ゲスト
(ka0000)
嗚呼! いとしのアマーリエ!
マスター:朝海りく

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/04/07 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/04/16 07:30
オープニング
●幸せなひととき
男は、街道の端に荷馬車を停めていた。
荷車を埋め尽くす食料品や酒、織物に焼物、土産物の数々を、彼、ルスタンは目じりにシワを刻んで満足げに眺めていた。少しばかり遠出をして仕入れてきた各地の名産品は、商売を営む彼にとっては戦利品とも言える。
これだけ揃えられたなら、相当な儲けが出るだろう。頭の中で数字をはじき出しながら、彼は、自身のために仕立てた質のいい上着から葉巻を取り出した。
ふと横を見ると、アマーリエが草むらの中に咲いた一輪の花を、興味深そうに眺めている。
「春の匂いがするだろう、アマーリエ」
彼の言葉に、アマーリエの瞳がきらきらと輝く。踊るように駆け出した。
「あまり遠くへ行ってはいけないよ」
ルスタンを横目にくるくると走り回るアマーリエに、彼は、取り出したばかりの葉巻をふたたびポケットにしまいこんだ。追いかけっこに興ずるように、緩やかな走りでアマーリエの後ろに続く。
「はは、こら。待ちなさい、アマーリエ」
あははうふふと響く幸せな笑い声が、雲ひとつない青空に広がっていく。
ゆっくりと流れる時間、幸せなひととき。彼は幸福感に包まれていた。ゆえに、気付かなかったのだ。
荷馬車に近付く、ゴブリンたちの影に。
●ソサエティ支部
オフィスの扉が、勢いよく開いた。
衣服を泥だらけにし、髪を振り乱した一人の男が飛び込んでくる。ルスタンだった。
彼はわき目も振らずに一直線に受付へと進むと、その机上に思いきり手をついた。
「助けてくれ! 気高く美しいアマーリエが、低俗なゴブリンどもにさらわれた!!」
「……え、ええと……依頼のお申し込み、ですね」
男の形相とその勢いに驚いた受付嬢は、少々身を後ろに引きながらも、かろうじて笑顔を向ける。途端にずいっと男の顔が近づいてきた。
「ひっ……」
「頼む、アマーリエを助けてくれ!」
息をのむ受付嬢にすがる、顔面蒼白の男。響き渡る悲愴感に満ちた彼の声に、その場に居合わせた幾人かが顔を向ける。
「そ、その方は、その、ご家族の方でしょうか」
「アマーリエは私の命だ!!」
不意にルスタンの身体から力が抜けた。膝からくずれ落ちた彼は、机上に腕を残したまま打ちひしがれている。
「ああ、愛しのアマーリエ。今ごろ恐怖に怯え、その小さな身体をふるわせているのだろう……君をこの手で助けられない無力な私を許しておくれ……」
「……あの……緊急のようですので、すぐに手続きをいたしますから……経緯と、アマーリエさんの特徴を……」
受付嬢が腰を浮かせて男を覗き込むと、男が顔を上げた。いきなり立ち上がる。
「ひっ」
「アマーリエは美しい。黒曜石のようなつぶらな瞳に、上向いた愛嬌のある鼻。しなやかな曲線を描くその美しい身体は見る者を魅了する。血色の良い桃色の肌。後ろ姿がとてつもなく愛らしい」
突然流れるように喋り出したルスタンの言葉を、受付嬢が慌てて書き留める。
「は……はぁ、なるほど。……それで、経緯は……」
受付嬢が先を促そうと顔を上げた時、彼はすでに目の前にはいなかった。
「君! 私のアマーリエを助けてくれないか!! 君! 頼む、アマーリエを救い出してくれ! 君は……ああ、依頼を出しに来たのか、すまない。……君!!」
室内に居る面々に片っ端から声を掛け、手を握り、ひたすら懇願し続ける男の姿を、受付嬢は唖然としたまま見つめることしか出来なかった。
男は、街道の端に荷馬車を停めていた。
荷車を埋め尽くす食料品や酒、織物に焼物、土産物の数々を、彼、ルスタンは目じりにシワを刻んで満足げに眺めていた。少しばかり遠出をして仕入れてきた各地の名産品は、商売を営む彼にとっては戦利品とも言える。
これだけ揃えられたなら、相当な儲けが出るだろう。頭の中で数字をはじき出しながら、彼は、自身のために仕立てた質のいい上着から葉巻を取り出した。
ふと横を見ると、アマーリエが草むらの中に咲いた一輪の花を、興味深そうに眺めている。
