ゲスト
(ka0000)
【不動】悪意を纏う真紅の妖姫
マスター:T谷

このシナリオは3日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/04/20 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/05/02 19:00
オープニング
※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
剣妃オルクスの出現。
そのニュースは、ノアーラ・クンタウから辺境へ向かう輸送隊に大きな影響を与えていた。
急な進路変更を強いられる輸送隊の車両や馬車の間を、罵声が飛び交う。踵を返し、我先にと逃げ出そうとする者もいた。
彼らの懸念は、目に見えないオルクスの驚異だけではない。いくら強大な力を持っているとはいえ、それが単騎で攻撃を仕掛けてくるのかという疑問も含め。ここしばらく頻発している様々な事件が頭を過ぎるのだ。
そして、
「……おい、こっちの方が安全だって話じゃねえのかよ!」
混乱の中で、少しだけ本隊から離れてしまった部隊が見たものは――どこかから飛来した、巨大な鉄の塊だった。
それはたった一撃で、並んで走っていた二台の車両の片方を叩き潰した。爆炎が辺りを照らす。
急ハンドルでそれを躱し、スリップする車の中で運転席の男が助手席に向けて悲痛に叫ぶ。
「あ、安全だなんて言ってないだろう! 魔導アーマーやら重要なものは狙われるから、ちょっと離れて様子を見た方がいいって言っただけで……っ!」
負けじと助手席の男が大声を上げると同時、ドンと強烈な衝撃とともに、車体がぴたりと動きを止めた。
「うーん、キュウダイテンとぉ……三十点くらい?」
そこに響くのは、場違いな甘ったるい声。軽い言葉と裏腹な、ねっとりとした蜜のような響きが耳に絡みつく。
乗員は蒼白になり、背筋を凍らせた。
こんな状況で、話しかけてくる何かが居るとすれば――
「あたし怪我とかしたくないからさー、あんま怖いやつがいるとこ行きたくないんだよねぇ。……だからぁ、わざわざ仲間と離れてくれるなんてマジ超優しいってか、あはっ、惚れちゃいそうじゃん?」
それは、目に焼き付くような真紅のドレスを纏って立っていた。車体に伸びた陶器のように白く細い繊細そうな指先が、鋼板に大きくめり込んでいる。
流れるような金の髪、見るものを魅了する赤い瞳、艶めかしく言葉を紡ぐ薄い唇……その全てがしかし、禍々しい。
「っつっても、今日はオルちゃんのお手伝いしなきゃなんだよねぇ。奥のあんたは割と当たりだから遊んであげたいんだけど……ほら、男より友情取るあたしって良くね? ケナゲっつーの? きゃははは!」
耳障りな甲高い笑い声が響く。車内の男達は、それを間近に聞きながらも動くことが出来なかった。
戦闘要員である軍人が乗っていたのは、隣の車両だったのだから。彼らに、抵抗する術は無い。
●
乱れた隊列を、この混乱の中で立て直すのは困難を極めた。
戦闘要員だけならともかく、物資の運搬には非戦闘員も関わっている。彼らに、強大な力と対峙する覚悟を求めるのは酷だろう。
そんな中届いた報告は、後方ではぐれた部隊が何者かの襲撃を受けたというものだった。
「車内は血の海、乗員は執拗にバラバラにされ……挙げ句、胴体と頭だけが消えている遺体もある、と。……ふふ、随分と悪趣味ですわね」
輸送隊の一部を護衛している第二師団員の中に、副団長であるスザナ・エルマンがいたことも幸いし、調査隊は直ぐさま編制された。彼女を隊長とし、高い戦闘能力を持つ者が集められる。
第二師団員と、その場に居合わせたハンター達は、普通の幌付き輸送トラックに偽装した車両に乗り込んで本隊から少し離れた位置を走る。
襲撃された部隊の特徴として、本隊から孤立していたというものがある。それをなぞる彼らは、調査隊とは名ばかりの囮に他ならなかった。
「それにしても、久しぶりの実戦……血が滾りますわぁ……!」
一人不気味な笑みを浮かべながら、スザナは両腕で自分を抱いて熱い息を吐く。乗員はそんな様子にどん引きだったが、目の前の戦いに思いを馳せる彼女は、そんな些細なことに気づくはずもなかった。
●
「あら、来ますわね」
