ゲスト
(ka0000)
悪意に塗れた小さな戦場
マスター:T谷

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/02/03 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/02/12 12:00
オープニング
「はぁ……」
何かに腰掛け、女は物憂げに大きなため息を吐く。
時代錯誤なほどに豪奢な真紅のドレスに、異様に白い陶器のような肌。壁に掛けられた松明の炎だけが彩る薄暗い部屋の中で、女はその光を返す金の髪を退屈そうにくるくると弄っている。刺々しいまでの美貌が、陰鬱な空間に浮かび上がっていた。
「マジ超ヒマなんですけどぉ……オルちゃんも全然一緒に遊んでくんないし、アタシもヘンキョウとかいうとこ行けばよかったかなー」
真っ赤な紅を施した唇を尖らせる女の口調は、格好と裏腹に酷く軽い。
「ハンターも超集まってたって話じゃん? オルちゃんに付いてったら安全そうだしぃ、そこだったらアタシも……ねえ、聞いてんの?」
女は視線を下に落とす。正確には、自分の座っているものに。
そこには人間がいた。
屈強な体格の男が、女の下で四つん這いになっている。轡を噛まされ、首にはギリギリで息が出来る程度に鎖が巻かれ、よく見れば、手の甲とふくらはぎが楔によって地面に縫い付けられていた。
「聞いてんのかって言ってんの。返事くらいしろよ」
女の視線も声も、限りなく冷たい。
呼吸もままならない男は、流す涙も枯れ果てて俯いている。女は再びため息を吐いた。
「……もういいや」
女が立ち上がる。
そしてゆっくり振り返ると――無言で、男の腹を思い切り蹴りあげた。
女の小柄な体格からは考えられないほどの、重い打撃音。そしてぶつりと、湿った、何か致命的なものが千切れる音を伴って、男は壁に叩きつけられた。
衝撃で轡が外れ、男の口から鼻から、ドス黒い血の塊が吐き出される。酷い血の臭いが部屋の空気と混じり合う。
悲鳴を上げる気力すらなく、男は呻き声を漏らして床に転がった。
「ちっ、泣き声も出せねえの。ほんっと、この辺りってハズレばっか」
「……も、もう……やめ……助け……」
「……あ? 何つったてめえ」
イライラと、女は舌打ちとため息を繰り返していた。
しかし、倒れ伏し、意識も朦朧とした男が絞り出した言葉を聞いた瞬間、限界まで引き伸ばされていた糸がぷつりと切れた。
次の瞬間に響いたのは、先ほどの打撃とは比べ物にならない轟音だった。
男の上半身に、巨大な鉄の塊が振り下ろされていた。鉄塊は床を容易く砕き、衝撃は壁を揺らし、天井からはバラバラと木屑が舞い落ちる。
それを直接受けた男がどうなったのかなど、考えるまでもない。
「その顔で命乞いとか、超ウケルんですけど。……でも、あーあ、やっちゃった。手入れすりゃ、もうちょっとは遊べたのになー」
それに対し、女の反応は淡白だ。まるで、こんなことなど日常茶飯事だというように。
買ったばかりのお菓子を、つい一日で食べ切ってしまった。その程度。
そしてそんな後悔も、ほんの一瞬のことだった。
女はすぐに頭を切り替え、床に転がる男の下半身、その断面に指を突き刺す。そして引き抜いた指に絡んだ血を、躊躇いなくぺろりと舐めた。
「うえ、ブサイクは血も不味いのな。ってか、あの顔思い出すからか。きゃははは!」
そうして何が面白いのか、女は耳に障る甲高い声で笑う。
「さーて、キープ君も全部やっちゃったし、また新しいとこ行こうかな。……オルちゃんの下に入って部下貰ったはいいけど、あいつら絶対イケメンとブサイクの区別ついてないよねぇ」
女はひとしきり笑った後、ぶつぶつと文句を言いながら、じゃらりと地面に横たわる太い鎖をひょいと持ち上げる。その先に繋がれているのは巨大な鉄塊――自作にして愛用の、アイアンメイデンだ。
ズルズルとアイアンメイデンを引きずって、彼女は部屋を後にする。
「人間対元人間……あはっ、やっぱ堪んないなぁ! かつての仲間と殺し合え、アタシのおもちゃ達」
最後に一度、部屋の中を見渡して、女はくすりと妖艶に笑った。
後に残った部屋には山のように、破壊しつくされた死体が転がっている。
●
歪虚が湧いている建物があると、ハンターズソサエティに連絡が入った。深い森の中、打ち捨てられた狩猟小屋から現れた歪虚が、近隣の村を襲ったという。
歪虚を殲滅し、安全を確保して欲しい。
オフィスの受付嬢の言葉に、ハンター達は応と頷いた。
何かに腰掛け、女は物憂げに大きなため息を吐く。
時代錯誤なほどに豪奢な真紅のドレスに、異様に白い陶器のような肌。壁に掛けられた松明の炎だけが彩る薄暗い部屋の中で、女はその光を返す金の髪を退屈そうにくるくると弄っている。刺々しいまでの美貌が、陰鬱な空間に浮かび上がっていた。
「マジ超ヒマなんですけどぉ……オルちゃんも全然一緒に遊んでくんないし、アタシもヘンキョウとかいうとこ行けばよかったかなー」
真っ赤な紅を施した唇を尖らせる女の口調は、格好と裏腹に酷く軽い。
「ハンターも超集まってたって話じゃん? オルちゃんに付いてったら安全そうだしぃ、そこだったらアタシも……ねえ、聞いてんの?」
女は視線を下に落とす。正確には、自分の座っているものに。
そこには人間がいた。
屈強な体格の男が、女の下で四つん這いになっている。轡を噛まされ、首にはギリギリで息が出来る程度に鎖が巻かれ、よく見れば、手の甲とふくらはぎが楔によって地面に縫い付けられていた。
