ゲスト
(ka0000)
こけだま
マスター:葉槻

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/04/17 15:00
- リプレイ完成予定
- 2015/04/26 15:00
オープニング
●ある日森の中
その親子は病気の祖母のために薬草を採りに森に入った。
必死に薬草を探す母親と、早くもそれに飽きてしまった息子。
少年は母親の手から離れ、1人森の中を探索する事にした。
一歩踏み出せば逃げていく蛇を追いかけ、木の枝に頬をかすめながら奥へと入っていく。
すると、大きな樹の根元に、自分の背丈ほどの丸い物体があった。
それは緑色でふかふかと柔らかそうに見えた。
少年はそっとそれに近寄ると、恐る恐る触れてみた。
ちょっと湿っているが、想像通りのふかふかとした感触に、楽しくなってぽんぽんと叩いてみたり顔を埋めてみたり。
すっかりコレが気に入って、夢中で遊び始めた。
一方で母親は無事薬草を手に入れてほぅ、と息を吐いた。
「最近、鳥の鳴き声がしなくなったから、何か起こっているのかもしれない」
気をつけるようにと村の友人から言われていたが、特に変わりは無いように見えた。
「もぅ、大げさなんだから。……坊、帰るよ」
母親が声をかけたが、息子の姿が見えない。
「坊? 何処へ行ったの? 坊!」
木々をへし折りながら無理矢理通った箇所を見つけて、母親は必死にその跡を追った。
――母親の声が聞こえた気がして、ふかふかから顔を上げた。
「ここだよー!」
母の声に応えて大きく叫ぶと、よいしょ、とふかふかから身体を離そうと両手を突っ張った。
その両手に、しゅるしゅるっと蔦がまとわりついてきて、少年は小さな悲鳴を上げた。
「え? 何? 何なの?」
その蔦は意思があるように少年の両腕に絡まっていき、少年がどれほど暴れてもびくともしない。
「やだ、おっかぁ、おっかぁっ!!」
「坊!」
母親がやっとの思いで息子の姿を見つけた時、少年の身体は絡められた蔦により宙に浮いていた。
そして、後ろの巨大な苔玉のようなモノがぱかっと中央から左右に割れると少年はその中へと放り込まれた。
「坊!!」
母親は、反射的にその巨大な苔玉に駆け寄ると、苔玉を叩いて、割ろうと両手をかけて叫んだ。
「坊! 坊!!」
苔玉の向こうで、息子の声が聞こえた。
「あつい……いたいよ……おっかぁ、たすけておっかぁ!!」
「坊! 今助けるからね、助けるからね!」
母親は持っていた草刈り鎌で苔玉の表面を削り、先ほど割れた部分をこじ開けようと刃先を突き刺したが、苔玉はびくともしない。
「おっかぁ……あつい……いたいよぉ……たすけて……おっかぁ……」
高かったはずの陽はすっかり傾いて、間もなく夜の闇がやってくる頃。
息子が飲まれてから、ずっと母親は取り返そうと、自分が身代わりになるからと叫びながら、その苔玉に鎌を突き立て続けた。
ずっと、自分と息子の声だけが聞こえていたのに、いつからか自分の嗚咽だけになった。
「お願い……返事をしてぇ……」
泣き崩れる母親だけが、夜になり心配して駆けつけた村人達によって救出された。
●とある魔術師
「動かない雑魔なら、僕1人でも遠距離からの攻撃で何とかなるだろう。よし、行ってみよう」
たまたま近隣の村にハンターがいる、ということで村人総出でその男の元へ詰め寄り、退治を依頼したところ、男はあっさりとそれを引き受けた。
村人に案内され、雑魔の姿を視認したところで、男は村人を帰すと魔導銃を取り出した。
十分な距離を空け、狙いをすませてトリガーを引く。
しかし、マテリアルの弾丸が発射されると同時に蔦が本体に届く前に撃ち落とした。
「……偶然か?」
男はもう一度木の陰から狙いを付けて銃を放つ。
本体に吸い込まれるようにして命中したと同時に、蔦が届く範囲をめちゃめちゃに鞭打ち始めた。
「……わぉ」
男はさらに3発の弾丸を放ったが、その全てを撃ち落とされたため、銃での攻撃を諦めた。
次いで風を呼び集め雑魔へと放つが、雑魔はそれを蔦を集めてガードする。
