ゲスト
(ka0000)
俺を英雄にしてくれ!
マスター:秋風落葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/04/18 09:00
- リプレイ完成予定
- 2015/04/27 09:00
オープニング
●少年と少女
「ライお兄ちゃん、ライお兄ちゃん。また、おはなし聞かせて? 冒険のおはなし」
「おお、いいぜ!」
王都イルダーナ近くの名も無い村。
そこに一人の少年と少女がいた。少年の名はライ。少女の名はイリスという。
親しい二人の年齢はそれなりに離れている。ライはすでに大人の面影を帯びつつあったが、イリスはその体形も、ライに対する接し方もまだまだ子供のそれだった。
「……ある日、俺は仲間と一緒に大きな洞窟に向かった……」
ライはイリスに語って聞かせる。ハンターである自分がどんな冒険に出て、どう活躍したのかを。
イリスはあまり体が丈夫ではなく、村の外にも出たことはない。一方、ライは数年前に村を出て自活していた。たまに村にライが帰ってくると、イリスはきまって彼におはなしをせがむ。
イリスはライが聞かせてくれる冒険の話が何よりも好きだった。ライも、妹のように大切なイリスが喜んでくれるならと、村に帰ってきた時は必ず少女の下を訪れ、武勇伝を聞かせるのである。
「……その時、雑魔が俺に牙を剥いて襲い掛かってきた……! でも俺はそれをひらりとかわし、剣を叩き込んでやったのさ! こんな感じにな!」
「すごいすごい! さっすがライお兄ちゃんだね!」
ライの身振り手振りを使った熱演の冒険譚。
イリスは無邪気に手をぱちぱちと叩き、目の前の男を誉めそやす。ライは上機嫌のままに己の手柄話をいろいろと聞かせてやるのだった。
●事件は突然に
「ライお兄ちゃん! ライお兄ちゃん!」
「ん? どうした?」
次の日。
村長に力仕事を頼まれ、その作業を行っていたライの下にイリスがやって来た。急いで来たのか少し息を切らしている。
「えっとね! 村の近くに雑魔が出たんだって! すっごくたくさん!」
「な、なに? そりゃやべえな、早く村長に知らせないと……」
「え? どうして?」
ライの言葉にイリスは首をかしげた。
「どうしてって……強い人を呼んで雑魔を倒してもらわないと村が危ないだろ?」
「なに言ってるの、お兄ちゃん。強い人ならちゃんとこの村にもいるじゃない」
「へ?」
ライはイリスの顔をまじまじと見る。少女の瞳はキラキラと輝き、目の前の少年をまっすぐに見上げていた。
ライの心に、暗雲がわきあがる。
まさか……まさか……。
「雑魔をやっつけてよ! ライお兄ちゃん! いつも聞かせてくれるおはなしのように!!」
やっぱりかあああああああああああああああああ!?
「あたし、村のみんなにも話して回っちゃった♪ ライお兄ちゃんがすぐに退治してくれるって!」
何だとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
「最初はみんなライお兄ちゃんが強いことを信じてくれなかったけど、あたしが必死に話したら、それならライに任せてみるか、って言ってくれたの♪」
逃げ場なしいいいいいいいいいいいいいいいいい!?
「あたし、ライお兄ちゃんが格好良く戦うところを見たいな♪ お兄ちゃんはあたしの英雄(ヒーロー)だもん!」
ライは袋小路に追い詰められたネズミのような心境でイリスを見る。しかし、そこにいたのは爪を研ぐ肉食獣ではなく、一人の可憐な少女であった。頬を上気させ、潤む瞳で彼を見つめるイリス。
もちろんイリスはライを追い込みたいのではなく、彼が強いと心から信じているのだ。いや、これがもし演技だったら正直言って末恐ろしいが。
ライは背中に冷たい汗をびっしょりとかきながらも何とか笑顔を作り、少女へと話しかける。もちろん、彼の頭はこの危機を乗り越えるためにフル回転していた。
「ま、まて、イ、イリスよ。たしかにお兄ちゃんは強い。しかしだな、やはり一人では限度というものがある。ほ、ほら、いつも言ってるだろ? ハンターってのは強敵にはみんなで協力して戦うって」
「えー? ライお兄ちゃん一人じゃ駄目なの?」
不満そうに口を尖らせるイリス。格好良く敵を倒すお兄ちゃんの姿を見たいらしい。ライは辛抱強く言って聞かせた。内心を必死に隠して。
――このままだと俺死んじゃう! 絶対!
