ゲスト
(ka0000)
二年越しの帰宅
マスター:硲銘介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/01/30 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/02/08 12:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●
懐かしい故郷の香りがする。この風、この肌触りこそ、私の帰還を祝福するものだ。
私――バッファ・リチェルカは二年にも及ぶ旅の果てに此処へ帰ってきた。
リアルブルーからクリムゾンウェストに飛ばされてきた私の祖父は、躍る好奇心のままに西方諸国を歩いたという。その旅の終着で彼はこの小さな町に豪邸を築いた。
世界中を回った末に選んだのがこんな辺鄙な場所とはとんだ物好きだ、父が笑いながら話していたのを今でも憶えている。そう言いながらも父は最期まで同じ町で暮らし、息を引き取っていった。
時は移り、父の代を経て家の家督は私が継ぐ事となった。だが困った事に、私には旅好きな祖父の血が色濃く受け継がれていたらしい――私は、祖父と同じ様に長い旅に出た。
グラズヘイムにゾンネンシュトラール、自由都市の各町や果ての辺境まで。私は各国を旅して回った。
旅の途中、何処かで腰を落ち着ける事になるやもしれない。そう考えていたのだが、気がつけばまたこの町へ足が向いていた。
帰巣本能、というやつだろうか。どうやら私も、父達と同じ様にこの場所を大切に思っていたらしい。
町の中を歩き、やがて私は見慣れた門の前へ。長い間留守にしていた代償に些か寂れてはいたが、そこに待っていたのは紛れもない祖父の屋敷であった。
知らず、口元が緩んでいた。家へ帰る、というのは良いものだと改めて思う。
「ただいま」
屋敷へ、そう声をかける。勿論返事など返ってこないのだが、それでも優しく迎えてくれているように感じられた。
そして私は屋敷の門を潜り、玄関の扉を開け――開かなかった。
いや、失敗した。鍵がかかっているのだから開かないのは当然だ。私は戸の鍵を求めて荷物の中を漁る。
漁る。漁る。漁る。漁――っても漁っても、鍵は姿を見せない。
顎に手を当て思案する。どうした事か。鍵が無い。いや、待てよ――あぁ、思い出した。
何しろ二年も前の事、思い出すのに少し時間がかかってしまった。
長旅で鍵を紛失しては敵わない。そう思い、私は鍵を屋敷の敷地内に隠す事にしたのだ。そうだそうだ。
さて、何処に隠したのだったか。周囲を見渡すと柱の後ろに小さな箱があった。開いてみると、中には一枚の紙切れが入っていた。
……あぁ、思い出した。二重の防犯対策という事で鍵の在り処を記した暗号を作ったのだった。
暗号の内容はさっぱり覚えていないが、過去の私が作ったものだ。解けない筈はあるまい。
●
Hint
我が屋敷へ踏み入らんとする者よ。汝の資質を問う。
優雅に天を舞うもの。汝は紫の蝶か、はたまた銀の鷲か。
無様に地を這うもの。汝は赤き兎か、はたまた黒き獅子か。
汝の知恵を示せ。資格有らば、白き一角獣が導こう。
我が屋敷へ踏み入る者よ。汝は黄金の亀を得ん。
私は赤が嫌いだ。血を連想するそれを私は嫌悪する。
私は白が好きだ。穢れ無き純潔を私は愛する。
金と銀、どちらが好きかと問われれば……成金趣味と思われるだろうか。
派手さは無くとも黒も嫌いではない。上から四番目、そんなところだ。
白も好きだが、私の一番好きな色は……やはり、紫色を措いて他には無い。
●
すっかり日が暮れかけているが、肝心の暗号はさっぱりだった。
とはいえ、私も無為に時間を過ごした訳じゃない。ヒントを求めて屋敷内を探していたのだ。
春になれば色とりどりの花を咲かす、無数の蝶を呼び寄せた我が家の花壇。掘り返すも、泥にまみれただけであった。
かつては多くの魚が泳いでいた美しい池。足を滑らせ落ちた後で、亀は飼っていなかった事を思い出した。
獅子のレリーフが施された玄関の扉の取っ手。擦っても叩いても、火を近づけても反応しない。
