ゲスト
(ka0000)
岩の番人
マスター:硲銘介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 無し
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/14 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/03/23 12:00
オープニング
●
「…………」
風が吹いた。山道を歩む旅人が一人、彼の羽織るマントが靡く。
砂埃が舞い上がる中を彼、ラサースは進んでいく。
齢二十といったところだろうか、旅慣れた装備に身を包む男は中々の美男子である。その表情は険しく、何か重い覚悟を背負――
「……ぬふ」
――っては、いなかった。
「ぬふ。ぬふふふ……ぬふぁはっはっはっは!」
ラサースは我慢できずに大笑いする。整った容姿が勿体無い程の馬鹿笑い。ついでに笑い声は気持ち悪い。
そんな事など気にも留めず、ラサースは一人笑いながらニタニタとした表情を貼り付けている。
彼は懐から一枚の紙切れを取り出し、目の前に広げるとまた愉快そうに笑い出した。
「ぬふふふふ……これが笑わずにいられるか、いいや! いられない!」
何度も断るが、彼は一人である。ソロである。
「お宝! 宝の地図! これぞロマン、男のロマンではないか! なぁ、そう思うだろう!」
誰もいません。
「ようやく手に入れたこの宝の地図。これが示す先には眩く輝く金銀財宝が眠っているに決まっている! 僕の未来は明るいぞぉ、テッカテカだ!」
ご機嫌に踊り歩くラサース。手に握った紙切れはどうやら宝の地図らしい。
街道から外れた山道を行く理由はずばり、宝探し。一攫千金を企むハンターは地図に記された宝の在り処へ向かっている真っ最中だという訳だ。
●
――さて、浮かれ狂うラサースだが、彼はどうやって宝の地図を手に入れたのだろう。
それは少し前に立ち寄ったある町での事。宿を探し歩くラサースは人通りの無い裏路地へと迷い込んでいた。
日が落ちた町の暗い路地裏、其処でとある露天商と出会った。
「イカしたにーちゃん、ちょっと見ていかんかね」
店の主は皺くちゃの爺さんだった。薄く開いた目で見つめられ、ラサースは足を止めた。
何が気になったという訳でもない。いや、爺さんの体臭が気になったけどそういうことじゃなくて。まぁ、なんてことない気まぐれで足を止めた。
「しかし……ロクなものがないな、爺さん」
率直な感想を口にした。事実、並んでいるのはガラクタの様なものばかり。店を開く場所も手伝って、これでは売れそうも無い。
ラサースの言葉に老人は愉快そうに笑った。
「ふぉっふぉっふぉ、真っ直ぐな御仁じゃ。やはり、ワシの目に狂いは無かった」
「あぁ? なんだよ、爺さん。その見えてるのかどうか疑わしい目で何を見たって?」
「――運命」
「…………!」
ラサースは戦慄した! 老人の放ったその一言が全身の血を湧き立たせるのを感じた! うん、なんでさ。
「……面白い爺さんだ。つまりは理屈じゃない、そう言いたい訳だ」
老人は言葉を返さない。代わりにニッと汚い歯をむき出しに笑って見せた。
「お前さんにこいつを授けたい」
「こ、これは……っ!」
奥の荷物から何かを取り出した老人から渡されたのは古臭い紙一枚。記されているのは地図、そして謎のバツ印。
「じ、爺さん……こいつはまさか、宝の――」
「ワシは、今日この日の為に生きてきたのだと悟ったよ。お前さんに、これを渡す為に」
言葉を遮り、老人は言った。その言葉は重い。老人の生きてきた人生、これまでが染み付いたかの様に重い言葉だった……と、ラサースは感じた。
思わずラサースは背を向けた。目頭が熱くなるのを感じ、しかし、この老人に涙を見せてはいけないと思った。
彼は言ったのだ、自分にこれを渡す為だけに生きてきたと。その自分が涙を、弱さを露呈して良い訳が無い。
「――爺さん。僕の為に、これまでありがとう。こいつは、僕が必ず手に入れてくる……そう、必ずだっ!」
背中を向けたまま、覚悟を叫び、ラサースはその場を立ち去ろうとした。この老人にかけるものはそれだけで充分だと感じたからだ。
――そして、老人はその背中にもう一度言葉をかけた。
「待て待て、金を払ってから行けぃ」
「――って金取るのかよッ!?」
――以上、回想終了。いや、なんつーか……いや、いいや、もう……
●
ラサースは目的の場所へ辿り着いていた。山の中間辺り、開けた場所にそれはあった。
辺りを崖に囲まれた広い空間、大小様々な岩が散らばる他は――小さな祠が一つ。大きさ的に内部は小部屋が一つといった程度だろうか。
「ぬふ。ぬふふふ……完璧だ。あそこに僕の財宝が眠っている、ぬふふふ……金を払っただけはある。あれぞ宝の在処という感じではないか!」
笑いを抑えきれず漏らしまくりながら、かつ、それなりに格好良くクールに振舞いながら祠へ近づく。道中では馬鹿笑いをしていたが、宝を目前にしては美学があるらしい。
……と、言っている内に祠に近づいてきた。のだが、ここにきて何か違和感を感じる。
「……なんか、動いてね?」
その視線は周囲の岩石に向く。四方八方に散らばっていた筈の岩がいつの間にかに前方に集中して来ていた。
気づけば、バラバラだった岩は二箇所。祠の前方、左右に集まっていた。いや、もっと早く気づけ?
