ゲスト
(ka0000)
夕焼けに暮れなずむ
マスター:瀬川綱彦

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/07/01 12:00
- リプレイ完成予定
- 2014/07/10 12:00
オープニング
●夕焼みにうごめく
夕闇が不吉などと思ったことはなかった。あんなに綺麗なのだから、怖いものなどなにもないと思っていた。
その認識が間違っていたと気づいたのはエミリーが12歳の時分――つまり、今だった。
周りの人間に隠し、街の隅に繁る木々の合間でエミリーが飼っている猫がいた。元は捨て猫だったのだろう、せめてもの償いにと毛布にくるまれて放置されていた姿を見つけてから、自分のご飯を少し分けながら育てていたのだ。
本当ならちゃんと室内で飼ってあげたかったが、連れ帰ることのできる家が彼女にはなかった。両親は早くに逝去し、孤児院暮らしになっていたからである。院内での生活に特別不満があるというわけでなかったが、親を亡くしたその猫に、幼い彼女は親近感を覚えて溺愛していた。
そうして愛情を注いで育ててしまったから、当初は子猫であったのに今では逆に大きくなりすぎてしまってエミリーでは抱き上げるのも一苦労となってしまったのだが。少しふくよかになりすぎてしまったが、それでも寒さに震えていた幼き頃よりもずいぶんと頼もしい姿になってくれたと安心させてくれたものであった。
だから今日も、いつものように昼ご飯の残りを持って――夜には外出できないから、この時間が最後のチャンスなのだ――猫のいる場所へと向かったのである。
綺麗な夕焼けの下で猫の世話をするのは日課で、胸を喜びで弾ませながら早歩きで向かっていた。
だから件の場所に着いたとき、彼女が呆然と立ち尽くして腕に抱えていたパンを取りこぼしてしまったのも仕方のないことだった。
聞こえるのは猫の鳴き声。
姿は見えない。それでも猫の鳴き声がする。
いや、確かに猫はそこにいて、鳴いている。にゃあにゃあと鳴いている。今でも確かに鳴いている。けれど、エミリーにはそれが猫だと認識できない。
幽かな夕焼けが木々の枝木の間から、それのシルエットを紅く照らす。血の色だ。――不吉だ。
てらてらと躯の表面が光る。躯を覆う鱗が光を反射していて、本当に血に濡れているようであった。
大蛇だった。大きさはエミリーは元より、成人男性すら丸呑みにできそうなほどに巨大だ。
その蛇の腹部が今、大きく膨らんでいる。
確か、あの猫の大きさは、あのくらいではなかったか。
お腹から、にゃあにゃあと猫の鳴き声がした。
猫を丸呑みにした蛇の、冷たく血の通わぬ目がエミリーを見た。
ちろりと舌を覗かせる大蛇の姿に、エミリーは悲鳴をあげて飛び出した。
●
「依頼です。ある街に大蛇が侵入しました」
ハンターオフィスにて、受付嬢がハンターたちを前にして第一声を放った。眼鏡越しに見つめる書類の文面は走り書きされたメモ用紙のような風情で、今回の依頼が緊急の物であることを物語っていた。
「侵入経路は現在不明です。幼生時に貨物に紛れ込み街にやってきたか、その街の警戒に不備があったか……ともあれ、今回気にするべきところではありません。皆様に依頼する任務は、侵入した大蛇の駆除です。それと、件の大蛇は腹部が大きく膨らんでいるでしょうが、それは……」
受付嬢が何事かを説明しかけたとき、オフィスの奥から小さな女の子が姿を現した。年齢は12歳くらいだろうか。目の周りは泣きはらしていて紅くなっており、別の職員が彼女の隣についていた。
「お腹の中から、あの子の声がするの」
掠れた声で少女がそう言うと、受付嬢が言葉を継いだ。
「彼女が大蛇の第一発見者です。野良猫を捕食しているところを目撃したようです。大蛇の腹部が膨らんでいるとしたら、それは野良猫を丸呑みにしたからでしょう。大蛇のサイズは人間を捕食する可能性もある巨大なものです。早急に駆除願います」
少女が鼻をすする音を聞いて、受付嬢の目がちらりとそちらに向いた。
「腹部に攻撃しなければ、中身にダメージを与えることはないでしょう。ともあれ、最優先事項は皆様の身の安全と大蛇の撃破です。それでは、よろしくお願いします」
