ゲスト
(ka0000)
偶然に似たイントロダクター
マスター:紺堂 カヤ

このシナリオは3日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/07/15 12:00
- リプレイ完成予定
- 2019/07/27 12:00
オープニング
●これは、現実
浮遊大陸が、消滅する前のことである。
混乱する王都を抜け出し、セブンス・ユング(kz0232)は故郷の街へやってきた。以前、調査のために訪れたときには賑わっていた大通りは閑散としており、とても同じ場所だとは思えなかった。
(まあ、当然ではある、か……)
直接の被害は出ていないとはいえ、王都があの状態なのだ、いつどんな脅威が自分たちの街を襲うかわからない……、街はそうした不安に満ちている。
「これでは、宿を見つけられるかどうかもわからないな……」
セブンスは、かたく扉を閉ざした商店や民家を眺めつつ呟いた。眺めた先に、ひときわ、大きな屋敷が見える。
その屋敷こそが、セブンスの目的地であった。
「そもそも有事に無理をして駆けつけたんだからな……、しばらく様子を見てから、などと悠長なことを言っているのもおかしな話か」
自嘲気味に唇の端を持ち上げて、セブンスは屋敷に足を向けた。ひと思いに、目的を果たしてしまおう、と決めたのだ。
セブンスは屋敷の正面……、重々しい雰囲気を醸し出している門の前に立った。この規模の屋敷の門であれば門番が立っていそうなものだがその気配はなく、門は固く閉ざされている上、そこから伺うことのできる屋敷の庭もしん、と静まり返っていた。
「どなたか、いらっしゃいませんか!」
門の向こうに声をかけたが、返事はない。誰かが出てくる気配もなかった。騒乱を恐れて閉じこもっているのか、もしくは他の地へ移ってしまったのか。
「裏口へ行ってみるか……」
できれば忍び込むような真似はしたくないが、と思いつつ、セブンスは門を離れ、屋敷の外壁に沿って裏へと向かった。すると。
「こんなときに外を歩き回っていては、危ないですよ……?」
ひとりの娘が、セブンスに声をかけた。一六、七歳くらいであろうか、セブンスと同じ年頃に見える。
「あなたは?」
「私は、この近くに住んでいる者で……、サラといいます。あなたは……?」
「俺は……」
セブンスは、少しだけ迷った。これまでは必要以上に、名前を名乗らないようにしてきたからだ。何もかもをすぐに忘れてしまう自分が、唯一、忘れたいのに忘れられないこの名前を。だが、この期に及んで隠す必要も、もうないだろう。
「セブンス。セブンス・ユングといいます」
「ユング?」
サラの眼が見開かれた。
「ユング家の方なのですか? この、お屋敷の?」
「ああ、ではやはり……、この屋敷はユング家の屋敷なのですね」
「え?」
会話が上手くかみ合わず、サラは怪訝そうに眉をひそめた。
「混乱させてすみません。俺は、ユング家の者です。ただ、この屋敷で過ごした記憶は、ほとんどありません。幼い頃から家族と離れて育ったというのもありますが……、俺は……、すぐ、忘れてしまうので……」
ひとまず自分の家に、という厚意に甘え、セブンスはサラの家に腰を落ち着けた。そこでセブンスは「現実に起きること・起きたこと」を夢に見る特性を持っていること、その代わりなのかどうかわからないが記憶をあまり保てないこと、育ててくれた「先生」が何者かに殺されてしまい、その犯人を捜し続けていることなどを話した。
「自分の夢に出てくる事実を追い、手がかりを探すうちに、俺の夢や道中に「玉虫色の目をした男」がさかんに関わっていることに気がついたんです。そいつはどうも俺の実家であるユング家に関係があるらしい、というところまでは、わかったんですが」
話しながらセブンスは、実に不確かな情報にすがるしかない自分の状況を自覚して暗澹たる気持ちになった。
「なるほど、それは随分と大変な境遇でいらっしゃるんですね……」
サラは、セブンスの話をすべて、真剣な面持ちで聞いてくれた。
