ゲスト
(ka0000)
狐と帰ろう―復―!
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/22 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/03/31 07:30
オープニング
●
うーん、良い天気、もう春ですね。そう空に向かって両腕を掲げて思い切り伸びをした途端、髪を巻き上げ上着をはためかせながら一陣の風が吹き抜けていく。
「ひぅっ、ま、まだ全然寒いじゃ無いですかぁ」
ジェオルジ北部の山の麓に作られた、ルーベン・ジェオルジの所有する畑の一部を管理運営し、「魔術をもっともーっと、農業に役立てよう」を、モットーに活動する農業魔術研究機関。
通称、「実験畑」。
その実験畑で、「ちょっとした依頼にも、ハンターさんの手を!」と、自発的な営業活動に勤しむハンターオフィス受付嬢、自称ハンターの案内人は今日も忙しなく歩き回っていた。
行き交う研究生に声を掛け、ポップな書体でカラフルなポスターを何枚も張っていく。
「実験畑」に幾つも並んだ畑には、その名の通り、実験段階の――まだ実用に足りない、あるいはその効果が保証されない――新しい作物が幾種類も風に揺れている。所属の研究生や招聘された博士、あるいは職員の拠点となる本部棟を南端に据え、畑と畑の間に立てられた管理棟や、新種の実験を行う研究棟が点在している。
さて。畑群の一つには、ここ「実験畑」のオーナーでもあるルーベンが特に手を掛けている畑群がある。
「ルーベンさんの実験畑」と呼ばれる区画が、それ、である。
●
粗方のポスターを貼り終えた案内人が、食堂で調達した実験畑産山菜のキッシュにぱくつきながら広場のベンチに座って芽を出し始めた畑や、青い茎を揺らす畑を眺めていた。
ある青年が1人、彼女の装いを目に留めて近付いてくる。
「ハンターオフィスの方ですか? お仕事ご苦労様です」
慇懃な程頭を下げた青年に、思わず噎せながらキッシュの残りを嚥下して案内人はベンチから跳ねる様に立ち上がった。
「はいっ! 以前もこちらで幾つかお仕事を頂きまして」
そうですか、と青年は穏やかに頷いて、座ったままで構わないとベンチを示す。
案内人の隣に掛けると、青年はモナ・カルヴィーノと名乗り、ルーベンに雇われた研究者の助手と言う身分と、その研究者が栽培し、通常のものよりも大分時期を外しながら、先日漸く収穫した作物について話した。
リアルブルーから持ち込まれた防護服に着想を得た。特に、消防士、火消しとして働いていた方々から話を聞き、彼らに制服を提供していた方々にもお世話になりまして。
防火の魔術を綿自体に配合する綿花なのですが、種自体に魔術を施して栽培しその綿花を紡いで布を作ることにより、既成の服に防火魔術を施すよりも魔術的なコストや汚染を減らせるという画期的な作物です。
防火の能力は参考にさせて貰ったものよりも格段に高く仕上がりましたが、反面、収穫量は通常の綿花の3パーセント程度で、且つ非常に脆く、通常のものと混紡した上で手紡ぎでなんとか糸を作れるという切れやすさです。
加えて水にも弱く、綿花の状態では濡れれば溶けてしまいます。
しかし、そうやって作った試作の布はハンカチ程度の大きさで、暖炉にくべても暖炉の薪が燃え尽きるまで、焦げの1つも付きませんでした。水に浸けても溶けることなく、何度もその炎を防ぎました。
生産の手間は掛かります。
しかし、実用が叶えば、いずれ非常に役立つものと……今は力を持つ方々に縋り、怯えるしか無い歪虚から身を守る魁けにもなろうかと思っております。
モナ膝の上に乗せた手は試作品というハンカチを握り小刻みに震えていた。
綿花、ですか……と案内人は呟いた。
そして、ぽんっと手を打つ。
「丁度、今向こうの山の方に、フマーレの紡績工場の方来てるんです。その工場は、何度かハンターさんのお手伝いもさせて貰いましたし、その綿花をどうにか出来るかも知れません」
話だけでも如何でしょうか?
