ゲスト
(ka0000)
【不動】ちょっとカッコいいとこ見せてくれ
マスター:樹シロカ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/08 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/03/17 19:00
オープニング
●フマーレの一画にて
狭い通りは、様々な物音に満ちていた。
蒸気の噴き出す音、機械の軋む音、そして怒鳴い合いのような話し声。
同盟軍中尉メリンダ・ドナーティ(kz0041)はそれらの物音に注意を払いつつ、同時に地番を示す看板を目で追っていた。
彼女の後には年老いた男がついて来る。老いて杖をついているが、彼の気配には弱さは微塵も感じられない。
寧ろその眼光は鋭くも好奇心に輝き、全身から漲る生気はそこらの若者にも引けを取らないほどだ。
「中尉」
「はい、何でしょう」
呼びかけられ、メリンダは素早く振り向いた。
「最近は広報官まで武装しておるのか。勇ましい事よのう!」
「……恐れ入ります、名誉大将」
カラカラと笑うイザイア・バッシ名誉大将に、メリンダは完璧に整えられた事務用スマイルで応えた。そして内心で呟く。
(貴方が随員の2~3人も連れて来てくれないからでしょう……!!)
今日のメリンダはいつものスカートではなく、パンツスタイルだ。そして上着の下には拳銃を吊っている。イザイアには上着に寄る皺でそれが分かったのだろう。
「ああ、ここですわ。工房グランディ」
呼び鈴を引くこと数度。ドアから覗いた壮年の男は、不審感を隠そうともせず、メリンダとその後ろの老人を眺めまわす。
「なんだ、あんたらは」
メリンダは笑みを浮かべつつ、用向きを切り出した。
●事の発端
その少し前の事。
メリンダはオフィスで上司に呼び出されていた。
「中尉、今からフマーレに飛んでほしい」
「フマーレですか?」
メリンダは業務上、転移装置の利用を許可されているので、移動自体に問題は無い。
問題は用向きだ。
「そちらでイザイア・バッシ名誉大将がお待ちなので、例のCAMのガレージの責任者……えっと誰だったか……そうそう、ミケーレ・カルヴィーニだ! そちらへご案内してもらいたいんだ」
「はい?」
雲の上の御仁の名前に、メリンダが首を傾げる。確か現在、モデスト・サンテ少将の代役としてポルトワールに居るのではなかったか。
「良く分からんのだが、まさかおひとりで行かせるわけにもいかん。なるべく急いでくれ」
そう言われて、はるばるフマーレ。
「おおすまんな。では行こうか」
流石に緊張の面持ちで敬礼するメリンダを、老人はやたらフランクに促した。
名誉大将がCAM導入に積極的であることは周知の事実だ。また先日来の歪虚との戦いに於いて、機動兵器は既に軍にとっては欠かすことのできない存在となっていた。
フマーレの軍需産業を扱う地域にあった大きな空き倉庫は、同盟内でCAMの整備や装備開発を担うために整備されつつある。その責任者に据えられたのが、フマーレ労働組合の長であるフランコ・カルヴィーニの息子、ミケーレだった。
「こりゃどうも、遠いところをわざわざ……まだ何にもないような状態ですがね」
互いの自己紹介が済むと、ミケーレは大小様々な機械が並んだガレージ内を案内する。
老人は暫くあちらこちらを見ていたが、すぐに我慢しきれず本題に切り込んだ。
