ゲスト
(ka0000)
【アルカナ】終局へと誘う魔術師の一手
マスター:桐咲鈴華

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/07/07 12:00
- リプレイ完成予定
- 2019/07/16 12:00
オープニング
●
一手、また一手。駒を手にとり、また次の一手を指す。
白黒に分けられた盤上の上で踊る駒を見ながら、私は次の手を考える。
相手の次の一手、その次の、そしてまた次の一手を。そこが読めたならさらに次を。先の先を読み、駒を動かし、読みが違えたならば修正を加え、思考し、演算し、先の未来を、あらゆる可能性を見渡してゆく。
そんな私が、本物の戦場、それも、異世界で指揮を取る事になるとは、さすがに予測の範疇を超えるものではあったが。
盤面はゲーム版から地図に姿を変え、動かす駒は紛い物ではなく、本物の人となった。それでも、私がすべきことは変わらなかった。大局を見据え、『王』を取らせず、敵を追い詰め、勝利への筋道を立てる。幸いにも、私の手管は斯様な地での戦にも役立つものであったことだった。
……だが、違うものもあった。操っているのは人だ。チェスの駒のように、取られてそれで終わり、とはいかない。人には生命がある、換えの効かないものだ。だが、長年に渡り染み付いた私の戦術眼には、大局……すなわち全体の勝利しか映り得ない。
情に心を揺さぶられ、魂の火が削られてゆくのを感じながらも、私は、勝ちを収め続けた。
―――ある日の戦いの中で、サクリファイスに利用した軍の中に。私のかけがえのない友が居たとしても。
私は終ぞ、己の戦い方を変えることは、なかったのだ。
……だから、私には判る。次に私が打つべき手を。
例え運命に踊らされているのだとしても。
例え我が身に、どれほどの絶望が渦巻いていたとしても。
私が打つべき手は……。
●
辺境北部の、とある山嶺の一角。
クリムゾンウェスト全土が邪神討伐に向けて動いている中、顔にメイクを施し、道化師のような装いをした、ゴブリンによく似た亜人は、不気味な空模様を見上げながら目を細める。
「また一つ、時代が終わりを迎えようとしているという訳ですね」
彼の者の名は『愚者(The Fool)』。太古に封じられた歪虚群、『アルカナ』の一体である彼は、人々と歪虚の生み出す大きなうねりを遠くに感じながら、瞳を伏せる。
「目覚めたアルカナは、その尽くが人間の皆様に『還された』。……残すはいよいよ、『魔術師』の彼のみとなりましたか」
エフィーリア・タロッキ(kz0077)の持つ秘術、『アテュ・コンシェンス』。アルカナの『核』……すなわち、そのアルカナの元となった人物の、負のマテリアが融合した心。それをむき出しにし、解き放つ事で歪められた心を元に戻し、消滅させることができる。これによりハンター達は、過去数度に渡って交戦を繰り返してきたアルカナを討滅している。
「運命に囚われながらも、運命に抗おうとした同胞達よ。どうやら、あなた方のおかげで……『ゲーム』は、いよいよ勝敗が分からなくなってきた様子」
どこからともなく取り出したティーカップに口をつけ、愚者は一人ごちる。
「……さて、人間様方。残すはあと1人、1番目の使徒のみ。残る12体は既に虚の中。最後の彼が示す絶望を、皆様はどう救うのか……」
ぱちんと彼が指を鳴らすと、ティーカップは虚空に消え、代わりにその手には一冊の本が携えられていた。
「邪神降臨が契機となり、いよいよ『世界』の目覚めはすぐそこまで来ている。されど……多くの絶望の中には、一縷の希望が息を潜めているもの。
……さあ、皆々様。人が未来を勝ち取るか、我々が未来を閉ざすか……。もうひとつの決戦を、はじめると致しましょう」
●
「……一体、なぜ。こんなにも静かなのでしょうか」
エフィーリアは、困惑していた。
タロッキ族の集落にて、彼女は来るべきアルカナとの戦いに備え、少しでも多くの知識を得るために、ありとあらゆる書物を調べながら、時に自らも鍛え、時にハンター達と交流を行いながら、アルカナの封印を常に見張っていた。
だが、そんなエフィーリアの杞憂とは裏腹に、アルカナの封印は沈黙を保ち続けていた。綻びかけていた封印から漏れ出ていた断片も今や出ずる事なく、集落には平穏が訪れていた。
