ゲスト
(ka0000)
深闇の淵で
マスター:ゐ炉端

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/04/29 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/05/08 19:00
オープニング
ヒュウッ……っと、じっとりと湿った空気が流れる。
風が流れているのを肌で感じ、少女は重い瞼を薄らと開いた。そこは全てが黒。深淵の闇。視界には何も映らない。一瞬、自分の眼が失われてしまったのかと思い、慌てて自分の両目に手を当てた。……しかし、判断はつかない。
パラパラと小石が転げる音が聞こえ、反射的に少女はそちらに顔を動かした。ぼんやりと覚醒してくる意識が、重力を知覚する。今度は反対側へと視界を振り、そこで初めて自分が仰向けに倒れていると気が付いた。
「いっつ……」
しばらく同じ態勢で、固く凸凹した岩盤らしき上で横になっていたせいか、身体に鈍い痛みが走る。肉体が身体を動かせと言っているように感じて、上半身を起こしたが、上手く身体の状態を変えることができない。
(……右足が硬いものに挟まっている?)
グッと力を込めて足を引き抜こうとしてみるものの、万力で挟まれたようにしっかりと固定され、それは叶わない。幸い、骨が折れたり、出血しているような感覚はなかった。
(そうか……。足が挟まって動けないんだった)
少女は思い出す。自分が置かれている状況を。
彼女はクリムゾンウェストに、リアルブルーから転移してきたばかりの元女子高生で、名前を七藻 忍(ななも しのぶ)という。最初の頃は戸惑い、リアルブルーに残る両親や友人を想ってただ嘆き、悲しむ毎日だった。勉強も運動も平凡で、ごくごく普通の、どこにでもいる女の子が、いきなり異世界に飛ばされてきたら多分、彼女に限らず、前向きに『ま、クヨクヨしてても始まらない。とりま、ハンターでもしようかな~』とはならないだろう。
それでも時間が経てば落ち着き、転機は訪れるもので、忍は大精霊と契約し、無事覚醒者となり、ハンターとしての一歩を踏み出すことになった……のだが。
(漫画のようには、いかないな……)
自嘲気味に、笑う。
これからの身の振りを、ぼんやりと考えていた時に出会った金髪碧眼の少年の事を思い出す。彼もまた、リアルブルーからこちらの世界に飛ばされてきた人間だったが、瞳には希望が満ち、あどけなさを残す微笑みには勇気が宿っていた。ふんわりと、柔らかなウェーブのかかったブロンドの髪、彫りの深いギリシャ彫刻の様な端整な顔立ち。まるで少女漫画の世界から飛び出て来たような美少年に、「頑張って」の一言も掛けられたら、誰だって、いや特に忍のようなごくごく平凡な女の子なら、もしかしてこの先、甘い出会いや大恋愛が待っているんじゃ……!とか勘違いしてしまうものだ。
でも現実は非情で。そうやって、物語の主人公になれる人間なんて、限られてるじゃないか。……なんで、自分がそうなれると思ってしまったのだろう。何の才能も持たず、運も無い、自分はただのモブに過ぎないのに。
暗闇で独り思い、少女は情けなくて、静かに泣いた。
「……というわけで、新米ハンター達に踏破の容易なダンジョンを案内したんだけどね」
ハンターズソサエティのオフィスに、まだ声変わりを迎えていない、少年の声が響く。いつもは人で賑わっているオフィスも昼時ともなれば静かで、彼以外は昼食に出掛けてしまっているようだ。
「どうにも、古い地下迷宮らしきものがそのずっと下に通っていて、何かの拍子で床が抜けて、1人そこに落ちてしまったらしい。かなり深い場所にあるそうでね、実戦経験の乏しい新米ハンターじゃ危険だろうし、改めて依頼として上げて、ハンターを募ることにしたんだ」
目の前のテーブルに、数枚の資料が置かれる。その中に、1人の女の子の写真があった。恐らく、救出が依頼されている人間だろう。失敗した証明写真のように、半開きの目で映る変な顔の彼女の写真を眺めていると、少年はコホンと、ひとつ咳払いをした。