夕闇が不吉などと思ったことはなかった。あんなに綺麗なのだから、怖いものなどなにもないと思っていた。
その認識が間違っていたと気づいたのはエミリーが12歳の時分――つまり、今だった。
周りの人間に隠し、街の隅に繁る木々の合間でエミリーが飼っている猫がいた。元は捨て猫だったのだろう、せめてもの償いにと毛布にくるまれて放置されていた姿を見つけてから、自分のご飯を少し分けながら育てていたのだ。
本当ならちゃんと室内で飼ってあげたかったが、連れ帰ることのできる家が彼女にはなかった。両親は早くに逝去し、孤児院暮らしになっていたからである。院内での生活に特別不満があるというわけでなかったが、親を亡くしたその猫に、幼い彼女は親近感を覚えて溺愛していた。
そうして愛情を注いで育ててしまったから、当初は子猫であったのに今では逆に大きくなりすぎてしまってエミリーでは抱き上げるのも一苦労となってしまったのだが。少しふくよかになりすぎてしまったが、それでも寒さに震えていた幼き頃よりもずいぶんと頼もしい姿になってくれたと安心させてくれたものであった。
だから今日も、いつものように昼ご飯の残りを持って――夜には外出できないから、この時間が最後のチャンスなのだ――猫のいる場所へと向かったのである。
綺麗な夕焼けの下で猫の世話をするのは日課で、胸を喜びで弾ませながら早歩きで向かっていた。
だから件の場所に着いたとき、彼女が呆然と立ち尽くして腕に抱えていたパンを取りこぼしてしまったのも仕方のないことだった。
聞こえるのは猫の鳴き声。
姿は見えない。それでも猫の鳴き声がする。
いや、確かに猫はそこにいて、鳴いている。にゃあにゃあと鳴いている。今でも確かに鳴いている。けれど、エミリーにはそれが猫だと認識できない。
幽かな夕焼けが木々の枝木の間から、それのシルエットを紅く照らす。血の色だ。――不吉だ。
てらてらと躯の表面が光る。躯を覆う鱗が光を反射していて、本当に血に濡れているようであった。
大蛇だった。大きさはエミリーは元より、成人男性すら丸呑みにできそうなほどに巨大だ。
その蛇の腹部が今、大きく膨らんでいる。
確か、あの猫の大きさは、あのくらいではなかったか。
お腹から、にゃあにゃあと猫の鳴き声がした。
猫を丸呑みにした蛇の、冷たく血の通わぬ目がエミリーを見た。
ちろりと舌を覗かせる大蛇の姿に、エミリーは悲鳴をあげて飛び出した。
●
「依頼です。ある街に大蛇が侵入しました」
ハンターオフィスにて、受付嬢がハンターたちを前にして第一声を放った。眼鏡越しに見つめる書類の文面は走り書きされたメモ用紙のような風情で、今回の依頼が緊急の物であることを物語っていた。
「侵入経路は現在不明です。幼生時に貨物に紛れ込み街にやってきたか、その街の警戒に不備があったか……ともあれ、今回気にするべきところではありません。皆様に依頼する任務は、侵入した大蛇の駆除です。それと、件の大蛇は腹部が大きく膨らんでいるでしょうが、それは……」
受付嬢が何事かを説明しかけたとき、オフィスの奥から小さな女の子が姿を現した。年齢は12歳くらいだろうか。目の周りは泣きはらしていて紅くなっており、別の職員が彼女の隣についていた。
「お腹の中から、あの子の声がするの」
掠れた声で少女がそう言うと、受付嬢が言葉を継いだ。
「彼女が大蛇の第一発見者です。野良猫を捕食しているところを目撃したようです。大蛇の腹部が膨らんでいるとしたら、それは野良猫を丸呑みにしたからでしょう。大蛇のサイズは人間を捕食する可能性もある巨大なものです。早急に駆除願います」
少女が鼻をすする音を聞いて、受付嬢の目がちらりとそちらに向いた。
「腹部に攻撃しなければ、中身にダメージを与えることはないでしょう。ともあれ、最優先事項は皆様の身の安全と大蛇の撃破です。それでは、よろしくお願いします」
解説
・勝利条件:大蛇の撃破
・敗北条件:上記が達成できなかった場合。
・補足:大蛇(無足生物)の腹部を攻撃すると、捕食された生物にダメージが入ります。
・蛇について
捕食後のため動きが鈍く、移動力が通常よりも低くなっています。そのため、蛇特有の跳躍力も損なわれているようです。
