ゲスト
(ka0000)
臆病者ですみません
マスター:朝海りく

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/12 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/03/21 19:00
オープニング
●小さな村で、父を想う
窓を開けると、しっとりと冷えた空気が流れ込んできた。
昼間から降り続けているさらさらとした霧雨は、夕食時を過ぎた今もまだ、やむ気配はない。
湿った窓枠に手を掛けた彼女、アリシアは、ひっそりと溜息をついた。その瞳は雨を抜け、自分たちの住む小さな村と市街地とを隔てる、鬱蒼とした暗い森へ向けられている。
「どうしたの?」
背中に幼い声が掛かった。振り返ると、彼女の娘、リナがじっとこちらを見つめている。
「……雨、やまないなあと思って」
彼女は優しく微笑んでから窓を閉めた。娘を不安にさせないよう努めて明るく振舞いながら、木製のテーブルの上でスケッチブックを広げているリナの隣に座る。
「なんの絵を描いてるの?」
「パパの絵。パパが帰ってきたら、プレゼントするの。いつも、お仕事がんばってるから」
クレヨンを握りしめた少女の手は、さまざまな色で汚れている。画用紙にもあちこちに小さな指のあとがついていた。このクレヨンも、そのスケッチブックも、市街地へ出て泊まり込みで働いている夫からの土産だ。
「パパ、きっとすごく喜ぶわね」
リナは嬉しそうに笑うと、ふたたび手を動かし始めた。子供らしい絵で彩られていく画用紙を見つめながら、彼女は夫のことを想う。
ひどく気弱で、とても優しい、家族想いの夫、ベイル。ここ一か月ほど顔を見ていない。二週間前に届いた手紙によれば休みが取れないほどに仕事が忙しいのだという。それでも、娘の6歳の誕生日には必ず帰ると書き添えてあった。
誕生日は、明日だ。
そして、あの森に雑魔が発生していることをアリシアが聞いたのは、昨日のこと。
「………………」
自然とこぼれそうになる溜息を、すんでのところで飲み込んだ。
帰って、こられるのだろうか。いや、彼のことだ。なんとしてでも帰ってこようとするに違いない。しかし雑魔のいる森が危険であることは、彼女も重々知っている。無理だけはしてほしくない。けれど……。
「パパ、帰ってくるかなあ」
雑魔の発生こそ知らずとも、父親の多忙さを想う少女は、明日、とは決して言わない。
何気ないふうを装う娘の言葉に、胸が締め付けられた。
「明日は、とびきりおいしいケーキを作るから。リナの大好きな生クリームをたっぷり乗せて……苺のジャムもたくさんぬって」
リナは、うん、と頷いて笑った。さみしさをひた隠しにする幼い娘。
アリシアはその小さな身体を思わず抱き締めた。
●オフィス支部
ハンターズオフィスの支部に、一人の男が駆け込んできた。
背中に大きな荷物を背負った、ひょろひょろと縦に長い男。年のころは二十代後半くらいだろうか。
初めて訪れるオフィスの雰囲気に戸惑うように眼鏡の奥の瞳を揺らし、長い身体を小さく縮めながら、彼は恐る恐るといった様子で受付に座る女性へと声を掛ける。
「あ、あの、すみません、依頼を、出したいのですが……。え、ええと、出来れば、ちょっと急ぎめで……というか、その、かなり急ぎめで……」
緊張のあまりに口許が引きつった。
しどろもどろになりながらも、彼は、森に発生した雑魔のこと、村で待つ妻子への想いを懸命に説明していく。
その汗ばんだ手には、丁寧に包装された小さな包みがひとつ、しっかりと握られていた。
●依頼内容
「今回は、依頼主であるベイル・オレットの護衛です」
支部から連絡を受けた受付嬢は、集まったハンター1人1人に瞳を向けた。
「彼の滞在している市街地から、村へ帰るために抜けなければならない森の途中に雑魔が発生しています。雑魔から彼を護り、無事に村まで送り届けてあげてください」