唐突に顔を上げたスザナが、ぽつりと呟いた。
「了解ぃっ!」
その瞬間に、運転手を務めていた団員が、横転させる勢いで大きくハンドルを切った。
巨大な何かが地面を砕く爆音と、タイヤが地面を削る音が重なって轟音を響かせる。
「あれ、何そのキモい動き。あーもー、嫌な予感しちゃうなぁ」
ぐるんと百八十度回ったトラックの荷台で、ハンター達はそんな声を聞いた。
ドレスを纏った女が太い鎖を手に、空からゆったりと降りてきたところだった。その鎖の先には、地面に突き刺さった巨大な何か――人の顔が彫られた円錐形の鋼鉄の塊が繋がっている。見る人が見れば、それがアイアンメイデンという拷問器具だと気づくだろう。
「全隊、そいつを囲め!」
スザナ以外の以外の全員が、一斉に動く。その機動は、重い鎧を纏ってなお鈍らない。
「あーあ、めんどいなぁ」
それを見ても、女は指先で髪を弄りながらため息をつくだけだった。
包囲の完成は一瞬だったが、それでも様子は変わらない。
「てかさー、可愛い女の子相手に刃物向けるとかどーよ」
「時間を与えるな、突撃ぃっ!」
「うわ、無視とか引くわ。何なの」
全員が、同時に飛びかかった。女はそれでも殆ど動く素振りを見せなかったが、
「……はぁ。もうだっせえしむかつくしめんどいし――死んだら?」
詰まらなそうに、大きなため息と共に小さく腕を振るった。
その瞬間。
ほんの一歩大きく踏み込んでいた何人もの団員達が――まとめて粉々に吹き飛んだ。
血煙が舞う。全員が、咄嗟に足を止めていた。
「……避けたやつさ、まじ空気読んでよ」
バチンと女の手元に、ぐるりと宙を回った鉄塊が当たって止まる。その表面は、真っ赤に染まっていた。
●
「……期待外れですわね」
トラックから少しも離れず様子を見ていたスザナが、至極残念そうにため息をついた。
彼女が求めているのは、血で血を洗う荒々しい闘争だ。
目の前の女歪虚に、真面目に戦う意思はない。それどころか、隙あらば逃げようとでもいう雰囲気だ。
そんな心持ちの敵相手では、彼女は少しも満たされない。ただの時間の無駄でしかない。
スザナは、もはや完全に興味を失って踵を返す。またその辺りに、ゾンビでも居ないかと首を巡らせながら。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
剣妃オルクスの出現。
そのニュースは、ノアーラ・クンタウから辺境へ向かう輸送隊に大きな影響を与えていた。
急な進路変更を強いられる輸送隊の車両や馬車の間を、罵声が飛び交う。踵を返し、我先にと逃げ出そうとする者もいた。
彼らの懸念は、目に見えないオルクスの驚異だけではない。いくら強大な力を持っているとはいえ、それが単騎で攻撃を仕掛けてくるのかという疑問も含め。ここしばらく頻発している様々な事件が頭を過ぎるのだ。
そして、
「……おい、こっちの方が安全だって話じゃねえのかよ!」
混乱の中で、少しだけ本隊から離れてしまった部隊が見たものは――どこかから飛来した、巨大な鉄の塊だった。
それはたった一撃で、並んで走っていた二台の車両の片方を叩き潰した。爆炎が辺りを照らす。
急ハンドルでそれを躱し、スリップする車の中で運転席の男が助手席に向けて悲痛に叫ぶ。
「あ、安全だなんて言ってないだろう! 魔導アーマーやら重要なものは狙われるから、ちょっと離れて様子を見た方がいいって言っただけで……っ!」
負けじと助手席の男が大声を上げると同時、ドンと強烈な衝撃とともに、車体がぴたりと動きを止めた。
「うーん、キュウダイテンとぉ……三十点くらい?」
そこに響くのは、場違いな甘ったるい声。軽い言葉と裏腹な、ねっとりとした蜜のような響きが耳に絡みつく。
乗員は蒼白になり、背筋を凍らせた。
こんな状況で、話しかけてくる何かが居るとすれば――
「あたし怪我とかしたくないからさー、あんま怖いやつがいるとこ行きたくないんだよねぇ。……だからぁ、わざわざ仲間と離れてくれるなんてマジ超優しいってか、あはっ、惚れちゃいそうじゃん?」
それは、目に焼き付くような真紅のドレスを纏って立っていた。車体に伸びた陶器のように白く細い繊細そうな指先が、鋼板に大きくめり込んでいる。
流れるような金の髪、見るものを魅了する赤い瞳、艶めかしく言葉を紡ぐ薄い唇……その全てがしかし、禍々しい。
