• 戦闘

我儘お嬢様の行進

マスター:トロバドル

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 6~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/02/27 07:30
リプレイ完成予定
2015/03/08 07:30

オープニング

●とある屋敷の一室
 頬を膨らませ、赤いドレスと纏った少女は、椅子の上で所在なさ気に足を遊ばせている。
「ソラスお嬢様、いい加減機嫌をお直しください。過ぎてしまった事なのですから」
「約束してたのよ!? 納得できるわけないじゃない!」
 怒り余って、ソラスはテーブルの上に置かれていたグラスを、皺ひとつない執事服を纏った初老の男性に投げつけた。
 老執事は眉を動かす事なく、飛んで来たグラスを受け止める。
「何を言われようとも、世の中にはどうにもならない事もあるのですよ?」
「どうにかするのが貴方の仕事でしょ!」
 それはそうなのだが、だがしかしと、老執事は溜息を漏らす。
 本来であれば、この日、ソラスお嬢様は父親と一緒に乗馬を楽しむ予定だった。が、急用が入った事で出かけねばならず、予定は破綻してしまったのだ。
 折角の予定を反故にされ、更に暇を持て余したお嬢様は何か暇を潰す方法を見つけろと、この老紳士に無理難題を言いつけている最中である。
「何度もお伝えしている通り、二日後のパーティーの準備で人手が回せないのです。それにお父上様からも屋敷を出るなと言われていたではありませんか」
「うぅ……わ、判ってるわよ、そんな事……。でも、暇なの! つまんないの! 我慢できないのっ!」
 いーと歯を見せる少女に、執事はやれやれと頭を振る。お嬢様は一度言い出したらそう簡単には意見を変える事はなく、老執事はそれを痛いほどに知っている。
 それに頭を痛めつつも、手の掛かる子は可愛いと言うように、結局は甘やかしてしまうのだった。
 しかし、人手が集まらぬ現状で屋敷の外に出す訳にもいかず、老執事は答えの出ない思考の迷宮に迷い込む。
「――そうだわっ!」
 少女は椅子から飛び降りると、煌びやかなスカートを揺らしながらくるりと回った。
 にっこりとほほ笑むお嬢様の姿には愛らしさがある。が、碌でもない事を考え付いた顔だと、老執事は内心でため息をつく。
「屋敷からは誰も出せないんでしょう?」
「え、えぇ。今はパーティーの準備で手一杯ですから」
 この部屋には老執事とメイドが一人いるだけ。普段ならもう二、三人増え、外出時ともなれば武装した使用人が十の単位で護衛に付く。
 二人だけという現実が、今この時の忙しさを物語っていた。
 猫の手でもいいから本気で借りたい状況の中、お嬢様の為にと漸く捻出したのが、このメイド一人なのだ。
「だからね、この館の中から人を出さなきゃいいのよ」
 何を言ってるんだこの我儘娘は、と老執事は思わず喉元にまで出かけた言葉をやや強引に飲み込んだ。
「で、では一体どこから人を出せと?」
「居るじゃない。そう言うのがピッタリな仕事をしている人達が」
 一瞬何を言っているのか判らなかった老執事だが、数瞬置いて思い出したように頷いた。
「確かに、そう言った仕事も請け負ってくれるでしょうが……いえ、ダメです」
 一瞬その手があるかと思った老執事だったが、いやダメだろ、と頭を振った。
「彼らがダメと言う訳ではなく、素性も知れる方々にお嬢様を任せるなど、出来るはずもはありません。お嬢様の身に何かあったらと思うと――」
「あーはいはい。その後はもう聞き飽きたわよ。でも、退屈なんだもん、仕方ないじゃない」
「仕方がないで済まさないでください。まったく、お嬢様の退屈凌ぎの為に我々がどれだけの苦労を――」
「ねぇ、ちょっと依頼出してきてくれない? 依頼内容は私の護衛って事で」
 ハッとなって老執事は振り返る。いつの間に移動したのか、少女はメイドに仕事を言いつけていた。
「え、えっと、その……し、執事長~」
 半泣きになりそうな顔でメイドが悲鳴を上げる。
「だ、ダメです! なりません!」
「良いじゃない別に。ほら、さっさと行ってきなさい。それともなに? 私の言う事が聞けないの?」
「ダメと言ったらダメです!」
「うわ~ん――! どうしたらいいんですか~!!」
 メイドはついに泣き出した。行けと言う主と、行くなと言う上司。二つに板挟みにされたメイドはどっちに従ったらいいか分からず、渦中に飲み込まれた。