屋根に上って以前鳥が巣を作っていた場所へ……いや、あれは燕だったなぁ。
嫁にいった妹に乞われ造った飼育小屋。昔は兎もいた筈だが、今は何もいない。
屋敷の広間には一角獣を模した彫像が――って、だから中に入れないのだというのだ。
――やるじゃないか、過去の私。いや、さすがは過去の私、といったところか。
まったく解ける予感がしない。優しく迎えてくれていたように思ったのは気のせいだったのか、我が家よ。
とはいえ、屋敷に入る方法が無い訳じゃない。以前執事を勤めていた者に連絡すれば合鍵もあるだろうし、泥棒よろしく窓を割り侵入するという手もある。
だが、そのような手段を用いたくは無かった。
ここは父祖伝来の屋敷。鍵を壊したりといった行為は、それを傷つける事に他ならない。
そう、これはただの感傷だ。祖父達が愛した屋敷を荒らしたくはない。
付け加えるなら過去の私に対する意地でもあり、二年越しの帰宅は堂々と玄関からでありたいというこだわりでもある。
何にせよ、私のエゴに過ぎない。それでも――否、だからこそ私は正攻法での突破を望む。
――だが決意が結果へ直列する事はなく、私はその日の夜を自分の屋敷の庭で野宿して過ごす羽目になった。
夜空を見上げながら、私は考えた。
人の知恵を借りる事は恥ではない。私だけでは解けない謎も、寄り合って解く事が出来たのならそれでもいいのではないだろうか。
しかし、傍から見れば滑稽なだけであろう状況に手を貸してくれる者がいるだろうか。しばし思案し、一つの心当たりを思いつく。
彼らなら。
以前、旅の途中でも幾度か世話になった事がある。彼らは仕事であれば何だって引き受け、酔狂な立ち回りとて演じてみせる。何より――彼らは総じて優秀である。
その彼らなら、私の希望に沿うように事を運んでくれるやも知れない。ごく僅かでも、手を貸してくれる者は必ずいる筈だ。そんな希望を抱き、私は彼らを頼る事を決めた。
そうだ、依頼の後には食事でも振舞う事にしようか。今ではすっかり人気の失せたこの屋敷に、かつての賑やかさが一時でも帰ってくるのなら、それはとても喜ばしい事だと思うのだ――――
●
懐かしい故郷の香りがする。この風、この肌触りこそ、私の帰還を祝福するものだ。
私――バッファ・リチェルカは二年にも及ぶ旅の果てに此処へ帰ってきた。
リアルブルーからクリムゾンウェストに飛ばされてきた私の祖父は、躍る好奇心のままに西方諸国を歩いたという。その旅の終着で彼はこの小さな町に豪邸を築いた。
世界中を回った末に選んだのがこんな辺鄙な場所とはとんだ物好きだ、父が笑いながら話していたのを今でも憶えている。そう言いながらも父は最期まで同じ町で暮らし、息を引き取っていった。
時は移り、父の代を経て家の家督は私が継ぐ事となった。だが困った事に、私には旅好きな祖父の血が色濃く受け継がれていたらしい――私は、祖父と同じ様に長い旅に出た。
グラズヘイムにゾンネンシュトラール、自由都市の各町や果ての辺境まで。私は各国を旅して回った。
旅の途中、何処かで腰を落ち着ける事になるやもしれない。そう考えていたのだが、気がつけばまたこの町へ足が向いていた。
帰巣本能、というやつだろうか。どうやら私も、父達と同じ様にこの場所を大切に思っていたらしい。
町の中を歩き、やがて私は見慣れた門の前へ。長い間留守にしていた代償に些か寂れてはいたが、そこに待っていたのは紛れもない祖父の屋敷であった。
知らず、口元が緩んでいた。家へ帰る、というのは良いものだと改めて思う。
「ただいま」
屋敷へ、そう声をかける。勿論返事など返ってこないのだが、それでも優しく迎えてくれているように感じられた。
そして私は屋敷の門を潜り、玄関の扉を開け――開かなかった。
いや、失敗した。鍵がかかっているのだから開かないのは当然だ。私は戸の鍵を求めて荷物の中を漁る。
漁る。漁る。漁る。漁――っても漁っても、鍵は姿を見せない。
顎に手を当て思案する。どうした事か。鍵が無い。いや、待てよ――あぁ、思い出した。
何しろ二年も前の事、思い出すのに少し時間がかかってしまった。
