ゲスト
(ka0000)
花 決意
マスター:凪池シリル

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/02/19 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/02/28 12:00
オープニング
花、散って。
雪の降る季節を巡り結ぶまた蕾、一つ。
●
「……噂を聞いたんだが」
最近、辺境に現れるようになったという亡霊剣士の話を詳しく聞きたい。
ハンターオフィスに現れた男は、その切れ長の瞳に確固たる意志を宿し職員にそう尋ねた。
「オレが聞いた話じゃあ、その亡霊の特徴は、藍の鞘の立派な拵えの剣。その鞘の鍔近くのあたりにゃあ、金で花びらが彫られてる。……ちょうど、こんな感じか?」
そう言って、男はぐいと、己の腰に差した剣を、鞘に収めたまま職員の眼前に突きつけた。……ちょうど、男が今述べたとおりの特徴を持つ、それを。
「ああ、勘違いしねえで欲しい。残念ながら、そいつはもうオレが倒してきたとかそういうオチじゃねえ。こいつは只の模倣品だ。――……昔オレを逃がして死んだ、オレの師匠の剣の、な」
一拍。
職員が男の言葉の意味を飲み込むのに、時間が掛かった。沈痛な表情を見せる職員に、男は確信を得たようにそうか、と、目を伏せて呟いた。
ここ最近の襲撃で、付近の負のマテリアルが増加したせいなのか。
死んで暫くの時が過ぎてはいるが、歪虚の影響を受け彷徨い出でた剣士の亡霊、その依り代とされたのは己の師匠の肉体で間違いないらしい。
「……じゃあ改めて、詳しい話を聞かせてもらおうか。来てんだろ、討伐依頼」
「――……」
決然とした男の言葉に、しかし職員は咄嗟に言葉が見つからず、だから視線で問いかけていた。
倒すつもりなのか。……あなたが、倒せるのかと。
人の死体や魂が雑魔と化す例は幾らでもある。……そして、生前の姿にそれを重ね合わせ、その対応を誤ってしまう例も、幾らでも。
「分かってる。『これ』の中身は師匠じゃねえ。なら、てめぇの身体好き勝手に使われてあの人が納得してる訳がねえ。さっさと止めてやらねえと浮かばれねえだろうが。あの人はそういう人だ」
「……です、が」
男の言葉に、職員はなおも心配を消せずにいた。
その視線は、相変らず男が突き出したままの剣に釘付けになっていた。冬を越した今頃の時期に蕾をつける木の花びら。見事な意匠の鞘。
模したのは、男の、その師匠への敬意と、その剣そのものへの憧れの現われなのだろう。だからこそ。
男の立ち振る舞いに隙はない。昨日今日弔いを決意して慌てて剣を手に取ったわけではないのだろう。職員としての目で見れば、ハンターとしてそれなり以上の熟練は積んでいるようだった。
だから……知っているはずだ。歪虚の影響を受けた存在、それを滅した後はどうなるのか。
黒い塵となって、失われる。雑魔と化した肉体のみならず、すべてが。それらを維持する負のマテリアルが失われたその時、何も遺さず崩れ去る。
武器、防具、装飾品の一欠けらですら。
墓標に遺すもの何一つ許されず、すべてが無に還る。
……だからこそ。事前に幾ら己を鼓舞しようが、直前になり躊躇ってしまう者が後を絶たないのだ。
間違った形でも。
せめてこの人がこの世界に居た証、何かそれを残す事は許されてはいけないのかと。
「……あの人は、オレを逃がして死んだ。オレに後を託して、逝ったんだ」
分かってる、と、もう一度呟いてから男は口を開く。
「だからこの亡霊はオレが斬る。斬らなきゃならねえ。あんたの後は間違いなくオレが継いだ、あんたが斬るはずだった歪虚はオレが斬ると、証明してやるのが恩返しだろうがっ……!」
男の言葉を、職員は肯定も否定も出来なかった。決意を語る男の瞳には強い光が宿っている。ただ、その輝きは……今にも涙を零しそうにも、見えるのだ。
完全に言葉を失った職員に、男はふぅ、と息を吐く。
「まあ、そうだな。実際にこの亡霊を斬れるかどうかは、あんただけに頼んでどうにかなることじゃねえ」
そう言って、男は後ろを振り向いた。……後に控える、同じ依頼を受けようとしているハンター達の下へ。
