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(ka0000)
未来へ進むその前に
マスター:KINUTA

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 3~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2019/09/16 22:00
- リプレイ完成予定
- 2019/09/30 22:00
オープニング
●エルフハイムの森・スラーインさん家
クリムゾンウェスト各地で復旧、復興作業が始まる中マリー・スラーインは、久々に故郷に帰った。
近況を両親に説明するためだ。特にナルシス関係について。これまで何やかやで、説明する機会をすっかり逸してしまっていたので。
「――と、いうわけなの。私、ナルシスくんと人生を共にしようと思うの。いいでしょ?」
娘マリーから聞かされた話は、父親にとって寝耳に水過ぎた。
彼女に好きな相手がいることも、すでにその相手と浅からぬ仲であることも、かてて加えて同棲していることも、彼は全く知らなかったのである。
だもので娘の願いを受け入れるなんて心境には到底なれなかった――まあ、前もって聞かされていたとしてもやっぱり素直に受け入れるなんて事はしなかっただろうが。
なにしろ彼は、俗に言う頑固親父なのだ。
エルフの常に習い線の細い外見であり、年も30前後と若く見えるが、実年齢はもっともっと上。外の世界へ赴いたことは一度もないし、出ようとも思わない。エルフハイムほどエルフにとってよいところはないと、素朴に信じているバリバリの保守派だ。
「な、な、な、何を言い出すのだマリー! 職を見つけて真面目にやっているのかと思っていたのに、なん、なん、なんというふしだらな! 父はお前をそんな娘に育てた覚えはないぞ!」
「ふしだらじゃないもん本気だもん! 仕事は真面目にやってるし! だからお願い結婚を認めてお父さん。ナルシスくんは人間だから寿命が短いの、私が守ってあげないと」
「そんな重大なことをいきなり聞かされて、はいそうですかと認められるか!」
「何よお父さん、人間差別するつもりなの!」
「エルフであっても一緒だばかもん! そもそも一体そのナルシスとかいう奴はどこの馬の骨なのだ、何の仕事をしているのだ」
「馬の骨じゃないわよ失礼ね。ポルトワールっていう町にあるグリーク商会っていう会社の御曹司よ。会社を継いでるのは彼じゃなくてお姉さんだけど。でもねえ聞いてお父さん、すっごく美少年なの」
「そいつの外見についてなど聞いておらん、一体何の仕事をしているのだ」
「今はバイトしてるわ」
「バイ……定職にはついておらんのか?」
「うん。でもそんなことどうでもいいの。私が養うから」
「ハア!? お前は、何を言って――おい、母さん、母さんも何か言ってやってくれ!」
マリーの母も父と一緒でそれなりの年齢なのだが、見た目が随分若い。
彼女は夫と違い外の世界を知っている。若い時は森を出たこともあるらしい。そのためか、考えが保守的ではない。開明的であり、やや――軽々しい。
「マリー、その子そんなに美少年なの?」
なんて娘に聞くぐらい。
「そうよー、エルフ界でも十分通用するほど美少年」
「あらー……それはちょっと見てみたいかもしれないわね」
ところで親子が話している部屋の片隅には、優美な花模様が彫刻されたゆりかごが置いてあった。
その中にはすやすや眠る赤ん坊2人。
長子のマリーから長く間を空けつい最近、ぴょこんと出来た双子ちゃんだ。名前はヘプティとナーリ。
マリーはこのことを大歓迎している。この慶事で父親の気持ちも相当緩んでいるだろう。ならばナルシスの話を出してもそんなに反発しないだろうと。
だがその考えは甘かった。
「何を言い出すんだね母さん! とにかく私はそんな相手との結婚は認めないし許さん! そもそもお前が森を出るのも反対だったんだ! 帰ってきたついでだ、このまま実家に留まりなさい、実家に! 自分の将来についてもう一度真剣に考えてみるんだ!」
「いいわよ別に許さないなら許さないで! 私勝手にするから!」
「勝手になどさせん! ものども出会え、出会えー!」
ちなみにスラーイン家はかなりの権勢を誇る家柄。