長旅で鍵を紛失しては敵わない。そう思い、私は鍵を屋敷の敷地内に隠す事にしたのだ。そうだそうだ。
さて、何処に隠したのだったか。周囲を見渡すと柱の後ろに小さな箱があった。開いてみると、中には一枚の紙切れが入っていた。
……あぁ、思い出した。二重の防犯対策という事で鍵の在り処を記した暗号を作ったのだった。
暗号の内容はさっぱり覚えていないが、過去の私が作ったものだ。解けない筈はあるまい。
●
Hint
我が屋敷へ踏み入らんとする者よ。汝の資質を問う。
優雅に天を舞うもの。汝は紫の蝶か、はたまた銀の鷲か。
無様に地を這うもの。汝は赤き兎か、はたまた黒き獅子か。
汝の知恵を示せ。資格有らば、白き一角獣が導こう。
我が屋敷へ踏み入る者よ。汝は黄金の亀を得ん。
私は赤が嫌いだ。血を連想するそれを私は嫌悪する。
私は白が好きだ。穢れ無き純潔を私は愛する。
金と銀、どちらが好きかと問われれば……成金趣味と思われるだろうか。
派手さは無くとも黒も嫌いではない。上から四番目、そんなところだ。
白も好きだが、私の一番好きな色は……やはり、紫色を措いて他には無い。
●
すっかり日が暮れかけているが、肝心の暗号はさっぱりだった。
とはいえ、私も無為に時間を過ごした訳じゃない。ヒントを求めて屋敷内を探していたのだ。
春になれば色とりどりの花を咲かす、無数の蝶を呼び寄せた我が家の花壇。掘り返すも、泥にまみれただけであった。
かつては多くの魚が泳いでいた美しい池。足を滑らせ落ちた後で、亀は飼っていなかった事を思い出した。
獅子のレリーフが施された玄関の扉の取っ手。擦っても叩いても、火を近づけても反応しない。
屋根に上って以前鳥が巣を作っていた場所へ……いや、あれは燕だったなぁ。
嫁にいった妹に乞われ造った飼育小屋。昔は兎もいた筈だが、今は何もいない。
屋敷の広間には一角獣を模した彫像が――って、だから中に入れないのだというのだ。
――やるじゃないか、過去の私。いや、さすがは過去の私、といったところか。
まったく解ける予感がしない。優しく迎えてくれていたように思ったのは気のせいだったのか、我が家よ。
とはいえ、屋敷に入る方法が無い訳じゃない。以前執事を勤めていた者に連絡すれば合鍵もあるだろうし、泥棒よろしく窓を割り侵入するという手もある。
だが、そのような手段を用いたくは無かった。
ここは父祖伝来の屋敷。鍵を壊したりといった行為は、それを傷つける事に他ならない。
そう、これはただの感傷だ。祖父達が愛した屋敷を荒らしたくはない。
付け加えるなら過去の私に対する意地でもあり、二年越しの帰宅は堂々と玄関からでありたいというこだわりでもある。
何にせよ、私のエゴに過ぎない。それでも――否、だからこそ私は正攻法での突破を望む。
――だが決意が結果へ直列する事はなく、私はその日の夜を自分の屋敷の庭で野宿して過ごす羽目になった。
夜空を見上げながら、私は考えた。
人の知恵を借りる事は恥ではない。私だけでは解けない謎も、寄り合って解く事が出来たのならそれでもいいのではないだろうか。
しかし、傍から見れば滑稽なだけであろう状況に手を貸してくれる者がいるだろうか。しばし思案し、一つの心当たりを思いつく。
彼らなら。
以前、旅の途中でも幾度か世話になった事がある。彼らは仕事であれば何だって引き受け、酔狂な立ち回りとて演じてみせる。何より――彼らは総じて優秀である。
その彼らなら、私の希望に沿うように事を運んでくれるやも知れない。ごく僅かでも、手を貸してくれる者は必ずいる筈だ。そんな希望を抱き、私は彼らを頼る事を決めた。
そうだ、依頼の後には食事でも振舞う事にしようか。今ではすっかり人気の失せたこの屋敷に、かつての賑やかさが一時でも帰ってくるのなら、それはとても喜ばしい事だと思うのだ――――
解説
『依頼内容』
とある屋敷の主人、バッファ・リチェルカ氏からの依頼です。
彼の屋敷の鍵の在り処、それが記された暗号を解き、鍵を見つけ出してください。
暗号が解けなかった場合には強行手段を用いて屋敷に入るつもりだそうです。
『暗号』
Hint