発生している雑魔はタヌキに似た姿をしており、確認できただけでも5体以上はいるという。
「外見はタヌキでも、気性はかなり荒いようです。森に入った者を敵と認識し、鋭く発達した爪と牙を駆使して群れで襲い掛かってくるらしく……情報によれば、すでに数人、被害にあった方もいるみたいですね」
彼女いわく、被害者たちは身体中に無数の傷を負ったそうだ。とはいえ、今のところ死者は出ていない。
標的が逃げようとすれば、タヌキの雑魔たちは深追いせずにふたたび森の中に姿を隠すのだ。
「市街地から村へ行くには、その森を抜ける以外に道はありません。彼の身の安全が最優先ではありますが、……敵は雑魔ですし、護衛に加えてきっちりと殲滅していただくのが望ましいですね。よろしくお願いします」
そう告げて締めくくろうとした彼女は、ふと書類の下方へと目を留めた。
「……ああ、それともう一つ。依頼主であるベイルから、ハンターの方々に伝言がありますね。ええと……」
書き足された一文を見た受付の女性は、思わず苦笑をこぼして言葉を切った。そのまま、ハンターたちに見せるように紙を置く。
彼の自筆だろうか、そこには、小さな文字でこう書かれていた。
『僕も頑張りますが、いざというときに腰を抜かしてしまったらすみません』
窓を開けると、しっとりと冷えた空気が流れ込んできた。
昼間から降り続けているさらさらとした霧雨は、夕食時を過ぎた今もまだ、やむ気配はない。
湿った窓枠に手を掛けた彼女、アリシアは、ひっそりと溜息をついた。その瞳は雨を抜け、自分たちの住む小さな村と市街地とを隔てる、鬱蒼とした暗い森へ向けられている。
「どうしたの?」
背中に幼い声が掛かった。振り返ると、彼女の娘、リナがじっとこちらを見つめている。
「……雨、やまないなあと思って」
彼女は優しく微笑んでから窓を閉めた。娘を不安にさせないよう努めて明るく振舞いながら、木製のテーブルの上でスケッチブックを広げているリナの隣に座る。
「なんの絵を描いてるの?」
「パパの絵。パパが帰ってきたら、プレゼントするの。いつも、お仕事がんばってるから」
クレヨンを握りしめた少女の手は、さまざまな色で汚れている。画用紙にもあちこちに小さな指のあとがついていた。このクレヨンも、そのスケッチブックも、市街地へ出て泊まり込みで働いている夫からの土産だ。
「パパ、きっとすごく喜ぶわね」
リナは嬉しそうに笑うと、ふたたび手を動かし始めた。子供らしい絵で彩られていく画用紙を見つめながら、彼女は夫のことを想う。
ひどく気弱で、とても優しい、家族想いの夫、ベイル。ここ一か月ほど顔を見ていない。二週間前に届いた手紙によれば休みが取れないほどに仕事が忙しいのだという。それでも、娘の6歳の誕生日には必ず帰ると書き添えてあった。
誕生日は、明日だ。
そして、あの森に雑魔が発生していることをアリシアが聞いたのは、昨日のこと。
「………………」
自然とこぼれそうになる溜息を、すんでのところで飲み込んだ。
帰って、こられるのだろうか。いや、彼のことだ。なんとしてでも帰ってこようとするに違いない。しかし雑魔のいる森が危険であることは、彼女も重々知っている。無理だけはしてほしくない。けれど……。
「パパ、帰ってくるかなあ」
雑魔の発生こそ知らずとも、父親の多忙さを想う少女は、明日、とは決して言わない。
何気ないふうを装う娘の言葉に、胸が締め付けられた。
「明日は、とびきりおいしいケーキを作るから。リナの大好きな生クリームをたっぷり乗せて……苺のジャムもたくさんぬって」
リナは、うん、と頷いて笑った。さみしさをひた隠しにする幼い娘。
アリシアはその小さな身体を思わず抱き締めた。
●オフィス支部
ハンターズオフィスの支部に、一人の男が駆け込んできた。
背中に大きな荷物を背負った、ひょろひょろと縦に長い男。年のころは二十代後半くらいだろうか。
初めて訪れるオフィスの雰囲気に戸惑うように眼鏡の奥の瞳を揺らし、長い身体を小さく縮めながら、彼は恐る恐るといった様子で受付に座る女性へと声を掛ける。
