ゲスト
(ka0000)
夢より出る、炎の錬成
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/13 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/03/22 12:00
オープニング
紫煙が空に舞い浮かぶ。
「くそ……あと少し、あと少しなのに」
何度目か分からない言葉を口にした。しかし、鬱屈した感情が高ぶり、今回のは少し大き目だったのかもしれない。問い返されることを期待していない独り言がオウム返しに問う声が男の耳に届いた。
「あと、少し?」
「え、ああ。すまない。ちょっと仕事で煮詰まってて、ね……」
男は声の主を確認してぴたりと止まった。
少女だった。真夜中の公園には似つかわしくない、いや、幻想的という意味ならとてもよく似合う。身なりは裕福そうではない、むしろ貧乏な印象を与えるが、その抜けるような肌の白さは月明かりによく映えた。昼ではけっして見られない美しさだと感じた。
「夢を追いかけるって大変ですよね」
少女は羨ましそうな目をこちらに向けると、少し悲しそうにため息をついた。
ああ。夢に破れたのだろうか。それが現実なのだ。金がなければ満足に食うこともできない。夢はいずれ離れ、現実の辛酸をなめて生きていく。男は少女の横顔を見て、ふとそう考えた。
パトロン達も業を煮やし始めている。自分がこの少女のように人を羨むようになるのもそう遠くない未来かもしれない。
どうせもう誰かに知られても構わないような研究だ。煮詰まったそれをどうにかできるような天才は錬魔院にすらいやしないだろうという心と、藁をもすがる想いが彼女を吸い寄せた。
「夢を掴むって本当大変さ。雲をつかむような話だ。だけどね。俺はあと少しで掴めそうなんだよ」
宝石の錬成。
錬金術師が永遠の命、賢者の石を至高の命題として捉えた場合、そのステップとして時間によって変化しない黄金や宝石の研究対象に取り組む者は少なくない。
真夜中の公園を一人ぼつりぼつりとあるく男は小さな粒の宝石から大きな一つの結晶を作ることを目標とし、もう年単位の時間をかけてそれに取り組んでいた。宝石とてこの世の物質。融点を超える高温を与えれば、液状になり、それを冷やし固めれば、大きな結晶にできる。理論は完成し、リアルブルーの書物によってそれは実現可能と彼らは推測していた。
その為に帝国内を駆けずり回り、もう一度だけ、これが最終試練なのだとパトロンから資金を集めてきたのだ。しかし、それでも結果は成功にいたらず、早幾年。
男は少女が理解できるかどうかもあまり考えず、とにかく悩みを打ち明けると、彼女は熱心に聞いてくれた。言葉の意味の半分は理解できていなかっただろう。だが長い時間をかけても彼女は時間を気にすることもなければ、嫌がる素振りもせず、ただただ聞き入ってくれた。
「熱を集める方法も大変だが、最終的にその熱を受け止める器がないんだ。宝石を溶かすには2000度もの高熱を数時間持続させなきゃならない。どんな器もまず溶けてしまうんだよ」
「私の大好きな本にはこんな言葉があります。『奇跡は心血注いだ呼びかけにこそ応えてくれる。最適な時、最適な場所、最適な機会を通じて』。今日出会えたのも神のおぼしめしだと思います」
誰もが難解で答えようのない命題に口を閉ざし、または茶を濁すようなセリフを言ったものだが、彼女の言葉は決してそんな類のものではなかった。真正面から男を見据える目には力を感じた。
「私なりにできることで良ければお手伝いいたします。ですから、諦めないでください。夢は、叶えるためにあるんです」
それ以後、彼女は男の家の前に本を置くようになった。宝石の本、リアルブルーの工学系の本。どこかの伝承を聞いてきたのかその走り書きのメモなど。そしていつも焼きたてのパンをそっと添えて。時には研究所に顔を出しては笑顔を届けてくれたし、男が研究に行き詰まればまた耳を貸してくれた。
そんなパトロンのような協賛者ではなく、理解者が現れたということは男に大きな変化をもたらした。
「宙空での錬成だ!!」
男が飛び上がって少女にその報告をした。
「いいか、器が熱に耐えられないのが今回の一番の問題だった。だから宝石の原石を風の力で巻き上げ、空中でエネルギーを受けさせ液状化する。下に落ちるころには冷却されて大きな結晶が生まれる!」
「やりましたね!」
「いいや、まだだ。空中で錬成するには器に入れるより膨大なエネルギーが必要なんだ。液状化するまでの間、風を生み続けなければならないし、風で冷却される以上の熱を与え続けるにはマテリアルのコントロールが上手な機導士や魔術師が何人もいる。だけど見ててくれ。この錬成は絶対に成功できる!」
