ゲスト
(ka0000)
火のないところに
マスター:サトー

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/19 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/03/28 07:30
オープニング
「もうホトボリは冷めたんじゃないでしょうか?」
夜も更けてきた刻限、とある屋敷の一室にて、手拭を頭に巻いた年配の男が神妙な顔をして言う。
視線の先には、背を向けた高齢の男が一人。蓄えた口髭は左右に流れ、白い毛先がちょんと上へ。立派な机を挟み、窓ガラスから覗く遠い町の灯りを舐るようにして眺め立つ。
黙して語らない年配の男に、手拭はじれたように言葉を繋げた。
「頭領」
「……分かっている」
頭領と呼ばれた年配の男は振り返ると、手拭をじっと見据える。
威厳のある風格。垂れ下がる立派な眉毛の下、鋭い眼光に、手拭はすっと背筋を正した。
「だが、念には念をだ。先に工場区の方を押さえる」
「……はい」
「不服か? マジョ」
「いえ、まさか」
マジョと呼ばれた手拭の男は、静かに首を横に振った。
「我が悲願、このようなところで潰える訳にはいかん」
頭領は机の上の葉巻を手に取り、先端部を鋏で切る。
「彼らが呑気にあそこで暮らしているのは全くもって腹立たしい事だが、焦る事は無い。一つずつ、着実に取り戻すのだ」
擦過音。ぼうっと上がったマッチの炎が、葉巻を赤く染めていく。
「……遠い昔、この辺りは我らのものだった」
葉巻を咥え、頭領の男は遠いどこかを回想するように眺めすかす。
まだ自由都市同盟が成立する以前。この辺りを治めていた領主の末裔、それが彼の、少なくとも彼の主張する肩書だ。
「それが今では……」
嘆かわしいと、頭領は二度三度頭を振った。
「お察しします」
頭を下げるマジョに、男は鷹揚に頷く。
「彼らを呼べ」
「はい」
マジョは隣室へと下がった。
●
「ったく、いつまで待たせやがんだよ、あの爺は」
苛々した様子で室内を歩き回るのは、オールバックの男。引き締まった肉体に、歳の頃は20代半ば。生気の抜け落ちた白髪に、剃り落された眉毛の下の瞳は獰猛な肉食獣を思わせ、ローブ姿の手下はぶるりと身体を震わせた。
「さあ、どう――っ」
尻を思い切り蹴り飛ばされ、ごろんごろんと室内を転がる。
「てめぇに聞いてねぇんだよ」
理不尽な振る舞いだが、これはいつものこと。手下は何も言わず、尻をさする。
「……少し黙れ」
「あ?」
口を挟んだのは、日本刀を抱きかかえるように持ち、床に座っている年嵩の男。短く刈り上げられた黒髪に、片目を横切って走る刃物による傷痕が痛々しい。
「なんか言ったか? おっさん」
「目障りだ。……臭いんだよ、お前」
瞬後、金属音が奔る。白髪の持つ二刀の小太刀を、黒髪が日本刀で受け止めていた。
「殺す」
「達者なことだ」
ぎりぎりと刃が擦れ合う。緊迫した空気。睨み合う視線だけでも人を殺せそうなほどで。互いの手下はびびって手が出せない。
「そのへんにしといたら~? おたくら」
のんびりとした口調で遮ったのは、茶髪をだらしなく伸ばした青年。
「俺らって仲間なんじゃないの~?」
そう、この部屋に集められた6人の男達。彼らは皆、同じ雇い主の下にいる、所謂仲間というやつだ。
「こんなクソ野郎と――」
コンコン。
扉を開けて入ってきたのは、マジョ。
「頭領がお呼びです。こちらへ」
有無を言わさぬ彼の言葉に、二人は渋々と武器を引いた。
●
「次の目標が決まった」
そう切り出した頭領が指し示したのは、工場区の地図。その中の幾つかの場所が、黒く丸で縁どられている。
「失敗は許されん。――ディコ、お前の仕事だ」
先ほどの白髪の男、サディコことディコはにやりと口元を歪める。
「やっと血が吸えるぜ」
「それはダメだ」
「は?」
頭領は厳しい顔。
「人死にを出すのはまだ早い。今はその段階では無い」
「――ちっ」
その様子を黒髪の男は横目で見て、ふんと小さく鼻を鳴らした。
●
「ピッキオ、ちょっとここで待っていなさい」
「ん……」
ズボンのポケットから熊型のチャームを垂らした子供を入口に置いて、一人の壮年の男がハンターオフィスに入っていく。
