• 無し

初めての冒険、にはまだ早い

マスター:君矢

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2015/05/10 07:30
リプレイ完成予定
2015/05/19 07:30

オープニング

 夕食の時、父親が精霊の話をしてくれた。
「とてもきれいな泉があって、そこには美しい精霊がいるそうだよ」
「精霊! 本当? 見てみたい!」
 好奇心の強い少年の心は、見たことのない泉へと想像の翼を飛ばしていたので、父親の「そういう噂を聞いてね」という部分はまったく耳に入っていなかった……。

 翌朝、母親が起き出してダイニングで見つけたのは「せいれいに会ってくる!」と紙からはみ出す勢いで書かれた書き置きだった。
 すぐには理解が追いつかない。
「せいれい、……精霊?」
 そういえば、昨夜、夫と息子の会話で精霊の事を話していなかったか。たしか、精霊が宿っている泉があるとかなんとか……。
 やけに、息子が興奮して会話をしていた気がする。
 そこまで思い出した母親は、急いで息子の部屋を確認した。
「……」
 ベッドには抜け出したらしい穴がそのままの形に残っていた。服を引っ張りだしたのかクローゼットの中身が散乱している。息子はどこにもいない。
「ど、どこに行ったのぉぉ!」
 母親は叫んだ。



 母親は、家を飛び出し息子が通っただろう道を走る。まだ要塞の中にいるかもしれないとあちこちを探した。途中、行きあった人に息子を見なかったかと尋ねる。
 行方が分からないまま、要塞の外まで来てしまった。目の前には、辺境の大地が広がっている。
「いない……」
 荒野を見ながら、どうしたらいいだろうと焦ってしまう。
「そ、そうだ。ハンターにお願いしよう」

 ハンターオフィスに駆け込んだ母親は、受付に息子がいないの! と訴えた。冒険に憧れる息子が黙って出て行ってしまったらしいと。
「私だって、危険だから絶対に反対! とか、家から出ちゃいけません! とか言うつもりはないの。冒険したい、ハンターになりたいっていうのは可愛い息子の夢だもの応援したいじゃない。でもね、なるべく危険がないように準備とか用意をしての話よ。そうすれば、心おきなく送り出せるのに!」
 母親の目は、赤く腫れていた。声も微かに震えている。
「なのに、なんであの子は思いつきで飛び出しちゃうの!?」
 と言う母親の手は受付カウンターの上で震えていた。受付係りは母親の勢いに押されているが、なんとか話を要約した。
「つまり、飛び出していった息子さんを連れ戻してほしい、という事ですね」
 母親は肯く。
「そう。たまたま、息子を見たって人がいて。北の街道を一人で歩いていったみたいで……」
「おい、ちょっといいか」
 隣の受付にいたハンターが話しかけてきた。
「北の街道っていや、ゴブリンが出たって話だぜ。やばいんじゃないか」
 母親が口を押さえ、悲鳴を上げる。
「大至急依頼を出します。大丈夫ですから」
 受付係りは、泣き崩れる母親を励ました。

※ ※ ※

 朝から街道を歩いていた少年は、寄りかかるのにちょうどよさそうな岩を見つけて、休憩することにした。腰を下ろし、リュックから水とクッキーを取り出す。クッキーはおやつにと母親が手作りしてくれた物だ。
 歩き疲れた足を地面に投げ出し、空を見上げる。なんだか歩いているだけでちっとも面白くなかった。
(せっかく冒険に出発したのに、ドラゴンも出てこないし、囚われのお姫様はいないし、宝物も見つからないなー)
 そんな事を考えながらクッキーを食べていると、どこからか声が聞こえてきた。
(ハンターだったら一緒に精霊を見に行こうって誘ってみよう)
 と、勝手な願望を考えながらそっと岩陰から顔を出し様子を伺う。
 街道の先、離れた場所の岩陰に小柄な人影が見えた。向こうも休憩するらしく、岩陰に座り込んでいる。目をこらして観察をしてみれば、人間ではない生き物だとわかった。
(あれって、もしかしなくてもゴブリンだよな!)
 少年は、目をキラキラさせて岩陰から前方の集団を見つめていた。
(やっと、冒険らしくなってきた!)
 と、テンションが上がる。自然と岩に添えられた手に力が込められる。
 ゴブリンの集団は、休憩中だろうか地面に座り込んでいた。一匹が立って見張りをしている。
(オレがあいつらやっつけちゃう? でも、グズグズしてたら精霊に会うの遅くなるし。オレ、一人だし……。あいつらどっか行かないかな。って、一人でやっつけたらカッコいいよな!)
 そんなことを考えながら、少年はゴブリンたちを見ている。

解説

少年を家族の下に連れ戻してください。
○少年が隠れている岩の前方で、ゴブリンたちが休憩中。今のところ、少年には気がついていません。
○少年は危険がなくなれば精霊に会いたいと前へ進もうとします。

●少年:ハインツ 10歳
・一般人。
・所持品:家にあった木刀、水、お菓子。
・珍しい物が大好きで、ハンターに憧れている。
・気になったら行ってみよう! やってみよう! というタイプ。
・今回の行動も、「精霊を見てみたい」という衝動からなので親にどんな思いをさせるかまでは考えが至っていません。

・ハインツは「精霊の泉」についてたいした情報を持っていませんし、精霊の泉の話自体も噂話にすぎません。
・ハインツは危険がなくなったと思えば、冒険を再開します。

●街道
・子供の足なので、それほど遠くまでは進んでいない。
・平坦で岩が所々に転がっている街道。

●ゴブリン
・8匹くらいの小集団。
・移動中で、座って休憩している。離れたところの岩影に隠れているハインツの事は今のところ気がついていない。
・見張りが一匹立っている。

・ゴブリンと戦闘になった場合、ハインツは「オレも手伝うよ!」と岩影から出てきます。

マスターより

ゴブリンを目の前にしても、ワクワクした冒険気分のせいで危機感はほとんどないハインツ少年です。
現実は甘くないと知るのもいい薬かもしれません。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2015/05/16 12:52

参加者一覧

  • 課せられた罰の先に
    クオン・サガラ(ka0018
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • ピットファイター
    李 香月(ka3948
    人間(蒼)|20才|女性|疾影士
  • 感謝のうた
    霧雨 悠月(ka4130
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 迷いの先の決意
    チマキマル(ka4372
    人間(紅)|35才|男性|魔術師
  • メテオクイーン
    キーリ(ka4642
    エルフ|13才|女性|魔術師
  • 双棍の士
    葉桐 舞矢(ka4741
    人間(紅)|20才|女性|闘狩人
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2015/05/06 22:50:27
アイコン 相談卓
李 香月(ka3948
人間(リアルブルー)|20才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2015/05/09 23:35:30