ゲスト
(ka0000)
実験畑の研究日誌4頁目―畑編―
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/03/31 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/04/09 12:00
オープニング
●
ハンターの案内人を自称するハンターオフィスのとある受付嬢は、広場の片隅の無垢材のベンチに座り、春先の空を眺める。
隣にはモナ・カルヴィーノ。ここ、農業魔術研究機関、通称、実験畑で特に「ルーベンさんの実験畑」と呼ばれるオーナーのルーベン・ジェオルジが手を掛けている畑の研究助手が座っていた。
彼が関わった研究に、炎を防ぐ綿花がある。
先日、その綿花の移送と護衛の以来を案内人が仲介した縁があり、実験畑で「ちょっとした依頼にも、ハンターさんの手を!」と、宣伝活動に励む彼女とは、休憩時間に並んでお茶を飲む程度の友人となっていた。
「ふぁぁ、やっぱりここのお茶は、美味しいですねー。温かくて、ほっとしますよー」
「そう言って頂けると、育て甲斐があります」
柔和に微笑んだモナは白衣の袖で隠す口許で嬉しそうに笑った。
その腕には分厚い紙の束とバインダーが抱えられている。
「新しい研究ですか?」
「――ええ、あの綿花は、とても希な成功例です。紡績をお願いしましたが、それで終わりというわけにもいきませんので。……生産性の向上と、弱点の克服。やることは、沢山です」
飲み終えたカップを手に立ち上がり背を反らす。机に向かってばかりで固まった体がぱきぱきと解れていく。お疲れさまです、と案内人が笑って、モナも肩を竦めて眦を垂れた。
●
休憩を終えた2人が宣伝活動――ポップな書体でカラフルに描いたポスターを所構わずに貼る――と、研究に戻ろうと広場を出た瞬間。
きぃんと耳を劈く悲鳴のような警鐘が鳴り響いた。
「っ、何ですか? この音!」
「……緊急の、緊急事態が、起きた時の…………」
モナは書類を抱えて走り出した。
案内人が急ぎその後を追う。
警鐘に驚いた研究者や彼等の助手、職員達が建物から出てきている。それぞれの畑で作業をしていた彼等も、何事かと騒いでいた。
実験畑の敷地は広い。
両手を広げて走り回れる程の畑が何枚も、全てをよく見て回るには一日では足りない程だ。
それぞれの畑に管理棟と、区画ごとに研究棟が点在し、案内人とモナが休んでいた広場の先、南の外れには全てを統括している本部棟が置かれている。
どこかで何等かの緊急事態が発生し、それが本部へ伝わって、敷地全てで警鐘が鳴らされた。
「皆さん、落ち着いて下さい! 本部の方は、何があったかを彼女に」
モナに促され、オフィスの制服を纏った案内人が前に出ると、職員の1人が青ざめた顔で告げた。
西の区画で歪虚の姿が確認された。
最寄りの畑は、「ルーベンさんの実験畑」。
モナと彼の師が先日綿花を送り出したあの畑だ。
ばさりと音を立ててモナの腕から紙が落ち、不意の突風に散らばっていった。
本部からハンターオフィスへ連絡を入れ、モナと案内人は西の畑へ走った。道中の畑や管理棟で人影を見つけると、屋内への退避を促しながら急ぐ。
「畑は収穫を終えていますが、管理棟には何人か詰めていて……種も資料も、全て」
息を上げながら話していたモナの言葉が止まる。
遠目には巨大な甲虫のような形をした2匹の歪虚が既に畑の上を旋回して、1匹は管理棟を眺めていた。
畑を迂回するように管理棟へ。息を殺して近付いていく。
●
西門が開き招集されたハンター達には畑と管理棟の場所が伝えられた。
案内人は畑の中央に佇んだ人影に足を止め。モナも慌てて振り返った。
「アラアラアラァ、空っぽ。じゃァ、無いノ? 草むしり、ノ、お仕事、だった筈なのニ」
桑の実を潰したような鮮やかな紫色のローブを纏い、深く顔を隠したその影は、継ぎ接ぎしたような歪な声で何かを喋り、大袈裟に耳を澄ますような所作を取った。
「アラアラァ、もう、行っちゃったノ。そう。じゃあ、僕も、行かないとっト、邪魔する、何かの足音、ですネ」