「新米ハンター君の救出は勿論だが、君達にはもう一つ頼まれて欲しい事がある。……というか、本音を言えば、我々にとってそっちが本命なんだけどね」
少年は肩を竦める。人命に勝ることなどないのは目の前の少年も承知しているが、それなりの額の報酬が発生する以上は、そこにリスクや特殊な条件も絡むということだろう。得心はいく。
「この地下迷宮の規模と状態を知りたい。ああ、勿論専門的に分析しろなんて言わないよ。どのくらい広いかとか、内部がどんな様子か、その程度で構わない。その情報を元に、調査の必要かどうかを判断して、改めて調査団を派遣するからね。あああと、何が潜んでいるか分からない。もし脅威になるモノに遭遇した場合、これの排除もお願いしたい」
そこまで言って言葉を止め、少年は自分の前にいる人物の表情に気付いた。何を言わんとしているか察したように、補足する。
「……ふむ。心配そうな顔だね。確かに崩れた穴から通じている以上、迷宮そのものが崩落する危険はあるだろう。でも、あの辺の岩盤は丈夫でね。そう簡単に生き埋めになる……なんて事態にはならないと思うよ。でも、古い上に補強されてない地下迷宮となると、所々脆くもなっているだろう。あまりにも強力な術を使用するのは、得策ではないと思うね」
少年は依頼同意書を資料の一番上に乗せると、クスリと、小悪魔のような笑みを浮かべた。
「……ま。あまり無茶をしないことを勧めるよ。君達の救出依頼は出したくないからね」
風が流れているのを肌で感じ、少女は重い瞼を薄らと開いた。そこは全てが黒。深淵の闇。視界には何も映らない。一瞬、自分の眼が失われてしまったのかと思い、慌てて自分の両目に手を当てた。……しかし、判断はつかない。
パラパラと小石が転げる音が聞こえ、反射的に少女はそちらに顔を動かした。ぼんやりと覚醒してくる意識が、重力を知覚する。今度は反対側へと視界を振り、そこで初めて自分が仰向けに倒れていると気が付いた。
「いっつ……」
しばらく同じ態勢で、固く凸凹した岩盤らしき上で横になっていたせいか、身体に鈍い痛みが走る。肉体が身体を動かせと言っているように感じて、上半身を起こしたが、上手く身体の状態を変えることができない。
(……右足が硬いものに挟まっている?)
グッと力を込めて足を引き抜こうとしてみるものの、万力で挟まれたようにしっかりと固定され、それは叶わない。幸い、骨が折れたり、出血しているような感覚はなかった。
(そうか……。足が挟まって動けないんだった)
少女は思い出す。自分が置かれている状況を。
彼女はクリムゾンウェストに、リアルブルーから転移してきたばかりの元女子高生で、名前を七藻 忍(ななも しのぶ)という。最初の頃は戸惑い、リアルブルーに残る両親や友人を想ってただ嘆き、悲しむ毎日だった。勉強も運動も平凡で、ごくごく普通の、どこにでもいる女の子が、いきなり異世界に飛ばされてきたら多分、彼女に限らず、前向きに『ま、クヨクヨしてても始まらない。とりま、ハンターでもしようかな~』とはならないだろう。
それでも時間が経てば落ち着き、転機は訪れるもので、忍は大精霊と契約し、無事覚醒者となり、ハンターとしての一歩を踏み出すことになった……のだが。
(漫画のようには、いかないな……)
自嘲気味に、笑う。
これからの身の振りを、ぼんやりと考えていた時に出会った金髪碧眼の少年の事を思い出す。彼もまた、リアルブルーからこちらの世界に飛ばされてきた人間だったが、瞳には希望が満ち、あどけなさを残す微笑みには勇気が宿っていた。ふんわりと、柔らかなウェーブのかかったブロンドの髪、彫りの深いギリシャ彫刻の様な端整な顔立ち。まるで少女漫画の世界から飛び出て来たような美少年に、「頑張って」の一言も掛けられたら、誰だって、いや特に忍のようなごくごく平凡な女の子なら、もしかしてこの先、甘い出会いや大恋愛が待っているんじゃ……!とか勘違いしてしまうものだ。