父親の声に応じそこかしこから、氏族の男女が現れた。
「お嬢様がご乱心だー!」
「皆のもの、加勢をせよー!」
「あっちょっとなんなのよあんたたち! 放しなさいよ、放しなさいったらー!」
というわけでマリーはあえなく捕獲。謹慎の身と相成ったのであった。
●ジェオルジ支局の朝
コボちゃんはコボちゃんハウスの近くを流れる小川で、朝の顔洗い。
少し冷たくなってきた水で顔をゴシゴシ。
「わぶるるるるる」
すっきりしたところでオフィスへ出勤。
するとそこには、ハンターの八橋杏子がいた。
職員のジュアンと何やら話し合っている。
「マリーさんが、エルフハイムの実家へ里帰りに行ったまま戻ってこない?」
「そうなんだ。ナルシスくんから聞いたところによると。もしかしたら道中何かあったのかもしれないから、そこのところ調査してもらえればと思って」
「……この機会に悪縁切ろうって思ったんじゃないの? 私、ナルシスって子と直接拘わったことはないけど、うわさなら聞いてるわよ。口ばっかり達者なヒモなんだってね」
「その可能性はないと思う。残念ながらと言っていいのかどうかわかんないけどさ……とにかくないと思う。仮に万一そうだとしても、オフィスに何の連絡もないのは変だよ。マリーああ見えて、これまで無断欠勤したことはないし」
「……分かったわ。それじゃあまあ、私たちで調べてみるから。ところでその当のナルシスくんはどこに行ったの?」
「ああ、いったんポルトワールの実家に帰ってるんだ」
●手土産なければ話にならぬ
ポルトワール、グリーク商会執務室。
ニケは万年筆を指先でクルクル回しながら、仏頂面のナルシスに言った。
「マリーさん、あんたと一緒になりたいってことを実家の方に伝えるって、帰るとき言ってたのよね」
「そうだよ」
「じゃあもう間違いなく向こうの親類縁者に反対されてるわ。頭を冷やせって。その説得で足止めされてるんだと見るけど、あんたはどう見るの?」
「……そんな説得聞くような人じゃないよ、マリーは。だからそういうことがあったとしても、そのまま振り切って戻ってくるはずなんだよね。何事もなければ」
「何事って何だと思う?」
「物理的な足止めしか考えられないね」
「ふーん。まあ、無理ないわね。あんた無職だし。私が親なら絶対止めろって思うわ。閉じ込めてでも諦めさせようって。あんたの寄生生活もこれでおしまいかしら。そのほうが先方のためになることは間違いないけど」
ナルシスは苛々したように組んだ足を解き、来客用の椅子から立ち上がった。
「どこ行くの」
「姉さんには関係ないだろ」
「そうね、でもまあ、もしかマリーさんを迎えに行くんだとしたら、本気で職に就きなさいよ。今度ばかりは口先でどうにかなると思わないことね」
扉が閉まって弟が出て行く。
ニケは満足げに一人ごちた。
「いい機会だわ」
クリムゾンウェスト各地で復旧、復興作業が始まる中マリー・スラーインは、久々に故郷に帰った。
近況を両親に説明するためだ。特にナルシス関係について。これまで何やかやで、説明する機会をすっかり逸してしまっていたので。
「――と、いうわけなの。私、ナルシスくんと人生を共にしようと思うの。いいでしょ?」
娘マリーから聞かされた話は、父親にとって寝耳に水過ぎた。
彼女に好きな相手がいることも、すでにその相手と浅からぬ仲であることも、かてて加えて同棲していることも、彼は全く知らなかったのである。
だもので娘の願いを受け入れるなんて心境には到底なれなかった――まあ、前もって聞かされていたとしてもやっぱり素直に受け入れるなんて事はしなかっただろうが。
なにしろ彼は、俗に言う頑固親父なのだ。
エルフの常に習い線の細い外見であり、年も30前後と若く見えるが、実年齢はもっともっと上。外の世界へ赴いたことは一度もないし、出ようとも思わない。エルフハイムほどエルフにとってよいところはないと、素朴に信じているバリバリの保守派だ。
「な、な、な、何を言い出すのだマリー! 職を見つけて真面目にやっているのかと思っていたのに、なん、なん、なんというふしだらな! 父はお前をそんな娘に育てた覚えはないぞ!」
「ふしだらじゃないもん本気だもん! 仕事は真面目にやってるし! だからお願い結婚を認めてお父さん。ナルシスくんは人間だから寿命が短いの、私が守ってあげないと」
「そんな重大なことをいきなり聞かされて、はいそうですかと認められるか!」