硬い動きで見回して、2人の方へ体を向ける。
歪んだマテリアルの底冷えする悪寒が背に走った。
歪虚、と身構えた瞬間、それはローブを翻し、何かを放り投げて煙と共に姿を眩ませた。
淀んだ風が吹き抜けていった背後でがさりと何かが蠢く音が聞こえた。
管理棟の中に取り残された研究者達がそれを指して悲鳴を上げた。
ゼンマイ仕掛けの玩具のような中途半端に浮き上がったそれは、目玉のような球体をぐるぐると蠢かせて管理棟を、そこへ向かおうとする2人と彼等を助けに来たハンター達を眺めていた。
ハンターの案内人を自称するハンターオフィスのとある受付嬢は、広場の片隅の無垢材のベンチに座り、春先の空を眺める。
隣にはモナ・カルヴィーノ。ここ、農業魔術研究機関、通称、実験畑で特に「ルーベンさんの実験畑」と呼ばれるオーナーのルーベン・ジェオルジが手を掛けている畑の研究助手が座っていた。
彼が関わった研究に、炎を防ぐ綿花がある。
先日、その綿花の移送と護衛の以来を案内人が仲介した縁があり、実験畑で「ちょっとした依頼にも、ハンターさんの手を!」と、宣伝活動に励む彼女とは、休憩時間に並んでお茶を飲む程度の友人となっていた。
「ふぁぁ、やっぱりここのお茶は、美味しいですねー。温かくて、ほっとしますよー」
「そう言って頂けると、育て甲斐があります」
柔和に微笑んだモナは白衣の袖で隠す口許で嬉しそうに笑った。
その腕には分厚い紙の束とバインダーが抱えられている。
「新しい研究ですか?」
「――ええ、あの綿花は、とても希な成功例です。紡績をお願いしましたが、それで終わりというわけにもいきませんので。……生産性の向上と、弱点の克服。やることは、沢山です」
飲み終えたカップを手に立ち上がり背を反らす。机に向かってばかりで固まった体がぱきぱきと解れていく。お疲れさまです、と案内人が笑って、モナも肩を竦めて眦を垂れた。
●
休憩を終えた2人が宣伝活動――ポップな書体でカラフルに描いたポスターを所構わずに貼る――と、研究に戻ろうと広場を出た瞬間。
きぃんと耳を劈く悲鳴のような警鐘が鳴り響いた。
「っ、何ですか? この音!」
「……緊急の、緊急事態が、起きた時の…………」
モナは書類を抱えて走り出した。
案内人が急ぎその後を追う。
警鐘に驚いた研究者や彼等の助手、職員達が建物から出てきている。それぞれの畑で作業をしていた彼等も、何事かと騒いでいた。
実験畑の敷地は広い。
両手を広げて走り回れる程の畑が何枚も、全てをよく見て回るには一日では足りない程だ。
それぞれの畑に管理棟と、区画ごとに研究棟が点在し、案内人とモナが休んでいた広場の先、南の外れには全てを統括している本部棟が置かれている。
どこかで何等かの緊急事態が発生し、それが本部へ伝わって、敷地全てで警鐘が鳴らされた。
「皆さん、落ち着いて下さい! 本部の方は、何があったかを彼女に」
モナに促され、オフィスの制服を纏った案内人が前に出ると、職員の1人が青ざめた顔で告げた。
西の区画で歪虚の姿が確認された。
最寄りの畑は、「ルーベンさんの実験畑」。
モナと彼の師が先日綿花を送り出したあの畑だ。
ばさりと音を立ててモナの腕から紙が落ち、不意の突風に散らばっていった。
本部からハンターオフィスへ連絡を入れ、モナと案内人は西の畑へ走った。道中の畑や管理棟で人影を見つけると、屋内への退避を促しながら急ぐ。
「畑は収穫を終えていますが、管理棟には何人か詰めていて……種も資料も、全て」
息を上げながら話していたモナの言葉が止まる。
遠目には巨大な甲虫のような形をした2匹の歪虚が既に畑の上を旋回して、1匹は管理棟を眺めていた。
畑を迂回するように管理棟へ。息を殺して近付いていく。
●
西門が開き招集されたハンター達には畑と管理棟の場所が伝えられた。
案内人は畑の中央に佇んだ人影に足を止め。モナも慌てて振り返った。
「アラアラアラァ、空っぽ。じゃァ、無いノ? 草むしり、ノ、お仕事、だった筈なのニ」
