ゲスト
(ka0000)
後悔先に立たず
マスター:サトー

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/16 09:00
- リプレイ完成予定
- 2015/03/25 09:00
オープニング
極彩色の街ヴァリオス。
その大衆商店区に店を構えるアミーコ商店内で、午前中から一人の男が溜息を吐いていた。
「アン、ちょっと買い出しに行っとくれ」
「あい」
ふくよかな女将に命じられ、男は近所の店へ向かう。
彼の名はアン・ビツィオーネ。まだ年若い赤毛の青年だ。鶏冠のように髪を突き立て、鋭い目つきが初対面には受けが悪いが、中身はそれほど尖ってはいない。ちょっと元気な兄ちゃんといった風情で、根は善良なのである。
けれど、最近の彼は少し元気がない。
普段なら「アン」と呼ばれようものなら、「ビッツィって呼んでくれって言ってるでしょうに!」と必ず物言いが入るであろうに。
「すんませーん。このザル一つ、いいっすか」
「はいはい、只今」
ザルを一つ買い受け、アンは店へと戻る。その足取りは常より重い。
というのも、先日彼は仕事でうっかりミスをしてしまった。
関係各位に頭を下げて回ったが、商売人たる彼らは早々に許してはくれず、女将は女将で素知らぬ顔。
どうしたものか、と思案していたところに――声がかかった。
「おい、アン!」
「あん?」
そんなアンを呼び止めたのは、同年代のキザったらしい男。艶やかな黒髪を風に靡かせ、血色の良い頬は育ちの良さを窺わせる。
「へぇ……言い返す気力も無しってわけか。こりゃあいい!」
ははは、と男が高らかに笑うと、その取り巻きらしき屈強な男達も釣られて笑った。
「……何か用か、ジェロ」
「君のへこんだ面が見たくてね。身の程が分かったようで、ボクは嬉しいよ」
ジェロと呼ばれた男は一段と大きな笑い声を上げる。
アンは何か言い返そうと口を開いたが、すぐに噤んでしまった。周りの目が気になったのだ。
「じゃ、ボクはもう行くよ。君と違って、自分の店が忙しいからね」
ははは、と哄笑を残して、ジェロとその取り巻きは去っていく。
ざわざわと賑やかな商店街の中を、アンは足早に通り抜けた。
店に戻ってくると、女将が小太りなおっさんと何やら難しい顔をして話し込んでいた。
おっさんが去るのを待って、アンは女将に尋ねる。
「明日イベントがあったろ?」
「ああ、イチゴの奴っすか」
もうじき旬を迎えるイチゴ。
大衆商店区内に複数ある商店街の内、ジェオルジから取り寄せたそれを協力して売り込もうという、この界隈内に限り行われる季節初めの催しのことだ。
このイベントには例年4,50の店が参加することとなっている。
「それがね、輸送していた船が座礁して、荷を全て廃棄しちゃったらしいんだよ」
「えええ!?」
一報が届いたのが今朝のこと。イベントは明日の昼からの予定だ。
「それでさっきウチに用意できないか相談に来たってわけさ」
「用意って……結構な量っすよね?」
「そりゃあね。この商店街全体でアピールしていく予定だったんだから」
店の数は数十は下らない。
アミーコ商店にも少量のイチゴはあるが、とても融通できる量ではない。
「どうすんです? 中止っすか?」
女将はアンをじっと見つめる。
「な、なんすか?」
「これは独り言だけどね」と女将は前置きして言った。「もし、この事態を誰かが打開出来たら――、そいつの評価はぐっと上がるだろうね」
「!」
アンの目が俄かに見開く。
「おばさん! ちょっと早退していいっすか!?」
返事を聞く間もなく、アンは外へ走り出していた。
女将は苦笑して仕事へ戻った。
●ファルソ爺
ヴァリオス郊外。
「爺さん! いるんだろ! 早く開けてくれ!」
アンはがんがんと民家の扉を叩く。
少しして開いた扉から、今にも舌打ちしそうな老爺が姿を見せた。アミーコ商店とは長年の付き合いがあり、仕入先の一つで、農家を営む気難しい爺――ファルソだ。
「なんじゃ。女にでも追われて――」
「イチゴ!」
「は?」
「イチゴ無いか!? 大量に必要なんだ!」
「藪から棒になんじゃ。ちゃんと説明しろ」
手短に説明したアンに、ファルソ爺は、ふむと顎に手をやった。
「どうなんだよ!? あるのか、ないのか」