対応した受付嬢に男――ジェネロが語った内容は、このようなものだった。
曰く、知り合いの工場長が突然柄の悪い屈強な男達に立ち退きを迫られた。断れば、暴力を振るうのも辞さず。工員の中には、腕の骨を折る怪我を負った者もいるという。
不運なことに、その工場では余り宜しくない労働環境であったため、陸軍に通報して痛い腹を探られるような事は困ると、ジェネロに相談してきたそうな。
近場でガラス製造工場を営むジェネロも他人事では無い。余り大事にはしたくないという知人の願いを受け入れ、彼の代わりに、ここへ依頼に来たとのこと。
現在、無法者たちは工場を占拠しており、どうにか追い払って欲しいというのが、彼の求めだった。
●
「はぁ……うぜぇ……」
ディコは小太刀をくるくると回転させながらため息を吐く。
折角血を吸えると思っていたのに、肩透かしを食らった彼の苛立ちは、小太刀の回転速度になって現れている。手首は驚くほどに柔らかく、柔軟な関節と筋肉、そして卓越した指捌きが不可欠だろうことは容易に想像できた。
「……っすね」
なぜあれで手を怪我しないのか、ローブ姿の副長の男には不思議でならない。
とはいえ、こういうときは触れない方がいいと、さりげなく距離をとろうとしていたが。
「おい」
「へい」
副長の足が止まる。
「作業はまだ終わらねえのか」
「もう少しで……」
「ちっ」
彼らがいるのは、フマーレ工場区のとある工場の中。
あちこちに転がる材木。油の詰まった樽の数々。釘や金槌、板金や大きな鋸など、工場で使われていたと思しき資材が雑多に散らばっている。人一人が通れる裏口も、腰高の材木の山に塞がれてしまっていた。明らかに、占拠前よりも汚らしくなっているのは否めない。
彼の手下総勢10名。それに加えて、頭領から送られてきた10名のごろつきが、工場内を資材を抱えてえっちらおっちら歩き回る。中には、H型の二階通路との往復でしんどそうにしている者も。
横幅20m、奥行き30m、高さ6m程の工場内。その一番奥に鎮座したディコの隣で、杖を手にした副長は手持無沙汰に立ち尽くす。
「ちっ」
何度目の舌打ちだろうか。
足元の樽の上に足を乗せ、ごろごろと転がしては苛立たし気に小太刀をいじる。
いつこちらに矛先が向かうのか、副長の男は気が気では無い。
「まぁ……ゆっくりでもいいか」
親の仇のような表情で作業に勤しむ男達を眺めていたディコが、突如顔を緩めた。
副長は訝しむが、口は挟まない。何が引き金になるか分からないからだ。
ディコの視線の先、真正面には、横幅5mほどはある、現在は閉じられている大きな表口。
窓ガラスからは作業の灯りが漏れているだろう。
「もたつくほど、厄介事は増えていくんだ。不測の事態なら、しょーがねぇよなぁ……」
二刀の小太刀が一際流麗に手の中を躍る。
くつくつとディコが楽しそうに笑うのを、副長は凍えるような気分で見守っていた。
夜も更けてきた刻限、とある屋敷の一室にて、手拭を頭に巻いた年配の男が神妙な顔をして言う。
視線の先には、背を向けた高齢の男が一人。蓄えた口髭は左右に流れ、白い毛先がちょんと上へ。立派な机を挟み、窓ガラスから覗く遠い町の灯りを舐るようにして眺め立つ。
黙して語らない年配の男に、手拭はじれたように言葉を繋げた。
「頭領」
「……分かっている」
頭領と呼ばれた年配の男は振り返ると、手拭をじっと見据える。
威厳のある風格。垂れ下がる立派な眉毛の下、鋭い眼光に、手拭はすっと背筋を正した。
「だが、念には念をだ。先に工場区の方を押さえる」
「……はい」
「不服か? マジョ」
「いえ、まさか」
マジョと呼ばれた手拭の男は、静かに首を横に振った。
「我が悲願、このようなところで潰える訳にはいかん」
頭領は机の上の葉巻を手に取り、先端部を鋏で切る。
「彼らが呑気にあそこで暮らしているのは全くもって腹立たしい事だが、焦る事は無い。一つずつ、着実に取り戻すのだ」
擦過音。ぼうっと上がったマッチの炎が、葉巻を赤く染めていく。
「……遠い昔、この辺りは我らのものだった」
葉巻を咥え、頭領の男は遠いどこかを回想するように眺めすかす。
まだ自由都市同盟が成立する以前。この辺りを治めていた領主の末裔、それが彼の、少なくとも彼の主張する肩書だ。
「それが今では……」
