ゲスト
(ka0000)
仇
マスター:一縷

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/14 15:00
- リプレイ完成予定
- 2015/03/23 15:00
オープニング
●胸騒ぎ
すっかり暗くなってしまった家路を、青年は小走りで進む。
近道だと選んだ道は思っていたよりも険しくて、肩紐が枝に引っかかってしまい、軽い音と共に鞄が地面に落ちた。
急いていた足を止め、落ちた鞄に手を伸ばすが、肩紐が切れていることに気づき手を止める。
胸騒ぎが収まらない。さっきからずっと……嫌な汗が額から頬を伝う。
そんな胸騒ぎを掻き消すかのように小さな舌打ちを打ち、青年はその鞄を大事そうに抱え、再び走り出した。
●幸せ
青年には、病弱な妹が居た。
日常生活には支障は少ないものの、発作を起こせば咳が止まらずに絶対安静となってしまう。
人混みや空気の悪い場所での生活は向かなかった為に、大きな街からは離れて、小さな村に暮らしていた。
――幸せだった。
――兄として、妹に出来ることは何でもしてやろうと思っていた。
ずっと続くと思っていた幸せな時間。
嘲笑うかのように忍び寄る悪魔の足音には気づかずに……。
悪魔が笑ったその日、ずっと続くと思っていた幸せな時間は簡単に打ち砕かれた。
●崩壊
「……っ、なんだよ、これ……」
青年は目を疑った。全身に緊張が走り、金縛りにあったかのように身体が動かない。
立ち込める砂煙。踏み荒らされたような跡。道端に力なく倒れる人々……自然に包まれていたはずの村は、ほとんどが崩壊していた。
状況が理解できぬまま佇んでいると、途端に全身が震えだす。
そう言えば、家族は――妹は――青年は何かに弾かれたように顔を上げ走り出す。
未だに小刻みに震える足で縺れそうになるのを必死に堪えながら、ただ走る。
目的地に辿り着いた青年を待ち受けていたのは悲惨な現状だった。
「――っ!!」
何かを叫んだはずだ。しかし、声にはならない。音にはならずに、ただ空気を震わせるだけ。
壊された扉。粉々に割れた窓。酷く荒らされた室内。そして……赤に染まった家族の姿。
横たわる小さな身体を抱き締める。既に冷たくなっていて、自分の温かい肌が今だけ恨めしくなる。
「なんで……なんでだよ……っ!!」
溢れ出す涙が頬を伝い、妹の頬を濡らしていく。
ふと妹に読み聞かせていた物語を思い出す。頬を伝う涙が急に輝き、目を覚ますという御伽噺。
……そんなの所詮は作られた物語だ。都合のいい作り話だ。目を覚ましてほしいと言う、ただの願いだ。
「……許さない」
唇が赤く腫れるほどに強く噛み締め、荒々しく目元の涙を甲で拭ってから、小さな体をベッドに横たえる。
妹を護ったのだろう。傍に倒れていた両親にも布を被せて、青年は立ち上がった。
その足で村を歩く。既に村人は逃げ出したのだろう。村は静かで人がいない。
倒れた人に近寄り、声をかけると何人かは息があり、何が起こったのかを聞き出すことが出来た。
突然現れた大きな獣に襲われた。皆が皆、同じことを口にする。
確かに、辺りには明らかに人間の仕業ではない引っ掻き傷や足跡があった。一匹、いや二匹……相当暴れ回ったのか、数を特定することは出来そうにない。
「どこに行ったか分かるか?」
問いかけると、話し疲れたのか仰向けに寝転がった男性が森の方を指さす。
それから苦痛に耐えるかのように眉根を寄せて目を伏せる男性に礼を述べると、青年は森へと足を運んだ。
鬱蒼と緑の多い茂った森を歩く。昼間に歩けば何ともない道も、夜に歩くだけで全く違って思えてしまう。
木々をすり抜け照らされる月明かりだけを頼りに奥へと進む。
―――グルルッ
静寂に包まれた空間に低い唸り声が響き渡る。
青年は足を止め、息を殺して唸り声の下方向へ視線を凝らす。ゆらりと何かが揺れた。
(……!)
