ゲスト
(ka0000)
不幸なハンター
マスター:秋風落葉

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/05/09 09:00
- リプレイ完成予定
- 2015/05/18 09:00
オープニング
●不幸な男
ハンターであるドビーは不幸だった。
何が不幸かというと、彼は受けた依頼をまだ一度も解決したことがない。
なぜか、毎回予期せぬ出来事が彼とその時の仲間達を襲うのだ。
――初めての依頼。
ある村に荷物を届けるだけの簡単な依頼だった。だが、その村に行ける唯一の橋が洪水によって流され、期日までに辿りつくことができなかった。
近くに住む人々は、この地方にこんなに大雨が降ったことなんて今までになかったよ、と口々に言っていた……。
――二回目の依頼。
ある森の奥に蜂の群生地帯があり、その巣の蜂蜜を取ってきてほしいという簡単な依頼だった。ドビー達が現場に着いたとき、蜂の巣を全て叩き壊し、美味しそうに蜂蜜を舐める巨大な熊の雑魔がいた。彼らは逃げ帰った。
――三回目の依頼。
洞窟に住み着いたコボルドを討伐するだけの簡単な依頼だった。洞窟に行ってみると、なぜかコボルドはワイバーンを飼いならしていた。巨大な飛竜を前に彼らは尻尾をまいて退散した。
……などなど。
正直、呪われているとかしか思えない偶然が連続した。いつしか、ドビーは不幸を呼ぶ男としてハンター達の間で知られるところとなり、地元の街では誰も彼を仲間に加えることはなくなってしまったのである。
●もう不幸な男とは呼ばせない
「こ、今度こそは……」
ドビーはうつろな目で古都アークエルスにあるハンターオフィスの扉を開けた。受付嬢は彼の方を振り向き、ぎょっと顔を引きつらせた。彼女はカウンターから素早く抜け出てくる。
「だ、大丈夫ですか!? ひ、人を呼びましょうか!?」
「……いえ、結構です」
ひょっとして死相でも出ているのだろうかと、ドビーは自分の顔をなでる。いまだ心配顔の受付嬢の誤解を解く為にも、自分が何者であるのかを手短に話した。
ドビーの言葉を聞いた受付嬢は、自分の勘違いを恥じてごまかし笑いをしながら頬をかく。
「なんだ、ハンターさんだったんですか。いやあ、私はてっきり……」
てっきり、何に見えたのか聞きたくなったドビーだったが、落ち込みそうな答えが返ってきそうだったのでやめた。
ドビーは背筋を伸ばし、カウンターの向こうへと戻っていった受付嬢の前に立つ。
「ハンターとして、依頼を受けたいのですが」
「はいはい。大丈夫ですよ。ええっと、おそらく駆け出しの方ですよね?」
「……一応は」
本当は依頼を受けた回数がすでに二桁を超えている、などとはもちろん言えない。解決した数が0であることなど、なおのこと言えるわけがない。
受付嬢はふんふんと頷きながら卓上の資料をめくる。
「なるほど、ではこれなんかどうでしょう? 村がゴブリンの一団に占領されてしまって。ちょうど今、そこを取り返すメンバーを集めようと思っていたんです」
一瞬顔を輝かせるドビー。彼もハンターのはしくれ。ゴブリンくらいなら、仲間さえ集まればきっと勝てるはずである。
しかし、ドビーの脳裏に過去のことがよぎった。
――だが、待て! このパターンに何度煮え湯を飲まされたと思っている?
ドビーは承諾の返事をする前に、彼女に念を押した。
「……それ、本当にゴブリンしかいないんですよね!? ゴブリンの後ろに凄い歪虚がいるとかありませんよね!?」
「え、ええ……目撃情報があるのはゴブリンとホブゴブリンだけです。ゴブリンがよく使役するリトルラプターも見かけなかったそうですよ」
「そ、そうですか……!」
ドビーは体を震わせる。もちろんそれは歓喜によるものだ。この依頼を解決し、不幸を呼ぶ男などという不名誉なあだ名からおさらばするのだ!