「春の匂いがするだろう、アマーリエ」
彼の言葉に、アマーリエの瞳がきらきらと輝く。踊るように駆け出した。
「あまり遠くへ行ってはいけないよ」
ルスタンを横目にくるくると走り回るアマーリエに、彼は、取り出したばかりの葉巻をふたたびポケットにしまいこんだ。追いかけっこに興ずるように、緩やかな走りでアマーリエの後ろに続く。
「はは、こら。待ちなさい、アマーリエ」
あははうふふと響く幸せな笑い声が、雲ひとつない青空に広がっていく。
ゆっくりと流れる時間、幸せなひととき。彼は幸福感に包まれていた。ゆえに、気付かなかったのだ。
荷馬車に近付く、ゴブリンたちの影に。
●ソサエティ支部
オフィスの扉が、勢いよく開いた。
衣服を泥だらけにし、髪を振り乱した一人の男が飛び込んでくる。ルスタンだった。
彼はわき目も振らずに一直線に受付へと進むと、その机上に思いきり手をついた。
「助けてくれ! 気高く美しいアマーリエが、低俗なゴブリンどもにさらわれた!!」
「……え、ええと……依頼のお申し込み、ですね」
男の形相とその勢いに驚いた受付嬢は、少々身を後ろに引きながらも、かろうじて笑顔を向ける。途端にずいっと男の顔が近づいてきた。
「ひっ……」
「頼む、アマーリエを助けてくれ!」
息をのむ受付嬢にすがる、顔面蒼白の男。響き渡る悲愴感に満ちた彼の声に、その場に居合わせた幾人かが顔を向ける。
「そ、その方は、その、ご家族の方でしょうか」
「アマーリエは私の命だ!!」
不意にルスタンの身体から力が抜けた。膝からくずれ落ちた彼は、机上に腕を残したまま打ちひしがれている。
「ああ、愛しのアマーリエ。今ごろ恐怖に怯え、その小さな身体をふるわせているのだろう……君をこの手で助けられない無力な私を許しておくれ……」
「……あの……緊急のようですので、すぐに手続きをいたしますから……経緯と、アマーリエさんの特徴を……」
受付嬢が腰を浮かせて男を覗き込むと、男が顔を上げた。いきなり立ち上がる。
「ひっ」
「アマーリエは美しい。黒曜石のようなつぶらな瞳に、上向いた愛嬌のある鼻。しなやかな曲線を描くその美しい身体は見る者を魅了する。血色の良い桃色の肌。後ろ姿がとてつもなく愛らしい」
突然流れるように喋り出したルスタンの言葉を、受付嬢が慌てて書き留める。
「は……はぁ、なるほど。……それで、経緯は……」
受付嬢が先を促そうと顔を上げた時、彼はすでに目の前にはいなかった。
「君! 私のアマーリエを助けてくれないか!! 君! 頼む、アマーリエを救い出してくれ! 君は……ああ、依頼を出しに来たのか、すまない。……君!!」
室内に居る面々に片っ端から声を掛け、手を握り、ひたすら懇願し続ける男の姿を、受付嬢は唖然としたまま見つめることしか出来なかった。
解説
●PL事前情報
お気付きになられた方もいるかと思いますが、アマーリエは『人』ではなく、ルスタンが愛してやまない彼のペット。といっても、ペットにしては少々めずらしい、『ぶた』なのですが……。
そのことは、基本的に彼は一切口にしません。関係を聞かれれば「命だ」と答えますし、人間かと聞かれれば「アマーリエはアマーリエだ」と答えます。
また、ルスタンは街で待機しておりますので、依頼にはハンターのみで向かうことになります。
●依頼内容
アマーリエの奪還。
●保護対象について
アマーリエ
体長1m、体重180kg前後のぶた。家畜豚と同等程度の大きさ。耳の後ろに白い花飾りを付けており、それが目印。
現在は胴体を縄で繋がれ、二体のゴブリンに無理やり引っ張られています。
縄を離せば恐怖で走り回る、もしくは逃走する可能性あり。足は遅くとも重量感たっぷりなので注意が必要。
ルスタンもそれを分かっているので、「必要であれば、傷つけない程度の拘束などは可能」と伝えています。
●敵情報など
ゴブリン4体。内3体が棍棒を持ち、1体が槍を持っています。スキルは強襲、逃走、投石。
ハンターが現れれば応戦しますが、不利になれば逃げ出します。
道行く人を襲っては食物などを奪っているとの情報有。
今は、ルスタンから奪った荷馬車をその馬に引かせ、徒歩で拠点となる森へ向かっています。
●地形について
街道です。
商業が盛んな地域ですので、街道自体はしっかりと整備されており、道幅は6mと広め。両側は高さ30cm程度の草むらが広がっています。
