ゲスト
(ka0000)
【未来】一つの旅が終わって 僕らは……
マスター:凪池シリル

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加人数
- 現在6人 / 3~6人
- ユニット参加人数
- 現在3 / 0~6
- サポート
- 現在0人 / 0~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2019/10/31 09:00
- リプレイ完成予定
- 2019/11/14 09:00
オープニング
●In adventure world, called FNB
「そういやあ……」
とりとめのない話を、ずっとしていた。
チィ=ズヴォーが何気なく切り出したそれも、単にとりとめのない一つではあった。
「本当に良かったんですかい?」
「……。いや、何がだよ?」
それだけで終わった質問が、本気で何の事だか心当たりが無くて、伊佐美 透(kz0243)は苦笑と共に聞き返す。
「いや、透殿にも手前どもらに多額の寄付を貰ったじゃねえですかい。手前どもは帰りゃ生活についちゃどうとでもなりやすが、透殿はこれから金はあるに越したこたあねえでしょう?」
「ああ……まあ、いいんだよ。こっちだって、健康な青年男子が一人生きてくくらいどうとでも出来るさ。それに、今は変に余裕が無い方が却っていいと思ってるよ」
少しがむしゃらになるくらいのスタートでなきゃ駄目になる、そういって笑う透に、チィはまだ少し複雑そうな顔だ。
「……何だよ?」
今、この時になって。余計な引っ掛かりを置きっぱなしにするのは無しだ。そう視線に込めて、透は問いかける。
「……自分だけ先に幸せになるのが申し訳ねえとか、んなこたあ考えて、ねえですよね?」
「……」
僅かの間、透は沈黙した。クリムゾンウェストにはまだあちこちに戦禍の傷跡を残していて、復興の為に人手は幾らでも必要だろう。それは、チィの故郷、ズヴォー族にしたってそうだ。
……そんな中、自分はさっさと夢を叶えに行くのか。
「……誰かが不幸なら、皆一緒に不幸でいるべきだ。んな考え方、アホらしいと手前どもは思いやすよ。辛え事が沢山あって、でも乗り越えた。ならこれからはなれる奴からさっさと報われてくべきでさあ」
チィの言葉も噛んで含んで。透はしっかり己の今の気持ちを改めて……ゆっくりと頷いた。
「うん、まあ……俺は別に、そんなに殊勝なやつじゃないよ。この世界で、今も誰かが苦しんでる。それは分かってて……それは、それだ」
元を正せば。リアルブルーにいた頃から、そんな話はあった。同じ世界の何処かに、災害や貧困で苦しんでる人がいることは知っていて、それに対して自分が幸せで申し訳ない、なんて一々考えてなんか無かっただろう。
ただ、それでも。
「目の前で大変な人が居て、自分の事のついでにちょっと頑張れば助けられるかも知れない、ならちょっとは頑張るよ。俺がしてきたのなんて、その程度の事だったし」
今までだって、ずっとそうだった。あくまで帰還の方法を探すための戦いで……でも、そのくらいの良心はあるって、それだけの。
「へえ。自分のついでに、『ちょっと』頑張れば、ですかい。透殿がこれまでやってきたことってえのは」
「……いや、何だよ」
「まあ、良いでさあよ。透殿がどう感じるかも勝手だし、手前どもがどう感じるかも勝手でさあ」
「いやまあ……。だから。お前のところに手を貸すのは、罪滅ぼしとか、俺も少しは苦しめばいいんだとか、そんなつもりじゃない。世界の不幸なんて背負えない。けど……お前のことは他人事じゃない。だからだよ」
「……」
透の言葉に、今度はチィが気恥ずかしそうに少し沈黙した。
「あー……そんで、お前の故郷と言えばさ」
やはりどこか気まずい空気を誤魔化すように、透は話題を変える。
「しばらくハンターやったら、お前は戻るんだよな?」
「へえ。ハンターとしちゃ、手前どもにとって刺激的なことも減ってきそうですし……だったら暮らし向きとしちゃあ、故郷の方がやっぱり手前どもにゃ馴染んでんですよねい」
だから。もうしばらく外貨を稼いだら、部族を守る戦士に戻ると。
「まあ、部族の立て直しに、もしかしたら生活様式そのものに変化が必要かもしれねえってことですが……だからこそ、お前さまが外で見て学んだことはねえか、補佐してくれって族長からも言われてやして」