月明かりで反射したのか鋭い眼光がこちらに一瞬向けられたような気がして、青年は咄嗟に身を伏せる。
ごくりと唾を飲み込む。勢いでここまで来てしまったが、自分には何もできない。戦う術など持っていない。
しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。妹の、家族の、――村の皆の仇を取らないと。
気分を落ち着かせるように大きく息を吸い込み、音を立てないように慎重に茂みに移動する。
茂みから顔を覗かせ、獣を盗み見ると見たこともないような大きな獣が立っていた。
一人では無理だ。瞬時に理解する。
じゃあ、どうすればいいのか……そして、一つの解を導き出した青年は再び駆け出した。
●解
夜が明け始め、うっすらと朝を告げる日差しが街を照らし始める頃、青年は大きな扉の前で立ち止まる。
肩で息をしながら、その息を整えようともせずに青年はその扉を叩く。
「村を、助けてくれ……!」
青年が出した答え。それは、ハンター達を頼るしかない。それだったのだ。
すっかり暗くなってしまった家路を、青年は小走りで進む。
近道だと選んだ道は思っていたよりも険しくて、肩紐が枝に引っかかってしまい、軽い音と共に鞄が地面に落ちた。
急いていた足を止め、落ちた鞄に手を伸ばすが、肩紐が切れていることに気づき手を止める。
胸騒ぎが収まらない。さっきからずっと……嫌な汗が額から頬を伝う。
そんな胸騒ぎを掻き消すかのように小さな舌打ちを打ち、青年はその鞄を大事そうに抱え、再び走り出した。
●幸せ
青年には、病弱な妹が居た。
日常生活には支障は少ないものの、発作を起こせば咳が止まらずに絶対安静となってしまう。
人混みや空気の悪い場所での生活は向かなかった為に、大きな街からは離れて、小さな村に暮らしていた。
――幸せだった。
――兄として、妹に出来ることは何でもしてやろうと思っていた。
ずっと続くと思っていた幸せな時間。
嘲笑うかのように忍び寄る悪魔の足音には気づかずに……。
悪魔が笑ったその日、ずっと続くと思っていた幸せな時間は簡単に打ち砕かれた。
●崩壊
「……っ、なんだよ、これ……」
青年は目を疑った。全身に緊張が走り、金縛りにあったかのように身体が動かない。
立ち込める砂煙。踏み荒らされたような跡。道端に力なく倒れる人々……自然に包まれていたはずの村は、ほとんどが崩壊していた。
状況が理解できぬまま佇んでいると、途端に全身が震えだす。
そう言えば、家族は――妹は――青年は何かに弾かれたように顔を上げ走り出す。
未だに小刻みに震える足で縺れそうになるのを必死に堪えながら、ただ走る。
目的地に辿り着いた青年を待ち受けていたのは悲惨な現状だった。
「――っ!!」
何かを叫んだはずだ。しかし、声にはならない。音にはならずに、ただ空気を震わせるだけ。
壊された扉。粉々に割れた窓。酷く荒らされた室内。そして……赤に染まった家族の姿。
横たわる小さな身体を抱き締める。既に冷たくなっていて、自分の温かい肌が今だけ恨めしくなる。
「なんで……なんでだよ……っ!!」
溢れ出す涙が頬を伝い、妹の頬を濡らしていく。
ふと妹に読み聞かせていた物語を思い出す。頬を伝う涙が急に輝き、目を覚ますという御伽噺。
……そんなの所詮は作られた物語だ。都合のいい作り話だ。目を覚ましてほしいと言う、ただの願いだ。
「……許さない」
唇が赤く腫れるほどに強く噛み締め、荒々しく目元の涙を甲で拭ってから、小さな体をベッドに横たえる。
妹を護ったのだろう。傍に倒れていた両親にも布を被せて、青年は立ち上がった。
その足で村を歩く。既に村人は逃げ出したのだろう。村は静かで人がいない。
倒れた人に近寄り、声をかけると何人かは息があり、何が起こったのかを聞き出すことが出来た。
突然現れた大きな獣に襲われた。皆が皆、同じことを口にする。
確かに、辺りには明らかに人間の仕業ではない引っ掻き傷や足跡があった。一匹、いや二匹……相当暴れ回ったのか、数を特定することは出来そうにない。
「どこに行ったか分かるか?」
問いかけると、話し疲れたのか仰向けに寝転がった男性が森の方を指さす。
それから苦痛に耐えるかのように眉根を寄せて目を伏せる男性に礼を述べると、青年は森へと足を運んだ。
鬱蒼と緑の多い茂った森を歩く。昼間に歩けば何ともない道も、夜に歩くだけで全く違って思えてしまう。
木々をすり抜け照らされる月明かりだけを頼りに奥へと進む。
―――グルルッ
静寂に包まれた空間に低い唸り声が響き渡る。
青年は足を止め、息を殺して唸り声の下方向へ視線を凝らす。ゆらりと何かが揺れた。
(……!)