切り刻まれた蔦は塵となって消えたが、またすぐに新たな蔦が生え蠢き始めた。
「ふむ。じゃぁコレは?」
素早く移動して距離を縮めると、燃え盛る炎の矢を放った。
一瞬にして雑魔を火だるまにして沈火する。
蔦は消し炭となって消え、本体も真っ黒になったが、またすぐに新たな蔦が生え蠢き始め、本体も緑色を取り戻し、ふさふさと表面の苔状の部分が揺れた。
「効いてない……わけじゃなさそうかな」
しかし、自分の魔力が尽きるのが先か、敵の体力が尽きるのが先かはわからない。
『あまり、得意じゃ無いんだが』と独りごちてから、腰元からナイフを引き抜くと、素早く駆け寄り蔦の合間を縫って本体へと突き立てた。
喩えるなら毛糸玉に刃を立てたような、そんな感触が男の手に伝わり、近接攻撃が有効である事を把握する。
蔦の反撃を受けながらも再び距離を取ると、雑魔は追撃せずに警戒するように蔦をうねらせる。
「感情が読めない敵っていうのはやっかいだね」
攻撃を受けた右腕を見る。腕にはミミズ腫れが出来ていたが、骨には異常なさそうだった。
ある程度距離を取ると攻撃してこない事を確認して、男は「戦略的撤退」と呟くと雑魔に背を向けた。
●ある日ハンターオフィスの中
「依頼です。苔玉のような外見をした雑魔を退治して来て下さい」
こけだま。と聞き慣れない言葉に首を傾げるハンター達に、説明係の女性は咳払い一つした後、図解を見せた。
「このように、直径1.3~1.5m程の球状の雑魔です。全身を緑の苔のようなモノで覆っています。複数の蔦状の触手を持っています。これが鞭のようにしなり、攻撃・防御・巻き付きなどを行います」
ボードには、緑の丸から、うねうねと緑の線が幾本も引かれた。
「この雑魔は球体の本体は動きません。ひたすら、その場に留まり、獲物が来たら蔦で絡め取って捕食しているようです」
そして、捕食したものが消化されるまでは、次の獲物を捕る事もしないようだ。
「子どもが1人、被害に遭いました。母親は心神喪失状態で、話しを聞く事は困難でしょう」
村の男が、要領を得ない母親の話を聞きまとめ、たまたま居合わせたハンターに討伐を依頼したが、「あれは1人じゃ無理だね」とオフィスへ依頼するよう助言を残し去ってしまったという。
しかし結果、その希有な特色がわかった、という事だった。
なお、現在は村の男達が交代で雑魔を見張っているが、やはり動く様子はないそうだ。
「母親に対しては何の攻撃も反撃もしなかったそうですが、ハンターの攻撃ともなれば、やはり雑魔もやり返してくるそうです。どうか、油断ならさず、討伐して来て下さい。……母親のためにも」
いつになく沈痛な面持ちで女性は深々と頭を下げた。
その親子は病気の祖母のために薬草を採りに森に入った。
必死に薬草を探す母親と、早くもそれに飽きてしまった息子。
少年は母親の手から離れ、1人森の中を探索する事にした。
一歩踏み出せば逃げていく蛇を追いかけ、木の枝に頬をかすめながら奥へと入っていく。
すると、大きな樹の根元に、自分の背丈ほどの丸い物体があった。
それは緑色でふかふかと柔らかそうに見えた。
少年はそっとそれに近寄ると、恐る恐る触れてみた。
ちょっと湿っているが、想像通りのふかふかとした感触に、楽しくなってぽんぽんと叩いてみたり顔を埋めてみたり。
すっかりコレが気に入って、夢中で遊び始めた。
一方で母親は無事薬草を手に入れてほぅ、と息を吐いた。
「最近、鳥の鳴き声がしなくなったから、何か起こっているのかもしれない」
気をつけるようにと村の友人から言われていたが、特に変わりは無いように見えた。
「もぅ、大げさなんだから。……坊、帰るよ」
母親が声をかけたが、息子の姿が見えない。
「坊? 何処へ行ったの? 坊!」
木々をへし折りながら無理矢理通った箇所を見つけて、母親は必死にその跡を追った。
――母親の声が聞こえた気がして、ふかふかから顔を上げた。
「ここだよー!」
母の声に応えて大きく叫ぶと、よいしょ、とふかふかから身体を離そうと両手を突っ張った。
その両手に、しゅるしゅるっと蔦がまとわりついてきて、少年は小さな悲鳴を上げた。
「え? 何? 何なの?」