「……その依頼、受けます! 受けさせてください!!」
今度こそはいける! そう確信したドビーは元気一杯に叫んだ。
●新たなる支配
その日の夜。
かつて人の活気であふれていたであろう一つの村。
今では、ゴブリン達によって占拠されている。
村の中央でかがり火を焚き、彼らは略奪した食物を飲み食いしていた。しかし、その表情は冴えない。
一体のゴブリンは隣に座る同族を肘でつつく。
「ナア……俺タチ、コレカラ、ドウナル?」
「……ワカラナイ。デモ、今ハアイツラニツイテ行クシカ……」
話しかけられたゴブリンは陰鬱な表情で答える。
「……ヤット逃ゲテキタノニ、ナンデコウナッタンダロウナ……」
「……」
ゴブリンは返す言葉を見つけることが出来ず、手の中の肉に噛み付く。そこに、突然高いところから声が降ってきた。
「おいおい。なァにをこそこそと話しているんだァ?」
「ヒイッ……!!」
その場にいたゴブリン達は、一斉に立ち上がり、気をつけをした。そして、声の主を恐る恐る見あげる。それは力自慢のホブゴブリンとて例外ではない。
身の丈が3、4メートルはあるだろうか。額には数本の角が生えており、焚き火に照らされるその顔は不気味に歪んだ笑みに彩られている。
巨大な人影はゴブリン達を見下ろし、大きな口を開いた。
「そうビクビクすんなよォ……オレ達は仲間だろォ? 北の大峡谷から逃げてきたお前らに、今もこうして美味いもん食わしてやってんだしなァ?」
「ハ、ハイッ!!」
「ククッ……今はせいぜい楽しんでおけよォ……近い内にまた働いてもらうからなァ……なんせ……」
巨人はすばやく腕を伸ばして目の前のゴブリンをつかみ、自分の口元に持っていくとその頭にかぶりついた。
「お前達がグズなせいで美味いニンゲンどもにありつけなかったんだからなァァァァァ!!」
「ウギャアアアアアアア!! タスケ……」
巨人は牙の生えたあぎとを再度ゴブリンに食い込ませる。頭蓋骨ごと貪られた亜人は悲鳴の途中で絶命した。
「アア……まずい、まずいぜェ……ゴブリンはよォ……!!」
ぺっ、と血と肉片を撒き散らし、巨人はゴブリンの死骸を投げ捨てた。ゴブリン達はただただ震え、その怒りが自分に降ってこないことを願うだけだ。
彼らに逆らう気力はない。実力差は出会った初日に見せつけられている。何体ものゴブリンとホブゴブリンを犠牲にして。
「ま、そういうことだァ……次こそはちゃんとやれよォ……?」
怒りと空腹が収まったのか、巨人はそれだけ口にするとゴブリン達に背を向けた。
ゴブリン達は力なく座り込む。巨人の数が一体だけならどうとでもなったかもしれない。しかし、あの巨人達は五体もいる。どう逆立ちしたって勝てるわけがない。逃げ出すという考えもないことはなかったが、もし連中に見つかったらどうなるか……想像するのも恐ろしい。
ゴブリン達の目に、追い詰められた者特有の危険な光が灯る。
生き残るにはあいつらの機嫌を損ねないようにするしかない。
次の村では、必ず人間達を捕まえるのだ。必ず。
ハンターであるドビーは不幸だった。
何が不幸かというと、彼は受けた依頼をまだ一度も解決したことがない。
なぜか、毎回予期せぬ出来事が彼とその時の仲間達を襲うのだ。
――初めての依頼。
ある村に荷物を届けるだけの簡単な依頼だった。だが、その村に行ける唯一の橋が洪水によって流され、期日までに辿りつくことができなかった。
近くに住む人々は、この地方にこんなに大雨が降ったことなんて今までになかったよ、と口々に言っていた……。
――二回目の依頼。
ある森の奥に蜂の群生地帯があり、その巣の蜂蜜を取ってきてほしいという簡単な依頼だった。ドビー達が現場に着いたとき、蜂の巣を全て叩き壊し、美味しそうに蜂蜜を舐める巨大な熊の雑魔がいた。彼らは逃げ帰った。
――三回目の依頼。
洞窟に住み着いたコボルドを討伐するだけの簡単な依頼だった。洞窟に行ってみると、なぜかコボルドはワイバーンを飼いならしていた。巨大な飛竜を前に彼らは尻尾をまいて退散した。
……などなど。
正直、呪われているとかしか思えない偶然が連続した。いつしか、ドビーは不幸を呼ぶ男としてハンター達の間で知られるところとなり、地元の街では誰も彼を仲間に加えることはなくなってしまったのである。