「っつっても、今日はオルちゃんのお手伝いしなきゃなんだよねぇ。奥のあんたは割と当たりだから遊んであげたいんだけど……ほら、男より友情取るあたしって良くね? ケナゲっつーの? きゃははは!」
耳障りな甲高い笑い声が響く。車内の男達は、それを間近に聞きながらも動くことが出来なかった。
戦闘要員である軍人が乗っていたのは、隣の車両だったのだから。彼らに、抵抗する術は無い。
●
乱れた隊列を、この混乱の中で立て直すのは困難を極めた。
戦闘要員だけならともかく、物資の運搬には非戦闘員も関わっている。彼らに、強大な力と対峙する覚悟を求めるのは酷だろう。
そんな中届いた報告は、後方ではぐれた部隊が何者かの襲撃を受けたというものだった。
「車内は血の海、乗員は執拗にバラバラにされ……挙げ句、胴体と頭だけが消えている遺体もある、と。……ふふ、随分と悪趣味ですわね」
輸送隊の一部を護衛している第二師団員の中に、副団長であるスザナ・エルマンがいたことも幸いし、調査隊は直ぐさま編制された。彼女を隊長とし、高い戦闘能力を持つ者が集められる。
第二師団員と、その場に居合わせたハンター達は、普通の幌付き輸送トラックに偽装した車両に乗り込んで本隊から少し離れた位置を走る。
襲撃された部隊の特徴として、本隊から孤立していたというものがある。それをなぞる彼らは、調査隊とは名ばかりの囮に他ならなかった。
「それにしても、久しぶりの実戦……血が滾りますわぁ……!」
一人不気味な笑みを浮かべながら、スザナは両腕で自分を抱いて熱い息を吐く。乗員はそんな様子にどん引きだったが、目の前の戦いに思いを馳せる彼女は、そんな些細なことに気づくはずもなかった。
●
「あら、来ますわね」
唐突に顔を上げたスザナが、ぽつりと呟いた。
「了解ぃっ!」
その瞬間に、運転手を務めていた団員が、横転させる勢いで大きくハンドルを切った。
巨大な何かが地面を砕く爆音と、タイヤが地面を削る音が重なって轟音を響かせる。
「あれ、何そのキモい動き。あーもー、嫌な予感しちゃうなぁ」
ぐるんと百八十度回ったトラックの荷台で、ハンター達はそんな声を聞いた。
ドレスを纏った女が太い鎖を手に、空からゆったりと降りてきたところだった。その鎖の先には、地面に突き刺さった巨大な何か――人の顔が彫られた円錐形の鋼鉄の塊が繋がっている。見る人が見れば、それがアイアンメイデンという拷問器具だと気づくだろう。
「全隊、そいつを囲め!」
スザナ以外の以外の全員が、一斉に動く。その機動は、重い鎧を纏ってなお鈍らない。
「あーあ、めんどいなぁ」
それを見ても、女は指先で髪を弄りながらため息をつくだけだった。
包囲の完成は一瞬だったが、それでも様子は変わらない。
「てかさー、可愛い女の子相手に刃物向けるとかどーよ」
「時間を与えるな、突撃ぃっ!」
「うわ、無視とか引くわ。何なの」
全員が、同時に飛びかかった。女はそれでも殆ど動く素振りを見せなかったが、
「……はぁ。もうだっせえしむかつくしめんどいし――死んだら?」
詰まらなそうに、大きなため息と共に小さく腕を振るった。
その瞬間。
ほんの一歩大きく踏み込んでいた何人もの団員達が――まとめて粉々に吹き飛んだ。
血煙が舞う。全員が、咄嗟に足を止めていた。
「……避けたやつさ、まじ空気読んでよ」
バチンと女の手元に、ぐるりと宙を回った鉄塊が当たって止まる。その表面は、真っ赤に染まっていた。
●
「……期待外れですわね」
トラックから少しも離れず様子を見ていたスザナが、至極残念そうにため息をついた。
彼女が求めているのは、血で血を洗う荒々しい闘争だ。
目の前の女歪虚に、真面目に戦う意思はない。それどころか、隙あらば逃げようとでもいう雰囲気だ。
そんな心持ちの敵相手では、彼女は少しも満たされない。ただの時間の無駄でしかない。
スザナは、もはや完全に興味を失って踵を返す。またその辺りに、ゾンビでも居ないかと首を巡らせながら。
解説
・概要
生き残った師団員と共に、現れた女歪虚を撃退せよ。
・敵
少し小柄な女型歪虚です。巨大なアイアンメイデンを鎖鎌の分銅のように操り、攻撃を仕掛けてきます。
それ以外の能力は不明です。場合によっては、奇抜な攻撃、行動を行う可能性もあります。
