ゲスト
(ka0000)
マダムの冒険
マスター:狐野径

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/09 22:00
- リプレイ完成予定
- 2015/03/18 22:00
オープニング
●マダムの思い出
居間に一人たたずむ喪服の老婦人はつぶやく。
「あなた……あの子の方が先に逝ってしまったのよ。あの子は歪虚から私たちを守ってくれたのかもしれないけれど……寂しいわ」
居間の暖炉の上におかれた古びた兜を見つめる、そこに語る相手である夫がいるように。
王国に歪虚が押し寄せたとき、長男は領地にとどまり、次男が戦場に向かった。
領内は多少の混乱はあったがひどいことにはならず、家族はみな次男の帰りを待ちわびていたが、戦闘で命を落としたという知らせが伝えられた。
彼女の悲しみは深かった。そして、次男の残された妻と生まれて間もない子を不憫にも思った。
「これからどうしたらいいのか、迷うの」
長男が見ている領内は、何もなければ平穏であろう。次男の妻がとどまりたいと言うなら、面倒見ることも可能である。
しかし、歪虚の動き、国内の政治の事、不安定要素が多く存在している。
「何もできない私……あなたがいたからやってこれたのよね」
くすっと老婦人は兜に笑いかける。
「デートと称して、夜に出かけたのは楽しかったわ」
老婦人の目の前には彼に手を引かれ歩いた林がよぎる。昼間見るのと異なる世界に驚き、彼のぬくもりに緊張と興奮を覚え、こっそり出てきたことへの罪悪感と開放感……いろんな気持ちが今でも蘇る。
「もう一度……見たいわ」
老婦人の胸には、今を逃すと行く機会がなくなるという焦りが生じた。
●依頼を出しに
ハンターズソサエティの支部にゆっくり歩く影が入ってきた。
受付の職員が顔を上げると、おっとりとした雰囲気の小柄な老婦人が立っていた。
「依頼をしたいのだけど、こちらでよろしいかしら?」
上品な言葉遣いに、貴族かしらと想像する。
椅子を勧めるとゆっくりと座る彼女を見届け、依頼内容等を聞く姿勢に入った。
「こういうところは初めてで緊張しちゃうわ」
周囲を見ている老婦人の表情は緊張と程遠く、子どもや孫を見るような優しい目とほほ笑みが浮かんでいる。
「どういったご用件ですか?」
「ダイオタと言いますの。一応、小さいながらも領地を預かり……もう、息子が見ているのでわたくしは何もすることはないからいるだけなのだけど」
「は、はい」
話が長くなるのか、家柄の話から来るのだろうかと職員は身構える。
「主人が亡くなったのはもう五年前。あの人が武者修行といってハンターをしていたときに、わたくしと出会ったのよ」
恋愛話がこの職員は好きであったため、目が輝いてしまう。
貴族の可憐な娘と荒事もいとわないハンターとの出会い、いや、ハンターの方が貴族でダイオタが村娘だったかもしれない……など職員の頭の中は想像でいっぱいになっていく。
しかし、職員は「今は仕事だ」と心の中で言い聞かせ、関係ないことまで聞き出しそうとする気持ちを静める努力をした。
「あの人が見せてくれた世界があるの。もう一度見たいと思ったのよ。そこで、ハンターの方に護衛を依頼したいのよ」
「おうちの方は同行されるのですか?」
護衛か侍女が付いてくるのかもしれないと考えるが、今ダイオタの背後に誰かいる様子もない。
「そんなに大きな家ではないから、一人でできることはします。私の勝手に付き合わすわけにはいかないもの、町の警備で手一杯なのに」
ダイオタは仕方がないわとほほ笑む。
「分かりました……。あと一つ、見せてくれた世界というのは……?」
職員はどんなものかという好奇心と依頼書に記載するため尋ねる。
「夜、歩くことなんてあまりないでしょう? 町や集落の中だってあまりなかったから……。あの人が一緒なら怖くなく、美しい世界だったの。ハンターの方なんて見慣れているから、詰まらないと思うかもしれないけれど、わたくしは一人でも多くの人に見せたい光景よ」
ダイオタはその時感じた闇の中に降る光の美しさを詩のように語ってくれたため、職員は仕事を忘れうっとりする。
「なんだか、私も行きたくなってきました」