●もう不幸な男とは呼ばせない
「こ、今度こそは……」
ドビーはうつろな目で古都アークエルスにあるハンターオフィスの扉を開けた。受付嬢は彼の方を振り向き、ぎょっと顔を引きつらせた。彼女はカウンターから素早く抜け出てくる。
「だ、大丈夫ですか!? ひ、人を呼びましょうか!?」
「……いえ、結構です」
ひょっとして死相でも出ているのだろうかと、ドビーは自分の顔をなでる。いまだ心配顔の受付嬢の誤解を解く為にも、自分が何者であるのかを手短に話した。
ドビーの言葉を聞いた受付嬢は、自分の勘違いを恥じてごまかし笑いをしながら頬をかく。
「なんだ、ハンターさんだったんですか。いやあ、私はてっきり……」
てっきり、何に見えたのか聞きたくなったドビーだったが、落ち込みそうな答えが返ってきそうだったのでやめた。
ドビーは背筋を伸ばし、カウンターの向こうへと戻っていった受付嬢の前に立つ。
「ハンターとして、依頼を受けたいのですが」
「はいはい。大丈夫ですよ。ええっと、おそらく駆け出しの方ですよね?」
「……一応は」
本当は依頼を受けた回数がすでに二桁を超えている、などとはもちろん言えない。解決した数が0であることなど、なおのこと言えるわけがない。
受付嬢はふんふんと頷きながら卓上の資料をめくる。
「なるほど、ではこれなんかどうでしょう? 村がゴブリンの一団に占領されてしまって。ちょうど今、そこを取り返すメンバーを集めようと思っていたんです」
一瞬顔を輝かせるドビー。彼もハンターのはしくれ。ゴブリンくらいなら、仲間さえ集まればきっと勝てるはずである。
しかし、ドビーの脳裏に過去のことがよぎった。
――だが、待て! このパターンに何度煮え湯を飲まされたと思っている?
ドビーは承諾の返事をする前に、彼女に念を押した。
「……それ、本当にゴブリンしかいないんですよね!? ゴブリンの後ろに凄い歪虚がいるとかありませんよね!?」
「え、ええ……目撃情報があるのはゴブリンとホブゴブリンだけです。ゴブリンがよく使役するリトルラプターも見かけなかったそうですよ」
「そ、そうですか……!」
ドビーは体を震わせる。もちろんそれは歓喜によるものだ。この依頼を解決し、不幸を呼ぶ男などという不名誉なあだ名からおさらばするのだ!
「……その依頼、受けます! 受けさせてください!!」
今度こそはいける! そう確信したドビーは元気一杯に叫んだ。
●新たなる支配
その日の夜。
かつて人の活気であふれていたであろう一つの村。
今では、ゴブリン達によって占拠されている。
村の中央でかがり火を焚き、彼らは略奪した食物を飲み食いしていた。しかし、その表情は冴えない。
一体のゴブリンは隣に座る同族を肘でつつく。
「ナア……俺タチ、コレカラ、ドウナル?」
「……ワカラナイ。デモ、今ハアイツラニツイテ行クシカ……」
話しかけられたゴブリンは陰鬱な表情で答える。
「……ヤット逃ゲテキタノニ、ナンデコウナッタンダロウナ……」
「……」
ゴブリンは返す言葉を見つけることが出来ず、手の中の肉に噛み付く。そこに、突然高いところから声が降ってきた。
「おいおい。なァにをこそこそと話しているんだァ?」
「ヒイッ……!!」
その場にいたゴブリン達は、一斉に立ち上がり、気をつけをした。そして、声の主を恐る恐る見あげる。それは力自慢のホブゴブリンとて例外ではない。
身の丈が3、4メートルはあるだろうか。額には数本の角が生えており、焚き火に照らされるその顔は不気味に歪んだ笑みに彩られている。
巨大な人影はゴブリン達を見下ろし、大きな口を開いた。
「そうビクビクすんなよォ……オレ達は仲間だろォ? 北の大峡谷から逃げてきたお前らに、今もこうして美味いもん食わしてやってんだしなァ?」
「ハ、ハイッ!!」
「ククッ……今はせいぜい楽しんでおけよォ……近い内にまた働いてもらうからなァ……なんせ……」
巨人はすばやく腕を伸ばして目の前のゴブリンをつかみ、自分の口元に持っていくとその頭にかぶりついた。