また、女歪虚に戦意はあまりなく、ある程度暴れる若しくは何かの条件を満たした場合、撤退を行います。
・場所
見通しの良い車道です。
幅十メートルほどの土の道で、左右にはまばらな木立も見えます。
・第二師団員
五人の闘狩人が生き残りました。全員ガタイがよく、耐久力に優れます。
・イケメンシステム
プレイングにタグ【イケメン】の入っている人物は、女歪虚の好みのルックスを持っていることになり、何らかの反応を呼ぶ可能性があります。これは女性であっても同じです。
具体的には、直接的な攻撃は受けにくくなりますが、何かの行動の対象となります。
複数の【イケメン】が存在する場合は、より女歪虚の好みに近い背格好をしている人物が対象となります。
また、師団員の中に一人、イケメン属性を有する人物が存在します。
生き残った師団員と共に、現れた女歪虚を撃退せよ。
・敵
少し小柄な女型歪虚です。巨大なアイアンメイデンを鎖鎌の分銅のように操り、攻撃を仕掛けてきます。
それ以外の能力は不明です。場合によっては、奇抜な攻撃、行動を行う可能性もあります。
また、女歪虚に戦意はあまりなく、ある程度暴れる若しくは何かの条件を満たした場合、撤退を行います。
・場所
見通しの良い車道です。
幅十メートルほどの土の道で、左右にはまばらな木立も見えます。
・第二師団員
五人の闘狩人が生き残りました。全員ガタイがよく、耐久力に優れます。
・イケメンシステム
プレイングにタグ【イケメン】の入っている人物は、女歪虚の好みのルックスを持っていることになり、何らかの反応を呼ぶ可能性があります。これは女性であっても同じです。
具体的には、直接的な攻撃は受けにくくなりますが、何かの行動の対象となります。
複数の【イケメン】が存在する場合は、より女歪虚の好みに近い背格好をしている人物が対象となります。
また、師団員の中に一人、イケメン属性を有する人物が存在します。
マスターより
妙なシステムを加えてみましたT谷です。
敵は強力ですが、剣妃さんよりは可愛らしいものだと思います。
敵は強力ですが、剣妃さんよりは可愛らしいものだと思います。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/01 00:33
参加者一覧
マテリアルリンク参加者一覧
- 米本 剛(ka0320) → シガレット=ウナギパイ(ka2884)
- 岩井崎 メル(ka0520) → フローラ・ソーウェル(ka3590)
- 星輝 Amhran(ka0724) → 十色・T・ エニア(ka0370)
- Uisca=S=Amhran(ka0754) → 十色・T・ エニア(ka0370)
- シエラ・ヒース(ka1543) → Gacrux(ka2726)
- バルバロス(ka2119) → アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)
- ヴィルマ・レーヴェシュタイン(ka2549) → Gacrux(ka2726)
- ミィリア(ka2689) → フローラ・ソーウェル(ka3590)
- エイル・メヌエット(ka2807) → ピオス・シルワ(ka0987)
- 柏木 千春(ka3061) → フローラ・ソーウェル(ka3590)
- アルファス(ka3312) → シガレット=ウナギパイ(ka2884)
- ミオレスカ(ka3496) → アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)
- テトラ・ティーニストラ(ka3565) → アルト・ヴァレンティーニ(ka3109)
- Holmes(ka3813) → シガレット=ウナギパイ(ka2884)
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/15 20:45:19 |
|
![]() |
相談卓 シガレット=ウナギパイ(ka2884) 人間(クリムゾンウェスト)|32才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/04/19 23:22:31 |