そう言われて。透は少し考えて、目を丸くした。
「え。なんだ。もしかしてお前次期族長とか?」
「さあ……もしかしたらそういう風も吹くかもしれねえでさあねえ。だったら、透殿はどう思うんですかい?」
「いや……まあ。何度か言ったと思うが、俺はお前のことは……大した奴だと思ってるよ」
透の答えに、チィはへへ、と笑った。
そんな。
とりとめのない話を、ずっとしていた。
時間を確認する。まだもう少し──こんな空気に浸っていられるみたいだ。
王国暦1019年12月。
リアルブルー人の第一次帰還、開始。
出立と見送りの為に、今二人はここにいる。
やっとこの時が来た。
とうとうこの時が来てしまった。
互いにそんな気持ちを、ないまぜに。
透は改めてチィを、その存在を通じて、この五年間を想起した。
名残が惜しくないわけがない。こいつとともに、この世界でやれること、きっとまだ沢山あるのだろう。それはとても楽しく、充実出来ると、思う。
それでも──やはり、迷いはそこには無かった。思い浮かべるそれらは、やれたらいい事、であって、じくじくと胸に残る『どうしてもやり残したこと』では無いのだ。
リアルブルーには、ある。面倒を見てくれた事務所、世話を焼いてくれた先輩、初期から応援してくれたファンの人たち。やっとこれから少しずつ恩が返せる──透がこちらの世界にこさせられたのは、そう手応えを感じ始めた矢先のことだったのだから。
だから。
ただ芝居が出来るだけでは駄目だった。
どうしても、もう一度、リアルブルーで。
だから。
「……そっち行けるようになったら、観に行きやすよ」
「ああ。俺も……こっちに来れるようになったら、時間ができたら遊びに来るよ」
二人の結果を見れば、今これはハッピーエンドだと思う。
二人共生き残って、夢を叶えた。故郷は残った。
二つの世界は繋がったままで。
これからの二世界の交流について、まだ確たる話が出ている訳ではないが、今の空気を思えば、覚醒者の行き来については楽観してもいいだろう。
文句のない結末だ。
永遠の別れじゃない。きっとまた会える。
だけど、それでも。
今この別れに。寂しいなあと。
そう想えることこそが──多分とても、幸せなことなのだろう。
出立まで、あともう少し。
まだもう少し。
見回せば、似たように旅立つ人。見送る人。
皆はどう過ごすのだろう。浸るのだろう。
この、暖かく優しい、寂しさの空間を。
「そういやあ……」
とりとめのない話を、ずっとしていた。
チィ=ズヴォーが何気なく切り出したそれも、単にとりとめのない一つではあった。
「本当に良かったんですかい?」
「……。いや、何がだよ?」
それだけで終わった質問が、本気で何の事だか心当たりが無くて、伊佐美 透(kz0243)は苦笑と共に聞き返す。
「いや、透殿にも手前どもらに多額の寄付を貰ったじゃねえですかい。手前どもは帰りゃ生活についちゃどうとでもなりやすが、透殿はこれから金はあるに越したこたあねえでしょう?」
「ああ……まあ、いいんだよ。こっちだって、健康な青年男子が一人生きてくくらいどうとでも出来るさ。それに、今は変に余裕が無い方が却っていいと思ってるよ」
少しがむしゃらになるくらいのスタートでなきゃ駄目になる、そういって笑う透に、チィはまだ少し複雑そうな顔だ。
「……何だよ?」
今、この時になって。余計な引っ掛かりを置きっぱなしにするのは無しだ。そう視線に込めて、透は問いかける。
「……自分だけ先に幸せになるのが申し訳ねえとか、んなこたあ考えて、ねえですよね?」
「……」
僅かの間、透は沈黙した。クリムゾンウェストにはまだあちこちに戦禍の傷跡を残していて、復興の為に人手は幾らでも必要だろう。それは、チィの故郷、ズヴォー族にしたってそうだ。
……そんな中、自分はさっさと夢を叶えに行くのか。
「……誰かが不幸なら、皆一緒に不幸でいるべきだ。んな考え方、アホらしいと手前どもは思いやすよ。辛え事が沢山あって、でも乗り越えた。ならこれからはなれる奴からさっさと報われてくべきでさあ」
チィの言葉も噛んで含んで。透はしっかり己の今の気持ちを改めて……ゆっくりと頷いた。
「うん、まあ……俺は別に、そんなに殊勝なやつじゃないよ。この世界で、今も誰かが苦しんでる。それは分かってて……それは、それだ」
元を正せば。リアルブルーにいた頃から、そんな話はあった。同じ世界の何処かに、災害や貧困で苦しんでる人がいることは知っていて、それに対して自分が幸せで申し訳ない、なんて一々考えてなんか無かっただろう。