嘆かわしいと、頭領は二度三度頭を振った。
「お察しします」
頭を下げるマジョに、男は鷹揚に頷く。
「彼らを呼べ」
「はい」
マジョは隣室へと下がった。
●
「ったく、いつまで待たせやがんだよ、あの爺は」
苛々した様子で室内を歩き回るのは、オールバックの男。引き締まった肉体に、歳の頃は20代半ば。生気の抜け落ちた白髪に、剃り落された眉毛の下の瞳は獰猛な肉食獣を思わせ、ローブ姿の手下はぶるりと身体を震わせた。
「さあ、どう――っ」
尻を思い切り蹴り飛ばされ、ごろんごろんと室内を転がる。
「てめぇに聞いてねぇんだよ」
理不尽な振る舞いだが、これはいつものこと。手下は何も言わず、尻をさする。
「……少し黙れ」
「あ?」
口を挟んだのは、日本刀を抱きかかえるように持ち、床に座っている年嵩の男。短く刈り上げられた黒髪に、片目を横切って走る刃物による傷痕が痛々しい。
「なんか言ったか? おっさん」
「目障りだ。……臭いんだよ、お前」
瞬後、金属音が奔る。白髪の持つ二刀の小太刀を、黒髪が日本刀で受け止めていた。
「殺す」
「達者なことだ」
ぎりぎりと刃が擦れ合う。緊迫した空気。睨み合う視線だけでも人を殺せそうなほどで。互いの手下はびびって手が出せない。
「そのへんにしといたら~? おたくら」
のんびりとした口調で遮ったのは、茶髪をだらしなく伸ばした青年。
「俺らって仲間なんじゃないの~?」
そう、この部屋に集められた6人の男達。彼らは皆、同じ雇い主の下にいる、所謂仲間というやつだ。
「こんなクソ野郎と――」
コンコン。
扉を開けて入ってきたのは、マジョ。
「頭領がお呼びです。こちらへ」
有無を言わさぬ彼の言葉に、二人は渋々と武器を引いた。
●
「次の目標が決まった」
そう切り出した頭領が指し示したのは、工場区の地図。その中の幾つかの場所が、黒く丸で縁どられている。
「失敗は許されん。――ディコ、お前の仕事だ」
先ほどの白髪の男、サディコことディコはにやりと口元を歪める。
「やっと血が吸えるぜ」
「それはダメだ」
「は?」
頭領は厳しい顔。
「人死にを出すのはまだ早い。今はその段階では無い」
「――ちっ」
その様子を黒髪の男は横目で見て、ふんと小さく鼻を鳴らした。
●
「ピッキオ、ちょっとここで待っていなさい」
「ん……」
ズボンのポケットから熊型のチャームを垂らした子供を入口に置いて、一人の壮年の男がハンターオフィスに入っていく。
対応した受付嬢に男――ジェネロが語った内容は、このようなものだった。
曰く、知り合いの工場長が突然柄の悪い屈強な男達に立ち退きを迫られた。断れば、暴力を振るうのも辞さず。工員の中には、腕の骨を折る怪我を負った者もいるという。
不運なことに、その工場では余り宜しくない労働環境であったため、陸軍に通報して痛い腹を探られるような事は困ると、ジェネロに相談してきたそうな。
近場でガラス製造工場を営むジェネロも他人事では無い。余り大事にはしたくないという知人の願いを受け入れ、彼の代わりに、ここへ依頼に来たとのこと。
現在、無法者たちは工場を占拠しており、どうにか追い払って欲しいというのが、彼の求めだった。
●
「はぁ……うぜぇ……」
ディコは小太刀をくるくると回転させながらため息を吐く。
折角血を吸えると思っていたのに、肩透かしを食らった彼の苛立ちは、小太刀の回転速度になって現れている。手首は驚くほどに柔らかく、柔軟な関節と筋肉、そして卓越した指捌きが不可欠だろうことは容易に想像できた。
「……っすね」
なぜあれで手を怪我しないのか、ローブ姿の副長の男には不思議でならない。
とはいえ、こういうときは触れない方がいいと、さりげなく距離をとろうとしていたが。
「おい」
「へい」
副長の足が止まる。
「作業はまだ終わらねえのか」
「もう少しで……」
「ちっ」
彼らがいるのは、フマーレ工場区のとある工場の中。
あちこちに転がる材木。油の詰まった樽の数々。釘や金槌、板金や大きな鋸など、工場で使われていたと思しき資材が雑多に散らばっている。人一人が通れる裏口も、腰高の材木の山に塞がれてしまっていた。明らかに、占拠前よりも汚らしくなっているのは否めない。
彼の手下総勢10名。それに加えて、頭領から送られてきた10名のごろつきが、工場内を資材を抱えてえっちらおっちら歩き回る。中には、H型の二階通路との往復でしんどそうにしている者も。
