• 不動
  • 戦闘

【不動】ポンコツの本気と憲兵の戦う理由

マスター:稲田和夫

このシナリオは1日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
3日
プレイング締切
2015/02/26 12:00
リプレイ完成予定
2015/03/08 12:00

オープニング

 ゾンネンシュトラール帝国の山間部にその街は屍を晒していた。
 かつては、鉱物性マテリアルを産出する鉱山として栄えた街であった。
 しかし、採掘量の減少と、マテリアルの枯渇による汚染の拡大と雑魔の発生などが重なり、鉱山が廃鉱となると街そのものも打ち捨てられ、荒廃と雑魔の蹂躙するに任された。
 跡地開発の目途もなく、ただ打ち捨てられ忘れ去られ、荒廃を待つだけの村。しかし、その村に続く荒れ果てた街道を帝国の誇る魔導トラックが今、土埃を巻き上げて進む。
 列の真ん中を走る三台のトラックの荷台には、防水シートをかけられた4mほどの機械が一台ずつ積まれている。
「しかし、何故軍が我々錬魔院の頼みに、こうも易々と応じたのでしょうか?」
 そう首を傾げたのは錬魔院の技術者の一人だ。
「今回の実験……いや、デモンストレーションには色々な面で軍の協力が必要だったからな。元々水面下で交渉は進めていたらしい。如何せん軍にとってもウチにとっても色々と初めて尽くしで、人選に苦労したらしいが、開発チームの一つが、ある軍人を名指しで指名したところ、先方も二つ返事で引き受けたんだと」
「それが、あの女ドワーフなんですか? ……しかし、あの人たち、工兵とか整備兵じゃなく憲兵でしょう? 機械に強い憲兵というのも、何かしっくりこないですね。……まあ、要人警護は確かに専門でしょうが」
「その指名したチームが、CAMの実験場を目指して暴走した事件な。その時に何かあったらしい。……いや、俺も何度か話してみたが、知識と技術は信用は出来る。まあ、ドワーフってのはもともと器用だし、長生きだからな。軍に入る前に色々あったんだろう」
 
 その頃、オレーシャは先頭のトラックの荷台で、じっと物思いに耽っていた

「兵長。最後尾車より報告。以前周囲に異常なし。このままいけば予定時刻に到着します……兵長?」



『わぁ! 動いた! ねぇ、他にはどんな機械があるの? おにいちゃん!』
『ドワーフが器用なのは知っていたけど……オレーシャは機械に強いんだな。よし、次は、俺がリアルブルーで子供の頃に作ったこれを分解して、組み立ててみよう』
 
 それは、過ぎ去ってしまった遠い穏やかな時代の記憶。
 私がまだ帝国北部の故郷にいた頃の記憶だ。
 彼はリアルブルーにいた頃はどこかの大企業のエンジニア……上級技術者だったらしい。

『おにいちゃん、怖いよ……』
『ここに隠れていなさい。大丈夫、ここは帝国だ。すぐに師団が駈けつけて来る』
 私が生きている彼の姿を見たのは、それが最後だった。
 連中は、当時の政権の弱体化を良いことに地方で跋扈していた盗賊団だった。リアルブルーからの転移者で、ドワーフとの交流もある事から金目の物目当てで彼の家を襲ったのだ。
 賊には三下とはいえ覚醒者もおり、争いごとの嫌いな彼は精霊のとの契約すら行っていなかった。
 恐る恐る外の様子をうかがった私は変わり果てた彼の姿を見たのだろうが、幼い精神が拒絶したのかそれは霞んで思い出せない。
 かわりに私の脳裏に焼きついているのは。
『ぐぎゃあああ!? 腕が、俺の腕が!』
『勝手なマネしやがって』
 モヒカンなる珍妙な髪形をしたこれまたチンピラにしか見えないひょろ長い男と。
『一人も殺すな』
 あの頃はまだ、眼帯をしていなかった我が副師団長の姿だった。
『この機会に組織を根絶やしにする。口だけは動くようにしておけ』