「聞いてんのかって言ってんの。返事くらいしろよ」
女の視線も声も、限りなく冷たい。
呼吸もままならない男は、流す涙も枯れ果てて俯いている。女は再びため息を吐いた。
「……もういいや」
女が立ち上がる。
そしてゆっくり振り返ると――無言で、男の腹を思い切り蹴りあげた。
女の小柄な体格からは考えられないほどの、重い打撃音。そしてぶつりと、湿った、何か致命的なものが千切れる音を伴って、男は壁に叩きつけられた。
衝撃で轡が外れ、男の口から鼻から、ドス黒い血の塊が吐き出される。酷い血の臭いが部屋の空気と混じり合う。
悲鳴を上げる気力すらなく、男は呻き声を漏らして床に転がった。
「ちっ、泣き声も出せねえの。ほんっと、この辺りってハズレばっか」
「……も、もう……やめ……助け……」
「……あ? 何つったてめえ」
イライラと、女は舌打ちとため息を繰り返していた。
しかし、倒れ伏し、意識も朦朧とした男が絞り出した言葉を聞いた瞬間、限界まで引き伸ばされていた糸がぷつりと切れた。
次の瞬間に響いたのは、先ほどの打撃とは比べ物にならない轟音だった。
男の上半身に、巨大な鉄の塊が振り下ろされていた。鉄塊は床を容易く砕き、衝撃は壁を揺らし、天井からはバラバラと木屑が舞い落ちる。
それを直接受けた男がどうなったのかなど、考えるまでもない。
「その顔で命乞いとか、超ウケルんですけど。……でも、あーあ、やっちゃった。手入れすりゃ、もうちょっとは遊べたのになー」
それに対し、女の反応は淡白だ。まるで、こんなことなど日常茶飯事だというように。
買ったばかりのお菓子を、つい一日で食べ切ってしまった。その程度。
そしてそんな後悔も、ほんの一瞬のことだった。
女はすぐに頭を切り替え、床に転がる男の下半身、その断面に指を突き刺す。そして引き抜いた指に絡んだ血を、躊躇いなくぺろりと舐めた。
「うえ、ブサイクは血も不味いのな。ってか、あの顔思い出すからか。きゃははは!」
そうして何が面白いのか、女は耳に障る甲高い声で笑う。
「さーて、キープ君も全部やっちゃったし、また新しいとこ行こうかな。……オルちゃんの下に入って部下貰ったはいいけど、あいつら絶対イケメンとブサイクの区別ついてないよねぇ」
女はひとしきり笑った後、ぶつぶつと文句を言いながら、じゃらりと地面に横たわる太い鎖をひょいと持ち上げる。その先に繋がれているのは巨大な鉄塊――自作にして愛用の、アイアンメイデンだ。
ズルズルとアイアンメイデンを引きずって、彼女は部屋を後にする。
「人間対元人間……あはっ、やっぱ堪んないなぁ! かつての仲間と殺し合え、アタシのおもちゃ達」
最後に一度、部屋の中を見渡して、女はくすりと妖艶に笑った。
後に残った部屋には山のように、破壊しつくされた死体が転がっている。
●
歪虚が湧いている建物があると、ハンターズソサエティに連絡が入った。深い森の中、打ち捨てられた狩猟小屋から現れた歪虚が、近隣の村を襲ったという。
歪虚を殲滅し、安全を確保して欲しい。
オフィスの受付嬢の言葉に、ハンター達は応と頷いた。
解説
・概要
小屋に巣食う歪虚を殲滅せよ。
・敵
ゾンビが複数体。
小屋の中から湧いていて総数は分かりません。ただし、全てのゾンビは何処かしらの部位を欠損しているため、通常のゾンビよりも弱い可能性があります。
また、残った部位に無理やり鎧を装備しているようで、不自然な格好をしています。武器を持った個体は確認されていないようです。
・場所
小さな椅子に机、壁には暖炉の備え付けられた小さな小屋です。狩った獲物を保管するための貯蔵庫が地下にあるという情報が、村人より寄せられています。
・補足
OPの人物は既にどこかに去っており、今回出てくることはありません。ただし、地下室には異様な光景が広がっているでしょう。
小屋に巣食う歪虚を殲滅せよ。
・敵
ゾンビが複数体。
小屋の中から湧いていて総数は分かりません。ただし、全てのゾンビは何処かしらの部位を欠損しているため、通常のゾンビよりも弱い可能性があります。
また、残った部位に無理やり鎧を装備しているようで、不自然な格好をしています。武器を持った個体は確認されていないようです。
・場所
小さな椅子に机、壁には暖炉の備え付けられた小さな小屋です。狩った獲物を保管するための貯蔵庫が地下にあるという情報が、村人より寄せられています。
・補足
OPの人物は既にどこかに去っており、今回出てくることはありません。ただし、地下室には異様な光景が広がっているでしょう。
マスターより
久しぶりの普通の依頼で軽く新キャラを出しつつのT谷です。
何の変哲もない討伐依頼なので、お気軽にどうぞ。……オルちゃんって誰なんですかね?
何の変哲もない討伐依頼なので、お気軽にどうぞ。……オルちゃんって誰なんですかね?
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/02/11 06:41
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/01/29 20:10:09 |
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相談卓 シェリル・マイヤーズ(ka0509) 人間(リアルブルー)|14才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/02/02 19:09:22 |