弛んだ空気など知らぬとばかりに――その岩石が隆起する。否、これは元々そういうものだった。
散らばる岩の一つ一つが体であり、この形こそが真の姿。寄せ集められた岩石は二体の巨人へと姿を変えていく。
ラサースはただ、積み上がっていく巨体を見上げるばかりだった。
其は、岩石の巨人。財宝を守る異形の番人。数多の冒険者を退け、屍と変えたその巨躯――名を、ゴーレム。
「おっ……おぉぅ……」
思わず口を突いて出たのはそんな言葉だった。いや、言葉じゃないのだけれども。
その巨体を前にしてラサースは半ば放心状態にあったが、すぐにこの場に立ち戻る。
侮る無かれ。ラサースという男も伊達にハンターではない。脅威を前にして呆ける能無しではないのだ。
決断から実行まで、全ては迅速だった。ラサースは迷わずに、祠と石の番人に背を向け――全速力でその場から逃げ出した。
●
「――という訳で、財宝を手に入れるにはあの憎きゴーレムを打倒しなければならない! 君達の力を僕に貸したまえ!」
無事に逃げ帰ったラサースは集めたハンター達を前に高らかにこれまでの経緯を語った。
当の本人は自身の武勇伝を語るかの様に誇らしげだ。聞かされているハンター達は、まぁ、呆れてたり、感心してたり、エトセトラエトセトラ。
「だが、僕の所持金は無い! 殆ど無い! あの爺さんに払ってしまったからだ! よって君達に支払う報酬は無い! ごめんッ!」
堂々と言い放つ。その態度に多くのハンター達がその場を立ち去ろうとする。のを、ラサースが慌てて引き止める。
「わ、わかった! 僕が財宝を手に入れた暁には、君達にも分け前をくれてやる! それでいいなっ! いいよねっ!?」
狼狽するラサースを冷ややかに見つめるハンター達。さて、この依頼を受ける物好きが果たしているものか――――
「…………」
風が吹いた。山道を歩む旅人が一人、彼の羽織るマントが靡く。
砂埃が舞い上がる中を彼、ラサースは進んでいく。
齢二十といったところだろうか、旅慣れた装備に身を包む男は中々の美男子である。その表情は険しく、何か重い覚悟を背負――
「……ぬふ」
――っては、いなかった。
「ぬふ。ぬふふふ……ぬふぁはっはっはっは!」
ラサースは我慢できずに大笑いする。整った容姿が勿体無い程の馬鹿笑い。ついでに笑い声は気持ち悪い。
そんな事など気にも留めず、ラサースは一人笑いながらニタニタとした表情を貼り付けている。
彼は懐から一枚の紙切れを取り出し、目の前に広げるとまた愉快そうに笑い出した。
「ぬふふふふ……これが笑わずにいられるか、いいや! いられない!」
何度も断るが、彼は一人である。ソロである。
「お宝! 宝の地図! これぞロマン、男のロマンではないか! なぁ、そう思うだろう!」
誰もいません。
「ようやく手に入れたこの宝の地図。これが示す先には眩く輝く金銀財宝が眠っているに決まっている! 僕の未来は明るいぞぉ、テッカテカだ!」
ご機嫌に踊り歩くラサース。手に握った紙切れはどうやら宝の地図らしい。
街道から外れた山道を行く理由はずばり、宝探し。一攫千金を企むハンターは地図に記された宝の在り処へ向かっている真っ最中だという訳だ。
●
――さて、浮かれ狂うラサースだが、彼はどうやって宝の地図を手に入れたのだろう。
それは少し前に立ち寄ったある町での事。宿を探し歩くラサースは人通りの無い裏路地へと迷い込んでいた。