「なあ。オレもハンターで、戦士だ。この職員さんが懸念してる内容も分かるし、あんたらからしても、なるべくなら強い敵と戦いてえとか、武勲を立ててえとか、依頼に私情を挟むなとかいう言い分も分かってる。……が、今回はそこを曲げて、この亡霊に関してはオレに譲っちゃくれねえか。……この通り、頼む」
そう言って男はハンター達に、丁寧に頭を下げた。
雪の降る季節を巡り結ぶまた蕾、一つ。
●
「……噂を聞いたんだが」
最近、辺境に現れるようになったという亡霊剣士の話を詳しく聞きたい。
ハンターオフィスに現れた男は、その切れ長の瞳に確固たる意志を宿し職員にそう尋ねた。
「オレが聞いた話じゃあ、その亡霊の特徴は、藍の鞘の立派な拵えの剣。その鞘の鍔近くのあたりにゃあ、金で花びらが彫られてる。……ちょうど、こんな感じか?」
そう言って、男はぐいと、己の腰に差した剣を、鞘に収めたまま職員の眼前に突きつけた。……ちょうど、男が今述べたとおりの特徴を持つ、それを。
「ああ、勘違いしねえで欲しい。残念ながら、そいつはもうオレが倒してきたとかそういうオチじゃねえ。こいつは只の模倣品だ。――……昔オレを逃がして死んだ、オレの師匠の剣の、な」
一拍。
職員が男の言葉の意味を飲み込むのに、時間が掛かった。沈痛な表情を見せる職員に、男は確信を得たようにそうか、と、目を伏せて呟いた。
ここ最近の襲撃で、付近の負のマテリアルが増加したせいなのか。
死んで暫くの時が過ぎてはいるが、歪虚の影響を受け彷徨い出でた剣士の亡霊、その依り代とされたのは己の師匠の肉体で間違いないらしい。
「……じゃあ改めて、詳しい話を聞かせてもらおうか。来てんだろ、討伐依頼」
「――……」
決然とした男の言葉に、しかし職員は咄嗟に言葉が見つからず、だから視線で問いかけていた。
倒すつもりなのか。……あなたが、倒せるのかと。
人の死体や魂が雑魔と化す例は幾らでもある。……そして、生前の姿にそれを重ね合わせ、その対応を誤ってしまう例も、幾らでも。
「分かってる。『これ』の中身は師匠じゃねえ。なら、てめぇの身体好き勝手に使われてあの人が納得してる訳がねえ。さっさと止めてやらねえと浮かばれねえだろうが。あの人はそういう人だ」
「……です、が」
男の言葉に、職員はなおも心配を消せずにいた。
その視線は、相変らず男が突き出したままの剣に釘付けになっていた。冬を越した今頃の時期に蕾をつける木の花びら。見事な意匠の鞘。
模したのは、男の、その師匠への敬意と、その剣そのものへの憧れの現われなのだろう。だからこそ。
男の立ち振る舞いに隙はない。昨日今日弔いを決意して慌てて剣を手に取ったわけではないのだろう。職員としての目で見れば、ハンターとしてそれなり以上の熟練は積んでいるようだった。
だから……知っているはずだ。歪虚の影響を受けた存在、それを滅した後はどうなるのか。
黒い塵となって、失われる。雑魔と化した肉体のみならず、すべてが。それらを維持する負のマテリアルが失われたその時、何も遺さず崩れ去る。
武器、防具、装飾品の一欠けらですら。
墓標に遺すもの何一つ許されず、すべてが無に還る。
……だからこそ。事前に幾ら己を鼓舞しようが、直前になり躊躇ってしまう者が後を絶たないのだ。
間違った形でも。
せめてこの人がこの世界に居た証、何かそれを残す事は許されてはいけないのかと。
「……あの人は、オレを逃がして死んだ。オレに後を託して、逝ったんだ」
分かってる、と、もう一度呟いてから男は口を開く。
「だからこの亡霊はオレが斬る。斬らなきゃならねえ。あんたの後は間違いなくオレが継いだ、あんたが斬るはずだった歪虚はオレが斬ると、証明してやるのが恩返しだろうがっ……!」
男の言葉を、職員は肯定も否定も出来なかった。決意を語る男の瞳には強い光が宿っている。ただ、その輝きは……今にも涙を零しそうにも、見えるのだ。
完全に言葉を失った職員に、男はふぅ、と息を吐く。
「まあ、そうだな。実際にこの亡霊を斬れるかどうかは、あんただけに頼んでどうにかなることじゃねえ」
そう言って、男は後ろを振り向いた。……後に控える、同じ依頼を受けようとしているハンター達の下へ。