「何よお父さん、人間差別するつもりなの!」
「エルフであっても一緒だばかもん! そもそも一体そのナルシスとかいう奴はどこの馬の骨なのだ、何の仕事をしているのだ」
「馬の骨じゃないわよ失礼ね。ポルトワールっていう町にあるグリーク商会っていう会社の御曹司よ。会社を継いでるのは彼じゃなくてお姉さんだけど。でもねえ聞いてお父さん、すっごく美少年なの」
「そいつの外見についてなど聞いておらん、一体何の仕事をしているのだ」
「今はバイトしてるわ」
「バイ……定職にはついておらんのか?」
「うん。でもそんなことどうでもいいの。私が養うから」
「ハア!? お前は、何を言って――おい、母さん、母さんも何か言ってやってくれ!」
マリーの母も父と一緒でそれなりの年齢なのだが、見た目が随分若い。
彼女は夫と違い外の世界を知っている。若い時は森を出たこともあるらしい。そのためか、考えが保守的ではない。開明的であり、やや――軽々しい。
「マリー、その子そんなに美少年なの?」
なんて娘に聞くぐらい。
「そうよー、エルフ界でも十分通用するほど美少年」
「あらー……それはちょっと見てみたいかもしれないわね」
ところで親子が話している部屋の片隅には、優美な花模様が彫刻されたゆりかごが置いてあった。
その中にはすやすや眠る赤ん坊2人。
長子のマリーから長く間を空けつい最近、ぴょこんと出来た双子ちゃんだ。名前はヘプティとナーリ。
マリーはこのことを大歓迎している。この慶事で父親の気持ちも相当緩んでいるだろう。ならばナルシスの話を出してもそんなに反発しないだろうと。
だがその考えは甘かった。
「何を言い出すんだね母さん! とにかく私はそんな相手との結婚は認めないし許さん! そもそもお前が森を出るのも反対だったんだ! 帰ってきたついでだ、このまま実家に留まりなさい、実家に! 自分の将来についてもう一度真剣に考えてみるんだ!」
「いいわよ別に許さないなら許さないで! 私勝手にするから!」
「勝手になどさせん! ものども出会え、出会えー!」
ちなみにスラーイン家はかなりの権勢を誇る家柄。
父親の声に応じそこかしこから、氏族の男女が現れた。
「お嬢様がご乱心だー!」
「皆のもの、加勢をせよー!」
「あっちょっとなんなのよあんたたち! 放しなさいよ、放しなさいったらー!」
というわけでマリーはあえなく捕獲。謹慎の身と相成ったのであった。
●ジェオルジ支局の朝
コボちゃんはコボちゃんハウスの近くを流れる小川で、朝の顔洗い。
少し冷たくなってきた水で顔をゴシゴシ。
「わぶるるるるる」
すっきりしたところでオフィスへ出勤。
するとそこには、ハンターの八橋杏子がいた。
職員のジュアンと何やら話し合っている。
「マリーさんが、エルフハイムの実家へ里帰りに行ったまま戻ってこない?」
「そうなんだ。ナルシスくんから聞いたところによると。もしかしたら道中何かあったのかもしれないから、そこのところ調査してもらえればと思って」
「……この機会に悪縁切ろうって思ったんじゃないの? 私、ナルシスって子と直接拘わったことはないけど、うわさなら聞いてるわよ。口ばっかり達者なヒモなんだってね」
「その可能性はないと思う。残念ながらと言っていいのかどうかわかんないけどさ……とにかくないと思う。仮に万一そうだとしても、オフィスに何の連絡もないのは変だよ。マリーああ見えて、これまで無断欠勤したことはないし」
「……分かったわ。それじゃあまあ、私たちで調べてみるから。ところでその当のナルシスくんはどこに行ったの?」
「ああ、いったんポルトワールの実家に帰ってるんだ」
●手土産なければ話にならぬ
ポルトワール、グリーク商会執務室。
ニケは万年筆を指先でクルクル回しながら、仏頂面のナルシスに言った。
「マリーさん、あんたと一緒になりたいってことを実家の方に伝えるって、帰るとき言ってたのよね」
「そうだよ」
「じゃあもう間違いなく向こうの親類縁者に反対されてるわ。頭を冷やせって。その説得で足止めされてるんだと見るけど、あんたはどう見るの?」
「……そんな説得聞くような人じゃないよ、マリーは。だからそういうことがあったとしても、そのまま振り切って戻ってくるはずなんだよね。何事もなければ」
「何事って何だと思う?」
「物理的な足止めしか考えられないね」