「そう? あなたも来る? 本当はもう一度夫と……大きくなった子たちも連れて行きたかったけれど、なかなかうまくいかないものね……。それに、今を逃したら、行く機会がないと思うの」
ダイオタは寂しそうにつぶやいた。
職員は「私は仕事がありますから。感想、ぜひ聞きたいです」と応えながら、聞き取った依頼を手早く紙にまとめた。
居間に一人たたずむ喪服の老婦人はつぶやく。
「あなた……あの子の方が先に逝ってしまったのよ。あの子は歪虚から私たちを守ってくれたのかもしれないけれど……寂しいわ」
居間の暖炉の上におかれた古びた兜を見つめる、そこに語る相手である夫がいるように。
王国に歪虚が押し寄せたとき、長男は領地にとどまり、次男が戦場に向かった。
領内は多少の混乱はあったがひどいことにはならず、家族はみな次男の帰りを待ちわびていたが、戦闘で命を落としたという知らせが伝えられた。
彼女の悲しみは深かった。そして、次男の残された妻と生まれて間もない子を不憫にも思った。
「これからどうしたらいいのか、迷うの」
長男が見ている領内は、何もなければ平穏であろう。次男の妻がとどまりたいと言うなら、面倒見ることも可能である。
しかし、歪虚の動き、国内の政治の事、不安定要素が多く存在している。
「何もできない私……あなたがいたからやってこれたのよね」
くすっと老婦人は兜に笑いかける。
「デートと称して、夜に出かけたのは楽しかったわ」
老婦人の目の前には彼に手を引かれ歩いた林がよぎる。昼間見るのと異なる世界に驚き、彼のぬくもりに緊張と興奮を覚え、こっそり出てきたことへの罪悪感と開放感……いろんな気持ちが今でも蘇る。
「もう一度……見たいわ」
老婦人の胸には、今を逃すと行く機会がなくなるという焦りが生じた。
●依頼を出しに
ハンターズソサエティの支部にゆっくり歩く影が入ってきた。
受付の職員が顔を上げると、おっとりとした雰囲気の小柄な老婦人が立っていた。
「依頼をしたいのだけど、こちらでよろしいかしら?」
上品な言葉遣いに、貴族かしらと想像する。
椅子を勧めるとゆっくりと座る彼女を見届け、依頼内容等を聞く姿勢に入った。
「こういうところは初めてで緊張しちゃうわ」
周囲を見ている老婦人の表情は緊張と程遠く、子どもや孫を見るような優しい目とほほ笑みが浮かんでいる。
「どういったご用件ですか?」
「ダイオタと言いますの。一応、小さいながらも領地を預かり……もう、息子が見ているのでわたくしは何もすることはないからいるだけなのだけど」
「は、はい」
話が長くなるのか、家柄の話から来るのだろうかと職員は身構える。
「主人が亡くなったのはもう五年前。あの人が武者修行といってハンターをしていたときに、わたくしと出会ったのよ」
恋愛話がこの職員は好きであったため、目が輝いてしまう。
貴族の可憐な娘と荒事もいとわないハンターとの出会い、いや、ハンターの方が貴族でダイオタが村娘だったかもしれない……など職員の頭の中は想像でいっぱいになっていく。
しかし、職員は「今は仕事だ」と心の中で言い聞かせ、関係ないことまで聞き出しそうとする気持ちを静める努力をした。
「あの人が見せてくれた世界があるの。もう一度見たいと思ったのよ。そこで、ハンターの方に護衛を依頼したいのよ」
「おうちの方は同行されるのですか?」
護衛か侍女が付いてくるのかもしれないと考えるが、今ダイオタの背後に誰かいる様子もない。
「そんなに大きな家ではないから、一人でできることはします。私の勝手に付き合わすわけにはいかないもの、町の警備で手一杯なのに」
ダイオタは仕方がないわとほほ笑む。
「分かりました……。あと一つ、見せてくれた世界というのは……?」
職員はどんなものかという好奇心と依頼書に記載するため尋ねる。
「夜、歩くことなんてあまりないでしょう? 町や集落の中だってあまりなかったから……。あの人が一緒なら怖くなく、美しい世界だったの。ハンターの方なんて見慣れているから、詰まらないと思うかもしれないけれど、わたくしは一人でも多くの人に見せたい光景よ」
ダイオタはその時感じた闇の中に降る光の美しさを詩のように語ってくれたため、職員は仕事を忘れうっとりする。
「なんだか、私も行きたくなってきました」
