• 無し

デュニクス騎士団 第一篇 『邂逅』

マスター:ムジカ・トラス

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/04/12 19:00
リプレイ完成予定
2015/04/21 19:00

オープニング


 平素より大変お世話になっております。
 何の冗談か疾影士三人で始まったデュニクス騎士団ですが、あっという間に2カ月が経ちました。ゲオルギウス様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
 突然ですが、私たちの愉快な仲間達を紹介したいと思います。


 と、レヴィンが出す予定のない手紙を書いていた時のこと。
「オォォォイ!! 腹から声だせェェェ!!!」
「「「「オォォス!!!!」」」」
「聞こえんわァァァ!!!」
「「「「ヴォォォォォォォォォス!!!!」」」」
 窓の外から野太い咆哮が届いた。元王国騎士団の騎士であったというボルクスと、愉快な戦闘員達――デュニクスの元チンピラ達――の怒声である。ボルクスは老齢とは思えない程の声量と筋力を有する古強者である。優れた教官である、のだが……。
「やってますなぁ」
 微笑ましそうに言うポチョムに、レヴィンは苦笑を返した。彼らのお陰でデュニクス騎士団は小さな事務所から追い出され、デュニクス郊外の廃農家へと居を移すことになった。その事は少なからずレヴィンの五臓六腑にダメージを与えている。
「ボル「声ェェェェ!!!」おかげで「「「「オォォォス!!!」」」りに「ヨォォシ盾、構えェェ!!!」ってきま「「「「オォォォス!!!」」」」らね」
「クク」
 何処からともなく、声。ヴィサンが笑ったようだった。
 ――いたんですね……。
 レヴィンは全然気付かなかった。余談だが、仕事と指導をサボる為にポチョムの目から逃れるようになってから、ヴィサンの隠行スキルは急上昇している。
「……アレで耳が遠くなければ……な……」
 ポチョムは落胆と共に、そう言った。ボルクスの声の大きさや威圧的な態度はその殆どが加齢による難聴のせいだったと知ったら、戦闘員の子たちはどう思うだろうか。レヴィンは息を吐いた。


 軽いノックの音が、二つ。
「それでは、私は指導に」「……さらばだ」
 唐突にポチョムとヴィサンは席を立った。そのまま二人は執務室の窓から音も無く去っていく。冷や汗を流すレヴィンは「ど、どうぞ」とだけ言って、入室を促した。
「失礼します」
 声の主は長い金髪に蒼眼の少女だった。顔立ちは美しく、陶器のような肌には育ちの良さが伺える。
「『マリーベル』さん、ど、どうされました?」
「今月の予算について、お話が」
 マリーベル、と呼ばれた少女は手元の資料を示しながら、続けた。
「ヴェルド様への支払いが、先月比で4倍になっています」
「そ、それは」
 ヴェルドはデュニクス騎士団付きの鍛冶師である。故郷が心配で帰って来た所に面接が掛かり採用となった。元々はグラズヘイム・シュバリエの職人とのことで腕は確かなのだが、生憎本格的な工房の調達はできなかったためデュニクス内の鍛冶場を間借りしている。必要な資材はそこを通して購入する都合上、彼への支払いは他と比しても膨らみがちである。
「皆様の装備用――にしては、多すぎます。何か、別の案件でも依頼しているのですか?」
「あ、え、あー……はい、そうです。そうなんです」
 マリーベルは聡い。会話が滞りがちなレヴィンと効率よくコミュニケーションを取る為に、事前に想定してからこうして尋ねてくるようになって久しい。簡単な確認事項を除けば、彼女の『質問』は結論は決まっている事が多くなった。
 レヴィンのせい、といえばその通りなのだが。
「……そろそろ、始まるのですか?」
「……あー」
 どこか、曇った表情でマリーベルは言う。レヴィンは言葉を探すが、体裁の良い言葉が見当たらずに。
「えーと、その、なんといいますか最大限前」
「そう、ですか……」
 お茶を濁そうとして、失敗した。


 出発当日。デュニクスの外縁。
「アプリちゃん!」「俺、ぜってェ帰ってくるから!」「アプリちゃんのご飯が食えなくなるなんて辛い死にたい」「お米、向こうでも炊くね。アプリちゃんを思って炊くからね!」
 愁嘆場だった。荷馬車にアレヤコレヤと積み込んで身軽になった戦闘員達が、デュニクス騎士団の家事担当のアプリちゃんを取り囲んで別れを惜しんでいた。
「あ、はい、気をつけてくださいね……プロテインばっかり食べたらダメですよ?」
 困り顔のアプリは、東方系の顔立ちの少女であった。メイド服を着てはいるが、『体調や衛生管理を担う人員が採用されたら相応の権限を』という事でデュニクス騎士団所属の戦闘要員で彼女に逆らうものはいない。怒らせると献立の内容にダイレクトアタックは当たり前。部屋掃除のチェックは埃一つでも指摘され、穴が開いていようものなら可愛らしいアップリケが付けられる事になる。
 だが、彼女はプロフェッショナルだった。畏れ以上の何かが、戦闘員達に芽生えるくらいには。
「……そんな女よりアタシのほうが綺麗なのに」
 一人、ふてくされているのは身長185cmに届こうという、大柄の人物だ。線は細いし色も白い。どちらかというと顔立ちは幼い作りのマリーベルやアプリと違って、美女と言っても過言はない。

 だが、男だ。

 スネゲもウデゲもない。ヒゲもない。他の毛はワカラナイ。怪しい魔法薬の成果らしい。名はキャストン・グレイ。通称キャシー。何のために覚えたかは詳らかにされては居ないが、マッサージが得意だという、酒場の看板娘(?)である。
「マリーは妬かないの?」
「私は、別に……」

