ゲスト
(ka0000)
白雪、朱に染めて
マスター:硲銘介

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/21 09:00
- リプレイ完成予定
- 2015/03/30 09:00
オープニング
●
景色は、白。
天候は大吹雪、陸と空の裂け目が解らない程に真っ白な視界。
凍てつく空気はどこまでも冷たく、厳しい。その寒さは生物に対して殊更激しく牙を剥く。
白銀が支配するその場所に、犬の遠吠えが響いていた。
冬の山。真白の中に一点、赤があった。
中心には倒れた男一人。傍らにはいつまでも吠え続ける一匹の犬。
犬は鳴く。
それは助けを呼ぶ為か。それは主人の目覚めを促す為か。
はたまた、とっくにこと切れた彼にまで届ける為か――荒れる吹雪の中、犬は主の亡骸に寄り添い続けた。
●
「おい」
誰かに呼びかけるように、パイプをふかせた老人が言う。
だが、彼が揺らす椅子が軋む音とぱちぱちと暖炉の火が弾ける音。静かな室内に音はそれだけしかない。
老人の細い目が部屋を巡るむ、目当ての影は見つからない。尋ね人はいつの間にかに外へ出て行ったらしい。
「……ったく、老いぼれが無理しやがって」
老人は悪態を吐いと立ち上がり、外出の準備を始めた。
老人の家は町から離れた雪山の中にあった。ほぼ一年中雪の積もる山は今日も雪化粧が施されている。
生活には不向きな立地だが、彼はこの場所を気に入っていた。自然は厳しいが山の暮らしは穏やかで、下の町からここへ立ち入る者も多くいた。
しかし、今は誰もいない。ここ最近に現れた一つの脅威、皆そいつを恐れているのだ。
少し前から山には雪男が出るようになった。血を好むというその怪物が雪山には潜んでいる、その噂が広まってからの山は寂しいものだった。
町の者は傭兵を雇い、かの者の町への侵入を防いでいる。老人にも町へ避難するよう話が来たが、彼は此処に残る事を選択した。
その理由は老人の山小屋から二十分ほど歩いた所にあった。
何の変哲も無い雪景色の中に立つ一つの墓――そして、その前に座り込む一匹の犬。
「……よう。いい加減に止めたらどうだ」
犬のすぐ後ろに近づきながら老人が話しかけるが、小さな背中は動こうとしない。
チラリと犬の前足を窺うと、血が流れていた。地面へ伝い、その血は雪を赤く染めている。
この傷は――犬が自分でつけたものだ。
老人が幾度手当てしても無理やり連れ帰ろうとも、彼はまた自ら傷を付けこの場所へ舞い戻ってくるのだ。
息を吐きながら、老人は静かに目を閉じ、考えを巡らす。
――こいつはもう永くない。元々寿命が近いうえ、怪我をしたままで雪の中に居座っていればすぐに体力は無くなる。
生物は己の死期には敏感だ。自覚があるうえで、こいつは命を磨り減らす愚行を繰り返している。
たかが犬にそこまでの考えがあるのか、という疑問は残るが、こいつは何か、強い意志で行動しているように思えた。
所詮は犬の考え、それはきっと何の意味も無い。そんな事は分かっている。それでも、
「もう止めない。好きにしな」
老人はそのまま立ち去った。背中を向けた犬は小さく体を震わせ上に積もった雪を落とす。それ以外には身動ぎ一つしないままであった。
●
家の中、老人は集まった者達にスープを振る舞いながら話を聞かせた。
二週間前に死別した彼の息子と、その飼い犬の話。そして、この山の怪物の話を。
「あの馬鹿犬は墓の前から離れようとしない。笑っちまう話だ。主人の命も守れなかった間抜けが今更何をやろうってんだか」
そう言いながらも、老人は少しも笑わない。
集まった者達――老人からの依頼を受けて集まったハンター達は話を黙って聞き続ける。
「……ガキはよく生きた。まさか親より先に逝っちまったが……ガキも楽しく生きていた、ってのが俺に誇れるところでな。ひでぇ親だが、仇がどうこうは考えちゃいない」
老人は言う。息子の死には既に決着をつけた。嘆く事も、憎む事ももうしないのだと。
それでも、未だにその死を引きずっている奴がいる。その馬鹿は生意気にも、老いた牙を休める事を止めた。