「実はCAM用の武装について相談したい事があるのじゃが」
「なんでしょう?」
「人が使うような……例えば格闘戦用の武装を、CAM用に作れんかね?」
目的はそれか。
熱心に刀だの棍だのの説明を始めるイザイアに、メリンダはようやく得心した。
自身も一度操縦した事があるが、現在CAMの武装は飛び道具がメインだ。恐らくは名誉大将の肝入りの特機隊から要望があったのだろう。
まともに軍の中で要望を回していては、いつ実装されるかも分からない。そこでこの古狐は、直接行動に出たという訳だ。
「正直言って、無理っすね」
だが、ミケーレはあっさりそう言った。
「装甲の強化やなんかは、俺達の技術で何とかして見せますがね。そもそも人間用だって刀を打てるような技術は……」
そこでふとミケーレは言葉を切った。
「ああいや……あのおっさんなら……」
「できる御仁がおるか」
イザイアは身を乗り出す。
「う~ん……できる、かもしれねえけど……やるかどうかは……」
ミケーレは頭を掻きつつ、ぽつぽつとその男のことを語る。
●偏屈な匠
その男こそがグランディだった。
彼は戸口で用件を聞くと、直ぐに目を逸らし、吐き捨てるように言う。
「帰んな。今更何言ってやがんだ」
メリンダは陰鬱な気分にとらわれる。
何でもこの男、若い頃から腕が良いと評判の技術者だったのだが、ある日『もっと上を目指す』と言ってふらりといなくなったのだという。
そして10年余り後に戻って来た時には、ドワーフの親方の所で修行してきたとかで、更に高度な技術を身につけていた。
だが拘りが強過ぎて、客とはトラブルの連続。挙句には他の技術者との諍いも多くなり、ついには仕事をしているのかどうかも判らない状態になっていたのだ。
が、拘りの度合いではイザイアも負けてはいなかった。
閉まるドアの隙間に杖を挟み、肩をねじ込む。
「怖いんじゃな」
「……何だと」
挑発的な言葉に、グランディの目が不穏な光を帯びる。
「できなくて恥をかくのが怖いのじゃろう」
「……この野郎、何を言ってやがる!!」
グランディはいきなりイザイアの襟首を掴んだ。
メリンダが直ぐに腰のホルスターに手をかけるが、当人は後ろ手で大丈夫だと合図を送る。
「よし分かった。そこまで言うなら、俺の得物を見せてやらあ!!」
グランディはドアを大きく開く。
「それを使いこなせる奴を連れて来い! そうしたら新しい武器を打ってやろうじゃないか!」
「それでこそじゃ! では頼むぞ中尉」
「はい?」
イザイアに肩を叩かれ、メリンダは強張った微笑みを向けるのだった。
狭い通りは、様々な物音に満ちていた。
蒸気の噴き出す音、機械の軋む音、そして怒鳴い合いのような話し声。
同盟軍中尉メリンダ・ドナーティ(kz0041)はそれらの物音に注意を払いつつ、同時に地番を示す看板を目で追っていた。
彼女の後には年老いた男がついて来る。老いて杖をついているが、彼の気配には弱さは微塵も感じられない。
寧ろその眼光は鋭くも好奇心に輝き、全身から漲る生気はそこらの若者にも引けを取らないほどだ。
「中尉」
「はい、何でしょう」
呼びかけられ、メリンダは素早く振り向いた。
「最近は広報官まで武装しておるのか。勇ましい事よのう!」
「……恐れ入ります、名誉大将」
カラカラと笑うイザイア・バッシ名誉大将に、メリンダは完璧に整えられた事務用スマイルで応えた。そして内心で呟く。
(貴方が随員の2~3人も連れて来てくれないからでしょう……!!)