案内人が尋ねるとモナはぱちくりと瞬いて、師とルーベンに相談するとその場を辞した。
●
狐の微睡む箱を抱え、山を下りて帰途に就いた阪井紡績社員第一号、エンリコ・アモーレ。
彼の荷馬車に満載された綿花の麻袋に紛れて一つ、一抱え程の大きさの黒い袋。
社長宛の信書と共に託された重要な品だ。
新書を懐に、袋は他の麻袋に紛れ込ませ。目覚めた狐が箱から飛び出し荷台に飛び乗ってきゅうと鳴いた。
「とてもとても重要で、貴重で、とにかく大事な物だそうです。ですので、街道の入り口でハンターさんに待機して貰ってます。無事に届けて下さいね」
暫し実験畑に残るという案内人に見送られ、エンリコは夜明の道を街道へと馬車を走らせる。畑を抜け日が昇りきる前に合流したハンター達、案内人とモナから子細を伝えられた彼らに改めて挨拶を。
そして、馬車は走り出した。
早朝から急げば夜には帰り着ける距離。しかし日没前に降り出した雨が、濡らせない荷を積む馬車の進行を遮った。仮設の天幕の中、雨音は激しくなり……
べちゃ、べちゃ、と泥を踏む足音が聞こえた。
うーん、良い天気、もう春ですね。そう空に向かって両腕を掲げて思い切り伸びをした途端、髪を巻き上げ上着をはためかせながら一陣の風が吹き抜けていく。
「ひぅっ、ま、まだ全然寒いじゃ無いですかぁ」
ジェオルジ北部の山の麓に作られた、ルーベン・ジェオルジの所有する畑の一部を管理運営し、「魔術をもっともーっと、農業に役立てよう」を、モットーに活動する農業魔術研究機関。
通称、「実験畑」。
その実験畑で、「ちょっとした依頼にも、ハンターさんの手を!」と、自発的な営業活動に勤しむハンターオフィス受付嬢、自称ハンターの案内人は今日も忙しなく歩き回っていた。
行き交う研究生に声を掛け、ポップな書体でカラフルなポスターを何枚も張っていく。
「実験畑」に幾つも並んだ畑には、その名の通り、実験段階の――まだ実用に足りない、あるいはその効果が保証されない――新しい作物が幾種類も風に揺れている。所属の研究生や招聘された博士、あるいは職員の拠点となる本部棟を南端に据え、畑と畑の間に立てられた管理棟や、新種の実験を行う研究棟が点在している。
さて。畑群の一つには、ここ「実験畑」のオーナーでもあるルーベンが特に手を掛けている畑群がある。
「ルーベンさんの実験畑」と呼ばれる区画が、それ、である。
●
粗方のポスターを貼り終えた案内人が、食堂で調達した実験畑産山菜のキッシュにぱくつきながら広場のベンチに座って芽を出し始めた畑や、青い茎を揺らす畑を眺めていた。
ある青年が1人、彼女の装いを目に留めて近付いてくる。
「ハンターオフィスの方ですか? お仕事ご苦労様です」
慇懃な程頭を下げた青年に、思わず噎せながらキッシュの残りを嚥下して案内人はベンチから跳ねる様に立ち上がった。
「はいっ! 以前もこちらで幾つかお仕事を頂きまして」
そうですか、と青年は穏やかに頷いて、座ったままで構わないとベンチを示す。
案内人の隣に掛けると、青年はモナ・カルヴィーノと名乗り、ルーベンに雇われた研究者の助手と言う身分と、その研究者が栽培し、通常のものよりも大分時期を外しながら、先日漸く収穫した作物について話した。
リアルブルーから持ち込まれた防護服に着想を得た。特に、消防士、火消しとして働いていた方々から話を聞き、彼らに制服を提供していた方々にもお世話になりまして。
防火の魔術を綿自体に配合する綿花なのですが、種自体に魔術を施して栽培しその綿花を紡いで布を作ることにより、既成の服に防火魔術を施すよりも魔術的なコストや汚染を減らせるという画期的な作物です。
防火の能力は参考にさせて貰ったものよりも格段に高く仕上がりましたが、反面、収穫量は通常の綿花の3パーセント程度で、且つ非常に脆く、通常のものと混紡した上で手紡ぎでなんとか糸を作れるという切れやすさです。
加えて水にも弱く、綿花の状態では濡れれば溶けてしまいます。
しかし、そうやって作った試作の布はハンカチ程度の大きさで、暖炉にくべても暖炉の薪が燃え尽きるまで、焦げの1つも付きませんでした。水に浸けても溶けることなく、何度もその炎を防ぎました。
生産の手間は掛かります。
しかし、実用が叶えば、いずれ非常に役立つものと……今は力を持つ方々に縋り、怯えるしか無い歪虚から身を守る魁けにもなろうかと思っております。
モナ膝の上に乗せた手は試作品というハンカチを握り小刻みに震えていた。
綿花、ですか……と案内人は呟いた。
そして、ぽんっと手を打つ。
「丁度、今向こうの山の方に、フマーレの紡績工場の方来てるんです。その工場は、何度かハンターさんのお手伝いもさせて貰いましたし、その綿花をどうにか出来るかも知れません」
話だけでも如何でしょうか?
