• 戦闘

長い旅路の先に

マスター:赤山優牙

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/03/12 09:00
リプレイ完成予定
2015/03/21 09:00

オープニング

●古都アークエルスにて
 王国の北東部の山麓にやや近い場所にある、歴史や魔法など様々な研究を目的とした学術都市だ。
 都市の大きな特徴はグラズヘイム王立図書館がある事。
 通称グリフヴァルト(文字の森)と呼ばれるこの図書館の歴史は古く、一説には古都が街としてのまとまりを持つことになるより以前、さらには王国が成り立つ前から存在するのではないかと噂されている。


 数年前まで図書館で警備の仕事をしていた1人の翁がいた。
 翁はこの街で生まれた。覚醒者としての素養があり、若い頃はハンターとして活躍していた。
 やがて、愛する人と出逢い、家庭を持ち、慎ましいながらも充実した人生を歩んできた。
「……」
 翁が無言で自宅を見上げる。
 子供が生まれる時に借りた家だ。今ではもはや、ボロ家と化している。
 最近、地主が変わったようで、立ち退きを要求されていた。
 頼る先はない。親族も親戚も翁にはいなかったから。
 数年前に妻が亡くなった。特別な事じゃない。老衰だ。
 時同じくして子が病死した。子と結婚した相手は、故郷に帰ったようだ。
「ただいま、じゃ……」
 玄関の戸を開けるが、返事をする者はいない。
 もう、いつでも、あの世に逝く用意はできている。
 人生という長い旅路の先。いつになったら逝けるのだろうか。
「生きるのも地獄。死ぬのも地獄……じゃな」
 若い頃、無理無茶をいっぱいした。善い事も悪い事も。
 地獄にきっと落ちると思っていたが、最近、少し考えが変わった。

『今が地獄なんじゃないか』

 果てない孤独。
 止まない凍え。

 さすがに、疲れてきた。
 ハンターとして戦いの日々を過ごした事を思い出す。
 ふと、その頃に愛用していたアルケミストデバイスが目に入った。
「……」
 それを手に取る。
 そして、思ったのだ。
 このまま、いつ来るかわからない死を待つよりも、最後、戦いの中で死のうと……。

●嘆きの橋
 それは古都のとある水路に途中まで架かっている橋だ。
 綺麗な半円を描いている石造りの橋には、ある噂がある。
『この橋で嘆けば、その悲しみや苦しみから解放される』
 翁は真夜中にその橋にやってきた。
 長い人生の間、幾度か通った事があるその橋は、ある意味、翁にとってはなじみの場所でもあった。

 そして、誰に話すというわけでもなく、語りだす翁。
 長い旅路の先、孤独と凍えに終焉を見たいと。
 最後は戦いの中で死にたいと。

 王国の西、傲慢の歪虚に占拠されたイスルダ島に単身に乗り込む。
 王国の北、ゴブリン等の亜人の勢力地である北の山脈のどこかにあるという巨大洞窟を探す。
 これらであれば、死地はあるだろう。
 だがら、翁は自分の想いを吐きだしたかったのだ。
 誰も聞いていなくとも……。

 翁が一通り語り終えた時だった。
「貴方の願い、叶える事、できますよ」
 橋の先の路地から1人の少女が現れた。歳は13位。緑色の髪が映えている。
 話をずっと聞いていたのだろうか。
「島に行くにも、北の山脈に行くにも、今の貴方にとっては遠すぎるはずです」
 確かに少女の言う通り、距離はある。
「お嬢ちゃんには関係のない事じゃ」
「だったら、なぜ、ここで、語っていたのですか?」
 誰かに聞いて欲しかったからなのかと。
 少女の瞳はそれを訴えていた。
「私には貴方が深い絶望の中にいる気がするのです」
「この歳じゃ、自分の事、世の中の事。悲観的にはなる」
「なら、一緒に前を向きませんか? たとえ、地獄に落ちる所業であったとしても」
 その言葉に翁の瞳は、若い頃、ハンターとして戦っていた時の鋭い輝きを放った。
「どういう事じゃ」
「雑魔と戦える場所は用意します。存分に戦って下さい。ですが、もし、貴方が生き残ったら、私達と一緒に行きませんか」
 驚きの提案だった。
 この少女は、死地を用意するという。それでも、生き残れという。
「面白い提案じゃ。ワシの願い、叶えてもらおう」
 橋の先から、対岸に向かって跳ぶ。
 この歳で、並の身体能力じゃない。
「あと、儂の事は『貴方』ではなく、オキナとでも呼んでもらおうかのぉ」