「お前達がグズなせいで美味いニンゲンどもにありつけなかったんだからなァァァァァ!!」
「ウギャアアアアアアア!! タスケ……」
巨人は牙の生えたあぎとを再度ゴブリンに食い込ませる。頭蓋骨ごと貪られた亜人は悲鳴の途中で絶命した。
「アア……まずい、まずいぜェ……ゴブリンはよォ……!!」
ぺっ、と血と肉片を撒き散らし、巨人はゴブリンの死骸を投げ捨てた。ゴブリン達はただただ震え、その怒りが自分に降ってこないことを願うだけだ。
彼らに逆らう気力はない。実力差は出会った初日に見せつけられている。何体ものゴブリンとホブゴブリンを犠牲にして。
「ま、そういうことだァ……次こそはちゃんとやれよォ……?」
怒りと空腹が収まったのか、巨人はそれだけ口にするとゴブリン達に背を向けた。
ゴブリン達は力なく座り込む。巨人の数が一体だけならどうとでもなったかもしれない。しかし、あの巨人達は五体もいる。どう逆立ちしたって勝てるわけがない。逃げ出すという考えもないことはなかったが、もし連中に見つかったらどうなるか……想像するのも恐ろしい。
ゴブリン達の目に、追い詰められた者特有の危険な光が灯る。
生き残るにはあいつらの機嫌を損ねないようにするしかない。
次の村では、必ず人間達を捕まえるのだ。必ず。
解説
ゴブリン達に占拠された村を、彼らの手から取り戻してください。その際、ゴブリン以外の敵が登場すると思われますが、その敵も倒すべき相手となります。
・ゴブリン
・ホブゴブリン
いずれも粗末な装備に身を包んでいます。特に能力などがあるわけではありませんが、とある理由で死に物狂いで戦うため、普段以上の実力を発揮します。彼らは基本的に逃げません。
ゴブリン達の数は合わせて十五体ほどです。
・謎の巨人
五体います。
ゴブリンやホブゴブリンが恐れをなすほどの強さと残忍さを持っています。
人間を好物としており、人間を見かけたら捕えようとするでしょう。
・その他の補足事項
今回の依頼にはOPに登場したドビーがついて来ます。彼は1レベル相当のエンフォーサーです。
ドビーはゴブリンくらいとなら戦えますが、恐ろしげな謎の巨人に立ち向かう度胸はさすがにありません。
・ゴブリン
・ホブゴブリン
いずれも粗末な装備に身を包んでいます。特に能力などがあるわけではありませんが、とある理由で死に物狂いで戦うため、普段以上の実力を発揮します。彼らは基本的に逃げません。
ゴブリン達の数は合わせて十五体ほどです。
・謎の巨人
五体います。
ゴブリンやホブゴブリンが恐れをなすほどの強さと残忍さを持っています。
人間を好物としており、人間を見かけたら捕えようとするでしょう。
・その他の補足事項
今回の依頼にはOPに登場したドビーがついて来ます。彼は1レベル相当のエンフォーサーです。
ドビーはゴブリンくらいとなら戦えますが、恐ろしげな謎の巨人に立ち向かう度胸はさすがにありません。
マスターより
こんにちは、こんばんは。秋風落葉(しゅうふうらくよう)です。
今回の敵はちょっと手ごわいかもしれません。
少なくとも、ドビーが謎の巨人と戦うとドビーがあっさりと負けます。
力を合わせて村を魔物の手から取り返し、依頼の初解決というドビーの願いも一緒にかなえてあげてください。
今回の敵はちょっと手ごわいかもしれません。
少なくとも、ドビーが謎の巨人と戦うとドビーがあっさりと負けます。
力を合わせて村を魔物の手から取り返し、依頼の初解決というドビーの願いも一緒にかなえてあげてください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/15 06:28
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/06 05:04:50 |
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作戦相談卓 アリクス(ka4200) 人間(クリムゾンウェスト)|25才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/05/08 21:33:56 |