桑の実を潰したような鮮やかな紫色のローブを纏い、深く顔を隠したその影は、継ぎ接ぎしたような歪な声で何かを喋り、大袈裟に耳を澄ますような所作を取った。
「アラアラァ、もう、行っちゃったノ。そう。じゃあ、僕も、行かないとっト、邪魔する、何かの足音、ですネ」
硬い動きで見回して、2人の方へ体を向ける。
歪んだマテリアルの底冷えする悪寒が背に走った。
歪虚、と身構えた瞬間、それはローブを翻し、何かを放り投げて煙と共に姿を眩ませた。
淀んだ風が吹き抜けていった背後でがさりと何かが蠢く音が聞こえた。
管理棟の中に取り残された研究者達がそれを指して悲鳴を上げた。
ゼンマイ仕掛けの玩具のような中途半端に浮き上がったそれは、目玉のような球体をぐるぐると蠢かせて管理棟を、そこへ向かおうとする2人と彼等を助けに来たハンター達を眺めていた。
解説
目的:研究員の保護、甲虫型歪虚の撃退
●エネミー
・甲虫型歪虚×5(畑に2、管理棟周辺に3)
大きな目玉を持った甲虫のような形の歪虚。
艶を帯びた甲羅は硬く、
地面から50~80センチほど浮き上がった状態のものもいる。
攻撃手段は口から吐く粘液での足止め、体当たり、足で捕獲した上での噛み付き。
●地形
・管理棟
簡単な小屋、エネミーの体当たり数回で倒壊する。
中には研究員、助手を合わせて4人が待機している。
貴重な種と飼料が保管されている。
・畑
何も植わっていないため、暴れても問題ない。
10×10平方メートル程度。
畑と管理棟以外はあぜ道がある程度で植え込みなどの遮蔽も無い。
●協力者
・モナ
一般人。ハンターの指示に従います。
・案内人
ハンターオフィス受付嬢、ハンターの指示に従います。
管理棟へ向かうあぜ道で、進めず、戻れず待機中。
●農業魔術研究機関
ルーベン・ジェオルジ所有の実験畑の一部を管理・運営し、農業魔法の研究を行っている機関。
大小様々な畑と管理棟が点在し、中央には広場がある。
時折実験に失敗し、大事の時はハンターオフィスへ対処の依頼を届けている。
●エネミー
・甲虫型歪虚×5(畑に2、管理棟周辺に3)
大きな目玉を持った甲虫のような形の歪虚。
艶を帯びた甲羅は硬く、
地面から50~80センチほど浮き上がった状態のものもいる。
攻撃手段は口から吐く粘液での足止め、体当たり、足で捕獲した上での噛み付き。
●地形
・管理棟
簡単な小屋、エネミーの体当たり数回で倒壊する。
中には研究員、助手を合わせて4人が待機している。
貴重な種と飼料が保管されている。
・畑
何も植わっていないため、暴れても問題ない。
10×10平方メートル程度。
畑と管理棟以外はあぜ道がある程度で植え込みなどの遮蔽も無い。
●協力者
・モナ
一般人。ハンターの指示に従います。
・案内人
ハンターオフィス受付嬢、ハンターの指示に従います。
管理棟へ向かうあぜ道で、進めず、戻れず待機中。
●農業魔術研究機関
ルーベン・ジェオルジ所有の実験畑の一部を管理・運営し、農業魔法の研究を行っている機関。
大小様々な畑と管理棟が点在し、中央には広場がある。
時折実験に失敗し、大事の時はハンターオフィスへ対処の依頼を届けている。
マスターより
久々の実験畑ですが、ほのぼのしません。
ローブの歪虚は、種の存在は知らなかったようです。
ローブの歪虚は、種の存在は知らなかったようです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/04/09 00:09
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 レイオス・アクアウォーカー(ka1990) 人間(リアルブルー)|20才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/03/30 22:44:21 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/03/26 21:35:58 |