●その他
依頼主は、ルスタン・エードリヒ。ちゃんとしていればダンディなおじさまです。
地元ではそれなりに名の通っている資産家ですが、支部のあるこの街ではあまり知られていない様子。
ルスタンとしては、アマーリエ>荷物なため、戦闘中に荷車が大破したりゴブリンが逃走したとしても、アマーリエが無事であればそれで良し、とのこと。
お気付きになられた方もいるかと思いますが、アマーリエは『人』ではなく、ルスタンが愛してやまない彼のペット。といっても、ペットにしては少々めずらしい、『ぶた』なのですが……。
そのことは、基本的に彼は一切口にしません。関係を聞かれれば「命だ」と答えますし、人間かと聞かれれば「アマーリエはアマーリエだ」と答えます。
また、ルスタンは街で待機しておりますので、依頼にはハンターのみで向かうことになります。
●依頼内容
アマーリエの奪還。
●保護対象について
アマーリエ
体長1m、体重180kg前後のぶた。家畜豚と同等程度の大きさ。耳の後ろに白い花飾りを付けており、それが目印。
現在は胴体を縄で繋がれ、二体のゴブリンに無理やり引っ張られています。
縄を離せば恐怖で走り回る、もしくは逃走する可能性あり。足は遅くとも重量感たっぷりなので注意が必要。
ルスタンもそれを分かっているので、「必要であれば、傷つけない程度の拘束などは可能」と伝えています。
●敵情報など
ゴブリン4体。内3体が棍棒を持ち、1体が槍を持っています。スキルは強襲、逃走、投石。
ハンターが現れれば応戦しますが、不利になれば逃げ出します。
道行く人を襲っては食物などを奪っているとの情報有。
今は、ルスタンから奪った荷馬車をその馬に引かせ、徒歩で拠点となる森へ向かっています。
●地形について
街道です。
商業が盛んな地域ですので、街道自体はしっかりと整備されており、道幅は6mと広め。両側は高さ30cm程度の草むらが広がっています。
●その他
依頼主は、ルスタン・エードリヒ。ちゃんとしていればダンディなおじさまです。
地元ではそれなりに名の通っている資産家ですが、支部のあるこの街ではあまり知られていない様子。
ルスタンとしては、アマーリエ>荷物なため、戦闘中に荷車が大破したりゴブリンが逃走したとしても、アマーリエが無事であればそれで良し、とのこと。
マスターより
依頼主が褒めちぎる『麗しのアマーリエ』、行ってみたら『ぶた』でした。そんなお話となっております。
ルスタンも「拘束可能」などと言っておりますので、ペットとして推測して行動して頂くも、人間と信じて依頼に当たって頂くも、それはお任せいたします。
今回は戦闘有りのシナリオではありますが、アマーリエ奪還がメインとなるかと思います。もちろん、きっちりゴブリン討伐をしていただくのも可能です。
大きいぶたの力って、なかなかにすごいんですよね……ゴブリンたちも二人掛かりで、ずいぶん手を焼いている様子。
アマーリエが彼らの晩御飯になってしまう前になんとか助け出し、ご主人の元に帰してあげてくださいませ。
ルスタンも「拘束可能」などと言っておりますので、ペットとして推測して行動して頂くも、人間と信じて依頼に当たって頂くも、それはお任せいたします。
今回は戦闘有りのシナリオではありますが、アマーリエ奪還がメインとなるかと思います。もちろん、きっちりゴブリン討伐をしていただくのも可能です。
大きいぶたの力って、なかなかにすごいんですよね……ゴブリンたちも二人掛かりで、ずいぶん手を焼いている様子。
アマーリエが彼らの晩御飯になってしまう前になんとか助け出し、ご主人の元に帰してあげてくださいませ。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/04/14 21:17
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 三宮ひかり(ka4595) 人間(リアルブルー)|20才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/04/06 22:47:49 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/04 01:51:56 |