ゲスト
(ka0000)
シュリのアルバイト その1
マスター:ムジカ・トラス

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/02/08 15:00
- リプレイ完成予定
- 2015/02/17 15:00
オープニング
●
僕は苦境に立たされていた。背筋が凍りつくような悪寒。眼前が暗転しそうな虚脱感。
ぐうの音もでなかった。僕の背に立ち、身なりだけは整った男が、下卑た声で笑った。続いて、僕の腰にそいつの手が伸びる。ぬらり、とした指使いが伝わり、僕は固く目を閉じた。
「坊主、良い剣もってんじゃねェか……?」
「っ! それは……ッ!」
「オイオイ、坊主、お偉い学校にチクられてもいいのか? ンンン……?」
それは、胸の奥の、一番柔らかい所を締め付ける言葉だった。竦みそうになる中で、何とか声を張った。
「それだけは……それだけは、赦してください!!!」
●
グラズヘイム王立学校騎士科に通うシュリ・エルキンズについて、少し語ろう。
彼はリベルタース地方に縁のある少年だ。故郷が同地方にある。
彼は騎士団に縁のある少年だ。既に故人ではあるが、少年の父が騎士だった。
彼は、覚醒者だった。父の変わりに、護るべきを護りたいと願ったのだった。
だから彼は騎士を目指した。努力を重ねて、奨学金を得て、騎士科へと入学を果たした。
――結果として、彼は学校をよくよく休学する事になった。
父の病気。妹達の危機。そして――故郷の崩壊。
護るべきを捨てる事が出来なかった彼は、教官の了解を得てのことでは有るが、彼方此方を奔走することとなった。
運が悪ければ、と。退学も覚悟していた。だが、教官に恵まれた、と言うべきか。シュリは特に処分を下される事もなく、在学し続ける事が出来たのだった。
ただ。
元々が、一介の村人に過ぎないシュリだ。成績が優秀な者に貸与される奨学金と、授業料の減免を差し引いても、騎士科に属して王都で暮らしていく事は出来なかった。故に、彼はアルバイトをしては何とか生活費と学費を稼いでいたのだ。
――いつしかその生活が、崩れていた。
今思えばハンター達に依頼を出したのが切っ掛けだったかもしれない。
もとより吹けば飛ぶ程度だった蓄えは案の定見事に吹っ飛んだ。
騎士学校に授業料を収める為には金貸しを当たるしか無かったのである。
●
そして今。シュリ・エルキンズは草原に居た。同道したハンター達とてくてくと歩きながら、目的地へと。
シュリは決めたのだった。父から受け継いだこの剣で、この苦境を乗り切ると。そのために、ハンターになった。学生兼ハンターに。同じ騎士科の学生の中には騎士然と活動しているものもいると聞く。借金のカタに唯一の財産とも言うべき蒼剣を奪われそうになった我が身を思い、シュリは嘆息した。
「……ふ、なんとも僕らしいというか……」
――遠回りしてばかりだ。
自嘲げに笑みを浮かべると、シュリは周囲を見まわした。一見すると長閑な草原だ。だが――何かが、違う。澱みを感じさせる不気味さが滲んでいた。
「場所としては、そろそろの筈ですけど……」
その時、だ。
「ティンクルティンクルトゥルルンルン!!!」
「!?」
野太い奇声に続いて、凄まじい爆光が辺りに満ちた。情報通りだ。敵は魔術師。呪文の意味はわからないけど、魔術師。
「き、来ました……ッ!」
逆光に目を細めたシュリは蒼剣を抜きながら、左手で盾を構える。戦闘の気配に、少年の思考が回る――。
●
報酬が高かったから受けた依頼だった。
――今回の依頼は、学術都市アークエルス出身のある魔術師……の集団を、救出する事が目的です。身体強化の魔術の実験に赴いた彼らの実験が失敗してしまった結果、魔法公害に近しい凄惨な結果を引き起こしました。
魔法公害。マテリアルのバランスが不安定になった結果引き起こされる現象を指す。状況、あるいはその時々で起こる出来事は変化するが、概して言えることは『とにかく危険に過ぎる』ということだ。
マテリアルの正常化については、可及的速やかな対応が望まれる。
――実験に参加した魔術師は五名。その内一名は失踪しましたが、残る四名が現地で魔法公害に囚われているようです。
