつ撃破することである。
●敵情報
シェオル型歪虚一体。
雷を纏い槍を持っ男のシルエット。サイズ1
・能力
雷環…メイン。自身を中心に直径5スクエアに広がる雷の環による攻撃。ダメージを与えた場合痺れによる「BS:行動阻害(強度6)」。
招球…ファースト。下記「雷球」を一体召喚する。
天雷…メイン。天から雷を落とす。高威力、超射程の単体攻撃で回避に1/3の修正を受ける。「雷球」が二体行動可能だと使用する。
雷走…サブ。占有を無視して高速移動し、また直後のメインフェイズの攻撃に回避マイナスの補正を与える。
雷球
上記シェオルの能力により召喚されるエネルギー体。単体では体当たり攻撃。
実体が無く、移動に占有の影響を受けず、また彼らは占有を行えない。
また、物理攻撃でダメージを受けない。防御力生命力自体はそれほどでもない。
開始時は0体。
マスターより
フラグ圧し切り凪池です。なんか大変すみません。
……でも、やはり状況というものは変わるもので、空蒼連動の直後の状態ならばともかく、「討伐」選択された場合のあの内容を見てこいつが無理に生き延びようとするのは違うな、と私としては思わざるを得なかったのですね。
そして、そうでした。こいつ、初期はあいつの行動に対して取り敢えずケチつける存在が必要として出てきたんでしたよね……と思い出したらこの展開に奇妙な物を感じずにいられません。
とはいえこちらが「こいつはこういう奴なんです」を押し通すならPCの皆様がどのように来るのか文句を言う筋合いでも無いですね。
お待ちしております。宜しくお願いします。
……でも、やはり状況というものは変わるもので、空蒼連動の直後の状態ならばともかく、「討伐」選択された場合のあの内容を見てこいつが無理に生き延びようとするのは違うな、と私としては思わざるを得なかったのですね。
そして、そうでした。こいつ、初期はあいつの行動に対して取り敢えずケチつける存在が必要として出てきたんでしたよね……と思い出したらこの展開に奇妙な物を感じずにいられません。
とはいえこちらが「こいつはこういう奴なんです」を押し通すならPCの皆様がどのように来るのか文句を言う筋合いでも無いですね。
お待ちしております。宜しくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/07/03 08:11
参加者一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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シェオル型討伐相談 メアリ・ロイド(ka6633) 人間(リアルブルー)|24才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2019/06/25 12:15:19 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/06/19 20:35:50 |