※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。

　錬魔院プロデュースの新アイドル・ブレンネのデビューライブ以来、グリューエリン・ヴァルファー（kz0050）は無理にならぬ程度にレッスンの量を増やしていた。
　焦りによって無茶をするでもなく、けれど向上心にさらに火がついた様子のグリューエリンに、ライバルアイドルの登場は喜ばしいことなのかも知れぬと思っても――クレーネウスの気持ちは、複雑である。
「……莉子が、プロデューサー……に」
　10年前、己の元を去っていった、リアルブルーから来たアイドル。
　彼女の才能を生かしきれなかったのは、己だ。
　彼女が己の手を振りほどいた時、追いかけることができなかったのも、己自身だ。
「……とはいえ、ね、現実にライバルが現れた以上、こちらとしてはそれに対抗した企画をしていかなければいけないのも、事実だ」
　あえて頭を振って、悩みを心の片隅に追いやろうとする。けれど企画書を書きながらも、重い心が晴れることはなかった。

　その企画書を持ったグリューエリンが、APVに現れたのは翌日のことである。
「今回は、ばれんたいんというリアルブルー発祥のお祭りにちなんだチャリティーイベントを行おうという趣旨なのです」
　新アイドルであるブレンネのデビュー前の宣伝活動は、人々に彼女を身近なアイドルとして印象付けている。
　ライブ活動を中心としてきたグリューエリンにとって、ファンと直接触れ合う経験は多くはない。この機会にこちらも、そのような活動にも手を出してみようということらしい。
「私がお菓子を作りまして、ファンの皆様に私が直接販売してお渡しし、その利益を孤児院や貧しい方々に寄付しようという趣旨なのですが……実は」
　困った様子で、グリューエリンはぎゅっと企画書の端を握る。
「私、お菓子と言うものを作ったことがございません。……料理も、正直あまり出来ません」
　ハンター達が尋ねたところ、グリューエリンの出来る料理は『芋を茹でる』『羊肉を炒める』とかそういうレベルである。
　そもそも手持ちの調理道具は包丁とまな板と鍋1つしかないし、台所は共用のものしかないし、軍人だからご飯は基本的に付属の食堂で食べるし。
「あの、それで……イベントの詳細につきましてもハンターの皆様と話し合って決めるようにとのことなのですが、その、お菓子作りについても、教えていただけないでしょうか……？」
　どうかよろしくお願いします、皆様だけが頼りなのです、と、この頃では随分と久しぶりに不安げな様子で頭を下げるグリューエリン。
　――甘い香りの初挑戦が、始まる。

●目的
　バレンタインのチャリティーイベントを成功させる。

●やること
1.お菓子を作る
　バレンタイン前日までに、売るためのお菓子を用意する必要があります。
　グリューエリンはお菓子作りの経験は0ですし、料理もそんなにしたことがありません。
　歌舞音曲部隊にて、調理施設（学校の家庭科室みたいなの）を借りていますので、お菓子作りを教えてあげてください。
　メニューはお任せしますが、初心者でも作りやすいもの、小分けにして持ち帰りやすいもの、あとは一気にそれなりの量を作れるものである必要があります。

2.チャリティーイベントの企画・運営
　とりあえずグリューエリンが手渡しでお菓子を売ることは決まっています。
　時間はバレンタインの日の朝から夕方まで、会場は中央広場、売上を寄付する先も決定済みです。
　ただし、その他のイベントの詳細についてはまだ決まっていません。
　お菓子を売る以外に、何か催しを行っても構いません。
　要するにいつも通りのお任せですね！　よろしくお願いします！

●サポートについて
　今回は、少し多めに枠を用意しています。
　サポート枠からイベントやお菓子作りの手伝いも可能ですが、イベントのお客様としていらっしゃる場合もサポート枠を使うことをオススメします。
　NPC（グリューエリン）に対するサポートという形も可能ですので、ご活用下さい。

●NPCについて
　グリューエリンが同行しています。
　相談卓で質問への回答や意見が必要になった場合は返答いたします。



●ここからPL情報
　新アイドル陣営からイベントに対して邪魔は全く入りません。
　ですが、イベントが終わった頃、ふらっと新アイドル・ブレンネが、グリューエリンと会話したいと言って現れます。
　グリューエリンより先に、ハンターの皆様が接触することになりますので、どうするかはお任せいたします。

　いえーいハッピーバレンタイン！！

　お菓子作るならまぁ、うん、うちだったらグリューエリンが一番いいだろうと思ってこうなりました。
　初心者ですけどね！
　イルリヒトにバレンタイン……なさそうだな……。

　というわけで、よろしくお願いいたします！