でも現実は非情で。そうやって、物語の主人公になれる人間なんて、限られてるじゃないか。……なんで、自分がそうなれると思ってしまったのだろう。何の才能も持たず、運も無い、自分はただのモブに過ぎないのに。
暗闇で独り思い、少女は情けなくて、静かに泣いた。
「……というわけで、新米ハンター達に踏破の容易なダンジョンを案内したんだけどね」
ハンターズソサエティのオフィスに、まだ声変わりを迎えていない、少年の声が響く。いつもは人で賑わっているオフィスも昼時ともなれば静かで、彼以外は昼食に出掛けてしまっているようだ。
「どうにも、古い地下迷宮らしきものがそのずっと下に通っていて、何かの拍子で床が抜けて、1人そこに落ちてしまったらしい。かなり深い場所にあるそうでね、実戦経験の乏しい新米ハンターじゃ危険だろうし、改めて依頼として上げて、ハンターを募ることにしたんだ」
目の前のテーブルに、数枚の資料が置かれる。その中に、1人の女の子の写真があった。恐らく、救出が依頼されている人間だろう。失敗した証明写真のように、半開きの目で映る変な顔の彼女の写真を眺めていると、少年はコホンと、ひとつ咳払いをした。
「新米ハンター君の救出は勿論だが、君達にはもう一つ頼まれて欲しい事がある。……というか、本音を言えば、我々にとってそっちが本命なんだけどね」
少年は肩を竦める。人命に勝ることなどないのは目の前の少年も承知しているが、それなりの額の報酬が発生する以上は、そこにリスクや特殊な条件も絡むということだろう。得心はいく。
「この地下迷宮の規模と状態を知りたい。ああ、勿論専門的に分析しろなんて言わないよ。どのくらい広いかとか、内部がどんな様子か、その程度で構わない。その情報を元に、調査の必要かどうかを判断して、改めて調査団を派遣するからね。あああと、何が潜んでいるか分からない。もし脅威になるモノに遭遇した場合、これの排除もお願いしたい」
そこまで言って言葉を止め、少年は自分の前にいる人物の表情に気付いた。何を言わんとしているか察したように、補足する。
「……ふむ。心配そうな顔だね。確かに崩れた穴から通じている以上、迷宮そのものが崩落する危険はあるだろう。でも、あの辺の岩盤は丈夫でね。そう簡単に生き埋めになる……なんて事態にはならないと思うよ。でも、古い上に補強されてない地下迷宮となると、所々脆くもなっているだろう。あまりにも強力な術を使用するのは、得策ではないと思うね」
少年は依頼同意書を資料の一番上に乗せると、クスリと、小悪魔のような笑みを浮かべた。
「……ま。あまり無茶をしないことを勧めるよ。君達の救出依頼は出したくないからね」
解説
○依頼目的
第一目標、新米ハンター七藻忍の救出。第二目標、地下道の調査及び脅威の排除。
○救出目標詳細
七藻 忍(ななも しのぶ)駆け出しハンターで、クラスは闘狩人。
リアルブルーから転移してきたばかりの16歳の元女子高生。学校指定の制服の上に、レザーアーマーを纏っている。獲物はショートソードだが、逃げる際に落としており、現在は丸腰。容姿普通。知能普通。筋力普通。少女漫画の様な出会いを夢見ている普通の女の子だが、致命的に運が悪いのが特徴。
崩れた岩に足が挟まって動けなくなっているが、負傷度は軽微。どっちかというと膀胱がエマージェンシーなので、そっちがヤバい。
○地下迷宮詳細
新米ハンターの為に用意された、比較的踏破が容易なダンジョン……だったのだが、偶然が重なり、瓦解し、塞がれていた古い時代の地下迷宮と思しき通路に繋がってしまっている。至る所が崩れて通行できなくなっており、捜索範囲はそれ程広くない。縄梯子が降ろされており、それで下ることができる。上部ダンジョンには、現在敵の気配はない。