報酬の高さは、『魔法公害に近しいモノ』に触れる事か、と理解が追いついた時、状況を示す一枚の書類が示された。
曰く、面妖な衣装を纏った――。
●
閃光が止み、目が開く。戦闘時だ。敵の接近には対応しなければならない。素早く周囲に視線を巡らせたシュリは――瞬後には、愕然と口を開いていた。
「…………想像以上に汚い…………」
吐き気がした。
「ティンクルティンクルトルゥルルルン! ワシらは歪虚を斃すべく遣わされたマテリアルパワーの使い手にして正義の魔法使い! ラブリー!」
「マテリアルにかわって、お仕(大人の都合で削除されました)よ!」
「くるr(大人の都合で削除されました)!!」
「……え、っと、戦うんですか、あれ、と?」
ひらりひらりとフリルが舞う中、現実感ばっちりの老人&中年の筋張った生足が目に痛い。
「問答無用ぅゥゥゥ……ッ!」
魔法使い――緑っぽい衣装の中年、グリーンが、唸り声を上げながら大地に正拳突きを打ち込んだ――次の瞬間。
「唸れ、俺の魔法ゥゥゥゥゥッ!!」
前腕筋群と上腕二頭筋、三角筋、そして大胸筋が尋常じゃないくらいに隆起、収縮した。常軌を逸した破壊力で大地が抉られ、爆散するように飛礫が上がる。
「ストーーーンバレットゥッ!!!」
「ちが……っ!?」
余りの事に――ツッコミを入れようとしたのが災いしたのだろう。回避が間に合わず、石礫を食らったシュリは後方へと弾き飛ばされた。
「KUUUUUFUUUUUUU……!」
「……ッ!」
見れば、グリーンは世紀末風味な覇気を纏いながら唸り声を上げ、右腕を抑えている。膨張していた筋肉はもはや見る影もないどころか、傷だらけだったが――その傷が、生々しい音を立てながら癒えていく。
「これが……魔法公害」
尋常ならざる光景に、シュリは背筋が凍る思いがしたものだった。そして、思ったのだ。
――これが、高額報酬の理由か、と。
「なんて……醜いんだ……」
僕は苦境に立たされていた。背筋が凍りつくような悪寒。眼前が暗転しそうな虚脱感。
ぐうの音もでなかった。僕の背に立ち、身なりだけは整った男が、下卑た声で笑った。続いて、僕の腰にそいつの手が伸びる。ぬらり、とした指使いが伝わり、僕は固く目を閉じた。
「坊主、良い剣もってんじゃねェか……?」
「っ! それは……ッ!」
「オイオイ、坊主、お偉い学校にチクられてもいいのか? ンンン……?」
それは、胸の奥の、一番柔らかい所を締め付ける言葉だった。竦みそうになる中で、何とか声を張った。
「それだけは……それだけは、赦してください!!!」
●
グラズヘイム王立学校騎士科に通うシュリ・エルキンズについて、少し語ろう。
彼はリベルタース地方に縁のある少年だ。故郷が同地方にある。
彼は騎士団に縁のある少年だ。既に故人ではあるが、少年の父が騎士だった。
彼は、覚醒者だった。父の変わりに、護るべきを護りたいと願ったのだった。
だから彼は騎士を目指した。努力を重ねて、奨学金を得て、騎士科へと入学を果たした。
――結果として、彼は学校をよくよく休学する事になった。
父の病気。妹達の危機。そして――故郷の崩壊。
護るべきを捨てる事が出来なかった彼は、教官の了解を得てのことでは有るが、彼方此方を奔走することとなった。
運が悪ければ、と。退学も覚悟していた。だが、教官に恵まれた、と言うべきか。シュリは特に処分を下される事もなく、在学し続ける事が出来たのだった。
ただ。
元々が、一介の村人に過ぎないシュリだ。成績が優秀な者に貸与される奨学金と、授業料の減免を差し引いても、騎士科に属して王都で暮らしていく事は出来なかった。故に、彼はアルバイトをしては何とか生活費と学費を稼いでいたのだ。
――いつしかその生活が、崩れていた。
今思えばハンター達に依頼を出したのが切っ掛けだったかもしれない。
もとより吹けば飛ぶ程度だった蓄えは案の定見事に吹っ飛んだ。
騎士学校に授業料を収める為には金貸しを当たるしか無かったのである。
●
そして今。シュリ・エルキンズは草原に居た。同道したハンター達とてくてくと歩きながら、目的地へと。