「喧しい奴じゃの。無い……」と言った瞬間、アンの顔面は給料袋を紛失してしまったのに気が付いた時と同じ位蒼白になったが、「……ここにはな」と付け加えられたことで、アミーコ商店にそれが届けられていたのを知った時と同じ位気を持ち直した。
「どこにならあるんだ!?」
「サナ・ダシロー」
「サナ婆……」
サナ婆とは、隣町に住む老婆のこと。頑固で有名だが、ファルソ爺の紹介なら、無理を言っても大丈夫だろう。一度だけなら。
「馬なら――行きは駆けて、帰りは歩きとなれば――今から出れば、明日の昼前には何とか帰って来られるじゃろ」
「ぎりぎりか……」
「ただな……」
「?」
「それはあくまでも近道を通った場合の話じゃ。普通の街道を行くなら、早くとも明日の夜になってしまうわ」
「? 近道通ればいいだけなんだろ? 問題あんのか?」
「コボルドが出る」
「!?」
「丁度中間の辺りにある森のどこかに、最近棲みついたらしい。数が多いそうじゃから、今は避けた方が良い。腹を空かして、道行く者を手当たり次第に襲っとる。普通の街道を行くしかないというわけじゃ」
「けど、それじゃあ!」
「行きも帰りも馬で駆けるなら、通常の街道でも十分昼前に戻って来れるぞ。まあ、運べる量はたかが知れているがの」
荷崩れの心配もあるしのう、とファルソ爺は豊かな顎鬚を撫でた。
「……近道を行けば間に合うんだよな?」
「そうじゃが」
アンの頭に閃いたのは、彼ら――ハンターの姿だ。
ハンターなら、護衛をしつつ安全に抜けることも可能だろう。運搬の人手にもなる。
近道を行く気らしいアンにファルソ爺は眉を顰めたが、止める義理もない。
「そこのコボルドは今の所夜間にしか街道に姿を現さんらしい」
つまり、遭遇するなら帰り……。敵の数が多く、荷があるとあっては、かなり厄介だろう。
「……お主、馬車はあるのか?」
「無いな。馬も一頭しか無えけど、何とかなるだろ。出来る限り、持ち帰ってやらぁ」
っつうか、何とかしねぇといけないんだ、とアンは不退転の覚悟を決めた。
その大衆商店区に店を構えるアミーコ商店内で、午前中から一人の男が溜息を吐いていた。
「アン、ちょっと買い出しに行っとくれ」
「あい」
ふくよかな女将に命じられ、男は近所の店へ向かう。
彼の名はアン・ビツィオーネ。まだ年若い赤毛の青年だ。鶏冠のように髪を突き立て、鋭い目つきが初対面には受けが悪いが、中身はそれほど尖ってはいない。ちょっと元気な兄ちゃんといった風情で、根は善良なのである。
けれど、最近の彼は少し元気がない。
普段なら「アン」と呼ばれようものなら、「ビッツィって呼んでくれって言ってるでしょうに!」と必ず物言いが入るであろうに。
「すんませーん。このザル一つ、いいっすか」
「はいはい、只今」
ザルを一つ買い受け、アンは店へと戻る。その足取りは常より重い。
というのも、先日彼は仕事でうっかりミスをしてしまった。
関係各位に頭を下げて回ったが、商売人たる彼らは早々に許してはくれず、女将は女将で素知らぬ顔。
どうしたものか、と思案していたところに――声がかかった。
「おい、アン!」
「あん?」
そんなアンを呼び止めたのは、同年代のキザったらしい男。艶やかな黒髪を風に靡かせ、血色の良い頬は育ちの良さを窺わせる。
「へぇ……言い返す気力も無しってわけか。こりゃあいい!」
ははは、と男が高らかに笑うと、その取り巻きらしき屈強な男達も釣られて笑った。
「……何か用か、ジェロ」
「君のへこんだ面が見たくてね。身の程が分かったようで、ボクは嬉しいよ」
ジェロと呼ばれた男は一段と大きな笑い声を上げる。
アンは何か言い返そうと口を開いたが、すぐに噤んでしまった。周りの目が気になったのだ。
「じゃ、ボクはもう行くよ。君と違って、自分の店が忙しいからね」
ははは、と哄笑を残して、ジェロとその取り巻きは去っていく。
ざわざわと賑やかな商店街の中を、アンは足早に通り抜けた。
店に戻ってくると、女将が小太りなおっさんと何やら難しい顔をして話し込んでいた。
おっさんが去るのを待って、アンは女将に尋ねる。
「明日イベントがあったろ?」
「ああ、イチゴの奴っすか」
もうじき旬を迎えるイチゴ。
大衆商店区内に複数ある商店街の内、ジェオルジから取り寄せたそれを協力して売り込もうという、この界隈内に限り行われる季節初めの催しのことだ。
このイベントには例年4,50の店が参加することとなっている。
「それがね、輸送していた船が座礁して、荷を全て廃棄しちゃったらしいんだよ」