横幅20m、奥行き30m、高さ6m程の工場内。その一番奥に鎮座したディコの隣で、杖を手にした副長は手持無沙汰に立ち尽くす。
「ちっ」
何度目の舌打ちだろうか。
足元の樽の上に足を乗せ、ごろごろと転がしては苛立たし気に小太刀をいじる。
いつこちらに矛先が向かうのか、副長の男は気が気では無い。
「まぁ……ゆっくりでもいいか」
親の仇のような表情で作業に勤しむ男達を眺めていたディコが、突如顔を緩めた。
副長は訝しむが、口は挟まない。何が引き金になるか分からないからだ。
ディコの視線の先、真正面には、横幅5mほどはある、現在は閉じられている大きな表口。
窓ガラスからは作業の灯りが漏れているだろう。
「もたつくほど、厄介事は増えていくんだ。不測の事態なら、しょーがねぇよなぁ……」
二刀の小太刀が一際流麗に手の中を躍る。
くつくつとディコが楽しそうに笑うのを、副長は凍えるような気分で見守っていた。
解説
目的:
工場の奪還。
頭領:
自称貴族の末裔。かつて先祖が治めていた土地の奪還を目論んでいる。
リーダー:
サディコ。
白髪のオールバック。凄腕の疾影士。小太刀の二刀使い。軽装。二回攻撃。
副長:
そこそこ経験豊富な魔術師。ローブに杖。軽装。
その他ゴロツキ:
19名。非覚醒者。武器は、短剣やその辺に落ちている物。軽装。
状況:
夜間。工場内に灯りはある。
周辺は雑草が生え揃い、裏手は林。近場には工場も疎らに。
周辺の工場は既に仕事を終えており、ほぼ真っ暗。
工場:
丁度仕事が一段落ついたところだったため、雑多な資材以外めぼしい物は無い。
壁壁壁壁う壁壁壁壁
壁× 山山 × 壁
壁 デ副 山壁
壁 山 山壁
壁山山 壁
壁 山山壁
壁山 山 山壁
壁× × 壁
壁壁壁 おお 壁壁壁
う:裏口 お:表口 ×:階段 山:資材の塊(腰ほどの高さ) デ:サディコ 副:副長
ごろつきは作業中につき、不定。
備考:
工場内の見取り図は事前に渡されています。
内部の様子は不明です。
工場の奪還。
頭領:
自称貴族の末裔。かつて先祖が治めていた土地の奪還を目論んでいる。
リーダー:
サディコ。
白髪のオールバック。凄腕の疾影士。小太刀の二刀使い。軽装。二回攻撃。
副長:
そこそこ経験豊富な魔術師。ローブに杖。軽装。
その他ゴロツキ:
19名。非覚醒者。武器は、短剣やその辺に落ちている物。軽装。
状況:
夜間。工場内に灯りはある。
周辺は雑草が生え揃い、裏手は林。近場には工場も疎らに。
周辺の工場は既に仕事を終えており、ほぼ真っ暗。
工場:
丁度仕事が一段落ついたところだったため、雑多な資材以外めぼしい物は無い。
壁壁壁壁う壁壁壁壁
壁× 山山 × 壁
壁 デ副 山壁
壁 山 山壁
壁山山 壁
壁 山山壁
壁山 山 山壁
壁× × 壁
壁壁壁 おお 壁壁壁
う:裏口 お:表口 ×:階段 山:資材の塊(腰ほどの高さ) デ:サディコ 副:副長
ごろつきは作業中につき、不定。
備考:
工場内の見取り図は事前に渡されています。
内部の様子は不明です。
マスターより
お疲れさまでございます。
凄腕ってどのくらい何でしょう。きっと物凄いのでしょうね。
彼は忍者の末裔に違いない。あ、頭領はリプレイに出てきませんので、あしからず。
おやすみなさいませ。
凄腕ってどのくらい何でしょう。きっと物凄いのでしょうね。
彼は忍者の末裔に違いない。あ、頭領はリプレイに出てきませんので、あしからず。
おやすみなさいませ。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/03/27 06:38
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 ディアドラ・ド・デイソルクス(ka0271) 人間(クリムゾンウェスト)|12才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/03/18 22:03:22 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/18 09:15:17 |