ただ、それでも。
「目の前で大変な人が居て、自分の事のついでにちょっと頑張れば助けられるかも知れない、ならちょっとは頑張るよ。俺がしてきたのなんて、その程度の事だったし」
今までだって、ずっとそうだった。あくまで帰還の方法を探すための戦いで……でも、そのくらいの良心はあるって、それだけの。
「へえ。自分のついでに、『ちょっと』頑張れば、ですかい。透殿がこれまでやってきたことってえのは」
「……いや、何だよ」
「まあ、良いでさあよ。透殿がどう感じるかも勝手だし、手前どもがどう感じるかも勝手でさあ」
「いやまあ……。だから。お前のところに手を貸すのは、罪滅ぼしとか、俺も少しは苦しめばいいんだとか、そんなつもりじゃない。世界の不幸なんて背負えない。けど……お前のことは他人事じゃない。だからだよ」
「……」
透の言葉に、今度はチィが気恥ずかしそうに少し沈黙した。
「あー……そんで、お前の故郷と言えばさ」
やはりどこか気まずい空気を誤魔化すように、透は話題を変える。
「しばらくハンターやったら、お前は戻るんだよな?」
「へえ。ハンターとしちゃ、手前どもにとって刺激的なことも減ってきそうですし……だったら暮らし向きとしちゃあ、故郷の方がやっぱり手前どもにゃ馴染んでんですよねい」
だから。もうしばらく外貨を稼いだら、部族を守る戦士に戻ると。
「まあ、部族の立て直しに、もしかしたら生活様式そのものに変化が必要かもしれねえってことですが……だからこそ、お前さまが外で見て学んだことはねえか、補佐してくれって族長からも言われてやして」
そう言われて。透は少し考えて、目を丸くした。
「え。なんだ。もしかしてお前次期族長とか?」
「さあ……もしかしたらそういう風も吹くかもしれねえでさあねえ。だったら、透殿はどう思うんですかい?」
「いや……まあ。何度か言ったと思うが、俺はお前のことは……大した奴だと思ってるよ」
透の答えに、チィはへへ、と笑った。
そんな。
とりとめのない話を、ずっとしていた。
時間を確認する。まだもう少し──こんな空気に浸っていられるみたいだ。
王国暦1019年12月。
リアルブルー人の第一次帰還、開始。
出立と見送りの為に、今二人はここにいる。
やっとこの時が来た。
とうとうこの時が来てしまった。
互いにそんな気持ちを、ないまぜに。
透は改めてチィを、その存在を通じて、この五年間を想起した。
名残が惜しくないわけがない。こいつとともに、この世界でやれること、きっとまだ沢山あるのだろう。それはとても楽しく、充実出来ると、思う。
それでも──やはり、迷いはそこには無かった。思い浮かべるそれらは、やれたらいい事、であって、じくじくと胸に残る『どうしてもやり残したこと』では無いのだ。
リアルブルーには、ある。面倒を見てくれた事務所、世話を焼いてくれた先輩、初期から応援してくれたファンの人たち。やっとこれから少しずつ恩が返せる──透がこちらの世界にこさせられたのは、そう手応えを感じ始めた矢先のことだったのだから。
だから。
ただ芝居が出来るだけでは駄目だった。
どうしても、もう一度、リアルブルーで。
だから。
「……そっち行けるようになったら、観に行きやすよ」
「ああ。俺も……こっちに来れるようになったら、時間ができたら遊びに来るよ」
二人の結果を見れば、今これはハッピーエンドだと思う。
二人共生き残って、夢を叶えた。故郷は残った。
二つの世界は繋がったままで。
これからの二世界の交流について、まだ確たる話が出ている訳ではないが、今の空気を思えば、覚醒者の行き来については楽観してもいいだろう。
文句のない結末だ。
永遠の別れじゃない。きっとまた会える。
だけど、それでも。
今この別れに。寂しいなあと。
そう想えることこそが──多分とても、幸せなことなのだろう。
出立まで、あともう少し。
まだもう少し。
見回せば、似たように旅立つ人。見送る人。
皆はどう過ごすのだろう。浸るのだろう。
この、暖かく優しい、寂しさの空間を。
解説
●目的
時系列は王国暦1019年12月。
リアルブルー人の第一次帰還が開始となる、その直前の時系列で、旅立つ、或いは旅立つ人を見送る場面を描写するためのシナリオです。
●補足
そんなわけで【未来】ですが未来ゆーても約1、2ヶ月後なんですけどね。でもまあ一応未来は未来になると言うことで、IF扱いです。