「えええ!?」
一報が届いたのが今朝のこと。イベントは明日の昼からの予定だ。
「それでさっきウチに用意できないか相談に来たってわけさ」
「用意って……結構な量っすよね?」
「そりゃあね。この商店街全体でアピールしていく予定だったんだから」
店の数は数十は下らない。
アミーコ商店にも少量のイチゴはあるが、とても融通できる量ではない。
「どうすんです? 中止っすか?」
女将はアンをじっと見つめる。
「な、なんすか?」
「これは独り言だけどね」と女将は前置きして言った。「もし、この事態を誰かが打開出来たら――、そいつの評価はぐっと上がるだろうね」
「!」
アンの目が俄かに見開く。
「おばさん! ちょっと早退していいっすか!?」
返事を聞く間もなく、アンは外へ走り出していた。
女将は苦笑して仕事へ戻った。
●ファルソ爺
ヴァリオス郊外。
「爺さん! いるんだろ! 早く開けてくれ!」
アンはがんがんと民家の扉を叩く。
少しして開いた扉から、今にも舌打ちしそうな老爺が姿を見せた。アミーコ商店とは長年の付き合いがあり、仕入先の一つで、農家を営む気難しい爺――ファルソだ。
「なんじゃ。女にでも追われて――」
「イチゴ!」
「は?」
「イチゴ無いか!? 大量に必要なんだ!」
「藪から棒になんじゃ。ちゃんと説明しろ」
手短に説明したアンに、ファルソ爺は、ふむと顎に手をやった。
「どうなんだよ!? あるのか、ないのか」
「喧しい奴じゃの。無い……」と言った瞬間、アンの顔面は給料袋を紛失してしまったのに気が付いた時と同じ位蒼白になったが、「……ここにはな」と付け加えられたことで、アミーコ商店にそれが届けられていたのを知った時と同じ位気を持ち直した。
「どこにならあるんだ!?」
「サナ・ダシロー」
「サナ婆……」
サナ婆とは、隣町に住む老婆のこと。頑固で有名だが、ファルソ爺の紹介なら、無理を言っても大丈夫だろう。一度だけなら。
「馬なら――行きは駆けて、帰りは歩きとなれば――今から出れば、明日の昼前には何とか帰って来られるじゃろ」
「ぎりぎりか……」
「ただな……」
「?」
「それはあくまでも近道を通った場合の話じゃ。普通の街道を行くなら、早くとも明日の夜になってしまうわ」
「? 近道通ればいいだけなんだろ? 問題あんのか?」
「コボルドが出る」
「!?」
「丁度中間の辺りにある森のどこかに、最近棲みついたらしい。数が多いそうじゃから、今は避けた方が良い。腹を空かして、道行く者を手当たり次第に襲っとる。普通の街道を行くしかないというわけじゃ」
「けど、それじゃあ!」
「行きも帰りも馬で駆けるなら、通常の街道でも十分昼前に戻って来れるぞ。まあ、運べる量はたかが知れているがの」
荷崩れの心配もあるしのう、とファルソ爺は豊かな顎鬚を撫でた。
「……近道を行けば間に合うんだよな?」
「そうじゃが」
アンの頭に閃いたのは、彼ら――ハンターの姿だ。
ハンターなら、護衛をしつつ安全に抜けることも可能だろう。運搬の人手にもなる。
近道を行く気らしいアンにファルソ爺は眉を顰めたが、止める義理もない。
「そこのコボルドは今の所夜間にしか街道に姿を現さんらしい」
つまり、遭遇するなら帰り……。敵の数が多く、荷があるとあっては、かなり厄介だろう。
「……お主、馬車はあるのか?」
「無いな。馬も一頭しか無えけど、何とかなるだろ。出来る限り、持ち帰ってやらぁ」
っつうか、何とかしねぇといけないんだ、とアンは不退転の覚悟を決めた。
解説
目的:
出来る限り多くのイチゴを持ち帰る事。
状況:
(以下移動力2+馬、休憩は二度、それぞれ30分ずつでの計算)
通常の街道……敵無し。往復ともに馬で駆ける必要あり(2時間ほどの余裕有)。
近道の街道……敵有り。片道は徒歩でも間に合う(30分ほどの余裕有)。
イチゴを箱に詰める時間も含まれていますが、これは一人3箱(1箱240個)と仮定した場合の話です。
また、出発前の準備・道中足を止める時間は考慮されていない。
敵:雑魚
コボルド多数。近道を行った場合、夜間(帰り道)に遭遇。
イチゴ:
大量に必要。
運搬中に形が崩れたりした場合、数としてカウントされない可能性がある(交渉次第)。
使用用途は、店によって異なる。
道具:
平凡な木の箱。
緩衝材は、雑多な草花。
材木、ロープ、釘は店にある。