「ユング家のお屋敷は、普段からあまり賑やかではありませんけど、それでも呼びかけても誰も出てこないというようなことはなかったはずです。今の王国はどこもかしこも混乱していますから、用心しているのかも……。少し、様子を見られてはいかがですか。その間、ここにいてくださって構いませんから」
「え、いや、しかし」
サラの申し出は有難いが、さっき会ったばかりの見ず知らずの人間に、どうしてそう親切にしてくれるものか、とセブンスは戸惑った。サラはそれを察して微笑む。
「大切な人を奪われた気持ちは、私にもわかるんです。私も、両親の顔をを覚えていませんし」
「そう、ですか」
サラにも、一言では語れない事情があるようだと感じたセブンスは、深くは問わずに頷き、彼女の親切を受け取ることに決めた。
●これは、夢
薄暗い部屋の中に、ひとりの男が佇んでいる。表情は見えないが、なぜだか、笑っているのだろうと予想がついた。男は、笑いながら、足元を指差した。
指差された、足元には。
ロープでぐるぐる巻きにされ、猿ぐつわを噛まされた人々がいた。
「!」
セブンスは、夢の中で息を飲んだ。
そんなセブンスの姿が、まるで見えているかのように、男はさらに笑った。
「待っているぞ、セブンス。ユング家の屋敷で、な」
開かれた男の眼が、玉虫色に、光った。
●これは、現実
夢を見てすぐ、セブンスはサラの制止もきかずに飛び出した。未来のことか過去のことかはわからないが、セブンスの夢はすべて「現実のこと」だ。
明らかな罠だとはわかっていたが、それでも、行かないわけにはいかなかった。門をこじ開け、窓を割ってでも、ユング家の屋敷に入り込むつもりだった。
そうしてセブンスがサラのもとを飛び出して行ってから、数日が経った。王都の上空を侵していた浮遊大陸が消滅し、人々の顔に活気が少しずつ戻ってくる頃になっても、セブンスは、帰ってくることがなかった。ユング家の屋敷もまた、しんと静まり返ったままだ。
「お願いです、どうしているかわからないけれど、放ってはおけないんです。屋敷の中を、調べに行っていただけませんか」
サラは、ハンターたちに、セブンスの捜索を依頼した。出会ったばかりの他人とはいえ、放っておけないと思ったのだ。そこには、罪悪感も、含まれていたかもしれなかった。思いつめた顔でハンターに頼むサラの手の中には、緑色の宝石がひとつ、握られていた。
浮遊大陸が、消滅する前のことである。
混乱する王都を抜け出し、セブンス・ユング(kz0232)は故郷の街へやってきた。以前、調査のために訪れたときには賑わっていた大通りは閑散としており、とても同じ場所だとは思えなかった。
(まあ、当然ではある、か……)
直接の被害は出ていないとはいえ、王都があの状態なのだ、いつどんな脅威が自分たちの街を襲うかわからない……、街はそうした不安に満ちている。
「これでは、宿を見つけられるかどうかもわからないな……」
セブンスは、かたく扉を閉ざした商店や民家を眺めつつ呟いた。眺めた先に、ひときわ、大きな屋敷が見える。
その屋敷こそが、セブンスの目的地であった。
「そもそも有事に無理をして駆けつけたんだからな……、しばらく様子を見てから、などと悠長なことを言っているのもおかしな話か」
自嘲気味に唇の端を持ち上げて、セブンスは屋敷に足を向けた。ひと思いに、目的を果たしてしまおう、と決めたのだ。
セブンスは屋敷の正面……、重々しい雰囲気を醸し出している門の前に立った。この規模の屋敷の門であれば門番が立っていそうなものだがその気配はなく、門は固く閉ざされている上、そこから伺うことのできる屋敷の庭もしん、と静まり返っていた。
「どなたか、いらっしゃいませんか!」
門の向こうに声をかけたが、返事はない。誰かが出てくる気配もなかった。騒乱を恐れて閉じこもっているのか、もしくは他の地へ移ってしまったのか。
「裏口へ行ってみるか……」
できれば忍び込むような真似はしたくないが、と思いつつ、セブンスは門を離れ、屋敷の外壁に沿って裏へと向かった。すると。
「こんなときに外を歩き回っていては、危ないですよ……?」