案内人が尋ねるとモナはぱちくりと瞬いて、師とルーベンに相談するとその場を辞した。
●
狐の微睡む箱を抱え、山を下りて帰途に就いた阪井紡績社員第一号、エンリコ・アモーレ。
彼の荷馬車に満載された綿花の麻袋に紛れて一つ、一抱え程の大きさの黒い袋。
社長宛の信書と共に託された重要な品だ。
新書を懐に、袋は他の麻袋に紛れ込ませ。目覚めた狐が箱から飛び出し荷台に飛び乗ってきゅうと鳴いた。
「とてもとても重要で、貴重で、とにかく大事な物だそうです。ですので、街道の入り口でハンターさんに待機して貰ってます。無事に届けて下さいね」
暫し実験畑に残るという案内人に見送られ、エンリコは夜明の道を街道へと馬車を走らせる。畑を抜け日が昇りきる前に合流したハンター達、案内人とモナから子細を伝えられた彼らに改めて挨拶を。
そして、馬車は走り出した。
早朝から急げば夜には帰り着ける距離。しかし日没前に降り出した雨が、濡らせない荷を積む馬車の進行を遮った。仮設の天幕の中、雨音は激しくなり……
べちゃ、べちゃ、と泥を踏む足音が聞こえた。
解説
目的
特殊綿花の移送
●エネミー
ゴブリン型雑魔×7
泥まみれの襤褸を体に巻き付けています。
主に爪や牙で攻撃を行います。
夜目が利き、離れた場所から体当たりしてくることもあります。
通常のゴブリンよりも若干頑丈なようです。
襤褸や体色は黒ずんで、周辺が保護色のようになり見えづらい場合があります。
●地形
雨で泥濘む夜の街道です。
両側の茂み以外遮蔽となる物はありません。
●エンリコと狐について
指示が無ければ、天幕の中で待機します。
阪井紡績の工場にて保護戯れた狐を山に放すつもりで、仕入れのついでに連れてきたエンリコですが、
狼や熊の出る山が狐にとって危険であり、
また、狐自身がエンリコに懐いているらしい様子を諭されたことから、工場へ連れて帰り世話をすることに決めました。
狐はエンリコが危険な場合、庇う行動に出ることがあります。
●農業魔術研究機関
ルーベン・ジェオルジ所有の実験畑の一部を管理・運営し、農業魔法の研究を行っている機関。
大小様々な畑と管理棟が点在し、中央には広場がある。
時折実験に失敗し、大事の時はハンターオフィスへ対処の依頼を届けている。
特殊綿花の移送
●エネミー
ゴブリン型雑魔×7
泥まみれの襤褸を体に巻き付けています。
主に爪や牙で攻撃を行います。
夜目が利き、離れた場所から体当たりしてくることもあります。
通常のゴブリンよりも若干頑丈なようです。
襤褸や体色は黒ずんで、周辺が保護色のようになり見えづらい場合があります。
●地形
雨で泥濘む夜の街道です。
両側の茂み以外遮蔽となる物はありません。
●エンリコと狐について
指示が無ければ、天幕の中で待機します。
阪井紡績の工場にて保護戯れた狐を山に放すつもりで、仕入れのついでに連れてきたエンリコですが、
狼や熊の出る山が狐にとって危険であり、
また、狐自身がエンリコに懐いているらしい様子を諭されたことから、工場へ連れて帰り世話をすることに決めました。
狐はエンリコが危険な場合、庇う行動に出ることがあります。
●農業魔術研究機関
ルーベン・ジェオルジ所有の実験畑の一部を管理・運営し、農業魔法の研究を行っている機関。
大小様々な畑と管理棟が点在し、中央には広場がある。
時折実験に失敗し、大事の時はハンターオフィスへ対処の依頼を届けている。
マスターより
帰り道にお使いを頼まれました。
お手紙の中身は、綿花の使い方とかです。
天幕の中にいれば雨は防げます。
お手紙の中身は、綿花の使い方とかです。
天幕の中にいれば雨は防げます。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/04/01 10:08
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 天川 麗美(ka1355) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/03/22 07:30:13 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/20 06:53:00 |