「あ、ああ。ほら、いくら俺が強いっていっても、やっぱり一人じゃな! 俺の手のとどかないところから襲ってくるかもしれないだろ?」
「……うん。わかった」
納得したのかイリスはこくりと頷く。ライは内心、ほっと安堵の息をつきながらさらにまくし立てた。
「だ、だからさ。俺ちょっと街で仲間を集めてくる! 今すぐにな!」
「うん! 頑張ってねお兄ちゃん! あたし待ってるから!」
笑顔のイリスに見送られ、ライは急ぎ足で家へと向かった。
●一体どうすれば?
自分の家に着いたライは、扉を開けてそそくさと中に入った。帰ってくる途中、彼は何人もの知人から声をかけられた。
もちろん、がんばれよ! とか、ライがそんなに強いなんて知らなかった! とかいう声援である。ある意味イリスの根回しは完璧だった。
「どうするんだ……どうするんだよ俺……」
閉じたドアの背にもたれたまま、ライは顔を青くしながらぶつぶつと声を漏らしている。
……ライはハンターではない。もちろん覚醒者でもない。
ライが村の外に出ている理由も、あくまで近隣の街に住み、そこで仕事をしているだけにすぎない。決して世界を冒険して回っているわけではなかった。
ライはのろのろと足を動かすと、部屋の隅に置いてある箱を開けた。中にあったのはやや古びた剣と盾。これはライの私物である。
たしかに、彼がハンターにあこがれた時期はあった。この武具はその時の名残である。
しかしその夢はいつしか諦め、今では時々手に取って眺めるだけの思い出の品にすぎない。
このまま逃げてしまおうか、とライは考える。しかし、自分を信じている少女の瞳が脳裏にちらついた。子供の頃からずっと一緒に遊んでいた大事な女の子。それに、自分が逃げ出したらこの村はどうなる? 皆、ライがどうにかしてくれると思っているのだ……。
ライは腕を伸ばし、剣を手に取る。
幸い、ライは力仕事に従事していた。膂力だけは人並み以上にある。
「やるしか……ねえか……」
剣の柄を強く握り締め、ライは呟いた。
●こうするしかねえ!
剣と盾を身につけたライは王都イルダーナにいた。村の人間から集めたハンター達への依頼金を持って。
ライはハンターオフィスへと足を運ぶ。もちろん、入ったことなど一度もない。まさか、こんな形でこの扉をくぐることになるなど、夢にも思ったことはなかった。
ライは深呼吸すると扉を開ける。そしてハンターらしき一団の側へ駆け寄ると、頭を下げ、力一杯叫んだ。
「た、頼みがある! 俺を一日だけでいいから英雄(ヒーロー)にしてくれ!!
「ライお兄ちゃん、ライお兄ちゃん。また、おはなし聞かせて? 冒険のおはなし」
「おお、いいぜ!」
王都イルダーナ近くの名も無い村。
そこに一人の少年と少女がいた。少年の名はライ。少女の名はイリスという。
親しい二人の年齢はそれなりに離れている。ライはすでに大人の面影を帯びつつあったが、イリスはその体形も、ライに対する接し方もまだまだ子供のそれだった。
「……ある日、俺は仲間と一緒に大きな洞窟に向かった……」
ライはイリスに語って聞かせる。ハンターである自分がどんな冒険に出て、どう活躍したのかを。
イリスはあまり体が丈夫ではなく、村の外にも出たことはない。一方、ライは数年前に村を出て自活していた。たまに村にライが帰ってくると、イリスはきまって彼におはなしをせがむ。
イリスはライが聞かせてくれる冒険の話が何よりも好きだった。ライも、妹のように大切なイリスが喜んでくれるならと、村に帰ってきた時は必ず少女の下を訪れ、武勇伝を聞かせるのである。
「……その時、雑魔が俺に牙を剥いて襲い掛かってきた……! でも俺はそれをひらりとかわし、剣を叩き込んでやったのさ! こんな感じにな!」
「すごいすごい! さっすがライお兄ちゃんだね!」
ライの身振り手振りを使った熱演の冒険譚。
イリスは無邪気に手をぱちぱちと叩き、目の前の男を誉めそやす。ライは上機嫌のままに己の手柄話をいろいろと聞かせてやるのだった。
●事件は突然に
「ライお兄ちゃん! ライお兄ちゃん!」
「ん? どうした?」
次の日。
村長に力仕事を頼まれ、その作業を行っていたライの下にイリスがやって来た。急いで来たのか少し息を切らしている。
「えっとね! 村の近くに雑魔が出たんだって! すっごくたくさん!」
「な、なに? そりゃやべえな、早く村長に知らせないと……」
「え? どうして?」
ライの言葉にイリスは首をかしげた。
「どうしてって……強い人を呼んで雑魔を倒してもらわないと村が危ないだろ?」
「なに言ってるの、お兄ちゃん。強い人ならちゃんとこの村にもいるじゃない」
「へ?」
ライはイリスの顔をまじまじと見る。少女の瞳はキラキラと輝き、目の前の少年をまっすぐに見上げていた。
ライの心に、暗雲がわきあがる。
まさか……まさか……。
「雑魔をやっつけてよ! ライお兄ちゃん! いつも聞かせてくれるおはなしのように!!」
やっぱりかあああああああああああああああああ!?