月明かりで反射したのか鋭い眼光がこちらに一瞬向けられたような気がして、青年は咄嗟に身を伏せる。
ごくりと唾を飲み込む。勢いでここまで来てしまったが、自分には何もできない。戦う術など持っていない。
しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。妹の、家族の、――村の皆の仇を取らないと。
気分を落ち着かせるように大きく息を吸い込み、音を立てないように慎重に茂みに移動する。
茂みから顔を覗かせ、獣を盗み見ると見たこともないような大きな獣が立っていた。
一人では無理だ。瞬時に理解する。
じゃあ、どうすればいいのか……そして、一つの解を導き出した青年は再び駆け出した。
●解
夜が明け始め、うっすらと朝を告げる日差しが街を照らし始める頃、青年は大きな扉の前で立ち止まる。
肩で息をしながら、その息を整えようともせずに青年はその扉を叩く。
「村を、助けてくれ……!」
青年が出した答え。それは、ハンター達を頼るしかない。それだったのだ。
解説
●依頼内容
獣(狼型雑魔)の討伐。
●状況
天候は晴れ。時間帯は午後。
敵の居場所は青年のみが把握。青年は敵の姿を一匹だけ確認している状態。
森の中は奥に行けば行くほど狭くなっている。
村は既に崩壊状態で、残っているのは怪我を負った村人と亡くなった村人のみ。
青年は道案内を志願しており、邪魔にならないようにするからとその場に残ることを希望している。
●敵
狼型の雑魔。狼型の雑魔。体長は2m近く。攻撃は鋭い爪や牙で行う。
今までそう言った被害はなかった為、野生の狼が雑魔となって凶暴化したと考えられる。
体型に似合わず、すばしっこい。
獣(狼型雑魔)の討伐。
●状況
天候は晴れ。時間帯は午後。
敵の居場所は青年のみが把握。青年は敵の姿を一匹だけ確認している状態。
森の中は奥に行けば行くほど狭くなっている。
村は既に崩壊状態で、残っているのは怪我を負った村人と亡くなった村人のみ。
青年は道案内を志願しており、邪魔にならないようにするからとその場に残ることを希望している。
●敵
狼型の雑魔。狼型の雑魔。体長は2m近く。攻撃は鋭い爪や牙で行う。
今までそう言った被害はなかった為、野生の狼が雑魔となって凶暴化したと考えられる。
体型に似合わず、すばしっこい。
マスターより
こんにちは。一縷です。
気が付けば3月…月日が経つのは早いですね。
今回は、狼型の雑魔を討伐する戦闘依頼となります。
無事、雑魔の討伐に成功し、青年の気持ちが晴れるとよいのですが…。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。よろしくお願いします!
気が付けば3月…月日が経つのは早いですね。
今回は、狼型の雑魔を討伐する戦闘依頼となります。
無事、雑魔の討伐に成功し、青年の気持ちが晴れるとよいのですが…。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。よろしくお願いします!
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/03/22 16:42
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談用 メルクーア(ka4005) ドワーフ|10才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/03/14 01:56:26 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/10 00:42:03 |