シュリは決めたのだった。父から受け継いだこの剣で、この苦境を乗り切ると。そのために、ハンターになった。学生兼ハンターに。同じ騎士科の学生の中には騎士然と活動しているものもいると聞く。借金のカタに唯一の財産とも言うべき蒼剣を奪われそうになった我が身を思い、シュリは嘆息した。
「……ふ、なんとも僕らしいというか……」
――遠回りしてばかりだ。
自嘲げに笑みを浮かべると、シュリは周囲を見まわした。一見すると長閑な草原だ。だが――何かが、違う。澱みを感じさせる不気味さが滲んでいた。
「場所としては、そろそろの筈ですけど……」
その時、だ。
「ティンクルティンクルトゥルルンルン!!!」
「!?」
野太い奇声に続いて、凄まじい爆光が辺りに満ちた。情報通りだ。敵は魔術師。呪文の意味はわからないけど、魔術師。
「き、来ました……ッ!」
逆光に目を細めたシュリは蒼剣を抜きながら、左手で盾を構える。戦闘の気配に、少年の思考が回る――。
●
報酬が高かったから受けた依頼だった。
――今回の依頼は、学術都市アークエルス出身のある魔術師……の集団を、救出する事が目的です。身体強化の魔術の実験に赴いた彼らの実験が失敗してしまった結果、魔法公害に近しい凄惨な結果を引き起こしました。
魔法公害。マテリアルのバランスが不安定になった結果引き起こされる現象を指す。状況、あるいはその時々で起こる出来事は変化するが、概して言えることは『とにかく危険に過ぎる』ということだ。
マテリアルの正常化については、可及的速やかな対応が望まれる。
――実験に参加した魔術師は五名。その内一名は失踪しましたが、残る四名が現地で魔法公害に囚われているようです。
報酬の高さは、『魔法公害に近しいモノ』に触れる事か、と理解が追いついた時、状況を示す一枚の書類が示された。
曰く、面妖な衣装を纏った――。
●
閃光が止み、目が開く。戦闘時だ。敵の接近には対応しなければならない。素早く周囲に視線を巡らせたシュリは――瞬後には、愕然と口を開いていた。
「…………想像以上に汚い…………」
吐き気がした。
「ティンクルティンクルトルゥルルルン! ワシらは歪虚を斃すべく遣わされたマテリアルパワーの使い手にして正義の魔法使い! ラブリー!」
「マテリアルにかわって、お仕(大人の都合で削除されました)よ!」
「くるr(大人の都合で削除されました)!!」
「……え、っと、戦うんですか、あれ、と?」
ひらりひらりとフリルが舞う中、現実感ばっちりの老人&中年の筋張った生足が目に痛い。
「問答無用ぅゥゥゥ……ッ!」
魔法使い――緑っぽい衣装の中年、グリーンが、唸り声を上げながら大地に正拳突きを打ち込んだ――次の瞬間。
「唸れ、俺の魔法ゥゥゥゥゥッ!!」
前腕筋群と上腕二頭筋、三角筋、そして大胸筋が尋常じゃないくらいに隆起、収縮した。常軌を逸した破壊力で大地が抉られ、爆散するように飛礫が上がる。
「ストーーーンバレットゥッ!!!」
「ちが……っ!?」
余りの事に――ツッコミを入れようとしたのが災いしたのだろう。回避が間に合わず、石礫を食らったシュリは後方へと弾き飛ばされた。
「KUUUUUFUUUUUUU……!」
「……ッ!」
見れば、グリーンは世紀末風味な覇気を纏いながら唸り声を上げ、右腕を抑えている。膨張していた筋肉はもはや見る影もないどころか、傷だらけだったが――その傷が、生々しい音を立てながら癒えていく。
「これが……魔法公害」
尋常ならざる光景に、シュリは背筋が凍る思いがしたものだった。そして、思ったのだ。
――これが、高額報酬の理由か、と。
「なんて……醜いんだ……」
解説
●目的
・学術都市アークエルス近郊で魔術の実験に失敗した結果、魔法公害寸前まで至っている。現場の魔法少zy……魔法使いを早急に無力化せよ。現状では無力化するだけで事態の沈静化は果たせるであろう。
・実験に参加していた魔術師はいずれもそれなりに優秀な人材であるからして、殺さずに確保すること。
●敵情報
ゴールデンムーン(金):お仕置きチャクラム担当。老人魔術師。スキル不明。描写的に危険な要注意人物。