だが、そんな筈はないと、エフィーリアは頭をふる。彼らは元々、人の為に戦う英雄たちであった。人の未来を想うが故に歪められた負の心が暴走し、歪虚となった彼らは、人類の未来を否定するために今の世に出てきていたのだ。彼らはその想いが転化する前ですら、強い信念を持って戦い続けていたと聞く。そんな彼らが簡単に自らの想いを曲げるとは思えない。正しきにせよ悪しきにせよ、彼らの想いは本物であったと、エフィーリアには確信があったのだ。
だからこそ、エフィーリアには不安が募っていた。あれだけ目覚め続けていたアルカナの『断片』の出現が、今や一切の音沙汰もないことに。封印が盤石のものになったと集落の若者達は言うが、エフィーリアにはとても楽観できるものでもない。ローテスに相談したりもしたが、彼もまたこの現状に疑問を持っているようだった。邪神の復活により、クリムゾンウェストすべてに不穏な空気が渦巻いている事が、彼女の不安を加速させている。
「……何か、取り返しのつかない事が起こっているのでは……」
そんなエフィーリアの憂慮を裏切るかのように、ある報告が届く。
辺境北部の一角にて、ハンターの一団が襲撃を受けたとの報告だった。
その襲撃を伝えた、ハンターの言葉によると、アルカナ、『魔術師(The Magician)』が、再び現れたとの事だった。そしてそのハンターからは、なんと『魔術師』から、ある事を伝えるように言われたのだと言う。
『私に秘術を使いに来るがいい、タロッキ。貴殿らのその力で、私の一手を挫いてみせよ。さもなくば、より大きな絶望が、貴殿らを覆うことになるであろう。北の台地にて、貴殿らを待っている』
「……」
エフィーリアは考えていた、先の『皇帝』の時といい、彼らは『アルカナ』としての総意として人類の殲滅を掲げていながら、その障害となるであろう自分(とその秘術)に対し、優先的に排除を試みることはあまりない。むしろ、それらを甘んじて受け入れているようにも見えるその姿勢に、エフィーリアは疑問を抱かずにはいられなかった。
「……それでも、私は。誓ったのです。もう、決して迷わないと。……人々の未来を、守る為に」
邪神の襲来により、世界は既に危機に瀕している。そんな中に現れた彼らの存在は、決して無視することのできない脅威であることに間違いはない。エフィーリアは、今再び。アルカナの脅威に対抗するためにハンター達に助けを求めたのだった。
一手、また一手。駒を手にとり、また次の一手を指す。
白黒に分けられた盤上の上で踊る駒を見ながら、私は次の手を考える。
相手の次の一手、その次の、そしてまた次の一手を。そこが読めたならさらに次を。先の先を読み、駒を動かし、読みが違えたならば修正を加え、思考し、演算し、先の未来を、あらゆる可能性を見渡してゆく。
そんな私が、本物の戦場、それも、異世界で指揮を取る事になるとは、さすがに予測の範疇を超えるものではあったが。
盤面はゲーム版から地図に姿を変え、動かす駒は紛い物ではなく、本物の人となった。それでも、私がすべきことは変わらなかった。大局を見据え、『王』を取らせず、敵を追い詰め、勝利への筋道を立てる。幸いにも、私の手管は斯様な地での戦にも役立つものであったことだった。
……だが、違うものもあった。操っているのは人だ。チェスの駒のように、取られてそれで終わり、とはいかない。人には生命がある、換えの効かないものだ。だが、長年に渡り染み付いた私の戦術眼には、大局……すなわち全体の勝利しか映り得ない。
情に心を揺さぶられ、魂の火が削られてゆくのを感じながらも、私は、勝ちを収め続けた。
―――ある日の戦いの中で、サクリファイスに利用した軍の中に。私のかけがえのない友が居たとしても。
私は終ぞ、己の戦い方を変えることは、なかったのだ。
……だから、私には判る。次に私が打つべき手を。
例え運命に踊らされているのだとしても。
例え我が身に、どれほどの絶望が渦巻いていたとしても。
私が打つべき手は……。
●
辺境北部の、とある山嶺の一角。
クリムゾンウェスト全土が邪神討伐に向けて動いている中、顔にメイクを施し、道化師のような装いをした、ゴブリンによく似た亜人は、不気味な空模様を見上げながら目を細める。
「また一つ、時代が終わりを迎えようとしているという訳ですね」
彼の者の名は『愚者(The Fool)』。太古に封じられた歪虚群、『アルカナ』の一体である彼は、人々と歪虚の生み出す大きなうねりを遠くに感じながら、瞳を伏せる。