 
「兵長? ……もしかして、まだ傷が……」
 部下が心配そうな声を出す。
 オレーシャはCAMを巡る一連の事件で十三魔の一人アイゼンハンダーと接触し、体に穴を開けられるほどの重傷を受けたのが、ようやく原隊復帰の許可が出たばかりであった。
「……ああ、すまない」
 ようやく意識を過去から現在に引き戻したオレーシャは、ハンターたちの方を振り向いて状況の説明を始める。
「今回の依頼には二つの目的がある。我々が向かう鉱山町には旧政権時代に採掘された大量の鉱物性マテリアルが残されている。資料の信憑背には疑問が残るが、CAMの動力が鉱物性マテリアルで代用可能と判明している以上、探す価値はあるだろう」
 次に、オレーシャは悪戯っぽく笑った。
「もう一つは……先ほどから諸君も気になっているアレだ。我が国の開発した魔導アーマーもまた、先の実験の結果その性能を大きく前進させたことは既に諸君らも知ってくれていると思う。今回の依頼の目的はそのデモンストレーションだ」
 やがて、トラックが目的に辿り着くと、荷台から次々と防水シートが取り払われていく。
 起動のため忙しく動き回る帝国兵士や技術者たちを、悠然と構えた三人の人物が眺めていた。
「ナナミ河には怠惰の軍勢が集まっているようですが、こんな所にアーマーを投入して帝国は大丈夫なのですかな?」
 男の一人が尋ねた。
 三人は、全て仮面やフードで素顔を隠しておりその正体は判然としない。
「無論、帝国から辺境に向けて、大量のアーマーが輸送中です。……あなたがたはアーマーの性能を最前線でご覧になりたいとおっしゃるのか?」
 既にアーマーに乗り込んでいたオレーシャが首を傾げる
「と、と、とんでんもない!」
 マスクをしたやや小太りの男が慌てて首を振った。
「わ、わたしには貴国の魔導アーマーとやらの性能を確かめる大切な目的がある。も、もしわたしの身に何かあったら、困るのはアーマーを売りたい帝国の方ですぞぉ!」
「ご心配無く。ナナミ河からもたらされるのは、魔導アーマーの輝かしい戦果であることはお約束出来ます。今回のデモンストレーションの目的は、実戦における魔導アーマーの性能をより詳細にご覧いただくためのものだ」
 ここで、それまでじっと黙っていた、フードを目深に被った男がようやく口を開いた。
「同時に、辺境に注目が集まっているこの機会を利用して帝国内で蠢動を試みる国内の歪虚や、不穏分子への牽制をも兼ねる、といったところか。……なるほど、流石は悪名高い第一師団憲兵隊の兵長殿だ」
「その通り」
 皮肉な口調に淡々とオレーシャは応じた。
「最前線で巨大な脅威と戦わなければ人類は守れない。だが、国内に潜む脅威とて、一度牙を剥けば人の命を奪う事には変わりが無い。最前線で戦う者たちのために、国内を守るのが我々の務めですので」
 トラック上の三台のアーマーは次々と起動し、無骨だが力強い四本の脚が大地を踏みしめた。

解説

★目的
量産型魔導アーマーの実戦におけるデータの収集及び、クライアントへのデモンストレーション。
町に貯蔵されている可能性のある鉱物資源の探索

★状況
遺棄された鉱山町が舞台。両側を谷に挟まれた細い土地に雑多な建物の残骸が残っている。
とりあえず東西南北に走る主要な道路はアーマーが何とか機動出来るくらいの広さはある。
任務の性質上、基本的に建築物の被害については不問。ただし、物資が貯蔵されている倉庫については注意すること。
倉庫は、街の北東の端と北西の端に一棟ずつ存在。どちらに鉱石が保存されているかは不明。
PCたちは街の南側から開始となる。アーマーの燃料節約など効率の観点からも二手に分かれての捜索が推奨されている。
また、倉庫内は結構広く、捜索も必要。直接アーマーで侵入することは不可能。

★魔導アーマー
計三台。
詳しいデータについては、特設ページを参照。
一台は兵長が搭乗するのでハンターが自由に使用できるのは二台。
一台に二人までは搭乗可能。
ハンター同士で乗り換えを行っても問題はない。
武装については基本的には格闘武器のみとなる。
選択できる装備は特設ページにあるような近接戦用の爪やブレード巨大なモーニングスターそしてパイルバンカーである。また、盾を装備することも可能。

★雑魔
街にはかなりの数の雑魔が生息している。
野生の生物が雑魔化したもので、数や種類こそ多いが、強力な個体は存在しない。

★要人
護衛対象。三名。正体を明かす事は無い。魔導アーマーに強い興味を抱く国内外の企業の重役や、政府要人と推測されるが、その正体を探ることは禁じられている。
彼らと錬魔院技術者など非戦闘員の護衛は基本的にオレーシャと彼女の部下が行う。

★オレーシャ
詳しい事情は『【虚動】ポンコツアーマーと共食い整備』、『【虚動】Eisen Händer』を参照。

マスターより

お世話になっております。
少々ご無沙汰してしまいすみません。稲田です。
このアーマーが量産された暁には歪虚などあっという間に叩いて(ry
もう『ポンコツ』ではない……『量産』の時は遂に来た……
騒動を経て、魔導アーマーの開発は大きく前進しました。元々生産ライン自体はある程度確立されていたこともあり、ナナミ河の戦況もあって急速に実戦投入が加速しているようです。
今回の依頼はそれに伴いアーマーの『商品』としての価値を証明して、その普及を目指す依頼でもあります。
では、興味を持っていただければ幸いです。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/03/01 22:47

参加者一覧

  • 理由のその先へ
    レホス・エテルノ・リベルター(ka0498
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
  • アルテミスの調べ
    メトロノーム・ソングライト(ka1267
    エルフ|14才|女性|魔術師
  • 真実を見通す瞳
    八島 陽(ka1442
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • ヒーローを目指す者
    鳴神 真吾(ka2626
    人間(蒼)|22才|男性|機導師
  • ビキニアーマーマイスター
    ゲルト・フォン・B(ka3222
    人間(紅)|19才|女性|聖導士
  • いなせな
    鬼塚 雷蔵(ka3963
    人間(蒼)|20才|男性|猟撃士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
レホス・エテルノ・リベルター(ka0498
人間(リアルブルー)|18才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2015/02/26 11:29:15
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/02/23 12:02:58