「ふーん。まあ、無理ないわね。あんた無職だし。私が親なら絶対止めろって思うわ。閉じ込めてでも諦めさせようって。あんたの寄生生活もこれでおしまいかしら。そのほうが先方のためになることは間違いないけど」
ナルシスは苛々したように組んだ足を解き、来客用の椅子から立ち上がった。
「どこ行くの」
「姉さんには関係ないだろ」
「そうね、でもまあ、もしかマリーさんを迎えに行くんだとしたら、本気で職に就きなさいよ。今度ばかりは口先でどうにかなると思わないことね」
扉が閉まって弟が出て行く。
ニケは満足げに一人ごちた。
「いい機会だわ」
解説
補足説明。
これはエルフハイムにあるマリーさんの実家を訪問し、お父さんを説得し、彼女をジェオルジに連れ戻すことを目的とするシナリオです。
お母さんの方は、「どの道百年たったら娘は森に戻ってこざるを得ないんだから、外へ自由に出られるうちは好きにさせてもいいんじゃないの」という感じの認識です。なので、説得の必要はありません。
ターゲットはお父さん一人です。
しかしそのためにはナルシスの就職が必須条件となりましょう。父として無職の男に娘を任せたいとは、絶対思わないでしょうから。
ナルシスは現在ユニゾン島にあるグリーク商会の出張所でバイトを始めました(参照リプレイ「白羽の矢」)が、その契約は2カ月で切れます。
更新可能な契約ではありますが、さて、本人にその気があるのかどうか。はなはだ心もとないところ。
とはいえマリーに戻ってきて欲しいのは確かなようで。
これまでの経過を考えると彼には、自由業的な職業が向いているように思えます。というか、長く勤めようと思ったらそれしかない気もしています。
とにかくもういい加減、ヒモはヒモでも少しは稼げるヒモに進化してもらいたい。
何しろここで片付けておかないと、もう後がない。スケジュール的に。
今回の依頼には、八橋杏子が同行します。
当事者であるナルシスも同行します。
これはエルフハイムにあるマリーさんの実家を訪問し、お父さんを説得し、彼女をジェオルジに連れ戻すことを目的とするシナリオです。
お母さんの方は、「どの道百年たったら娘は森に戻ってこざるを得ないんだから、外へ自由に出られるうちは好きにさせてもいいんじゃないの」という感じの認識です。なので、説得の必要はありません。
ターゲットはお父さん一人です。
しかしそのためにはナルシスの就職が必須条件となりましょう。父として無職の男に娘を任せたいとは、絶対思わないでしょうから。
ナルシスは現在ユニゾン島にあるグリーク商会の出張所でバイトを始めました(参照リプレイ「白羽の矢」)が、その契約は2カ月で切れます。
更新可能な契約ではありますが、さて、本人にその気があるのかどうか。はなはだ心もとないところ。
とはいえマリーに戻ってきて欲しいのは確かなようで。
これまでの経過を考えると彼には、自由業的な職業が向いているように思えます。というか、長く勤めようと思ったらそれしかない気もしています。
とにかくもういい加減、ヒモはヒモでも少しは稼げるヒモに進化してもらいたい。
何しろここで片付けておかないと、もう後がない。スケジュール的に。
今回の依頼には、八橋杏子が同行します。
当事者であるナルシスも同行します。
マスターより
KINUTAです。
未来に行こう――と思いましたが、まだひとつ課題が残ってました。
それを片付けるための小依頼です。
後顧の憂いは潰せるうちに潰しておきましょう。
未来に行こう――と思いましたが、まだひとつ課題が残ってました。
それを片付けるための小依頼です。
後顧の憂いは潰せるうちに潰しておきましょう。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/09/23 01:26
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 エルバッハ・リオン(ka2434) エルフ|12才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2019/09/16 15:47:45 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/09/11 07:22:56 |