「そう? あなたも来る? 本当はもう一度夫と……大きくなった子たちも連れて行きたかったけれど、なかなかうまくいかないものね……。それに、今を逃したら、行く機会がないと思うの」
ダイオタは寂しそうにつぶやいた。
職員は「私は仕事がありますから。感想、ぜひ聞きたいです」と応えながら、聞き取った依頼を手早く紙にまとめた。
解説
夜出発です。
ダイオタは道中の一部で明かりを点けることを拒否します。また、出来れば、明かりを点けないで進みたいと考えています。
なお、出かける日は快晴(満月)で、気温は下がり最低気温0度になります。
●道順
1、集落から出発して草原を進みます。
2、雑木林に入ります。手入れされており、突っ切るための道があります。暗闇に慣れれば自然光でも歩けます。なお、この雑木林では、脇道にそれて池を見に行きます。
3、岬に出る道。ちょっと傾斜が強い所で、風はやや強いです。
帰りは逆にたどることになりますが、今回のメーンは集落から岬までです。
●注意が必要なところ
ダイオタの歩みは非常にゆっくりです。一応自分でそのことは分かっており、自分の速さで岬に朝たどり着ける時間を指定して出発しています。
ダイオタの荷物には古びた金属製の兜があり、彼女が持つには非常に重いです。彼女自身、持って歩くと大変だったということは計算外ですが、兜を置いていくことは考えていません。兜を丁重に運んでほしいため、「持ってほしい」とダイオタからは言い出せません。
現れると推測される脅威は、夜行性の動物が横切ったり、腹ペコオオカミ、通りがかりのコボルド。
●行くなら今しかないという理由
自分が年を取っている事。
歪虚の侵攻と情勢の不安定さによる不安があるが、比較的周りは落ち着いているため。
ダイオタは道中の一部で明かりを点けることを拒否します。また、出来れば、明かりを点けないで進みたいと考えています。
なお、出かける日は快晴(満月)で、気温は下がり最低気温0度になります。
●道順
1、集落から出発して草原を進みます。
2、雑木林に入ります。手入れされており、突っ切るための道があります。暗闇に慣れれば自然光でも歩けます。なお、この雑木林では、脇道にそれて池を見に行きます。
3、岬に出る道。ちょっと傾斜が強い所で、風はやや強いです。
帰りは逆にたどることになりますが、今回のメーンは集落から岬までです。
●注意が必要なところ
ダイオタの歩みは非常にゆっくりです。一応自分でそのことは分かっており、自分の速さで岬に朝たどり着ける時間を指定して出発しています。
ダイオタの荷物には古びた金属製の兜があり、彼女が持つには非常に重いです。彼女自身、持って歩くと大変だったということは計算外ですが、兜を置いていくことは考えていません。兜を丁重に運んでほしいため、「持ってほしい」とダイオタからは言い出せません。
現れると推測される脅威は、夜行性の動物が横切ったり、腹ペコオオカミ、通りがかりのコボルド。
●行くなら今しかないという理由
自分が年を取っている事。
歪虚の侵攻と情勢の不安定さによる不安があるが、比較的周りは落ち着いているため。
マスターより
こんにちは。今回は御婦人の夜の散歩の護衛です。ダイオタは基本的にそろそろと歩むのみなので、何かに襲われた場合、逃げることは不可能です。
なお、月夜を楽しむという本を読むには、懐中電灯なくとも山も歩けるそうです。
よろしくお願いします。
なお、月夜を楽しむという本を読むには、懐中電灯なくとも山も歩けるそうです。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/03/14 18:46
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/04 23:13:03 |
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【相談卓】 アルカ・ブラックウェル(ka0790) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2015/03/09 03:36:41 |