用意済みの箱:(装備コストは加算されません)
高さはイチゴ2つ分。広さは縦1m横50cm。
一箱に、一段120個、二段で240個が通常(限度は260個)。
緩衝材の種類や量で、積載可能なイチゴの数は増減します。
箱を馬の背にロープで取りつける場合、3箱までが適正値です(徒歩での場合)。
それ以上は工夫をしないと、イチゴに悪影響を与えます。
アンを入れて全員で27箱(1箱240個計算)無事に持ち帰ることが出来れば、最低限イベントは可能になります。
備考:
上記以外の道具は自作or購入or調達する必要あり。
購入費用は高価な物で無ければ、アンから供出。
馬が無い者には、希望すればオフィスから貸与。
休憩の有無は指定可能。
馬の体力についての懸念は不要(アンはへばるかも)。
アン・ビツィオーネ:
赤髪のとさかを持つ男。若い。目つきが悪い。
アミーコ商店唯一の従業員。アンと呼ぶと怒る。
将来の夢は、高級商店街に自分の店を持つこと。
アミーコ商店:
個人商店。ヴァリオス大衆商店区にある。
主に野菜や果物、副次的に肉や魚などを扱っている。
商店街内では、古株のお店。
出来る限り多くのイチゴを持ち帰る事。
状況:
(以下移動力2+馬、休憩は二度、それぞれ30分ずつでの計算)
通常の街道……敵無し。往復ともに馬で駆ける必要あり(2時間ほどの余裕有)。
近道の街道……敵有り。片道は徒歩でも間に合う(30分ほどの余裕有)。
イチゴを箱に詰める時間も含まれていますが、これは一人3箱(1箱240個)と仮定した場合の話です。
また、出発前の準備・道中足を止める時間は考慮されていない。
敵:雑魚
コボルド多数。近道を行った場合、夜間(帰り道)に遭遇。
イチゴ:
大量に必要。
運搬中に形が崩れたりした場合、数としてカウントされない可能性がある(交渉次第)。
使用用途は、店によって異なる。
道具:
平凡な木の箱。
緩衝材は、雑多な草花。
材木、ロープ、釘は店にある。
用意済みの箱:(装備コストは加算されません)
高さはイチゴ2つ分。広さは縦1m横50cm。
一箱に、一段120個、二段で240個が通常(限度は260個)。
緩衝材の種類や量で、積載可能なイチゴの数は増減します。
箱を馬の背にロープで取りつける場合、3箱までが適正値です(徒歩での場合)。
それ以上は工夫をしないと、イチゴに悪影響を与えます。
アンを入れて全員で27箱(1箱240個計算)無事に持ち帰ることが出来れば、最低限イベントは可能になります。
備考:
上記以外の道具は自作or購入or調達する必要あり。
購入費用は高価な物で無ければ、アンから供出。
馬が無い者には、希望すればオフィスから貸与。
休憩の有無は指定可能。
馬の体力についての懸念は不要(アンはへばるかも)。
アン・ビツィオーネ:
赤髪のとさかを持つ男。若い。目つきが悪い。
アミーコ商店唯一の従業員。アンと呼ぶと怒る。
将来の夢は、高級商店街に自分の店を持つこと。
アミーコ商店:
個人商店。ヴァリオス大衆商店区にある。
主に野菜や果物、副次的に肉や魚などを扱っている。
商店街内では、古株のお店。
マスターより
お疲れさまでございます。
戦闘がある場合、戦闘はごくごく簡単な描写になりますので、予めご了承ください。
解説を細かく記載しすぎた感が満載ですが、「くっ! 好きにしろ(歯噛み)」状態です。
おやすみなさい。
戦闘がある場合、戦闘はごくごく簡単な描写になりますので、予めご了承ください。
解説を細かく記載しすぎた感が満載ですが、「くっ! 好きにしろ(歯噛み)」状態です。
おやすみなさい。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/03/25 02:39
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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相談卓 マリアンナ・バウアール(ka4007) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/03/16 08:04:38 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/16 07:48:03 |