「目覚めたアルカナは、その尽くが人間の皆様に『還された』。……残すはいよいよ、『魔術師』の彼のみとなりましたか」
エフィーリア・タロッキ(kz0077)の持つ秘術、『アテュ・コンシェンス』。アルカナの『核』……すなわち、そのアルカナの元となった人物の、負のマテリアが融合した心。それをむき出しにし、解き放つ事で歪められた心を元に戻し、消滅させることができる。これによりハンター達は、過去数度に渡って交戦を繰り返してきたアルカナを討滅している。
「運命に囚われながらも、運命に抗おうとした同胞達よ。どうやら、あなた方のおかげで……『ゲーム』は、いよいよ勝敗が分からなくなってきた様子」
どこからともなく取り出したティーカップに口をつけ、愚者は一人ごちる。
「……さて、人間様方。残すはあと1人、1番目の使徒のみ。残る12体は既に虚の中。最後の彼が示す絶望を、皆様はどう救うのか……」
ぱちんと彼が指を鳴らすと、ティーカップは虚空に消え、代わりにその手には一冊の本が携えられていた。
「邪神降臨が契機となり、いよいよ『世界』の目覚めはすぐそこまで来ている。されど……多くの絶望の中には、一縷の希望が息を潜めているもの。
……さあ、皆々様。人が未来を勝ち取るか、我々が未来を閉ざすか……。もうひとつの決戦を、はじめると致しましょう」
●
「……一体、なぜ。こんなにも静かなのでしょうか」
エフィーリアは、困惑していた。
タロッキ族の集落にて、彼女は来るべきアルカナとの戦いに備え、少しでも多くの知識を得るために、ありとあらゆる書物を調べながら、時に自らも鍛え、時にハンター達と交流を行いながら、アルカナの封印を常に見張っていた。
だが、そんなエフィーリアの杞憂とは裏腹に、アルカナの封印は沈黙を保ち続けていた。綻びかけていた封印から漏れ出ていた断片も今や出ずる事なく、集落には平穏が訪れていた。
だが、そんな筈はないと、エフィーリアは頭をふる。彼らは元々、人の為に戦う英雄たちであった。人の未来を想うが故に歪められた負の心が暴走し、歪虚となった彼らは、人類の未来を否定するために今の世に出てきていたのだ。彼らはその想いが転化する前ですら、強い信念を持って戦い続けていたと聞く。そんな彼らが簡単に自らの想いを曲げるとは思えない。正しきにせよ悪しきにせよ、彼らの想いは本物であったと、エフィーリアには確信があったのだ。
だからこそ、エフィーリアには不安が募っていた。あれだけ目覚め続けていたアルカナの『断片』の出現が、今や一切の音沙汰もないことに。封印が盤石のものになったと集落の若者達は言うが、エフィーリアにはとても楽観できるものでもない。ローテスに相談したりもしたが、彼もまたこの現状に疑問を持っているようだった。邪神の復活により、クリムゾンウェストすべてに不穏な空気が渦巻いている事が、彼女の不安を加速させている。
「……何か、取り返しのつかない事が起こっているのでは……」
そんなエフィーリアの憂慮を裏切るかのように、ある報告が届く。
辺境北部の一角にて、ハンターの一団が襲撃を受けたとの報告だった。
その襲撃を伝えた、ハンターの言葉によると、アルカナ、『魔術師(The Magician)』が、再び現れたとの事だった。そしてそのハンターからは、なんと『魔術師』から、ある事を伝えるように言われたのだと言う。
『私に秘術を使いに来るがいい、タロッキ。貴殿らのその力で、私の一手を挫いてみせよ。さもなくば、より大きな絶望が、貴殿らを覆うことになるであろう。北の台地にて、貴殿らを待っている』
「……」
エフィーリアは考えていた、先の『皇帝』の時といい、彼らは『アルカナ』としての総意として人類の殲滅を掲げていながら、その障害となるであろう自分(とその秘術)に対し、優先的に排除を試みることはあまりない。むしろ、それらを甘んじて受け入れているようにも見えるその姿勢に、エフィーリアは疑問を抱かずにはいられなかった。
「……それでも、私は。誓ったのです。もう、決して迷わないと。……人々の未来を、守る為に」
邪神の襲来により、世界は既に危機に瀕している。そんな中に現れた彼らの存在は、決して無視することのできない脅威であることに間違いはない。エフィーリアは、今再び。アルカナの脅威に対抗するためにハンター達に助けを求めたのだった。
解説
◆本シナリオの目的
歪虚『アルカナ-The Magician』の討滅
◆敵の特徴