レッド(赤):情熱的な愛と炎とステゴロ担当。老人魔術師。ラブリーが口癖。描写的に危険な要注意人物。
グリーン(緑):力持ちなステゴロ緑担当。中年魔術師。ストーンバレット(物理)を使う。土関係の『魔法』(自称)を使うそう。
スカイブルー(水色):臆病でもなんでもない青色担当。中年魔術師。デバフ・状態異常メイン。影が薄く扱いも雑。
演出面ではあれですが、魔術師です。夫々に魔法公害の影響を受けて主に物理面で謎強化されています。
が、それでも、魔術師です。彼らは『仲間』なので丁寧に連携をします。言動はあれですが、魔術師なのです。
●味方情報
シュリ・エルキンズ:闘狩人の少年。苦労人の相が見える茶髪の少年。騎士科の学生であり、それなりに優秀。高性能な蒼剣(長剣)+盾。防御寄りのスキル構成+思考。レベル10くらい。これまでに『不滅なるエクソン』、『【黒祀】激情は重く、苦しくて』に登場。
●その他
皆様は実験に参加していたわけではないので変身してしまうことはありません。
・学術都市アークエルス近郊で魔術の実験に失敗した結果、魔法公害寸前まで至っている。現場の魔法少zy……魔法使いを早急に無力化せよ。現状では無力化するだけで事態の沈静化は果たせるであろう。
・実験に参加していた魔術師はいずれもそれなりに優秀な人材であるからして、殺さずに確保すること。
●敵情報
ゴールデンムーン(金):お仕置きチャクラム担当。老人魔術師。スキル不明。描写的に危険な要注意人物。
レッド(赤):情熱的な愛と炎とステゴロ担当。老人魔術師。ラブリーが口癖。描写的に危険な要注意人物。
グリーン(緑):力持ちなステゴロ緑担当。中年魔術師。ストーンバレット(物理)を使う。土関係の『魔法』(自称)を使うそう。
スカイブルー(水色):臆病でもなんでもない青色担当。中年魔術師。デバフ・状態異常メイン。影が薄く扱いも雑。
演出面ではあれですが、魔術師です。夫々に魔法公害の影響を受けて主に物理面で謎強化されています。
が、それでも、魔術師です。彼らは『仲間』なので丁寧に連携をします。言動はあれですが、魔術師なのです。
●味方情報
シュリ・エルキンズ:闘狩人の少年。苦労人の相が見える茶髪の少年。騎士科の学生であり、それなりに優秀。高性能な蒼剣(長剣)+盾。防御寄りのスキル構成+思考。レベル10くらい。これまでに『不滅なるエクソン』、『【黒祀】激情は重く、苦しくて』に登場。
●その他
皆様は実験に参加していたわけではないので変身してしまうことはありません。
マスターより
そろそろ真面目で暖かな戦闘依頼でも書こうと思ってノートパソコンに向かったのですが、
気がついたら中年&老年爺が魔法的事件に巻き込まれた結果コスプレしているという珍妙な存在と戦う依頼になってしまいました。
諸事情によりリプレイ中に割愛や省略の文字が踊る可能性もございます。ご了承下さい。
個人的にはもっとやれって思いますが、その辺りは皆様の裁量にお任せいたします。
それでは、皆様の悪ノr……じゃなくて、プレイング、お待ちしておりますね!
気がついたら中年&老年爺が魔法的事件に巻き込まれた結果コスプレしているという珍妙な存在と戦う依頼になってしまいました。
諸事情によりリプレイ中に割愛や省略の文字が踊る可能性もございます。ご了承下さい。
個人的にはもっとやれって思いますが、その辺りは皆様の裁量にお任せいたします。
それでは、皆様の悪ノr……じゃなくて、プレイング、お待ちしておりますね!
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/02/15 15:23
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 八原 篝(ka3104) 人間(リアルブルー)|19才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/02/08 14:26:50 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/02/03 23:43:42 |