「気合入れろヨォォォォォォォォ!」
「「「「押忍!!!!!!!」」」」
 ボルクスの怒声に、戦闘員一同は反射で起立し、返答している。

「……ああいうのは、ちょっと、苦手で」
「あら。こういう時に悔しそうな顔をするほうが男は引っ掛けやすいのよ?」
「……そういうのも、ちょっと……」
 困り顔のマリーベルは同道する『ハンター達』に視線を向けた。
「……あの人達のこと、よろしくおねがいしますね」



 黒大公ベリアルの動乱の折、北西部は戦禍に巻き込まれた。その時のことだ。王国北西部の村々をゴブリン達が襲撃したのは。尤も、その殆どはすでに避難した後の事だった為、人的被害は少なかった。しかし、だ。
「このゴブリン達が、問題でしてね」
 説明役のポチョムが、言う。
「聖堂戦士団の司祭とハンターの皆さんの交戦歴がある、のですが。その際に目撃されたゴブリン達は騎兵が2匹いました。中々強者のゴブリンもいたそうです、が――最近、ゴブリンの大集団が複数目撃されています」
 つい、と太い指を立てて、言う。
「最初に目撃された彼らは、哨戒役に過ぎなかった。それが、私達の結論です」
 総数は不明。所在は探索中。だが、いくらかの小集団は目撃されている。
「北西部は雑魔も多く、民が不在な地も多いため、未開の地といっても過言ではありません」
 ――我々の当座の目標は、この地のゴブリンを駆逐することです、と。ポチョムは告げる。そして。
「……彼らの訓練も、兼ねて居ますがね」
 と、そう結んだ。

解説

●目的
 デュニクス騎士団と共同してゴブリン集団を討て

●状況&解説
 王国北西部を探索し、ゴブリン集団をポチョムが捕捉。
 日時は15時頃。平原。1km程離れた場所には岩肌はあるが、ゴブリン集団が動こうとしない為、この場での戦闘が望ましい。
 隠密下で潜行し、ゴブリン達まで500メートルの距離まで目撃されてはいない。

●敵情報
 ゴブリン兵士:20体。短剣や剣、手斧で武装したゴブリン達。
 ゴブリンアーチャー:10体。矢弓で武装している。
 ゴブリンナイト:5体。小型のラプターに騎乗したゴブリン。突破力と破壊力に優れる。
 ゴブリンメイジ:3体。使う魔法は不明だが、一般的には攻撃用の魔法が多い。
 ???ゴブリン:1.5メートル程のゴブリン。身体に刺青がある。手には仕立ての良い槍。少し大柄のラプターに騎乗している。

●味方情報
 レヴィン:王国騎士。青の騎士団。疾影士。そこそこ強い。剣+盾。
 ポチョム:元密偵の現王国騎士。疾影士。かなり強い。朱槍。
 ヴィサン:元密偵の現王国騎士。疾影士。そこそこ強い。暗器使い。
 戦闘員:30人。元チンピラ達。25人は非覚醒者。4人が闘狩人。残る一人は聖導士。
     大盾と短剣、小銃を扱える。鎧は上半身を主に覆う金属鎧。銃撃の命中精度はお察し。聖導士だけは聖別されたメイスを持つ。
     防御を重点的に訓練されており、普通のゴブリンや矢弓程度であればこらえる事ができる。騎兵突撃には本能的に恐怖を覚える。

●その他
 デュニクスについて:王国北西部の都市。ハルトフォートよりも北西に位置し、当然のように衰退していっている街。最近、騎士団の下部組織である【デュニクス騎士団】の活動がホット。

 今回、現地のゴブリン集団とは初の衝突です。

●成功度について
 お互いの被害の程度と、戦術・運用が適切かどうかで判定されます。
 レヴィン達はハンター達には【矛】である事を期待しています。

マスターより

こんにちは、ムジカです。
【不動】のSide Bとして、一方そのころ王国では騎士団も頑張っているんだよ、という依頼です。
え? どこにも書いていない? まあ、僻地&小康状態とはいえ最前線ですし――貴族も不在、ですし、云々……!(ぁぁ
こういった形のSide B依頼は他の方からもちょこちょこと出ますので、よろしくおねがいしますね!

さて、斜陽の地、酒の都デュニクスに作られた組織のお話、スタートです。皆様(『当方(疾)*3。メンバー募集。』参照)のおかげで個性豊かなメンツ、展望いっぱいのメインストーリー、そしてたくさんのサイドストーリーを用意出来ました。
その一つ目。お楽しみ頂けましたら幸いです! 続く!
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/04/20 05:31

参加者一覧

  • 完璧魔黒暗黒皇帝
    デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013
    人間(蒼)|34才|男性|機導師
  • 炎からの生還者
    櫻井 悠貴(ka0872
    人間(蒼)|18才|女性|機導師
  • ノブリスオブリージュ
    リーリア・バックフィード(ka0873
    人間(紅)|17才|女性|疾影士
  • ミワクノクチビル
    ナナート=アドラー(ka1668
    エルフ|23才|男性|霊闘士
  • 真摯なるベルベット
    アルルベル・ベルベット(ka2730
    人間(紅)|15才|女性|機導師
  • ミストラル
    ウォルター・ヨー(ka2967
    人間(紅)|15才|男性|疾影士
  • Philia/愛髪
    Leo=Evergreen (ka3902
    人間(紅)|10才|女性|疾影士
  • 正義なる楯
    アルバ・ソル(ka4189
    人間(紅)|18才|男性|魔術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/04/10 22:37:41
アイコン 相談卓……(疾影士が多いですね
リーリア・バックフィード(ka0873
人間(クリムゾンウェスト)|17才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2015/04/12 18:58:17