●数分後
「わ、判りました……はぁ、はぁ……。で、では、本館から別館までの間のみと限定していただけるのなら、許可しましょう……はぁ、はぁ……」
「な、納得いかないけど、ま、まぁいいわ……」
 息も絶え絶え。二人の舌戦は熾烈を極め、メイドは部屋の隅で怯えていた。
 一度深呼吸し、乱れた頭髪を正し、衣服の歪みを矯正するといつものすまし顔に戻った老執事はこほんと咳払いを一つする。
「本来であれば許可する訳にはいきませんが、このまま言い争っていても終わりがないでしょうから、今回だけは特別という事をお忘れなく」
「はいはい判ったってば。――ね、これ、直して」
「は、はい、ただいま――!」
 乱れた髪型を指さすと、メイドは慌てて主の髪を梳いて纏める。
「じゃあ早速依頼を出さないとね。一分一秒でも勿体ないわ!」
 目をきらきらと輝かせる小さな主を見て、老執事とメイドは心の中で盛大な溜息を零した。
 一度許可すれば二度、三度と繰り返すのはお決まりで、ならば対策の立て様もあると老紳士は仕事が一つ増えたと嘆息した。
 取り立て、今回をどう乗り切るか。執事は何度も頭の中でシュミレーションしつつ、退室する。

●ハンターオフィス
「あはは……ちょっと変わった内容ですけど、依頼なので――」
 苦笑いと乾いた声で受付嬢は依頼書を提示する。
 依頼内容は簡単だという皮を被った複雑さが見え隠れするものだ。
「依頼内容はソラスお嬢様を目的地まで護衛する、です。敷地内の別館とされていますが、途中に街道が走っているので、外を行くのと同じだと思ってください」
 敷地内ならと許可を出した老執事だったが、私有地だと示す柵がないのであれば入りたい放題だという事に気づいていないようだ。
「街道は整備されていて、旅人や商人が良く行き交っていました」
 過去形で言う彼女に、疑問の念が上がる。彼女はそれに答えるように言葉を続ける。
「最近、この街道付近に雑魔の姿が確認されています。一体一体はさほど脅威ではありませんが、群れて動くタイプなので注意が必要です。加えて、街道には三、四メートルほどの岩が点在しているので、物陰からの奇襲にも注意が必要です」
 更に、お嬢様だけではなくお付のメイドも一人同行すると付け加えた。
 メイドは最終防衛ラインのようなもので、いざとなればその身を持ってお嬢様を守る盾として同行する。
 老執事ははっきりと告げなかったが、ハンターが同行するのなら必要になる事はないだろう、という挑発的な意味合いが少し含まれている。
「――それではこの依頼、お受けしますか?」

解説

●成功条件
 ソラスお嬢様を楽しませながら、目的地まで護衛してください。

●失敗条件
 ソラスお嬢様が怪我などをする。
 ソラスお嬢様が途中で飽きてしまう。

●現地情報
 なだらかな平原と三、四メートルはある岩が点在している。
 平原自体の視界は良好だが、点在する岩がそれを遮る場所もある。 
 道は蛇行しており、曲がり道付近は特に岩が多い。
 街道を通って行けば二十分と少しで目的地へ到達する距離です。

●依頼詳細
 ソラスお嬢様を無事に別館までお連れしてください。
 その際、怪我を負わせる事は言語道断です。また、お暇を覚えさせる事もないようにお願いします。
 お嬢様はお話をするのが大好きで、また理由は判らなくとも格好良いと思える物を好みます。
 例えば、雑魔を倒した際に決めポーズを取る、攻撃をあえて大仰しくしたりなどです。
 護衛は当然ですが、お嬢様の話し相手に数人割り当ててください。

●討伐対象詳細
 子供のような体格をした雑魔x10
 一対一なら余裕をもって相手に出来る程度の強さ。
 棍棒や石斧などの打撃系武器と木の盾を持っている。
 群れて行動し、四、五歳程度の知能がある。
 光り物や鮮やかな色をした、ぱっと目に付く物を優先的に狙う。

●その他
 お嬢様の話し相手を担当される場合、アドリブが多くなると思います。
 こんな風な感じで喋るなどのサンプルを書いて頂けると反映させやすいです。
 お任せの場合はその旨をお書きください。

マスターより

こんにちわ、トロバドルです。

典型的な我儘お嬢様と考えてください。
お嬢様は勝手に行動し、基本的に一人でずんずんと先に進んでしまいます。
雑魔が出た際には歩みを止めますが、守ってもらうのが当たり前と思っているので逃げたり隠れたりはしません。させようとしても拒否します。
街道を通った場合は二十分ですが、目的地まで直進した場合は七、八分になります。
また、雑魔を先に始末し、話し相手をしながら目的地へと向かうという方法はその時点で失敗になります。
あくまで話し相手をするのは楽しませる方法の一つだと捉えてください。たった一つでは、お嬢様は目的地まで楽しめません。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/03/07 09:50

参加者一覧

  • ドラゴンモドキスレイヤー
    フレアティラミス(ka0011
    人間(紅)|15才|女性|闘狩人

  • ピオス・シルワ(ka0987
    エルフ|17才|男性|魔術師
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • びりびり電撃どりる!
    八劒 颯(ka1804
    人間(蒼)|15才|女性|機導師

  • 群青(ka2650
    人間(蒼)|32才|男性|機導師
  • ブリーダー
    結樹 ハル(ka3796
    人間(蒼)|16才|男性|機導師
  • 今を歌う
    エルディラ(ka3982
    ドワーフ|12才|女性|魔術師
  • Centuria
    和泉 澪(ka4070
    人間(蒼)|19才|女性|疾影士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ピオス・シルワ(ka0987
エルフ|17才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2015/02/26 21:04:47
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/02/23 12:19:39