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【血断】帝国軍第二師団の契り

マスター:ことね桃

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
1,500
参加人数
現在6人 / 3~6人
ユニット参加人数
現在5 / 0~6
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
プレイング締切
2019/08/09 12:00
リプレイ完成予定
2019/08/23 12:00

オープニング

●吸血鬼の一夜

 ゾンネンシュトラール帝国第二師団に帰還した歪虚オウレルは
 数年ぶりに人間らしい生活を取り戻していた。
 もちろん高位歪虚であるため仲間と共に暮らすことはできない。
 第二師団の仲間達が生活する宿舎とは別に、
 カールスラーエ要塞の訓練棟にある休憩室を自室として与えられ。
 そこで寝起きしては朝に第二師団の面々と合流、歪虚討伐に向かうという日々を送っていた。
 ――だが帝国軍の歪虚は排除すべしという方針は変わっておらず、
 ましてや師団員を手にかけたオウレルへの風当たりは今なお強い。
 今日も手厳しい声を掛けられながらも何とかシェオル型歪虚を倒し、自室に戻るとため息を吐いた。
(スザナ姉さん……今日も口をきいてくれなかったな。
 僕のせいでずっと苦労させたのだから当然だけど……)
 簡易ベッドをぎしりと鳴らして座るオウレル。
 戦場で何度か姉からの視線を感じてはいたが、その奥にある感情が何なのかはわからない。
 ――そんな時、ドアがノックされて。
 扉を開くとオウレルの親友ヴァルターが「入るぞ」と酒を手に押し入り、椅子にどっかと腰を下ろした。
 ヴァルターは本当に大きくなった。
 かつて吸血姫エリザベートを追っていた頃はオウレルと同じぐらいの背丈、体つきだったのに、
 今ではオウレルより頭ひとつ背が高くなり、筋力をつけたのか胸板も肩幅もずっと大きくなっている。
 そのことがオウレルにとってほんの少し、寂しかった。
 自分も人間であれたのならヴァルターと共に切磋琢磨し、このように成長できただろうか。
 そしてスザナにも認められ、帝国軍の誉れ高き軍人として生きて行けただろうかと。
 そんな想いと裏腹にヴァルターは酒を開けるとふたつのグラスへ豪快に注いだ。
「なぁ、オウレル。酒ぐらいはまだ飲めるんだろ?」
「あ、ああ」
「なら今日は呑もうぜ。相変わらずのアクアヴィットだが、故郷の味だからよ」
 そこでオウレルが渡されたグラスをおどおどと持つと、ヴァルターが自分のグラスをぐっと突き出す。
「久しぶりの酒席だな、乾杯」
「……乾杯」
 軽やかな音を立ててグラスが重なる。
 オウレルは酒を呷ると熱い息を吐いた。ヴァルターが笑う。
「正直言うとな、ちょっと心配だったんだよ。今のお前は食事しないし、寝もしないって聞いてたから」
「うん、歪虚は大人しくさえしていれば寝なくても食事しなくても平気なんだ。
 激しい戦いの後は正のマテリアルがほしくなるけど」
 その答えにヴァルターの片眉がぴくりと吊り上げる。
 しかし続くオウレルの声はひどく穏やかなものだった。
「……今はまだ理性があるから大丈夫。
 自然界に漂うマテリアルを少しずつ分けてもらうことで耐えられるから」
「そうか、それなら……良かった。
 でも本気で危なくなったら俺に言えよ。血やマテリアルぐらいいくらでも分けてやる」
「ありがとう。でも僕はできるかぎり自分の力で『ヒト』であれるように頑張ってみるよ。
 ハヴァマールがまだ生きている以上、僕も死ぬわけにはいかない。
 最後まで帝国の人々のために戦わないといけないからね」
 オウレルの強い意思に安堵し、ヴァルターは酒を喉を鳴らして呑みほした。
「なぁ、全部終わったらさ、ドワーフ領から極上の酒をありったけ買ってくる。
 そしたら師団長とスザナ副団長と酒盛りしような。
 旨い酒を呑んで、嫌なこと全部忘れて……また皆と一緒にこの地域を盛り上げていこうぜ」
「ん……そうできたらいい」
 オウレルは懐かしい味に目を細め、幸せそうに笑った。


●薄明の戦い

 オウレルが酒のおかげで久しぶりに穏やかな眠りについていた時
 ――ふとけたたましい鐘の音が要塞内に響き渡った。
「敵襲、敵襲!! 東方よりシェオル型歪虚とその眷属と思しき歪虚が接近中!
 第二師団員、大至急戦闘態勢に入れ!!」
「……!」
 がばりとベッドから起き、軍服に袖を通すオウレル。
 二振りの剣を腰に挿し、すぐさま宿舎の仲間達と合流する。
 そこに師団長のシュターク・シュタークスン(kz0075)が姿を見せた。
「相変わらず邪神の野郎はこの世界の破滅を諦めていないらしい。
 お前ら、朝だからって気を抜くんじゃねーぞ!」
 応! と力強く応える団員達。その隣でスザナが淡々と情報を伝達する。
「現在シェオル型歪虚は1体のみ。蜘蛛の脚と蟷螂の腕を持った奇怪な形状をしているとのこと。
 口から粘液を広範囲にわたり吐き団員の動きを止めるなど、高い戦闘能力を有している。
 現在東方の農村部に駐留していた部隊が応戦するも危険な状況にある。
 私は師団長ならびにヴァルター隊がシェオル型歪虚を優先して対処、
 スザナ隊が全体の支援ならびに眷属への対応をすることを提案する。異論はないか?」
 彼女の問いに黙って一斉に敬礼する第二師団員たち。この方針で良いという意思表示なのだろう。
 ――そんな中、オウレルは居心地の悪さを感じていた。
 今の自分はどの隊にも所属せず、ただ自由意思で歪虚を討伐しているに過ぎない。
 せめて「命を捨てる覚悟で戦え」とでも言ってくれれば惑わずに戦えるのに……。
 師団員が移動を開始する中、シュタークは顔を曇らせる彼の前に立つとその両肩に手を置いた。
「スザナがお前に何も言わねえのはな、お前が自分で居場所を作るようにってことなんだよ。
 こっちがお前の所属先を作るのは簡単だ、あたしが命令すりゃいいんだからな。
 ……でも、今まで多くのことがあり過ぎた。
 それを乗り越えて自分で道を切り拓くまで信じてるんだよ……あいつもあたしもな」
「師団長……」
 大柄な上官の顔を見上げ、息を呑むオウレル。するとシュタークは力強く頷いて彼の背中を叩いた。
「さぁ、行け。歪虚は待ってはくれやしねえ。
 眷属つきとなるとお前の業が役に立つだろう、思いっきり得意の剣技をぶちかましてやれ!」
「はいっ!!」
 歪虚ならではの強烈な脚力で戦場に向かうオウレル。
 シュタークは「全く、世話が焼ける奴だ」と微笑むと大剣を手に彼を追った。