通路の広さは横2m、高さ2~3m程。道が分岐している場所や、所々にある小部屋は若干広めだが、全体的に狭いので、移動・戦闘の仕方には工夫が必要。小部屋は全て行き止まりになっている。3~4mくらいの間隔で直径3、40cm程の穴が開いており、何かが這い回っている痕跡がみられる。
地下に光は全く届いておらず、完全な闇が支配している。光源の用意は必須。必要ならランタンが貸し出される。
○敵詳細
全長3m程の巨大ムカデ。合計4体。物理攻撃に耐性の高い強靭な背中を持つ。視覚は殆ど無く、嗅覚や触覚で獲物を察知する。攻撃方法は、噛み付きや巻き付きによる締め付け。噛み付きには【麻痺】の効果が付随する。
第一目標、新米ハンター七藻忍の救出。第二目標、地下道の調査及び脅威の排除。
○救出目標詳細
七藻 忍(ななも しのぶ)駆け出しハンターで、クラスは闘狩人。
リアルブルーから転移してきたばかりの16歳の元女子高生。学校指定の制服の上に、レザーアーマーを纏っている。獲物はショートソードだが、逃げる際に落としており、現在は丸腰。容姿普通。知能普通。筋力普通。少女漫画の様な出会いを夢見ている普通の女の子だが、致命的に運が悪いのが特徴。
崩れた岩に足が挟まって動けなくなっているが、負傷度は軽微。どっちかというと膀胱がエマージェンシーなので、そっちがヤバい。
○地下迷宮詳細
新米ハンターの為に用意された、比較的踏破が容易なダンジョン……だったのだが、偶然が重なり、瓦解し、塞がれていた古い時代の地下迷宮と思しき通路に繋がってしまっている。至る所が崩れて通行できなくなっており、捜索範囲はそれ程広くない。縄梯子が降ろされており、それで下ることができる。上部ダンジョンには、現在敵の気配はない。
通路の広さは横2m、高さ2~3m程。道が分岐している場所や、所々にある小部屋は若干広めだが、全体的に狭いので、移動・戦闘の仕方には工夫が必要。小部屋は全て行き止まりになっている。3~4mくらいの間隔で直径3、40cm程の穴が開いており、何かが這い回っている痕跡がみられる。
地下に光は全く届いておらず、完全な闇が支配している。光源の用意は必須。必要ならランタンが貸し出される。
○敵詳細
全長3m程の巨大ムカデ。合計4体。物理攻撃に耐性の高い強靭な背中を持つ。視覚は殆ど無く、嗅覚や触覚で獲物を察知する。攻撃方法は、噛み付きや巻き付きによる締め付け。噛み付きには【麻痺】の効果が付随する。
マスターより
お初にお目にかかります、ゐ炉端(イロバタ)と申します。
初めての依頼ということで、ゴブリン退治とか、ライトな感じの初心者向け依頼――と思ったんですけど、どうしたこうなった……。
拓けた場所で戦うなら、労せず倒せる相手ですが、『暗所』『狭い通路』『脆く崩れ易い』『意味深な穴』という悪条件での戦闘になります。しっかり相談、作戦を立てた上で臨まれますようお願いします。
皆様のご参加、心よりお待ちしております。
初めての依頼ということで、ゴブリン退治とか、ライトな感じの初心者向け依頼――と思ったんですけど、どうしたこうなった……。
拓けた場所で戦うなら、労せず倒せる相手ですが、『暗所』『狭い通路』『脆く崩れ易い』『意味深な穴』という悪条件での戦闘になります。しっかり相談、作戦を立てた上で臨まれますようお願いします。
皆様のご参加、心よりお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/03 20:10
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/04/25 11:33:09 |
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相談卓 月代 鋼(ka4730) 人間(クリムゾンウェスト)|21才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2015/04/29 01:39:52 |