ゲスト
(ka0000)
【不動】軍人であるということの、意味
マスター:旅硝子

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/04/20 22:00
- リプレイ完成予定
- 2015/04/29 22:00
オープニング
それは、辺境での戦いに帝国軍を派遣することが決まった、少し後のことであった。
兵営に戻り、自室に引き取ったグリューエリン・ヴァルファー(kz0050)は、机に肘を突きじっと一点を見つめて考え込む。
「……今まで、考えたこともありませんでしたわ……」
じじ、と獣脂のランプが音を立てる中、少女の呟きは夜闇に溶けて行った。
「近いうちに、またライブを開催してもらいたい」
そうヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)から直々に言われて、グリューエリンは了解いたしました、と頷く。
「辺境にても歪虚との大きな戦が行われるとのこと、私の歌がお役に立てますならば」
「うむ。もちろんその戦いとも関係することなんだが……」
そう、いつもと同じ微笑を浮かべて皇帝が口にしたのは、グリューエリンが思いもよらぬことであった。
「そもそも今回の辺境への派兵は、反対の方が多いんだ」
「……なにゆえ、ですか? 帝国の理念は、歪虚に対する人類の盾。であれば、帝国軍が今回の戦いに行かぬ理由はございませんのに」
「理想を言えばね」
真っ直ぐなグリューエリンの瞳を、ヴィルヘルミナも真っ直ぐに見つめ返す。
「もちろん、辺境への派兵は私も必要だと思っている。けれど、『自国の兵士を殺して自国以外を救うことに意味があるのか』とか、『国内の統治も行き届かない面があるのに派兵している暇があるのか』という声は確かに存在するんだ」
そう、市井に響く反対の声をはっきりと口にする皇帝に、グリューエリンは言葉も返せずにぎゅっと唇を引き結んだ。
「政治に対する批判の声もあるし、そういうことをしている組織も存在する。だからこそ、そういう派兵に対する不安を抱えている国民から、不安を取り除くことは大事なんだ」
「わかりました。人々の不安を取り除くようなライブを行えばいいのですね」
そう言ったグリューエリンに、けれどヴィルヘルミナは頷かなかった。
「グリューエリン、この機会に君も考えてみるといい」
「え……?」
「なぜ、帝国は。軍人は。そしてアイドルであり軍人である君は、歪虚と戦うんだい?」
「それは」
「歪虚と戦うのが帝国の存在意義だから? ならば、その存在意義は何のためにある?」
動こうとしたグリューエリンの唇が、ぴたりと止まる。
その様子に皇帝は、柔らかに笑って立ち上がり、ぽんとグリューエリンの肩を叩いた。
「そろそろ君も、そういうことを考えてみるべきだ。君は、アイドルとして兵士達を鼓舞し、ある意味では導く存在なのだからね」
その言葉にグリューエリンは、ただ頷くことしかできなかった。
――あれから、考え続けている。
けれど、わからない――己が、帝国が、戦う理由。
いや、ないわけではないのだ。けれど。
己が戦う理由は、『戦場に背を向けて逃げ出した父と同じにならないため』。
帝国が戦う理由は『そのために帝国は生まれたのだから』。
それ以上に、考えが進まない。
ライブの期日はもう決められている。それまでに……!
「……1人で焦っても仕方ありませんわ」
結局、グリューエリンは考えを打ち切って立ち上がり、勢いよく部屋を出た。
行く先は、ハンターズソサエティ。
「一緒に、考えてほしいのです。私だけでは、この壁を超えられないと思うのです」
そう言ってグリューエリンは、集まったハンター達に頭を下げた。
兵営に戻り、自室に引き取ったグリューエリン・ヴァルファー(kz0050)は、机に肘を突きじっと一点を見つめて考え込む。
「……今まで、考えたこともありませんでしたわ……」
じじ、と獣脂のランプが音を立てる中、少女の呟きは夜闇に溶けて行った。
「近いうちに、またライブを開催してもらいたい」
そうヴィルヘルミナ・ウランゲル(kz0021)から直々に言われて、グリューエリンは了解いたしました、と頷く。
「辺境にても歪虚との大きな戦が行われるとのこと、私の歌がお役に立てますならば」
「うむ。もちろんその戦いとも関係することなんだが……」
そう、いつもと同じ微笑を浮かべて皇帝が口にしたのは、グリューエリンが思いもよらぬことであった。
「そもそも今回の辺境への派兵は、反対の方が多いんだ」
「……なにゆえ、ですか? 帝国の理念は、歪虚に対する人類の盾。であれば、帝国軍が今回の戦いに行かぬ理由はございませんのに」
「理想を言えばね」
真っ直ぐなグリューエリンの瞳を、ヴィルヘルミナも真っ直ぐに見つめ返す。
「もちろん、辺境への派兵は私も必要だと思っている。けれど、『自国の兵士を殺して自国以外を救うことに意味があるのか』とか、『国内の統治も行き届かない面があるのに派兵している暇があるのか』という声は確かに存在するんだ」