改めて男は少女を見た。名はブリュンヒルデと聞いた。
リアルブルーで戦乙女と呼ばれる伝承と同じ名前である彼女が彼の元に現れたというのはまるで神話の中に自分が迷い込んだような錯覚を与えた。
だからこそ感じるのだ。成功を。
稀代の実験が始まろうとしている。ハンターオフィスに寄せられたのはその人員募集であった。
「くそ……あと少し、あと少しなのに」
何度目か分からない言葉を口にした。しかし、鬱屈した感情が高ぶり、今回のは少し大き目だったのかもしれない。問い返されることを期待していない独り言がオウム返しに問う声が男の耳に届いた。
「あと、少し?」
「え、ああ。すまない。ちょっと仕事で煮詰まってて、ね……」
男は声の主を確認してぴたりと止まった。
少女だった。真夜中の公園には似つかわしくない、いや、幻想的という意味ならとてもよく似合う。身なりは裕福そうではない、むしろ貧乏な印象を与えるが、その抜けるような肌の白さは月明かりによく映えた。昼ではけっして見られない美しさだと感じた。
「夢を追いかけるって大変ですよね」
少女は羨ましそうな目をこちらに向けると、少し悲しそうにため息をついた。
ああ。夢に破れたのだろうか。それが現実なのだ。金がなければ満足に食うこともできない。夢はいずれ離れ、現実の辛酸をなめて生きていく。男は少女の横顔を見て、ふとそう考えた。
パトロン達も業を煮やし始めている。自分がこの少女のように人を羨むようになるのもそう遠くない未来かもしれない。
どうせもう誰かに知られても構わないような研究だ。煮詰まったそれをどうにかできるような天才は錬魔院にすらいやしないだろうという心と、藁をもすがる想いが彼女を吸い寄せた。
「夢を掴むって本当大変さ。雲をつかむような話だ。だけどね。俺はあと少しで掴めそうなんだよ」
宝石の錬成。
錬金術師が永遠の命、賢者の石を至高の命題として捉えた場合、そのステップとして時間によって変化しない黄金や宝石の研究対象に取り組む者は少なくない。
真夜中の公園を一人ぼつりぼつりとあるく男は小さな粒の宝石から大きな一つの結晶を作ることを目標とし、もう年単位の時間をかけてそれに取り組んでいた。宝石とてこの世の物質。融点を超える高温を与えれば、液状になり、それを冷やし固めれば、大きな結晶にできる。理論は完成し、リアルブルーの書物によってそれは実現可能と彼らは推測していた。
その為に帝国内を駆けずり回り、もう一度だけ、これが最終試練なのだとパトロンから資金を集めてきたのだ。しかし、それでも結果は成功にいたらず、早幾年。
男は少女が理解できるかどうかもあまり考えず、とにかく悩みを打ち明けると、彼女は熱心に聞いてくれた。言葉の意味の半分は理解できていなかっただろう。だが長い時間をかけても彼女は時間を気にすることもなければ、嫌がる素振りもせず、ただただ聞き入ってくれた。
「熱を集める方法も大変だが、最終的にその熱を受け止める器がないんだ。宝石を溶かすには2000度もの高熱を数時間持続させなきゃならない。どんな器もまず溶けてしまうんだよ」
「私の大好きな本にはこんな言葉があります。『奇跡は心血注いだ呼びかけにこそ応えてくれる。最適な時、最適な場所、最適な機会を通じて』。今日出会えたのも神のおぼしめしだと思います」
誰もが難解で答えようのない命題に口を閉ざし、または茶を濁すようなセリフを言ったものだが、彼女の言葉は決してそんな類のものではなかった。真正面から男を見据える目には力を感じた。
「私なりにできることで良ければお手伝いいたします。ですから、諦めないでください。夢は、叶えるためにあるんです」
それ以後、彼女は男の家の前に本を置くようになった。宝石の本、リアルブルーの工学系の本。どこかの伝承を聞いてきたのかその走り書きのメモなど。そしていつも焼きたてのパンをそっと添えて。時には研究所に顔を出しては笑顔を届けてくれたし、男が研究に行き詰まればまた耳を貸してくれた。
そんなパトロンのような協賛者ではなく、理解者が現れたということは男に大きな変化をもたらした。
「宙空での錬成だ!!」
男が飛び上がって少女にその報告をした。
「いいか、器が熱に耐えられないのが今回の一番の問題だった。だから宝石の原石を風の力で巻き上げ、空中でエネルギーを受けさせ液状化する。下に落ちるころには冷却されて大きな結晶が生まれる!」
「やりましたね!」