「あ、あの、すみません、依頼を、出したいのですが……。え、ええと、出来れば、ちょっと急ぎめで……というか、その、かなり急ぎめで……」
緊張のあまりに口許が引きつった。
しどろもどろになりながらも、彼は、森に発生した雑魔のこと、村で待つ妻子への想いを懸命に説明していく。
その汗ばんだ手には、丁寧に包装された小さな包みがひとつ、しっかりと握られていた。
●依頼内容
「今回は、依頼主であるベイル・オレットの護衛です」
支部から連絡を受けた受付嬢は、集まったハンター1人1人に瞳を向けた。
「彼の滞在している市街地から、村へ帰るために抜けなければならない森の途中に雑魔が発生しています。雑魔から彼を護り、無事に村まで送り届けてあげてください」
発生している雑魔はタヌキに似た姿をしており、確認できただけでも5体以上はいるという。
「外見はタヌキでも、気性はかなり荒いようです。森に入った者を敵と認識し、鋭く発達した爪と牙を駆使して群れで襲い掛かってくるらしく……情報によれば、すでに数人、被害にあった方もいるみたいですね」
彼女いわく、被害者たちは身体中に無数の傷を負ったそうだ。とはいえ、今のところ死者は出ていない。
標的が逃げようとすれば、タヌキの雑魔たちは深追いせずにふたたび森の中に姿を隠すのだ。
「市街地から村へ行くには、その森を抜ける以外に道はありません。彼の身の安全が最優先ではありますが、……敵は雑魔ですし、護衛に加えてきっちりと殲滅していただくのが望ましいですね。よろしくお願いします」
そう告げて締めくくろうとした彼女は、ふと書類の下方へと目を留めた。
「……ああ、それともう一つ。依頼主であるベイルから、ハンターの方々に伝言がありますね。ええと……」
書き足された一文を見た受付の女性は、思わず苦笑をこぼして言葉を切った。そのまま、ハンターたちに見せるように紙を置く。
彼の自筆だろうか、そこには、小さな文字でこう書かれていた。
『僕も頑張りますが、いざというときに腰を抜かしてしまったらすみません』
解説
【目的】
・依頼主、ベイル・オレットの護衛と雑魔の殲滅。
【敵概要】
・タヌキ型雑魔が8体。大きさは通常のタヌキと変わりません。
・標的に対して群れで襲い掛かってきます。
攻撃は鋭い爪による切り付けと牙による噛みつき。致命傷には至りませんが、動きを止めると群がってくるため注意が必要です。
・出現は森の中間部が多いとのこと。必要以上に騒いだりなどすれば、早い段階で出現することもあるようです。
・雑魔の個体戦闘能力自体は低く、覚醒者であれば、命中すれば一撃で倒せる程度。スキルなども特にありません。
・とてもすばしっこいです。木陰に身を隠したりなどといった地形を利用した戦法をとってくるため、油断していると思わぬ苦戦を強いられる可能性もあります。
【地形について】
・市街地から村までは、徒歩で1時間半ほど。内、森を抜けるのに必要な所要時間は1時間程度。
・森の中は、村民たちの手によってある程度舗装された一本道が続くため、迷うことはありません。道幅は人ふたりが並んで歩ける程度。足場自体も良好です。
・周囲は太い根幹を持つ木々に囲まれており、戦闘時間も夕方~夜の薄暗い時間帯になりますので視界は悪め。
【護衛対象について】
・名前:ベイル・オレット。
・誕生日を迎える娘のためになんとしてでも帰りたいという想いが強く、掲載された書類もそれが伝わる内容となっております。
・基本的に言われたことはしっかり守り、余計な行動は取りません。
ただ、雑魔と対峙した経験がなく、戦闘に向かない体格・性格のため完全に戦力外。臆病ですので、雑魔に標的にされれば、腰を抜かすかパニックを起こしてしまいそう。
・大きなリュックを背負っているため、ダッシュや攻撃の回避はできません。短距離の小走り程度なら可能。
・手にする包みは娘へのプレゼント(お手製)であるため、失くすようなことがあれば、危険を顧みず探し出そうとするでしょう。この点、注意が必要です。