我が屋敷へ踏み入らんとする者よ。汝の資質を問う。
優雅に天を舞うもの。汝は紫の蝶か、はたまた銀の鷲か。
無様に地を這うもの。汝は赤き兎か、はたまた黒き獅子か。
汝の知恵を示せ。資格有らば、白き一角獣が導こう。
我が屋敷へ踏み入る者よ。汝は黄金の亀を得ん。
私は赤が嫌いだ。血を連想するそれを私は嫌悪する。
私は白が好きだ。穢れ無き純潔を私は愛する。
金と銀、どちらが好きかと問われれば……成金趣味と思われるだろうか。
派手さは無くとも黒も嫌いではない。上から四番目、そんなところだ。
白も好きだが、私の一番好きな色は……やはり、紫色を措いて他には無い。
『屋敷』
・本館
三階建ての豪邸です。使用人用の部屋も中にあります。
・庭
多くの木が植えられ、花壇もあります。
他、敷地内には池、兎の飼育小屋、物置小屋があります。
物置の鍵は本館のものと同一、飼育小屋には鍵がありません。
『終了後』
暗号解読の是非を問わず、氏は皆さんと晩餐を共にする事を望んでいます。
彼の厚意を受ければ喜ばれる事でしょう。
(『補足』
暗号解読が簡単にできてしまった場合ですが、
晩餐会を是が非でも楽しんで頂くよう、相談&プレイング執筆の際にはご協力ください……)
とある屋敷の主人、バッファ・リチェルカ氏からの依頼です。
彼の屋敷の鍵の在り処、それが記された暗号を解き、鍵を見つけ出してください。
暗号が解けなかった場合には強行手段を用いて屋敷に入るつもりだそうです。
『暗号』
Hint
我が屋敷へ踏み入らんとする者よ。汝の資質を問う。
優雅に天を舞うもの。汝は紫の蝶か、はたまた銀の鷲か。
無様に地を這うもの。汝は赤き兎か、はたまた黒き獅子か。
汝の知恵を示せ。資格有らば、白き一角獣が導こう。
我が屋敷へ踏み入る者よ。汝は黄金の亀を得ん。
私は赤が嫌いだ。血を連想するそれを私は嫌悪する。
私は白が好きだ。穢れ無き純潔を私は愛する。
金と銀、どちらが好きかと問われれば……成金趣味と思われるだろうか。
派手さは無くとも黒も嫌いではない。上から四番目、そんなところだ。
白も好きだが、私の一番好きな色は……やはり、紫色を措いて他には無い。
『屋敷』
・本館
三階建ての豪邸です。使用人用の部屋も中にあります。
・庭
多くの木が植えられ、花壇もあります。
他、敷地内には池、兎の飼育小屋、物置小屋があります。
物置の鍵は本館のものと同一、飼育小屋には鍵がありません。
『終了後』
暗号解読の是非を問わず、氏は皆さんと晩餐を共にする事を望んでいます。
彼の厚意を受ければ喜ばれる事でしょう。
(『補足』
暗号解読が簡単にできてしまった場合ですが、
晩餐会を是が非でも楽しんで頂くよう、相談&プレイング執筆の際にはご協力ください……)
マスターより
こんにちは、硲銘介です。
何故か今回は暗号解読です。
いや、暗号と呼べるほどのものかと言われると……お粗末な出来には目をつむって頂きたいです。
暗号とかこれまで考えた事無いですしね……
やや手間がかかりますが、おそらく解ける人にはすぐに解けてしまうかと思われます。
などと色々言いましたが――皆様の挑戦をお待ちしております。
何故か今回は暗号解読です。
いや、暗号と呼べるほどのものかと言われると……お粗末な出来には目をつむって頂きたいです。
暗号とかこれまで考えた事無いですしね……
やや手間がかかりますが、おそらく解ける人にはすぐに解けてしまうかと思われます。
などと色々言いましたが――皆様の挑戦をお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/02/07 11:18
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/25 20:43:53 |
|
![]() |
暗号解いたり喋ったり。 トルステン=L=ユピテル(ka3946) 人間(リアルブルー)|18才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/01/29 23:58:26 |