「なあ。オレもハンターで、戦士だ。この職員さんが懸念してる内容も分かるし、あんたらからしても、なるべくなら強い敵と戦いてえとか、武勲を立ててえとか、依頼に私情を挟むなとかいう言い分も分かってる。……が、今回はそこを曲げて、この亡霊に関してはオレに譲っちゃくれねえか。……この通り、頼む」
そう言って男はハンター達に、丁寧に頭を下げた。
解説
辺境の森に現れたゴースト退治となります。
敵の内訳は
・亡霊剣士×1
・浮遊霊型雑魔×4
・スケルトン×4
です。
戦場は、武器を振り回す分には支障がない程度の広さはありますが、木々に囲まれています。
NPCについて
名前はスウィン。年齢は21。
性根は真っ直ぐですが少々短気なところもある、といった性格です。
失われた辺境部族の戦士で、師匠と共に旅をし、師匠の死後も腕を磨き続けていたため、腕は確かです。
状況および精神状態がしっかりしたものであれば、亡霊剣士に対しては6:4くらいの比率で勝ち目があります。……逆に言うと、ちょっとしたアクシデントで重大なことになる可能性もある程度の勝ち目ともいえます。
本シナリオのプレイングには、戦闘方法だけではなく、スウィンの申し出に対しどう対応するか、を明確にしていただくようお願いいたします。
具体的には
A.のっけから無視する
B.少し様子を見て、苦戦するようなら助太刀
C.重体以上の重大な結果を招きそうなら助太刀
D.死のうが本懐を遂げさせる
位の選択肢があるかと思われます。この辺が分かるようにしていただけると。
なんなら、上記A~Dで回答していただいても構いません。
上記の通り、亡霊剣士に対してはスウィン一人でも勝ち目はあるため、C,Dをお選びいただくと亡霊剣士に関しては出番がなくなる可能性もあることをご了承下さい。
敵の内訳は
・亡霊剣士×1
・浮遊霊型雑魔×4
・スケルトン×4
です。
戦場は、武器を振り回す分には支障がない程度の広さはありますが、木々に囲まれています。
NPCについて
名前はスウィン。年齢は21。
性根は真っ直ぐですが少々短気なところもある、といった性格です。
失われた辺境部族の戦士で、師匠と共に旅をし、師匠の死後も腕を磨き続けていたため、腕は確かです。
状況および精神状態がしっかりしたものであれば、亡霊剣士に対しては6:4くらいの比率で勝ち目があります。……逆に言うと、ちょっとしたアクシデントで重大なことになる可能性もある程度の勝ち目ともいえます。
本シナリオのプレイングには、戦闘方法だけではなく、スウィンの申し出に対しどう対応するか、を明確にしていただくようお願いいたします。
具体的には
A.のっけから無視する
B.少し様子を見て、苦戦するようなら助太刀
C.重体以上の重大な結果を招きそうなら助太刀
D.死のうが本懐を遂げさせる
位の選択肢があるかと思われます。この辺が分かるようにしていただけると。
なんなら、上記A~Dで回答していただいても構いません。
上記の通り、亡霊剣士に対してはスウィン一人でも勝ち目はあるため、C,Dをお選びいただくと亡霊剣士に関しては出番がなくなる可能性もあることをご了承下さい。
マスターより
凪池です。戦闘依頼ですがやっぱりどっちかっつーと心情よりです。
さて、皆様はどのような選択と行動を見せてくださるでしょうか。NPCは性根は真っ直ぐですが短気。短気ですが性根は真っ直ぐです。はい。
遺志を継ぐ、その強さと寂しさを感じさせる作業用BGMでお届けしています。
さて、皆様はどのような選択と行動を見せてくださるでしょうか。NPCは性根は真っ直ぐですが短気。短気ですが性根は真っ直ぐです。はい。
遺志を継ぐ、その強さと寂しさを感じさせる作業用BGMでお届けしています。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/02/27 06:23
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/02/17 15:24:52 |
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相談用 サントール・アスカ(ka2820) 人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/02/18 21:23:44 |