言葉が止まる。少しの沈黙、その合間に彼が何を思ったのか――それはわからない。一休みした後、彼は告げた。
「俺は犬嫌いでな、あの犬の名前も覚えちゃいない。だが、あれはガキが遺した――俺の家のモンでな。悔いを残して逝くのは、気に入らねぇ」
それ以上、彼は何も言わなかった。
依頼という形を取っておきながらも、彼は何を要求する事もしなかった。
その場に集まった者達は僅かに戸惑う。だが、次の瞬間には自分の為す事を決めていた――――
景色は、白。
天候は大吹雪、陸と空の裂け目が解らない程に真っ白な視界。
凍てつく空気はどこまでも冷たく、厳しい。その寒さは生物に対して殊更激しく牙を剥く。
白銀が支配するその場所に、犬の遠吠えが響いていた。
冬の山。真白の中に一点、赤があった。
中心には倒れた男一人。傍らにはいつまでも吠え続ける一匹の犬。
犬は鳴く。
それは助けを呼ぶ為か。それは主人の目覚めを促す為か。
はたまた、とっくにこと切れた彼にまで届ける為か――荒れる吹雪の中、犬は主の亡骸に寄り添い続けた。
●
「おい」
誰かに呼びかけるように、パイプをふかせた老人が言う。
だが、彼が揺らす椅子が軋む音とぱちぱちと暖炉の火が弾ける音。静かな室内に音はそれだけしかない。
老人の細い目が部屋を巡るむ、目当ての影は見つからない。尋ね人はいつの間にかに外へ出て行ったらしい。
「……ったく、老いぼれが無理しやがって」
老人は悪態を吐いと立ち上がり、外出の準備を始めた。
老人の家は町から離れた雪山の中にあった。ほぼ一年中雪の積もる山は今日も雪化粧が施されている。
生活には不向きな立地だが、彼はこの場所を気に入っていた。自然は厳しいが山の暮らしは穏やかで、下の町からここへ立ち入る者も多くいた。
しかし、今は誰もいない。ここ最近に現れた一つの脅威、皆そいつを恐れているのだ。
少し前から山には雪男が出るようになった。血を好むというその怪物が雪山には潜んでいる、その噂が広まってからの山は寂しいものだった。
町の者は傭兵を雇い、かの者の町への侵入を防いでいる。老人にも町へ避難するよう話が来たが、彼は此処に残る事を選択した。
その理由は老人の山小屋から二十分ほど歩いた所にあった。
何の変哲も無い雪景色の中に立つ一つの墓――そして、その前に座り込む一匹の犬。
「……よう。いい加減に止めたらどうだ」
犬のすぐ後ろに近づきながら老人が話しかけるが、小さな背中は動こうとしない。
チラリと犬の前足を窺うと、血が流れていた。地面へ伝い、その血は雪を赤く染めている。
この傷は――犬が自分でつけたものだ。
老人が幾度手当てしても無理やり連れ帰ろうとも、彼はまた自ら傷を付けこの場所へ舞い戻ってくるのだ。
息を吐きながら、老人は静かに目を閉じ、考えを巡らす。
――こいつはもう永くない。元々寿命が近いうえ、怪我をしたままで雪の中に居座っていればすぐに体力は無くなる。
生物は己の死期には敏感だ。自覚があるうえで、こいつは命を磨り減らす愚行を繰り返している。
たかが犬にそこまでの考えがあるのか、という疑問は残るが、こいつは何か、強い意志で行動しているように思えた。
所詮は犬の考え、それはきっと何の意味も無い。そんな事は分かっている。それでも、
「もう止めない。好きにしな」
老人はそのまま立ち去った。背中を向けた犬は小さく体を震わせ上に積もった雪を落とす。それ以外には身動ぎ一つしないままであった。
●
家の中、老人は集まった者達にスープを振る舞いながら話を聞かせた。
二週間前に死別した彼の息子と、その飼い犬の話。そして、この山の怪物の話を。
「あの馬鹿犬は墓の前から離れようとしない。笑っちまう話だ。主人の命も守れなかった間抜けが今更何をやろうってんだか」
そう言いながらも、老人は少しも笑わない。
集まった者達――老人からの依頼を受けて集まったハンター達は話を黙って聞き続ける。
「……ガキはよく生きた。まさか親より先に逝っちまったが……ガキも楽しく生きていた、ってのが俺に誇れるところでな。ひでぇ親だが、仇がどうこうは考えちゃいない」