そう、市井に響く反対の声をはっきりと口にする皇帝に、グリューエリンは言葉も返せずにぎゅっと唇を引き結んだ。
「政治に対する批判の声もあるし、そういうことをしている組織も存在する。だからこそ、そういう派兵に対する不安を抱えている国民から、不安を取り除くことは大事なんだ」
「わかりました。人々の不安を取り除くようなライブを行えばいいのですね」
そう言ったグリューエリンに、けれどヴィルヘルミナは頷かなかった。
「グリューエリン、この機会に君も考えてみるといい」
「え……?」
「なぜ、帝国は。軍人は。そしてアイドルであり軍人である君は、歪虚と戦うんだい?」
「それは」
「歪虚と戦うのが帝国の存在意義だから? ならば、その存在意義は何のためにある?」
動こうとしたグリューエリンの唇が、ぴたりと止まる。
その様子に皇帝は、柔らかに笑って立ち上がり、ぽんとグリューエリンの肩を叩いた。
「そろそろ君も、そういうことを考えてみるべきだ。君は、アイドルとして兵士達を鼓舞し、ある意味では導く存在なのだからね」
その言葉にグリューエリンは、ただ頷くことしかできなかった。
――あれから、考え続けている。
けれど、わからない――己が、帝国が、戦う理由。
いや、ないわけではないのだ。けれど。
己が戦う理由は、『戦場に背を向けて逃げ出した父と同じにならないため』。
帝国が戦う理由は『そのために帝国は生まれたのだから』。
それ以上に、考えが進まない。
ライブの期日はもう決められている。それまでに……!
「……1人で焦っても仕方ありませんわ」
結局、グリューエリンは考えを打ち切って立ち上がり、勢いよく部屋を出た。
行く先は、ハンターズソサエティ。
「一緒に、考えてほしいのです。私だけでは、この壁を超えられないと思うのです」
そう言ってグリューエリンは、集まったハンター達に頭を下げた。
解説
●目的
ライブを成功させ、帝都の民の不安を和らげること
●グリューエリンからの依頼
目的はあくまでライブの成功ですが、グリューエリンからは「戦うということ、軍人であるということの意味について、一緒に考えてほしい」と依頼されています。
グリューエリンがその意味を見つけだすことが、ライブの方向性を決め、ひいてはライブの成否にもつながるでしょう。
誰かの命を危険にさらすようなことでなければ手段も、伝えたいことも問いません。伝えられたことを元に、グリューエリン自身が考えるでしょう。
リプレイは前半にてグリューエリンと共に考えるところを描き、後半でライブを描写します。
●ライブについて
今回は、普段のライブよりもさらに「何を伝えるか」「どのように伝えるか」が求められます。
プロパガンダ的な側面もありますので、重点を置いて頂けると幸いです。
なお、会場は既に確保済み、いつもの中央広場です。帝国歌舞音曲部隊員も元気に参戦いたします。
それでは、よろしくお願いいたします。
ライブを成功させ、帝都の民の不安を和らげること
●グリューエリンからの依頼
目的はあくまでライブの成功ですが、グリューエリンからは「戦うということ、軍人であるということの意味について、一緒に考えてほしい」と依頼されています。
グリューエリンがその意味を見つけだすことが、ライブの方向性を決め、ひいてはライブの成否にもつながるでしょう。
誰かの命を危険にさらすようなことでなければ手段も、伝えたいことも問いません。伝えられたことを元に、グリューエリン自身が考えるでしょう。
リプレイは前半にてグリューエリンと共に考えるところを描き、後半でライブを描写します。
●ライブについて
今回は、普段のライブよりもさらに「何を伝えるか」「どのように伝えるか」が求められます。
プロパガンダ的な側面もありますので、重点を置いて頂けると幸いです。
なお、会場は既に確保済み、いつもの中央広場です。帝国歌舞音曲部隊員も元気に参戦いたします。
それでは、よろしくお願いいたします。
マスターより
こんにちは、旅硝子です。
今回は戦地ではなく、帝都にて。
けれど、これも戦いの1つの側面です。
アイドルとして、軍人として、グリューエリンがさらに成長するきっかけとなるかもしれません。
それでは、よろしくお願いいたします!
今回は戦地ではなく、帝都にて。
けれど、これも戦いの1つの側面です。
アイドルとして、軍人として、グリューエリンがさらに成長するきっかけとなるかもしれません。
それでは、よろしくお願いいたします!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/18 12:59
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談場所 スピノサ ユフ(ka4283) 人間(クリムゾンウェスト)|29才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2015/04/16 20:06:37 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/20 07:59:09 |