その蔦は意思があるように少年の両腕に絡まっていき、少年がどれほど暴れてもびくともしない。
「やだ、おっかぁ、おっかぁっ!!」
「坊!」
母親がやっとの思いで息子の姿を見つけた時、少年の身体は絡められた蔦により宙に浮いていた。
そして、後ろの巨大な苔玉のようなモノがぱかっと中央から左右に割れると少年はその中へと放り込まれた。
「坊!!」
母親は、反射的にその巨大な苔玉に駆け寄ると、苔玉を叩いて、割ろうと両手をかけて叫んだ。
「坊! 坊!!」
苔玉の向こうで、息子の声が聞こえた。
「あつい……いたいよ……おっかぁ、たすけておっかぁ!!」
「坊! 今助けるからね、助けるからね!」
母親は持っていた草刈り鎌で苔玉の表面を削り、先ほど割れた部分をこじ開けようと刃先を突き刺したが、苔玉はびくともしない。
「おっかぁ……あつい……いたいよぉ……たすけて……おっかぁ……」
高かったはずの陽はすっかり傾いて、間もなく夜の闇がやってくる頃。
息子が飲まれてから、ずっと母親は取り返そうと、自分が身代わりになるからと叫びながら、その苔玉に鎌を突き立て続けた。
ずっと、自分と息子の声だけが聞こえていたのに、いつからか自分の嗚咽だけになった。
「お願い……返事をしてぇ……」
泣き崩れる母親だけが、夜になり心配して駆けつけた村人達によって救出された。
●とある魔術師
「動かない雑魔なら、僕1人でも遠距離からの攻撃で何とかなるだろう。よし、行ってみよう」
たまたま近隣の村にハンターがいる、ということで村人総出でその男の元へ詰め寄り、退治を依頼したところ、男はあっさりとそれを引き受けた。
村人に案内され、雑魔の姿を視認したところで、男は村人を帰すと魔導銃を取り出した。
十分な距離を空け、狙いをすませてトリガーを引く。
しかし、マテリアルの弾丸が発射されると同時に蔦が本体に届く前に撃ち落とした。
「……偶然か?」
男はもう一度木の陰から狙いを付けて銃を放つ。
本体に吸い込まれるようにして命中したと同時に、蔦が届く範囲をめちゃめちゃに鞭打ち始めた。
「……わぉ」
男はさらに3発の弾丸を放ったが、その全てを撃ち落とされたため、銃での攻撃を諦めた。
次いで風を呼び集め雑魔へと放つが、雑魔はそれを蔦を集めてガードする。
切り刻まれた蔦は塵となって消えたが、またすぐに新たな蔦が生え蠢き始めた。
「ふむ。じゃぁコレは?」
素早く移動して距離を縮めると、燃え盛る炎の矢を放った。
一瞬にして雑魔を火だるまにして沈火する。
蔦は消し炭となって消え、本体も真っ黒になったが、またすぐに新たな蔦が生え蠢き始め、本体も緑色を取り戻し、ふさふさと表面の苔状の部分が揺れた。
「効いてない……わけじゃなさそうかな」
しかし、自分の魔力が尽きるのが先か、敵の体力が尽きるのが先かはわからない。
『あまり、得意じゃ無いんだが』と独りごちてから、腰元からナイフを引き抜くと、素早く駆け寄り蔦の合間を縫って本体へと突き立てた。
喩えるなら毛糸玉に刃を立てたような、そんな感触が男の手に伝わり、近接攻撃が有効である事を把握する。
蔦の反撃を受けながらも再び距離を取ると、雑魔は追撃せずに警戒するように蔦をうねらせる。
「感情が読めない敵っていうのはやっかいだね」
攻撃を受けた右腕を見る。腕にはミミズ腫れが出来ていたが、骨には異常なさそうだった。
ある程度距離を取ると攻撃してこない事を確認して、男は「戦略的撤退」と呟くと雑魔に背を向けた。
●ある日ハンターオフィスの中
「依頼です。苔玉のような外見をした雑魔を退治して来て下さい」
こけだま。と聞き慣れない言葉に首を傾げるハンター達に、説明係の女性は咳払い一つした後、図解を見せた。
「このように、直径1.3~1.5m程の球状の雑魔です。全身を緑の苔のようなモノで覆っています。複数の蔦状の触手を持っています。これが鞭のようにしなり、攻撃・防御・巻き付きなどを行います」
ボードには、緑の丸から、うねうねと緑の線が幾本も引かれた。
「この雑魔は球体の本体は動きません。ひたすら、その場に留まり、獲物が来たら蔦で絡め取って捕食しているようです」
