ゲスト
(ka0000)
春のスライム
マスター:御影堂

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/05/08 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/05/17 19:00
オープニング
●
「春ももう終わりが近いですね」
ほっこりとした陽気が漂う王国の街道を歩きながら、一人の少年がつぶやく。
春らしい風はにわかな熱を帯び、花々も陽気の中で輝くを増す。
散り際の輝きのようだと、少年は思う。
「ムームーくん。春には、もっと春らしいものがあるというぞい」
「え?」
ムームーと呼ばれた少年は、隣を歩く中年オヤジを見上げる。
無精髭を撫で付けながら、紙片をめくるこの男は、スライ=クライム。
東にスライムありと聞けばマッハで駆けつけ、西にスライムの予感がすればそこにいる。
さすらいのスライムハンター(自称)である。
ちなみに覚醒者かどうかは定かで無い。戦うことはせず、観察を仕事としていた。
「なにかわかるか?」
そういう男が問うのだから、答えの予測もできようものだ。
しかし、ムームーは外れててほしいという期待を込めて首を横に振った。
「不勉強だぞい。ずばり、スライムじゃ」
「ですよね」
「ん?」
「いえ、スライムですか、博士?」
ちなみに博士も、自称である。
「春の陽気に誘われて、スライムも活発化するのじゃ」
※自称博士による自説であり、根拠はありません。
というコメントを脳内で補完しつつ、ムームーは感心したように装う。
「その証拠に、ほれ」
「え?」
10分もしない間に、二回目の「え」を発した。
スライの指差す方を向けば、桜色のぷるぷるした物体が見えた。
思わず真顔になる。
この人の嗅覚は、ある意味で本物なのだろう。
「ふむ。風に誘われて、良い匂いがするな」
「いわれてみれば……花の香のような……」
いや、それはスライムからじゃないだろうとムームーは思い直す。
しかし、ここまで強い香りを放ちそうな花は見当たらない。
いい香りのするスライムなんて存在するのだろうか。
「現実にいるではないか?」
そうじゃろ、とスライがドヤ顔で告げる。
ムームーも見とめざるをえないが、歪虚がそのような香りを出す意味などあるのだろうか。
「ムームーくんは、食虫植物を知っておるかな?」
「ショクチュウ?」
「虫を食べる植物という意味じゃ」
そういった植物は、虫を寄せ付けるために特徴ある匂いを出すらしい。
総じて、臭い。
だが、よい香りによってくるものを狙うとすればどうだろう。
一般的に花が色鮮やかであったり、良い匂いを出すのは受粉をうながすために虫を誘うからだ。
なら、あのスライムはどうか。
「スライムを知らない人間が、良い香りのする物体を見たらどう思うかの」
「危ないので近寄らない?」
「逆じゃ。なんだろう、と興味を持ってある程度まで近づく」
そして、とスライは言葉を区切る。
紙片に場所と特徴を記録していく。
香りを放つ風もスライムが作り出しているのではないか。
そんな論理の飛躍すら、させていた。
「そして……なんでしょう?」
しびれを切らして、ムームーが尋ねる。
スライは、筆記具を仕舞うと結論を述べた。
「遠距離から殺すのじゃよ」
●
「香水の原料になるかも、と商人が思ったとしたら明日はないの」
藪から棒に、スライはそう切り出した。
あのスライムの危険性はそういうところにある、というのだ。
「もちろん……不可解な物体に、不用意に近づくバカはおらんじゃろう」
旅をしているのであれば、好奇心こそが死への一里塚だと誰もが知っている。
だが、もし、旅慣れないものが近づいてしまったとしたら。
もしくは、警戒の薄い村に近づいてきたとしたら違うことが起こるかもしれない。
「香りというのは、ときに人を狂わせる」
十分に注意してかからねば、香りにくらっとくるかもしれないのだ。
「それに、風じゃ」
香りを飛ばしてきた風は、スライムを見かけるまでとは違う方向から吹いていた。
まるで、そこにスライムがいることを気づかせようとしているかのように。
「杞憂だと思うがな」
くつくつと笑いながら、スライは報告をまとめる。
「くっく。春のスライムじゃから、ハルァイムと呼ぼうぞ」
歪虚を見かけ、その危険性を認識していながら、この男は嗤うのだ。
だが、排除すべきという良識はあるらしい。
この依頼は、まもなくしてハンターオフィスに届けられた。
●
「ムームーくん」
「何でしょう、スライ博士」
「この先の村では、春らしい花の塩漬けを用いたクッキーが食べられるそうじゃ」
「……」
「おごってあげるぞい」
くつくつと嗤うスライの横で、ムームーは子犬のように目を輝かせているのだった。
「春ももう終わりが近いですね」
ほっこりとした陽気が漂う王国の街道を歩きながら、一人の少年がつぶやく。
春らしい風はにわかな熱を帯び、花々も陽気の中で輝くを増す。
散り際の輝きのようだと、少年は思う。
「ムームーくん。春には、もっと春らしいものがあるというぞい」
「え?」
ムームーと呼ばれた少年は、隣を歩く中年オヤジを見上げる。
無精髭を撫で付けながら、紙片をめくるこの男は、スライ=クライム。
東にスライムありと聞けばマッハで駆けつけ、西にスライムの予感がすればそこにいる。
さすらいのスライムハンター(自称)である。
ちなみに覚醒者かどうかは定かで無い。戦うことはせず、観察を仕事としていた。
「なにかわかるか?」
そういう男が問うのだから、答えの予測もできようものだ。
しかし、ムームーは外れててほしいという期待を込めて首を横に振った。
「不勉強だぞい。ずばり、スライムじゃ」
「ですよね」
「ん?」
「いえ、スライムですか、博士?」
ちなみに博士も、自称である。
「春の陽気に誘われて、スライムも活発化するのじゃ」