今日のメリンダはいつものスカートではなく、パンツスタイルだ。そして上着の下には拳銃を吊っている。イザイアには上着に寄る皺でそれが分かったのだろう。
「ああ、ここですわ。工房グランディ」
呼び鈴を引くこと数度。ドアから覗いた壮年の男は、不審感を隠そうともせず、メリンダとその後ろの老人を眺めまわす。
「なんだ、あんたらは」
メリンダは笑みを浮かべつつ、用向きを切り出した。
●事の発端
その少し前の事。
メリンダはオフィスで上司に呼び出されていた。
「中尉、今からフマーレに飛んでほしい」
「フマーレですか?」
メリンダは業務上、転移装置の利用を許可されているので、移動自体に問題は無い。
問題は用向きだ。
「そちらでイザイア・バッシ名誉大将がお待ちなので、例のCAMのガレージの責任者……えっと誰だったか……そうそう、ミケーレ・カルヴィーニだ! そちらへご案内してもらいたいんだ」
「はい?」
雲の上の御仁の名前に、メリンダが首を傾げる。確か現在、モデスト・サンテ少将の代役としてポルトワールに居るのではなかったか。
「良く分からんのだが、まさかおひとりで行かせるわけにもいかん。なるべく急いでくれ」
そう言われて、はるばるフマーレ。
「おおすまんな。では行こうか」
流石に緊張の面持ちで敬礼するメリンダを、老人はやたらフランクに促した。
名誉大将がCAM導入に積極的であることは周知の事実だ。また先日来の歪虚との戦いに於いて、機動兵器は既に軍にとっては欠かすことのできない存在となっていた。
フマーレの軍需産業を扱う地域にあった大きな空き倉庫は、同盟内でCAMの整備や装備開発を担うために整備されつつある。その責任者に据えられたのが、フマーレ労働組合の長であるフランコ・カルヴィーニの息子、ミケーレだった。
「こりゃどうも、遠いところをわざわざ……まだ何にもないような状態ですがね」
互いの自己紹介が済むと、ミケーレは大小様々な機械が並んだガレージ内を案内する。
老人は暫くあちらこちらを見ていたが、すぐに我慢しきれず本題に切り込んだ。
「実はCAM用の武装について相談したい事があるのじゃが」
「なんでしょう?」
「人が使うような……例えば格闘戦用の武装を、CAM用に作れんかね?」
目的はそれか。
熱心に刀だの棍だのの説明を始めるイザイアに、メリンダはようやく得心した。
自身も一度操縦した事があるが、現在CAMの武装は飛び道具がメインだ。恐らくは名誉大将の肝入りの特機隊から要望があったのだろう。
まともに軍の中で要望を回していては、いつ実装されるかも分からない。そこでこの古狐は、直接行動に出たという訳だ。
「正直言って、無理っすね」
だが、ミケーレはあっさりそう言った。
「装甲の強化やなんかは、俺達の技術で何とかして見せますがね。そもそも人間用だって刀を打てるような技術は……」
そこでふとミケーレは言葉を切った。
「ああいや……あのおっさんなら……」
「できる御仁がおるか」
イザイアは身を乗り出す。
「う~ん……できる、かもしれねえけど……やるかどうかは……」
ミケーレは頭を掻きつつ、ぽつぽつとその男のことを語る。
●偏屈な匠
その男こそがグランディだった。
彼は戸口で用件を聞くと、直ぐに目を逸らし、吐き捨てるように言う。
「帰んな。今更何言ってやがんだ」
メリンダは陰鬱な気分にとらわれる。
何でもこの男、若い頃から腕が良いと評判の技術者だったのだが、ある日『もっと上を目指す』と言ってふらりといなくなったのだという。
そして10年余り後に戻って来た時には、ドワーフの親方の所で修行してきたとかで、更に高度な技術を身につけていた。
だが拘りが強過ぎて、客とはトラブルの連続。挙句には他の技術者との諍いも多くなり、ついには仕事をしているのかどうかも判らない状態になっていたのだ。
が、拘りの度合いではイザイアも負けてはいなかった。
閉まるドアの隙間に杖を挟み、肩をねじ込む。
「怖いんじゃな」
「……何だと」
挑発的な言葉に、グランディの目が不穏な光を帯びる。
「できなくて恥をかくのが怖いのじゃろう」
「……この野郎、何を言ってやがる!!」
グランディはいきなりイザイアの襟首を掴んだ。
メリンダが直ぐに腰のホルスターに手をかけるが、当人は後ろ手で大丈夫だと合図を送る。
「よし分かった。そこまで言うなら、俺の得物を見せてやらあ!!」
グランディはドアを大きく開く。