●とあるハンターオフィスにて
「倉庫で雑魔って流行ってるのかしら。まさか、今年のトレンド?」
 青紫色の髪をクルクルとしながら受付嬢がそんな事を呟いた。
 モニターには雑魔討伐の依頼が表示されている。
「古都アークエルスのある貸倉庫内に出現した雑魔を討伐する依頼となります」
 なんでも、貸倉庫の内部に雑魔が出現しているらしい。
 長らく使われていなかった倉庫だったはずなのだが、倉庫の持ち主に匿名の通報があり、中に雑魔がいる事がわかった。
「近くには民家もありますので、早々に退治しようという事になりました」
 依頼の資料が配られる。
 雑魔を退治するだけの様だ。
「……受付嬢を交代する人がいたら、私が行っていたのに……」
 ボソっとなにか言っている。
 資料によると雑魔の数は1体の様だ。
「そ、それでは、依頼を受ける場合、こちらにサインをお願いします」
 受付嬢は営業スマイルをハンター達に向けていたのであった。

解説

●目的
雑魔1体の討伐。

●内容
倉庫内に現れた雑魔を討伐する。

●地形
縦横約20メートル、高さ5メートル程のレンガ組みの倉庫。階層はありません。
出入り口は一か所のみ。壁には小さい格子窓がいくつか取り付けられている。
倉庫内に保管されている物資等はありません。
扉は外側から閂で閉まっているだけです。
(閂にかける鍵は現在、倉庫が使われていないのでかけられいません)。

●雑魔
頭に鶏冠の様な物を持つ犬の様な姿をしています。
4mぐらいの大きさです(サイズ2となります)。
背に3つ、犬の様な頭が乗っています。口からは酸や炎、睡眠の煙を吐く様子です。
 
●翁(オキナ)
外見年齢75歳。白髪と白いちょび髭が特徴的。機導師。
PC達が到着した際、既に倉庫の扉が開けられ、中で雑魔と戦っています。
PC達が援護に入ろうとしたら、「手出し無用!」と言ってきます。
援護がないまま戦うと負けます。援護がある場合は、文句を言いながらも共闘します。
倉庫で戦っていた理由を訊ねても「たまたま通りがかったら、中に雑魔がいた」と答えます。
それ以外の事を訊ねられても、正直に答えるかどうかわかりません(内容次第です)。

●その他
オープニングの『嘆きの橋』の所は、PL情報になります。

マスターより

●ご挨拶
おはようございます。また、倉庫です。倉庫フェチではありません。

●攻略のヒント
翁の孤独と凍えを救う事も、依頼の達成度に影響します(翁が結果的に死ぬ事になったとしても)。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/03/15 19:46

参加者一覧

  • 和なる剣舞
    オウカ・レンヴォルト(ka0301
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
  • ボルディアせんせー
    ボルディア・コンフラムス(ka0796
    人間(紅)|23才|女性|霊闘士
  • 縁を紡ぐ者
    シエラ・ヒース(ka1543
    エルフ|20才|女性|霊闘士
  • 紫煙の守護翼
    シガレット=ウナギパイ(ka2884
    人間(紅)|32才|男性|聖導士
  • 光あれ
    柏木 千春(ka3061
    人間(蒼)|17才|女性|聖導士
  • 救いを恵む手
    スピノサ ユフ(ka4283
    人間(紅)|29才|男性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
ボルディア・コンフラムス(ka0796
人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|霊闘士(ベルセルク)
最終発言
2015/03/11 20:43:03
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/03/07 21:38:44