「あたし、村のみんなにも話して回っちゃった♪ ライお兄ちゃんがすぐに退治してくれるって!」
何だとおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?
「最初はみんなライお兄ちゃんが強いことを信じてくれなかったけど、あたしが必死に話したら、それならライに任せてみるか、って言ってくれたの♪」
逃げ場なしいいいいいいいいいいいいいいいいい!?
「あたし、ライお兄ちゃんが格好良く戦うところを見たいな♪ お兄ちゃんはあたしの英雄(ヒーロー)だもん!」
ライは袋小路に追い詰められたネズミのような心境でイリスを見る。しかし、そこにいたのは爪を研ぐ肉食獣ではなく、一人の可憐な少女であった。頬を上気させ、潤む瞳で彼を見つめるイリス。
もちろんイリスはライを追い込みたいのではなく、彼が強いと心から信じているのだ。いや、これがもし演技だったら正直言って末恐ろしいが。
ライは背中に冷たい汗をびっしょりとかきながらも何とか笑顔を作り、少女へと話しかける。もちろん、彼の頭はこの危機を乗り越えるためにフル回転していた。
「ま、まて、イ、イリスよ。たしかにお兄ちゃんは強い。しかしだな、やはり一人では限度というものがある。ほ、ほら、いつも言ってるだろ? ハンターってのは強敵にはみんなで協力して戦うって」
「えー? ライお兄ちゃん一人じゃ駄目なの?」
不満そうに口を尖らせるイリス。格好良く敵を倒すお兄ちゃんの姿を見たいらしい。ライは辛抱強く言って聞かせた。内心を必死に隠して。
――このままだと俺死んじゃう! 絶対!
「あ、ああ。ほら、いくら俺が強いっていっても、やっぱり一人じゃな! 俺の手のとどかないところから襲ってくるかもしれないだろ?」
「……うん。わかった」
納得したのかイリスはこくりと頷く。ライは内心、ほっと安堵の息をつきながらさらにまくし立てた。
「だ、だからさ。俺ちょっと街で仲間を集めてくる! 今すぐにな!」
「うん! 頑張ってねお兄ちゃん! あたし待ってるから!」
笑顔のイリスに見送られ、ライは急ぎ足で家へと向かった。
●一体どうすれば?
自分の家に着いたライは、扉を開けてそそくさと中に入った。帰ってくる途中、彼は何人もの知人から声をかけられた。
もちろん、がんばれよ! とか、ライがそんなに強いなんて知らなかった! とかいう声援である。ある意味イリスの根回しは完璧だった。
「どうするんだ……どうするんだよ俺……」
閉じたドアの背にもたれたまま、ライは顔を青くしながらぶつぶつと声を漏らしている。
……ライはハンターではない。もちろん覚醒者でもない。
ライが村の外に出ている理由も、あくまで近隣の街に住み、そこで仕事をしているだけにすぎない。決して世界を冒険して回っているわけではなかった。
ライはのろのろと足を動かすと、部屋の隅に置いてある箱を開けた。中にあったのはやや古びた剣と盾。これはライの私物である。
たしかに、彼がハンターにあこがれた時期はあった。この武具はその時の名残である。
しかしその夢はいつしか諦め、今では時々手に取って眺めるだけの思い出の品にすぎない。
このまま逃げてしまおうか、とライは考える。しかし、自分を信じている少女の瞳が脳裏にちらついた。子供の頃からずっと一緒に遊んでいた大事な女の子。それに、自分が逃げ出したらこの村はどうなる? 皆、ライがどうにかしてくれると思っているのだ……。
ライは腕を伸ばし、剣を手に取る。
幸い、ライは力仕事に従事していた。膂力だけは人並み以上にある。
「やるしか……ねえか……」
剣の柄を強く握り締め、ライは呟いた。
●こうするしかねえ!