「いいや、まだだ。空中で錬成するには器に入れるより膨大なエネルギーが必要なんだ。液状化するまでの間、風を生み続けなければならないし、風で冷却される以上の熱を与え続けるにはマテリアルのコントロールが上手な機導士や魔術師が何人もいる。だけど見ててくれ。この錬成は絶対に成功できる!」
改めて男は少女を見た。名はブリュンヒルデと聞いた。
リアルブルーで戦乙女と呼ばれる伝承と同じ名前である彼女が彼の元に現れたというのはまるで神話の中に自分が迷い込んだような錯覚を与えた。
だからこそ感じるのだ。成功を。
稀代の実験が始まろうとしている。ハンターオフィスに寄せられたのはその人員募集であった。
解説
宝石錬成をする為の手伝いをします。
錬成に参加するには職業が機導士か魔術師である必要があります。その他の職では直接参加はできませんが様々な雑用として手伝うことができます。
手順:
錬成参加者は宝石溶解のためにマテリアルを転化したエネルギーをタンクと魔法陣に集めます。かなりの量を集めないといけない為、休憩と集中を繰り返します。
十分なエネルギーが蓄積した後、それをコントロールしながら宝石の原石を溶解します。機導士は主にタンクに充填されたマテリアルからの放出エネルギーのコントロール、魔術師はそれを具現化して、熱と風に分けて原石を空中で溶解します。
担当職業外の方は器機のコントロールや資料文献の調査、マテリアルコントロールの効率化や合成宝石の実際の利用法などの研究などの仕事があります。
錬金術師の男の名前はレイオニール。43才。機導士。
少女はブリュンヒルデ。推定13才前後。錬成の時には彼女はいません。応援として差し入れしてくれます。
成功判定において機械知識と魔術知識の有無、錬金術関係者と思われる設定は優遇します。
錬成に参加するには職業が機導士か魔術師である必要があります。その他の職では直接参加はできませんが様々な雑用として手伝うことができます。
手順:
錬成参加者は宝石溶解のためにマテリアルを転化したエネルギーをタンクと魔法陣に集めます。かなりの量を集めないといけない為、休憩と集中を繰り返します。
十分なエネルギーが蓄積した後、それをコントロールしながら宝石の原石を溶解します。機導士は主にタンクに充填されたマテリアルからの放出エネルギーのコントロール、魔術師はそれを具現化して、熱と風に分けて原石を空中で溶解します。
担当職業外の方は器機のコントロールや資料文献の調査、マテリアルコントロールの効率化や合成宝石の実際の利用法などの研究などの仕事があります。
錬金術師の男の名前はレイオニール。43才。機導士。
少女はブリュンヒルデ。推定13才前後。錬成の時には彼女はいません。応援として差し入れしてくれます。
成功判定において機械知識と魔術知識の有無、錬金術関係者と思われる設定は優遇します。
マスターより
合成宝石という技術は実はけっこう昔から存在しています。
皆さんには人工ダイヤモンドあたりが有名ですかね。
ルビーなんかはもっと早くから合成する方法があったわけですが、今回はそれをクリムゾンウェストの技術でやってしまおうという企画です。
みんなで魔法陣の上に立ち、魔力を注ぎ込む。それが錬成と呼ばれ、形を作る。
そんな光景にご興味のある方は是非。
なお、レイオニール独自の技術が山ほどありますので、パクるのは不可能です。
アイテム強化の錬成工房あるからそんな珍しいものじゃないかもしれませんけどね。
皆さんには人工ダイヤモンドあたりが有名ですかね。
ルビーなんかはもっと早くから合成する方法があったわけですが、今回はそれをクリムゾンウェストの技術でやってしまおうという企画です。
みんなで魔法陣の上に立ち、魔力を注ぎ込む。それが錬成と呼ばれ、形を作る。
そんな光景にご興味のある方は是非。
なお、レイオニール独自の技術が山ほどありますので、パクるのは不可能です。
アイテム強化の錬成工房あるからそんな珍しいものじゃないかもしれませんけどね。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/03/17 01:08
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 レイレリア・リナークシス(ka3872) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/03/12 23:55:29 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/10 11:16:07 |