ひとりの娘が、セブンスに声をかけた。一六、七歳くらいであろうか、セブンスと同じ年頃に見える。
「あなたは?」
「私は、この近くに住んでいる者で……、サラといいます。あなたは……?」
「俺は……」
セブンスは、少しだけ迷った。これまでは必要以上に、名前を名乗らないようにしてきたからだ。何もかもをすぐに忘れてしまう自分が、唯一、忘れたいのに忘れられないこの名前を。だが、この期に及んで隠す必要も、もうないだろう。
「セブンス。セブンス・ユングといいます」
「ユング?」
サラの眼が見開かれた。
「ユング家の方なのですか? この、お屋敷の?」
「ああ、ではやはり……、この屋敷はユング家の屋敷なのですね」
「え?」
会話が上手くかみ合わず、サラは怪訝そうに眉をひそめた。
「混乱させてすみません。俺は、ユング家の者です。ただ、この屋敷で過ごした記憶は、ほとんどありません。幼い頃から家族と離れて育ったというのもありますが……、俺は……、すぐ、忘れてしまうので……」
ひとまず自分の家に、という厚意に甘え、セブンスはサラの家に腰を落ち着けた。そこでセブンスは「現実に起きること・起きたこと」を夢に見る特性を持っていること、その代わりなのかどうかわからないが記憶をあまり保てないこと、育ててくれた「先生」が何者かに殺されてしまい、その犯人を捜し続けていることなどを話した。
「自分の夢に出てくる事実を追い、手がかりを探すうちに、俺の夢や道中に「玉虫色の目をした男」がさかんに関わっていることに気がついたんです。そいつはどうも俺の実家であるユング家に関係があるらしい、というところまでは、わかったんですが」
話しながらセブンスは、実に不確かな情報にすがるしかない自分の状況を自覚して暗澹たる気持ちになった。
「なるほど、それは随分と大変な境遇でいらっしゃるんですね……」
サラは、セブンスの話をすべて、真剣な面持ちで聞いてくれた。
「ユング家のお屋敷は、普段からあまり賑やかではありませんけど、それでも呼びかけても誰も出てこないというようなことはなかったはずです。今の王国はどこもかしこも混乱していますから、用心しているのかも……。少し、様子を見られてはいかがですか。その間、ここにいてくださって構いませんから」
「え、いや、しかし」
サラの申し出は有難いが、さっき会ったばかりの見ず知らずの人間に、どうしてそう親切にしてくれるものか、とセブンスは戸惑った。サラはそれを察して微笑む。
「大切な人を奪われた気持ちは、私にもわかるんです。私も、両親の顔をを覚えていませんし」
「そう、ですか」
サラにも、一言では語れない事情があるようだと感じたセブンスは、深くは問わずに頷き、彼女の親切を受け取ることに決めた。
●これは、夢
薄暗い部屋の中に、ひとりの男が佇んでいる。表情は見えないが、なぜだか、笑っているのだろうと予想がついた。男は、笑いながら、足元を指差した。
指差された、足元には。
ロープでぐるぐる巻きにされ、猿ぐつわを噛まされた人々がいた。
「!」
セブンスは、夢の中で息を飲んだ。
そんなセブンスの姿が、まるで見えているかのように、男はさらに笑った。
「待っているぞ、セブンス。ユング家の屋敷で、な」
開かれた男の眼が、玉虫色に、光った。
●これは、現実
夢を見てすぐ、セブンスはサラの制止もきかずに飛び出した。未来のことか過去のことかはわからないが、セブンスの夢はすべて「現実のこと」だ。
明らかな罠だとはわかっていたが、それでも、行かないわけにはいかなかった。門をこじ開け、窓を割ってでも、ユング家の屋敷に入り込むつもりだった。
そうしてセブンスがサラのもとを飛び出して行ってから、数日が経った。王都の上空を侵していた浮遊大陸が消滅し、人々の顔に活気が少しずつ戻ってくる頃になっても、セブンスは、帰ってくることがなかった。ユング家の屋敷もまた、しんと静まり返ったままだ。
「お願いです、どうしているかわからないけれど、放ってはおけないんです。屋敷の中を、調べに行っていただけませんか」