「それを使いこなせる奴を連れて来い! そうしたら新しい武器を打ってやろうじゃないか!」
「それでこそじゃ! では頼むぞ中尉」
「はい?」
イザイアに肩を叩かれ、メリンダは強張った微笑みを向けるのだった。
解説
●依頼内容
グランディの作った武器をカッコ良く使いこなして、彼の職人魂を取り戻してください。
武器の種類は、アイテムショップに並んでいる物は大概あります。但し、近接兵器に限ります。
また、できれば将来的にCAMが使用するのに便利そうな物が望ましいです。
尚、特機隊のメンバーからは「刀」「トンファー」の要望が出ているそうです。偉い人がそう言ってました。
魅せ方はお任せします。
おひとりで演武等を見せるのもありですし、模擬戦もいいかもしれません。
もしどなたかと組む場合は必ず相談卓で宣言して、プレイングでお相手を指定してください。
ただしお任せが複数いらっしゃった場合には、MSの方で組み合わせることはあります。
場所はフマーレの空き倉庫になります。(※CAMのガレージとは別です)
テニスコートぐらいの大きさの空間で、天井までは8mほど。
内部は鉄骨等が剥き出しになっており、チェーンや放置された工具なども転がっています。
これらを使っても構いませんが、建物や器具は破壊しないように気をつけてください。
●余談
見物客はメリンダ、イザイア、グランディ。
グランディがどうせならとアレコレ持ち込み、何故か酒宴になっています。
皆様もご希望でしたらどうぞご一緒に。
但しタダ酒飲みだけの参加では報酬が支払われませんのでご注意ください。
グランディの作った武器をカッコ良く使いこなして、彼の職人魂を取り戻してください。
武器の種類は、アイテムショップに並んでいる物は大概あります。但し、近接兵器に限ります。
また、できれば将来的にCAMが使用するのに便利そうな物が望ましいです。
尚、特機隊のメンバーからは「刀」「トンファー」の要望が出ているそうです。偉い人がそう言ってました。
魅せ方はお任せします。
おひとりで演武等を見せるのもありですし、模擬戦もいいかもしれません。
もしどなたかと組む場合は必ず相談卓で宣言して、プレイングでお相手を指定してください。
ただしお任せが複数いらっしゃった場合には、MSの方で組み合わせることはあります。
場所はフマーレの空き倉庫になります。(※CAMのガレージとは別です)
テニスコートぐらいの大きさの空間で、天井までは8mほど。
内部は鉄骨等が剥き出しになっており、チェーンや放置された工具なども転がっています。
これらを使っても構いませんが、建物や器具は破壊しないように気をつけてください。
●余談
見物客はメリンダ、イザイア、グランディ。
グランディがどうせならとアレコレ持ち込み、何故か酒宴になっています。
皆様もご希望でしたらどうぞご一緒に。
但しタダ酒飲みだけの参加では報酬が支払われませんのでご注意ください。
マスターより
初めましての方は初めまして、そうでない方はお久しぶりです。樹シロカです。
【不動】連動シナリオですが、爺さんとおっさんにカッコいいところを見せるだけの簡単なお仕事です。
……そう言えば前のシナリオも爺さんでした。
同盟のジジムサ率をまた上げてしまったような気がしますが、多分気のせいですね。
ご参加、お待ちしております。
【不動】連動シナリオですが、爺さんとおっさんにカッコいいところを見せるだけの簡単なお仕事です。
……そう言えば前のシナリオも爺さんでした。
同盟のジジムサ率をまた上げてしまったような気がしますが、多分気のせいですね。
ご参加、お待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/03/17 15:35
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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作戦?相談卓 シバ・ミラージュ(ka2094) 人間(リアルブルー)|15才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/03/07 23:30:28 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/04 00:25:33 |