そして、捕食したものが消化されるまでは、次の獲物を捕る事もしないようだ。
「子どもが1人、被害に遭いました。母親は心神喪失状態で、話しを聞く事は困難でしょう」
村の男が、要領を得ない母親の話を聞きまとめ、たまたま居合わせたハンターに討伐を依頼したが、「あれは1人じゃ無理だね」とオフィスへ依頼するよう助言を残し去ってしまったという。
しかし結果、その希有な特色がわかった、という事だった。
なお、現在は村の男達が交代で雑魔を見張っているが、やはり動く様子はないそうだ。
「母親に対しては何の攻撃も反撃もしなかったそうですが、ハンターの攻撃ともなれば、やはり雑魔もやり返してくるそうです。どうか、油断ならさず、討伐して来て下さい。……母親のためにも」
いつになく沈痛な面持ちで女性は深々と頭を下げた。
解説
植物系雑魔の討伐依頼です。
丸い本体は動きませんが、代わりに良く働く蔦が攻撃・防御を担います。
蔦は同時に4本出てきます。
射程2ですのでご注意下さい。
銃の攻撃は効かないわけではありませんが、高確率で防御します。
なお、丸呑みされた子どもは身長110cm程でした。
子どもが呑まれてから数日経っており、最近は動物が寄りつかなくなっているので、恐らく空腹です。
万が一丸呑みされますと、脱出するまで消化液によるダメージが入ります。
しかし、中に取り込まれると言う事は……
他能力に関しましては、OPからご推察下さい。
丸い本体は動きませんが、代わりに良く働く蔦が攻撃・防御を担います。
蔦は同時に4本出てきます。
射程2ですのでご注意下さい。
銃の攻撃は効かないわけではありませんが、高確率で防御します。
なお、丸呑みされた子どもは身長110cm程でした。
子どもが呑まれてから数日経っており、最近は動物が寄りつかなくなっているので、恐らく空腹です。
万が一丸呑みされますと、脱出するまで消化液によるダメージが入ります。
しかし、中に取り込まれると言う事は……
他能力に関しましては、OPからご推察下さい。
マスターより
初めましてまたはお久しぶりです、また会えて光栄です。
盆栽の格付けチェックでは毎回ハズレばかり選んでしまう葉槻です。
6作目はまたしてもけったいな雑魔です。
クリーピング・バイン、苔玉バージョンと思っていただければ。
純戦風味ですが、子どもが被害に遭っていますので、心情なんかも重視したいなと思いつつ。
一応お断りしておくと、触手のように、とはありますが、OPを見てわかるように、シリアスです。
えっちい要素はありません。ご了承下さい。
アドリブが入る傾向が非常に強くあります。
NG等ありましたらお手数ですがご一報下さいますようお願いします。
それでは、この悲劇に終焉を。よろしくお願いします。
盆栽の格付けチェックでは毎回ハズレばかり選んでしまう葉槻です。
6作目はまたしてもけったいな雑魔です。
クリーピング・バイン、苔玉バージョンと思っていただければ。
純戦風味ですが、子どもが被害に遭っていますので、心情なんかも重視したいなと思いつつ。
一応お断りしておくと、触手のように、とはありますが、OPを見てわかるように、シリアスです。
えっちい要素はありません。ご了承下さい。
アドリブが入る傾向が非常に強くあります。
NG等ありましたらお手数ですがご一報下さいますようお願いします。
それでは、この悲劇に終焉を。よろしくお願いします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/04/19 00:39
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 霧雨 悠月(ka4130) 人間(リアルブルー)|15才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/04/15 22:19:06 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/13 22:52:25 |