注意点として今回は「帰還」となります。従って「旅立ち」を選べるのは、出自がリアルブルーで帰還を望む方のみです。
クリムゾンウェスト出身だけどリアルブルーに移住したいんです! って方は今回は対象になれません。
逆にリアルブルー人であれば希望すれば誰でもこの時点での帰還は可能です。その他に特に制限はなく、例えば「紅大精霊と契約した守護者だけどいいの?」とか、そのへんは問題無いそーです。
幻獣について、今のところ法も環境もあらゆる意味で整っていないので今回リアルブルーに連れて行くのは不可能です。一部の幻獣は半分精霊としての面もあるので、現時点で無理矢理連れてっても長くリアルブルーに滞在すると弱ってくでしょう。
そんなわけで、帰還する方の幻獣は群れに帰すかソサエティに預かってもらう等になります。
そんなわけで、ユニット枠は幻獣とのお別れをしたい方などにとご用意しました。
サポート枠は「旅立ち」「見送り」を特定の方とやりたい方がはぐれない用という想定です。とはいえ必ずしも本シナリオがペアを推奨するわけではなく、特定の相手やNPC目的でなくとも、旅立ったり旅立つ人全体を見送りつつ想いに耽るのもよろしいかと思います。
時系列は王国暦1019年12月。
リアルブルー人の第一次帰還が開始となる、その直前の時系列で、旅立つ、或いは旅立つ人を見送る場面を描写するためのシナリオです。
●補足
そんなわけで【未来】ですが未来ゆーても約1、2ヶ月後なんですけどね。でもまあ一応未来は未来になると言うことで、IF扱いです。
注意点として今回は「帰還」となります。従って「旅立ち」を選べるのは、出自がリアルブルーで帰還を望む方のみです。
クリムゾンウェスト出身だけどリアルブルーに移住したいんです! って方は今回は対象になれません。
逆にリアルブルー人であれば希望すれば誰でもこの時点での帰還は可能です。その他に特に制限はなく、例えば「紅大精霊と契約した守護者だけどいいの?」とか、そのへんは問題無いそーです。
幻獣について、今のところ法も環境もあらゆる意味で整っていないので今回リアルブルーに連れて行くのは不可能です。一部の幻獣は半分精霊としての面もあるので、現時点で無理矢理連れてっても長くリアルブルーに滞在すると弱ってくでしょう。
そんなわけで、帰還する方の幻獣は群れに帰すかソサエティに預かってもらう等になります。
そんなわけで、ユニット枠は幻獣とのお別れをしたい方などにとご用意しました。
サポート枠は「旅立ち」「見送り」を特定の方とやりたい方がはぐれない用という想定です。とはいえ必ずしも本シナリオがペアを推奨するわけではなく、特定の相手やNPC目的でなくとも、旅立ったり旅立つ人全体を見送りつつ想いに耽るのもよろしいかと思います。
マスターより
凪池です。
そんなわけで、当方のシナリオはこれにてラストとなります。
ここまでのご愛顧、有難うございました。
思うことが有りすぎて、ここでは多くは語れません。
願わくばリプレイにてお答えできますことを。
そんなわけで、当方のシナリオはこれにてラストとなります。
ここまでのご愛顧、有難うございました。
思うことが有りすぎて、ここでは多くは語れません。
願わくばリプレイにてお答えできますことを。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2019/11/05 12:35
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
質問卓 鞍馬 真(ka5819) 人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/10/25 18:50:29 |
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![]() |
終わりは始まり(雑談卓) 鞍馬 真(ka5819) 人間(リアルブルー)|22才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2019/10/31 08:22:29 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2019/10/31 08:23:44 |