●その頃、農村部では

「ぐああっ!」
 帝国軍第二師団の軍人が蜘蛛の脚に蹴散らされ、地面に叩きつけられた。
 相手は全高10mもあろうかという巨大歪虚。
 手練れの軍人でも丸太のような脚がぶつかれば吹き飛んでしまう。
「小隊長、師団長たちがこちらに向かっているそうです! あと少し耐えれば……!」
「だがこちらももう余裕がねえ!
 悔しいがハンターオフィスでハンターの派遣を依頼してくれ。このままでは全滅するぞ!」
「……!」
「俺達が潰れたらこの地域の人間がこいつらの餌食になる。それだけは防がなくてはならん!」
「了解しました、大至急!!」
 馬に乗った団員が農村の片隅にあるオフィスへ向かって全力で走る。
 小隊長は槍を構えたまま歪虚を黙って睨みつけた。

解説

目的:シェオル型歪虚1体ならびにその眷属20体の討伐

戦場:帝国北東部の農村地帯。広さはおよそ60×60スクエア。
 初期配置は西側中央部にハンターとシュターク、オウレル、スザナ、ヴァルター。
 各部隊員は地域に散開した眷属の対応に向かっている。
 オープニングで登場した小隊はハンター達が到着した時点でほぼ壊滅、後退している。
 (限界まで抵抗したが幸いなことに犠牲者はいない模様)

敵情報:
 シェオル型歪虚:サイズ3。上半身蟷螂女、下半身は極太脚(鉤爪つき)の蜘蛛。
     攻撃手段は薙ぎ払い(射程1~3.威力中で吹き飛ばし効果あり)
     腕振り下ろし(射程1~2。大上段から振り下ろすので威力特大)
     糸吐き(射程は自分を中心に7スクエア。単体狙いの場合は1~10スクエアまで届く。
         腹にある口から粘着性の糸を吐き行動不能効果付与。小ダメージ継続付き)
 眷属歪虚:サイズ1。動きが俊敏な子蜘蛛たち。
     攻撃手段は噛み砕き(射程1。威力中)
     糸吐き(射程1~6。粘着力はないが先端を針のように突き刺す。毒効果あり。威力小)

参戦NPC
 オウレル:吸血鬼型歪虚
  スキルは二刀流、刺突一閃、アスラトゥーリとスケルトン召喚。
 シュターク:帝国軍第二師団師団長
  スキルはソウルエッジ、衝撃波、リバースエッジ。
 スザナ:帝国軍第二師団副団長
  スキルはフルリカバリー、ピュリフィケーション、リザレクション。
 ヴァルター:帝国軍第二師団部隊長
  スキルは鎧受け、カウンターアタック、カウンターバースト

質問について:
 出発日前日の正午までに質問卓を立て、お問い合わせください。
 シュタークが出来る範囲で回答いたします!

マスターより

こんにちは、ことねです。

またも難敵に遭遇してしまった第二師団。
この敵を倒さねば大切な実りの地を失うだけでなく、
農村部の住民の多くが犠牲になることでしょう。
そしてオウレルは自分の居場所を見つけることができるのでしょうか……?
皆様のお力添えをなにとぞよろしくお願いします!

関連NPC

  • 帝国軍第二師団長
    シュターク・シュタークスン(kz0075
    人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2019/08/24 15:55

参加者一覧

  • 真水の蝙蝠
    ヒース・R・ウォーカー(ka0145
    人間(蒼)|23才|男性|疾影士
  • 約束を重ねて
    シェリル・マイヤーズ(ka0509
    人間(蒼)|14才|女性|疾影士
  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • それでも尚、世界を紡ぐ者
    リリア・ノヴィドール(ka3056
    エルフ|18才|女性|疾影士
  • 命無き者塵に還るべし
    星野 ハナ(ka5852
    人間(蒼)|24才|女性|符術師
  • Mr.Die-Hard
    トリプルJ(ka6653
    人間(蒼)|26才|男性|霊闘士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2019/08/05 12:30:56
アイコン 作戦相談所
ヒース・R・ウォーカー(ka0145
人間(リアルブルー)|23才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2019/08/06 08:00:07
アイコン 質問卓
シェリル・マイヤーズ(ka0509
人間(リアルブルー)|14才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2019/08/04 12:51:14