・依頼主、ベイル・オレットの護衛と雑魔の殲滅。
【敵概要】
・タヌキ型雑魔が8体。大きさは通常のタヌキと変わりません。
・標的に対して群れで襲い掛かってきます。
攻撃は鋭い爪による切り付けと牙による噛みつき。致命傷には至りませんが、動きを止めると群がってくるため注意が必要です。
・出現は森の中間部が多いとのこと。必要以上に騒いだりなどすれば、早い段階で出現することもあるようです。
・雑魔の個体戦闘能力自体は低く、覚醒者であれば、命中すれば一撃で倒せる程度。スキルなども特にありません。
・とてもすばしっこいです。木陰に身を隠したりなどといった地形を利用した戦法をとってくるため、油断していると思わぬ苦戦を強いられる可能性もあります。
【地形について】
・市街地から村までは、徒歩で1時間半ほど。内、森を抜けるのに必要な所要時間は1時間程度。
・森の中は、村民たちの手によってある程度舗装された一本道が続くため、迷うことはありません。道幅は人ふたりが並んで歩ける程度。足場自体も良好です。
・周囲は太い根幹を持つ木々に囲まれており、戦闘時間も夕方~夜の薄暗い時間帯になりますので視界は悪め。
【護衛対象について】
・名前:ベイル・オレット。
・誕生日を迎える娘のためになんとしてでも帰りたいという想いが強く、掲載された書類もそれが伝わる内容となっております。
・基本的に言われたことはしっかり守り、余計な行動は取りません。
ただ、雑魔と対峙した経験がなく、戦闘に向かない体格・性格のため完全に戦力外。臆病ですので、雑魔に標的にされれば、腰を抜かすかパニックを起こしてしまいそう。
・大きなリュックを背負っているため、ダッシュや攻撃の回避はできません。短距離の小走り程度なら可能。
・手にする包みは娘へのプレゼント(お手製)であるため、失くすようなことがあれば、危険を顧みず探し出そうとするでしょう。この点、注意が必要です。
マスターより
初めまして、朝海りく(あさみりく)と申します。
このたび、ファナティックブラッドのマスターとして参加させていただけることとなりました。
みなさまに楽しんでいただけますよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、出稼ぎ中のお父さんが皆さんの助けを借りておうちに帰る、というシンプルなお話です。
村では妻アリシアと娘リナが、ごはんを食べずに待っていることと思います。
ベイルが無事帰れば、2人とも、心からの笑顔を見せてくれることでしょう。お礼にケーキをおすそ分けしてもらえるかもしれませんね。
それでは、みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
このたび、ファナティックブラッドのマスターとして参加させていただけることとなりました。
みなさまに楽しんでいただけますよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、出稼ぎ中のお父さんが皆さんの助けを借りておうちに帰る、というシンプルなお話です。
村では妻アリシアと娘リナが、ごはんを食べずに待っていることと思います。
ベイルが無事帰れば、2人とも、心からの笑顔を見せてくれることでしょう。お礼にケーキをおすそ分けしてもらえるかもしれませんね。
それでは、みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/03/20 21:39
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/08 22:55:12 |
|
![]() |
相談卓 マナ・ブライト(ka4268) 人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/03/12 18:41:43 |