剣と盾を身につけたライは王都イルダーナにいた。村の人間から集めたハンター達への依頼金を持って。
ライはハンターオフィスへと足を運ぶ。もちろん、入ったことなど一度もない。まさか、こんな形でこの扉をくぐることになるなど、夢にも思ったことはなかった。
ライは深呼吸すると扉を開ける。そしてハンターらしき一団の側へ駆け寄ると、頭を下げ、力一杯叫んだ。
「た、頼みがある! 俺を一日だけでいいから英雄(ヒーロー)にしてくれ!!
解説
ライと共に、彼の村を雑魔の手から救ってください。
雑魔達の姿は歩く樹木といった感じの形状をしており、背の高さは1メートルほどです。木の腕を振り回して攻撃を行います。雑魔達は十五体います。
数は多いですが、個々の強さは大したことはありません。今現在のライでも、運が味方すれば勝てるかもしれないくらいの相手です。もちろん、一対一の戦いに限りますが。
ライは戦いの技量に関しては素人であり、OPの通り覚醒者ではありません。
ただ、村への道中に、一日だけライを鍛えるチャンスがあることにします。この時の皆さんの行動次第で、ライは雑魔と互角以上に戦える実力を身につけることができるやもしれません。
ライを含めた皆さんは、雑魔達が村に押し寄せた頃に駆けつけることができます。
村ではイリスをはじめとする村人達が、あなた達の活躍を見届けることでしょう。イリスはきっと村のどこかからライを見守っています。
なお、ライは街で防具を購入しています。これらは彼が自腹で買いました。
ライの装備は以下の物になります。
・ショートソード
・バックラー
・レザーベスト
・レザーグリーヴ
・レザーグローブ
スキルはもちろん使用できません。
雑魔達の姿は歩く樹木といった感じの形状をしており、背の高さは1メートルほどです。木の腕を振り回して攻撃を行います。雑魔達は十五体います。
数は多いですが、個々の強さは大したことはありません。今現在のライでも、運が味方すれば勝てるかもしれないくらいの相手です。もちろん、一対一の戦いに限りますが。
ライは戦いの技量に関しては素人であり、OPの通り覚醒者ではありません。
ただ、村への道中に、一日だけライを鍛えるチャンスがあることにします。この時の皆さんの行動次第で、ライは雑魔と互角以上に戦える実力を身につけることができるやもしれません。
ライを含めた皆さんは、雑魔達が村に押し寄せた頃に駆けつけることができます。
村ではイリスをはじめとする村人達が、あなた達の活躍を見届けることでしょう。イリスはきっと村のどこかからライを見守っています。
なお、ライは街で防具を購入しています。これらは彼が自腹で買いました。
ライの装備は以下の物になります。
・ショートソード
・バックラー
・レザーベスト
・レザーグリーヴ
・レザーグローブ
スキルはもちろん使用できません。
マスターより
こんにちは、こんばんは。秋風落葉(しゅうふうらくよう)です。
いろいろな意味で大ピンチのライ。まさか自分の嘘でこんなことになるとは思っていなかったでしょう。もちろん彼は善意でやったことであり、それを信じたイリスにも罪はないのですが。
どうかお願いです。すぐに外れる付け焼刃でもいい。ライを英雄(ヒーロー)にしてあげてください。
いろいろな意味で大ピンチのライ。まさか自分の嘘でこんなことになるとは思っていなかったでしょう。もちろん彼は善意でやったことであり、それを信じたイリスにも罪はないのですが。
どうかお願いです。すぐに外れる付け焼刃でもいい。ライを英雄(ヒーロー)にしてあげてください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/04/24 07:04
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
ライを鍛えよう No.0(ka4640) 人間(リアルブルー)|20才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/04/17 09:58:38 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/16 08:24:34 |