老人は言う。息子の死には既に決着をつけた。嘆く事も、憎む事ももうしないのだと。
それでも、未だにその死を引きずっている奴がいる。その馬鹿は生意気にも、老いた牙を休める事を止めた。
言葉が止まる。少しの沈黙、その合間に彼が何を思ったのか――それはわからない。一休みした後、彼は告げた。
「俺は犬嫌いでな、あの犬の名前も覚えちゃいない。だが、あれはガキが遺した――俺の家のモンでな。悔いを残して逝くのは、気に入らねぇ」
それ以上、彼は何も言わなかった。
依頼という形を取っておきながらも、彼は何を要求する事もしなかった。
その場に集まった者達は僅かに戸惑う。だが、次の瞬間には自分の為す事を決めていた――――
解説
『依頼内容』
明確な指示内容はありません。皆様の思うように行動してください。
報酬に関しては問題なく払われるのでご安心下さい。
『雪男について』
付近の町に出没したという雪男に関して、交戦経験のある傭兵達からの情報です。
三メートルを超す巨体を白い体毛で覆った人型の生物。
山猿から変質した生物、という見解が主流の様です。
体の大きさに反して動きは機敏で、力も相応にあります。
攻撃手段としては殴る、体当たりといった物理攻撃以外にブレス攻撃を行ってきます。
体内の冷え切った空気を吐き出すブレスを受けると、ダメージ以外にも凍傷による動作の鈍化等が起こります。
数は一。数回の遭遇で単一の個体しか見られない為、他に仲間はいない模様。
血を好む、というよりも血の匂いを察知して現れる事が多いようです。
夜行性なのか、深夜から日が昇るまでの間の遭遇情報が大半です。
『山について』
天候は基本的に雪。風はそう強いわけでもなく、しばらく吹雪にはならなそうです。
雪に覆われた極寒の地で、足場が劣悪です。
対策なしで長時間外にいると体温の低下から様々な問題が考えられますので、十分に注意してください。
また視界も悪いうえに迷いやすいので無闇に探索しようとすると高確率で遭難します。
墓の場所までは老人の案内を受けているので比較的容易に辿り着けます。
『犬について』
基本的に墓の前から動きません。無理に何かしようとすると全力で抵抗します。
基本寒さには強いようですが、諸々の理由からそう永くはないでしょう。
マスターより
こんにちは、硲銘介です。
雪です。
冬の間に雪舞台で何かやろう、とか思っていたらこんなタイミングに。
もっと早くやれよ、とか自分でも思います。
まぁ、まだ寒いのでギリセーフかな……セーフだよね。
今回、達成目標が明示されていません。
なので極端な話、空気読まずに雪合戦してようと、昼寝してようが、評価普通までは保障されているという……恐ろしい(笑
ですが、是非とも空気を読んで動いて頂けたらなぁ、と思います。
……なにはともあれ、皆様の参加をお待ちしております。
雪です。
冬の間に雪舞台で何かやろう、とか思っていたらこんなタイミングに。
もっと早くやれよ、とか自分でも思います。
まぁ、まだ寒いのでギリセーフかな……セーフだよね。
今回、達成目標が明示されていません。
なので極端な話、空気読まずに雪合戦してようと、昼寝してようが、評価普通までは保障されているという……恐ろしい(笑
ですが、是非とも空気を読んで動いて頂けたらなぁ、と思います。
……なにはともあれ、皆様の参加をお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/03/28 20:53
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/16 21:51:19 |
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相談卓 柏木 千春(ka3061) 人間(リアルブルー)|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/03/20 23:52:51 |