しかし、接近して攻撃された場合、その躯に拘束される場合があります。拘束されるとさしもの覚醒者といえども抜け出すまで行動できない程の力がありますので、注意してください。
・猫について
大蛇は猫を丸呑みにしています。捕食されてから時間が浅いため、戦闘終了後に引きずり出し、回復することで生存させることが可能です。しかし、猫の生存を目指す場合、部位:腹に攻撃が命中してしまうと猫にダメージを与えてしまい、最悪一撃で死亡してしまいます(腹部に命中した場合、ダイスを振って、その出目が攻撃したPCの威力値以下が出た場合、死亡します。スキルによる威力の上昇も加味します)。
誤って命中部位が腹部になりそうなときは、攻撃を中止する、としていれば腹部へ攻撃することはないでしょう(データ的には、命中部位が腹になった場合は攻撃をやめる、などプレイングに記載されていればダメージを与えず行動を終了します)。ですが、その分苦戦を強いられることになります。
救出が出来ましたら、彼女が親の蓄えからいくらかの報償も出してくれるとのことです。
・地形
大蛇のいる周辺には防火林が広がっています。遠距離攻撃手段がある場合、木々の枝を利用して頭上から攻撃するとで相手の接近を阻むことができるなど、戦闘を有利に進めることが可能でしょう。なにか案がお有りでしたら、積極的な利用を検討してみるのも有効かと存じます。
以上です。
それでは、ご健闘を祈ります。
――無愛想な眼鏡の受付嬢より。
・敗北条件:上記が達成できなかった場合。
・補足:大蛇(無足生物)の腹部を攻撃すると、捕食された生物にダメージが入ります。
・蛇について
捕食後のため動きが鈍く、移動力が通常よりも低くなっています。そのため、蛇特有の跳躍力も損なわれているようです。
しかし、接近して攻撃された場合、その躯に拘束される場合があります。拘束されるとさしもの覚醒者といえども抜け出すまで行動できない程の力がありますので、注意してください。
・猫について
大蛇は猫を丸呑みにしています。捕食されてから時間が浅いため、戦闘終了後に引きずり出し、回復することで生存させることが可能です。しかし、猫の生存を目指す場合、部位:腹に攻撃が命中してしまうと猫にダメージを与えてしまい、最悪一撃で死亡してしまいます(腹部に命中した場合、ダイスを振って、その出目が攻撃したPCの威力値以下が出た場合、死亡します。スキルによる威力の上昇も加味します)。
誤って命中部位が腹部になりそうなときは、攻撃を中止する、としていれば腹部へ攻撃することはないでしょう(データ的には、命中部位が腹になった場合は攻撃をやめる、などプレイングに記載されていればダメージを与えず行動を終了します)。ですが、その分苦戦を強いられることになります。
救出が出来ましたら、彼女が親の蓄えからいくらかの報償も出してくれるとのことです。
・地形
大蛇のいる周辺には防火林が広がっています。遠距離攻撃手段がある場合、木々の枝を利用して頭上から攻撃するとで相手の接近を阻むことができるなど、戦闘を有利に進めることが可能でしょう。なにか案がお有りでしたら、積極的な利用を検討してみるのも有効かと存じます。
以上です。
それでは、ご健闘を祈ります。
――無愛想な眼鏡の受付嬢より。
マスターより
瀬川です。猫は今更論じるまでもなく最高にかわいいのですが、蛇とかヤモリみたいな爬虫類も目がくりくりしててかわいいと思います。蛇を首に巻き付けるとか怖くてできませんが……。
それでは、よろしくお願いします。
それでは、よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/07/07 20:04
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/06/28 21:25:42 |
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相談卓 米本 剛(ka0320) 人間(リアルブルー)|30才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/07/01 02:54:01 |