※自称博士による自説であり、根拠はありません。
というコメントを脳内で補完しつつ、ムームーは感心したように装う。
「その証拠に、ほれ」
「え?」
10分もしない間に、二回目の「え」を発した。
スライの指差す方を向けば、桜色のぷるぷるした物体が見えた。
思わず真顔になる。
この人の嗅覚は、ある意味で本物なのだろう。
「ふむ。風に誘われて、良い匂いがするな」
「いわれてみれば……花の香のような……」
いや、それはスライムからじゃないだろうとムームーは思い直す。
しかし、ここまで強い香りを放ちそうな花は見当たらない。
いい香りのするスライムなんて存在するのだろうか。
「現実にいるではないか?」
そうじゃろ、とスライがドヤ顔で告げる。
ムームーも見とめざるをえないが、歪虚がそのような香りを出す意味などあるのだろうか。
「ムームーくんは、食虫植物を知っておるかな?」
「ショクチュウ?」
「虫を食べる植物という意味じゃ」
そういった植物は、虫を寄せ付けるために特徴ある匂いを出すらしい。
総じて、臭い。
だが、よい香りによってくるものを狙うとすればどうだろう。
一般的に花が色鮮やかであったり、良い匂いを出すのは受粉をうながすために虫を誘うからだ。
なら、あのスライムはどうか。
「スライムを知らない人間が、良い香りのする物体を見たらどう思うかの」
「危ないので近寄らない?」
「逆じゃ。なんだろう、と興味を持ってある程度まで近づく」
そして、とスライは言葉を区切る。
紙片に場所と特徴を記録していく。
香りを放つ風もスライムが作り出しているのではないか。
そんな論理の飛躍すら、させていた。
「そして……なんでしょう?」
しびれを切らして、ムームーが尋ねる。
スライは、筆記具を仕舞うと結論を述べた。
「遠距離から殺すのじゃよ」
●
「香水の原料になるかも、と商人が思ったとしたら明日はないの」
藪から棒に、スライはそう切り出した。
あのスライムの危険性はそういうところにある、というのだ。
「もちろん……不可解な物体に、不用意に近づくバカはおらんじゃろう」
旅をしているのであれば、好奇心こそが死への一里塚だと誰もが知っている。
だが、もし、旅慣れないものが近づいてしまったとしたら。
もしくは、警戒の薄い村に近づいてきたとしたら違うことが起こるかもしれない。
「香りというのは、ときに人を狂わせる」
十分に注意してかからねば、香りにくらっとくるかもしれないのだ。
「それに、風じゃ」
香りを飛ばしてきた風は、スライムを見かけるまでとは違う方向から吹いていた。
まるで、そこにスライムがいることを気づかせようとしているかのように。
「杞憂だと思うがな」
くつくつと笑いながら、スライは報告をまとめる。
「くっく。春のスライムじゃから、ハルァイムと呼ぼうぞ」
歪虚を見かけ、その危険性を認識していながら、この男は嗤うのだ。
だが、排除すべきという良識はあるらしい。
この依頼は、まもなくしてハンターオフィスに届けられた。
●
「ムームーくん」
「何でしょう、スライ博士」
「この先の村では、春らしい花の塩漬けを用いたクッキーが食べられるそうじゃ」
「……」
「おごってあげるぞい」
くつくつと嗤うスライの横で、ムームーは子犬のように目を輝かせているのだった。
解説
●目的
春のスライム「ハルァイム」を討伐する。
●ハルァイム
花を思わせる甘い香りを漂わせるスライム。
遠くからでは良い香りとしか思わないが、接近すると頭がくらっとすることがある。
風属性を持つと思われるため、風属性の遠距離攻撃等を持つ可能性がある。
その他は通常のスライムと変わらないというのが、スライの見立てである。
数については、3体以上。
●戦場
街道沿いの草原。
春らしい陽気が、次第に熱気を帯び始めている。
見晴らしはよい。
●花の塩漬けクッキー
戦場近くの村で焼かれている。
旅人から隠れた名物として知られる。
春のスライム「ハルァイム」を討伐する。
●ハルァイム
花を思わせる甘い香りを漂わせるスライム。
遠くからでは良い香りとしか思わないが、接近すると頭がくらっとすることがある。
風属性を持つと思われるため、風属性の遠距離攻撃等を持つ可能性がある。
その他は通常のスライムと変わらないというのが、スライの見立てである。
数については、3体以上。
●戦場
街道沿いの草原。
春らしい陽気が、次第に熱気を帯び始めている。
見晴らしはよい。
●花の塩漬けクッキー
戦場近くの村で焼かれている。
旅人から隠れた名物として知られる。
マスターより
こんにちは、御影堂です。
もうすぐ、どころか、夏日があるってどういうことなの。
雪になったり、桜色になったりするのは某歌姫だけではありません。
スライムだってマイナーチェンジするんです。
といっても、貴重種であるのに変わりはありませんが。
サクッと倒せるかどうかは、皆様次第。クッキーはさくさくです。
もうすぐ、どころか、夏日があるってどういうことなの。
雪になったり、桜色になったりするのは某歌姫だけではありません。
スライムだってマイナーチェンジするんです。
といっても、貴重種であるのに変わりはありませんが。
サクッと倒せるかどうかは、皆様次第。クッキーはさくさくです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/17 17:13
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/06 21:41:47 |
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スライム倒してクッキーさくさく 翡翠(ka2534) エルフ|14才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/05/07 20:13:57 |