日が落ちた町の暗い路地裏、其処でとある露天商と出会った。
「イカしたにーちゃん、ちょっと見ていかんかね」
店の主は皺くちゃの爺さんだった。薄く開いた目で見つめられ、ラサースは足を止めた。
何が気になったという訳でもない。いや、爺さんの体臭が気になったけどそういうことじゃなくて。まぁ、なんてことない気まぐれで足を止めた。
「しかし……ロクなものがないな、爺さん」
率直な感想を口にした。事実、並んでいるのはガラクタの様なものばかり。店を開く場所も手伝って、これでは売れそうも無い。
ラサースの言葉に老人は愉快そうに笑った。
「ふぉっふぉっふぉ、真っ直ぐな御仁じゃ。やはり、ワシの目に狂いは無かった」
「あぁ? なんだよ、爺さん。その見えてるのかどうか疑わしい目で何を見たって?」
「――運命」
「…………!」
ラサースは戦慄した! 老人の放ったその一言が全身の血を湧き立たせるのを感じた! うん、なんでさ。
「……面白い爺さんだ。つまりは理屈じゃない、そう言いたい訳だ」
老人は言葉を返さない。代わりにニッと汚い歯をむき出しに笑って見せた。
「お前さんにこいつを授けたい」
「こ、これは……っ!」
奥の荷物から何かを取り出した老人から渡されたのは古臭い紙一枚。記されているのは地図、そして謎のバツ印。
「じ、爺さん……こいつはまさか、宝の――」
「ワシは、今日この日の為に生きてきたのだと悟ったよ。お前さんに、これを渡す為に」
言葉を遮り、老人は言った。その言葉は重い。老人の生きてきた人生、これまでが染み付いたかの様に重い言葉だった……と、ラサースは感じた。
思わずラサースは背を向けた。目頭が熱くなるのを感じ、しかし、この老人に涙を見せてはいけないと思った。
彼は言ったのだ、自分にこれを渡す為だけに生きてきたと。その自分が涙を、弱さを露呈して良い訳が無い。
「――爺さん。僕の為に、これまでありがとう。こいつは、僕が必ず手に入れてくる……そう、必ずだっ!」
背中を向けたまま、覚悟を叫び、ラサースはその場を立ち去ろうとした。この老人にかけるものはそれだけで充分だと感じたからだ。
――そして、老人はその背中にもう一度言葉をかけた。
「待て待て、金を払ってから行けぃ」
「――って金取るのかよッ!?」
――以上、回想終了。いや、なんつーか……いや、いいや、もう……
●
ラサースは目的の場所へ辿り着いていた。山の中間辺り、開けた場所にそれはあった。
辺りを崖に囲まれた広い空間、大小様々な岩が散らばる他は――小さな祠が一つ。大きさ的に内部は小部屋が一つといった程度だろうか。
「ぬふ。ぬふふふ……完璧だ。あそこに僕の財宝が眠っている、ぬふふふ……金を払っただけはある。あれぞ宝の在処という感じではないか!」
笑いを抑えきれず漏らしまくりながら、かつ、それなりに格好良くクールに振舞いながら祠へ近づく。道中では馬鹿笑いをしていたが、宝を目前にしては美学があるらしい。
……と、言っている内に祠に近づいてきた。のだが、ここにきて何か違和感を感じる。
「……なんか、動いてね?」
その視線は周囲の岩石に向く。四方八方に散らばっていた筈の岩がいつの間にかに前方に集中して来ていた。
気づけば、バラバラだった岩は二箇所。祠の前方、左右に集まっていた。いや、もっと早く気づけ?
