• 戦闘

時を越えて

マスター:松尾京

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在7人 / 4~7人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/04/05 19:00
リプレイ完成予定
2015/04/14 19:00

オープニング

●とある村で
「おい、トニがまた嘘ついてるぜ」
「飽きないなあ、そんな作り話して」
「作り話なんかじゃない!」
 のどかな農村の一角で、同い年の少年に囲まれながら――トニは、目に涙を溜めて言い返していた。
「僕のおじいちゃんは……歪虚と戦って世界中を旅していた、立派な戦士だったんだ!」
 少年達は、小馬鹿にしたように、トニの話を聞いている。
「だったら、証拠でもあるのかよ? じいちゃんが戦士だったっていうさ。いつも口先ばかりで」
「……」
 トニは……その言葉に言い返すことが出来なかった。

●心の英雄
 トニは物心ついた頃から、祖父についての話を聞いて育った。
 生まれた頃にはもう祖父はいなかったけれど……自分の祖父がかつて勇敢な覚醒者で、戦士であったという話を、トニは目を輝かせながら聞いたものだった。
 歪虚を倒し、世界を巡り……この村を守ったこともあるという。
 父の話す祖父のその物語は楽しくて爽快で、それはそのままトニの自慢となった。
 だが、その話をすると、同年代の子供から最近、馬鹿にされるようになった。
 彼らの言うとおり証拠もないし、気弱なトニから出る英雄譚を疑わしく思うだけの知恵を、子供達は身につける年齢にもなっていたのだ。
 トニにとって、祖父のことは心の中に確かに存在する事実だ。
 でも、手に触れられるものは何もなかった。

「お父さん。おじいちゃんは、本当に戦士だったの?」
 その晩、トニは父に聞いた。トニにとってつらい質問だった。
 意外そうな父に事情を説明すると……父は答えた。
「そうさ、親父は確かに、立派な戦士だった。それは嘘じゃない」
「じゃあ、そうわかるものがないのは何で? それに、おじいちゃんは今、どこにいるの? おじいちゃんは……最後に、どうなったの?」
 トニは父から、祖父は死んだ、とは聞かされていた。
 だが、どこでかは知らない。
 村にも、墓はなかった。
 いろんな話はしてきたのに、父は、祖父の最期を語ったことがなかったのだ。そしてそれは意図的にされてきたものだった。
 父は……ふむ、と髭を触りながら言った。
「そうだな。お前には、話しておこうか」

●最期の話
 それは村の北方に位置する、洞窟の話だ。
 あるほら穴の最深部から、狭い縦穴を下った地中に、大きな洞窟がある。
 当時、そこで『巨大な蛇の化け物を見た』という目撃談が上がったとき――退治に出たのが、戦士として活躍していた若い頃の祖父であった。
 だが――祖父は、洞窟に行ったきり、二度と帰ることはなかった。

「親父は本当に、強い戦士だったんだ。そんな親父が帰らないことを……しばらくは、誰も認めなかった」
 いつかは帰ってくるだろう。死んでなどいない。
 父自身もそう思ったままに、年月は過ぎていったという。墓がないのも、そのためだ。
 祖父は家に戦士としての私物も置かなかった。だからそのまま、祖父の存在は消えてしまった。
 それから、祖父ですら帰って来られなかったその場所のことは――事情を知る人間の間でも、ある種の禁忌として語られなくなっていった。

●依頼
 トニは、悲しい思いに駆られた。
「じゃあ、おじいちゃんは、そのままずっと放っておかれるの?」
 このまま、子供達にも戦士だと信じられないままに。
 父は、物思うように天井を見上げた。それからトニの頭にぽんと手を乗せた。
「いや。俺も今、思ったんだ。……親父のことを、考えるときかも知れないって」
 きょとんとしたトニに、父は言った。
「親父はもう、死んでいるだろう。でも洞窟に何か、形見になるものが残っていないとも限らない。俺も、親父の遺品があるなら、見てみたい」
「洞窟に行くの?」
「いいや。残念だけど、俺やトニは、親父みたいに強い戦士じゃない」
「じゃあどうやって……」
「でも――俺たちの代わりに戦士になってくれる人が、いる。きっと、親父と同じくらい強い人達が」

解説

●目的
トニの祖父の形見になるものを見つける。

●場所
地中の洞窟。
ほら穴の奥に狭い縦穴が口を開けており、そこを降りると大きく広がっている。
直径10スクエアほどの一本道が長く続いており、迷うような地理ではないが、地面はでこぼこで暗闇。

●目撃情報
トニの父が知る情報による。
・蛇の化け物
洞窟に生息。歪虚化した大蛇と見ていいであろうが、通常の歪虚大蛇より巨大という話もあり、戦力は未知数。小さい蛇がいた、という話もあったらしい。
自らを中心とするマテリアル汚染を地中で起こし、長きに生きていると考えられる。

●トニの祖父について
名はジェフ。
大剣による近接系の戦法を得意としていた覚醒者で、装備は軽装のことが多かったようである。
当時、近辺の覚醒者たちの中でも強い方であったらしい。
今ではジェフを知る人はほぼいなく、遺品になるものを持っている人もいない。

マスターより

自らのルーツを知りたい、と思うのは、誰しもが抱く欲求なのではないかな、と思ったりしています。少年が知りたがったそれに、是非光を当ててみてください。
目的はもの捜しですが、基本的には戦闘は発生することになるかと思いますので、よろしくお願いします。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/04/13 01:53

参加者一覧

  • 護りの弾丸
    シュタール・フラム(ka0024
    ドワーフ|29才|男性|機導師

  • 佐藤 絢音(ka0552
    人間(蒼)|10才|女性|機導師
  • 純粋若葉
    ミュオ(ka1308
    ドワーフ|13才|男性|闘狩人
  • 茨の王
    アルト・ヴァレンティーニ(ka3109
    人間(紅)|21才|女性|疾影士
  • 差し出されし手を掴む風翼
    クィーロ・ヴェリル(ka4122
    人間(蒼)|25才|男性|闘狩人
  • 心に鉄、槍には紅炎
    逢見 千(ka4357
    人間(蒼)|14才|女性|闘狩人
  • ハイリョニスト
    シグレ・キノーレル(ka4420
    人間(蒼)|26才|男性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓。
逢見 千(ka4357
人間(リアルブルー)|14才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2015/04/05 18:50:13
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/03/31 09:49:52