敵は過去のシナリオ『【アルカナ】 王手をかけるは魔術師の計』に登場した歪虚『The Magician』となります。見た目は初老の紳士ではありますが、敵は戦う相手に強制的にチェスの駒の役割を当てはめ、動きを制限させて来ます。そのルールに応じるように申し出れば、駒の割り振りはこちらに一存させてくれるのは前回と同じです。
駒それぞれの特性については、前回のシナリオをご覧下さい。参加人数の不足した場合は、キング>ポーン>ナイト>ルーク>ビショップ>クイーンの順での優先度の高い駒が残り、不足分の駒が存在しない状態で戦う事となります。
◆討滅について
彼は何やら思う所があるようで、同行しているエフィーリアを狙う事はせず、得意の『ルール』も課さない様子です。エフィーリアが戦いに参加しない事を条件に、彼もまたエフィーリアを狙わない事を約束してくるようです。
『秘術』は、彼が『チェック』をかけられた状態、すなわち彼が瀕死となった場合に甘んじて受け入れる様子です。
◆称号について
本シナリオを見事成功させた場合、『アルカナ』にちなんだ称号を贈らせて頂きますと共に、これまでのシナリオと統合して、『Magician』の討伐に最も貢献したプレイヤー様に『魔術師』のタロットカードにちなんだ称号を贈らせて頂きます。
歪虚『アルカナ-The Magician』の討滅
◆敵の特徴
敵は過去のシナリオ『【アルカナ】 王手をかけるは魔術師の計』に登場した歪虚『The Magician』となります。見た目は初老の紳士ではありますが、敵は戦う相手に強制的にチェスの駒の役割を当てはめ、動きを制限させて来ます。そのルールに応じるように申し出れば、駒の割り振りはこちらに一存させてくれるのは前回と同じです。
駒それぞれの特性については、前回のシナリオをご覧下さい。参加人数の不足した場合は、キング>ポーン>ナイト>ルーク>ビショップ>クイーンの順での優先度の高い駒が残り、不足分の駒が存在しない状態で戦う事となります。
◆討滅について
彼は何やら思う所があるようで、同行しているエフィーリアを狙う事はせず、得意の『ルール』も課さない様子です。エフィーリアが戦いに参加しない事を条件に、彼もまたエフィーリアを狙わない事を約束してくるようです。
『秘術』は、彼が『チェック』をかけられた状態、すなわち彼が瀕死となった場合に甘んじて受け入れる様子です。
◆称号について
本シナリオを見事成功させた場合、『アルカナ』にちなんだ称号を贈らせて頂きますと共に、これまでのシナリオと統合して、『Magician』の討伐に最も貢献したプレイヤー様に『魔術師』のタロットカードにちなんだ称号を贈らせて頂きます。
マスターより
恥ずかしながら、帰ってまいりました。大変ご無沙汰しております、桐咲です。
一体どれほどの年月が空いてしまったのかとといったお気持ちはあることと存じますが、いよいよファナティックブラッドも大詰めとなってきた今、私どものシリーズにご参加頂き続けた方々に、きちんと報いなければならないと思い、シリーズの完結に向けて動き出します。
もう過去の話なんて忘れてるよ!という方も多いと思われますが、どうか、最後にもう少しだけ、付き合って頂けると幸いです。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
一体どれほどの年月が空いてしまったのかとといったお気持ちはあることと存じますが、いよいよファナティックブラッドも大詰めとなってきた今、私どものシリーズにご参加頂き続けた方々に、きちんと報いなければならないと思い、シリーズの完結に向けて動き出します。
もう過去の話なんて忘れてるよ!という方も多いと思われますが、どうか、最後にもう少しだけ、付き合って頂けると幸いです。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/07/15 08:46
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 ボルディア・コンフラムス(ka0796) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2019/07/06 22:44:10 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/07/05 08:27:03 |