弛んだ空気など知らぬとばかりに――その岩石が隆起する。否、これは元々そういうものだった。
散らばる岩の一つ一つが体であり、この形こそが真の姿。寄せ集められた岩石は二体の巨人へと姿を変えていく。
ラサースはただ、積み上がっていく巨体を見上げるばかりだった。
其は、岩石の巨人。財宝を守る異形の番人。数多の冒険者を退け、屍と変えたその巨躯――名を、ゴーレム。
「おっ……おぉぅ……」
思わず口を突いて出たのはそんな言葉だった。いや、言葉じゃないのだけれども。
その巨体を前にしてラサースは半ば放心状態にあったが、すぐにこの場に立ち戻る。
侮る無かれ。ラサースという男も伊達にハンターではない。脅威を前にして呆ける能無しではないのだ。
決断から実行まで、全ては迅速だった。ラサースは迷わずに、祠と石の番人に背を向け――全速力でその場から逃げ出した。
●
「――という訳で、財宝を手に入れるにはあの憎きゴーレムを打倒しなければならない! 君達の力を僕に貸したまえ!」
無事に逃げ帰ったラサースは集めたハンター達を前に高らかにこれまでの経緯を語った。
当の本人は自身の武勇伝を語るかの様に誇らしげだ。聞かされているハンター達は、まぁ、呆れてたり、感心してたり、エトセトラエトセトラ。
「だが、僕の所持金は無い! 殆ど無い! あの爺さんに払ってしまったからだ! よって君達に支払う報酬は無い! ごめんッ!」
堂々と言い放つ。その態度に多くのハンター達がその場を立ち去ろうとする。のを、ラサースが慌てて引き止める。
「わ、わかった! 僕が財宝を手に入れた暁には、君達にも分け前をくれてやる! それでいいなっ! いいよねっ!?」
狼狽するラサースを冷ややかに見つめるハンター達。さて、この依頼を受ける物好きが果たしているものか――――
解説
『依頼内容』
今回の依頼はゴーレムの討伐と、依頼人ラサースの護衛です。
立ち塞がるゴーレムを退け、依頼人を目的地へ導いてください。
『敵』
敵は大型のゴーレムが二体。
特殊な能力は持たず、物理攻撃のみを行ってきます。
単純な戦闘パターンですが、頑強です。
『場所』
四方を壁に囲まれた山中が戦闘の舞台になります。辺りに障害物が無い、開けた戦場です。
ほぼ問題ないと思われますが、戦闘中に祠を破壊しない様に気をつけて下さい。
また、基本的にゴーレムが祠を攻撃する事はありませんが、ゴーレムが健在のまま祠へ進入した場合には保障できません。
『依頼人・ラサース』
ラサースはハンターですが、非覚醒者であり、戦力にはなりません。
ですが、逃げ足は早く、基本的にしぶといのでさほど気を配らなくても不思議と生存しています。
囮として使う事も、出来なくも、ない……様な。
『報酬』
依頼人の都合により、ありません。
財宝が手に入った場合に分け前を貰える、という話ですが……眉唾です。
そもそも信頼できる話なんでしょうか……
今回の依頼はゴーレムの討伐と、依頼人ラサースの護衛です。
立ち塞がるゴーレムを退け、依頼人を目的地へ導いてください。
『敵』
敵は大型のゴーレムが二体。
特殊な能力は持たず、物理攻撃のみを行ってきます。
単純な戦闘パターンですが、頑強です。
『場所』
四方を壁に囲まれた山中が戦闘の舞台になります。辺りに障害物が無い、開けた戦場です。
ほぼ問題ないと思われますが、戦闘中に祠を破壊しない様に気をつけて下さい。
また、基本的にゴーレムが祠を攻撃する事はありませんが、ゴーレムが健在のまま祠へ進入した場合には保障できません。
『依頼人・ラサース』
ラサースはハンターですが、非覚醒者であり、戦力にはなりません。
ですが、逃げ足は早く、基本的にしぶといのでさほど気を配らなくても不思議と生存しています。
囮として使う事も、出来なくも、ない……様な。
『報酬』
依頼人の都合により、ありません。
財宝が手に入った場合に分け前を貰える、という話ですが……眉唾です。
そもそも信頼できる話なんでしょうか……
マスターより
こんにちは、硲銘介です。
ゆるい雰囲気の依頼になります。
ぬふふ、とかわざとらしい笑いだなぁと自分でも思います。
依頼報酬は無いみたいです。
お宝が見つかれば払われるらしいですが……見つかるといいですね(小声)
それでは、お付き合いいただける方は是非是非。
参加のほう、お待ちしております。
ゆるい雰囲気の依頼になります。
ぬふふ、とかわざとらしい笑いだなぁと自分でも思います。
依頼報酬は無いみたいです。
お宝が見つかれば払われるらしいですが……見つかるといいですね(小声)
それでは、お付き合いいただける方は是非是非。
参加のほう、お待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/03/21 23:25
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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お宝を求めてっ ミコト=S=レグルス(ka3953) 人間(リアルブルー)|16才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/03/14 00:42:32 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/09 04:55:42 |