サラは、ハンターたちに、セブンスの捜索を依頼した。出会ったばかりの他人とはいえ、放っておけないと思ったのだ。そこには、罪悪感も、含まれていたかもしれなかった。思いつめた顔でハンターに頼むサラの手の中には、緑色の宝石がひとつ、握られていた。
解説
■成功条件
ユング家の屋敷を捜索し、セブンスを発見する。
(発見、で成功とする。大成功にはプラスアルファが必要)
■ユング家の屋敷
2階建て、庭付き。
捜索の範囲は建物の中だけとし、庭の調査は必要ないものとする。
調査に必要であれば、屋敷内の設備や備品の使用・破壊の是非は問わない。
屋敷内の設備は以下の通り
1階:玄関ホール(2階への階段はここにある)、食堂(キッチンを含む)、応接室、倉庫、使用人部屋、浴室
2階:多目的ホール(階段はここにある)、寝室×2、図書室、談話サロン
■玉虫色の眼の男
セブンスのこれまでの旅に幾度となく関わってきたが、その目的・正体はわかっていない。
屋敷の人々を捕らえている首謀者と思われるが、仲間がいるのか、武器を所持しているのかは不明。
■PL情報(NPCサラを含めPCは依頼開始時に知らない情報です)
・セブンスは生きている。
・セブンスが夢にみた、捕らえられているらしい人々は全部で5名。
※夢追いシリーズのこれまでの経緯を知っている必要はありません(知っていれば有利になることはあるかもしれません)。
※サラを屋敷内に同行させることはできないものとします。
※セブンスが不在のため、質問には回答できかねます。ご了承ください。
ユング家の屋敷を捜索し、セブンスを発見する。
(発見、で成功とする。大成功にはプラスアルファが必要)
■ユング家の屋敷
2階建て、庭付き。
捜索の範囲は建物の中だけとし、庭の調査は必要ないものとする。
調査に必要であれば、屋敷内の設備や備品の使用・破壊の是非は問わない。
屋敷内の設備は以下の通り
1階:玄関ホール(2階への階段はここにある)、食堂(キッチンを含む)、応接室、倉庫、使用人部屋、浴室
2階:多目的ホール(階段はここにある)、寝室×2、図書室、談話サロン
■玉虫色の眼の男
セブンスのこれまでの旅に幾度となく関わってきたが、その目的・正体はわかっていない。
屋敷の人々を捕らえている首謀者と思われるが、仲間がいるのか、武器を所持しているのかは不明。
■PL情報(NPCサラを含めPCは依頼開始時に知らない情報です)
・セブンスは生きている。
・セブンスが夢にみた、捕らえられているらしい人々は全部で5名。
※夢追いシリーズのこれまでの経緯を知っている必要はありません(知っていれば有利になることはあるかもしれません)。
※サラを屋敷内に同行させることはできないものとします。
※セブンスが不在のため、質問には回答できかねます。ご了承ください。
マスターより
皆さまごきげんいかがでしょうか。紺堂でございます。
夢追いシリーズも、いよいよクライマックスとなって参りました。
これまでにご縁のあった方もそうでない方も、是非、ご協力いただけたらと思います。
本編に何の関係もありませんが、紺堂は毎晩夢をみます。最近、海でおぼれる夢をみました。焦りました。
夢追いシリーズも、いよいよクライマックスとなって参りました。
これまでにご縁のあった方もそうでない方も、是非、ご協力いただけたらと思います。
本編に何の関係もありませんが、紺堂は毎晩夢をみます。最近、海でおぼれる夢をみました。焦りました。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/07/26 06:11
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 クリスティア・オルトワール(ka0131) 人間(クリムゾンウェスト)|22才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/07/15 10:43:28 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/07/13 11:20:56 |