ゲスト
(ka0000)
カフェ・ルネッタ
マスター:冬野泉水

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/05/13 15:00
- リプレイ完成予定
- 2015/05/27 15:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
古き信仰の街、ルクス。
この街を、子どもたちが列をなして歩く。向かいから来た大きな男と標準サイズの男に、子どもたちはワッと声を上げて手を振った。
「あー。しきょうさまだー。しきょうさまー」
「おう、元気か?」
「うん! しきょうさまのね、おそばに、つかえるためにね、ぼく、がんばってるよ!」
「『勉学に励み、遊楽に興じよ。均衡を保ち、自らの器を育め』という一節があるしな。楽しみにしているぜ」
行き交う子供達とそんな言葉を交わしたジェラルド・ロックハートに、引率の女性が恭しく頭を下げた。
街の見回りを始めた司教は、自分が初めてだという。小さな街だからと自ら色々とこなすジルが、この街の人々にはとても珍しく、またエクラ教への敷居を更に下げて身近な存在に感じさせてくれるようだ。
「だからって、これ幸いと出歩かないでください。書類仕事も溜まっていますよ」
「オーライ、分かってるぜ」
これも仕事になる、と主張して一日出歩く師に呆れつつも、エミリオ・アルバートはジルに同行している。こうでもしないと、この男はすぐにどこかへ消えてしまうのだ。
「しかしなぁ……書類書類で、どうにも肩が凝るぜ。あー、どっかでまったりできねえかな」
「あんた、まったりしたくなるほど働いてないでしょうが。気持ちは分かりますが」
「お、珍しく意見が一致するな」
「別に珍しくありません。一致する時はしています」
つれなく言ったエミリオに苦笑しつつ、ジルは「そうだよな」と呟いた。
ルクスの街が以前働いていた場所よりもずっと田舎であることは承知で来ていたが、どうにもこの街はのんびりとしている感じがしてならない。おそらく住民の気質であろうが、彼らと触れ合っていると教会内で行う書類事務がどうにもこう、退屈で……。
(は。いけない、いけない。私までジェラルド様と同じになっては……!)
自分で自分の頬を叩くエミリオである。
前任の司教はよほどこの街が暇だったのか、わざわざ引継書に「暇なのでお気をつけて」と記載するほどだった。気をつけるも何も、サボり上等のこの司教には、全く意味がない。まあ、おかげでエミリオの負担――ジルの尻を蹴っ飛ばして仕事をさせること――は増えたわけだが。
そう思うとなんだかムカついてきたエミリオに向かって、ジルはのほほんと言い出したものだ。
「あ。エミリオ。俺、明日非番な」
「……いきなりどうしたんですか?」
「ちょっと今、良さそうな店を見つけた。行ってみたいから明日休みにする」
「街から出ないというなら構いませんが」
「出ない出ない」
なんてったって、この街が気に入ってるからな、とジルは付け加えて、弟子と背中を並べて歩いて行く。
●
「まぁ、それは『カフェ・ルネッタ』ですわ、司教様」
午後、書類を持ってきたシスター・マリアに見つけた店の話をすると、こんな言葉が返って来た。ぽん、と紙に判を押しつつ、ジルは口元を緩める。
「またこの街にしては洒落た名前だな」
「ええ。リアルブルーから来た方が開いたお店なんですの。お行きになられるのですか?」
「明日な。ちょっとまったりしてこようと思ってよ」
「あら、それでしたらカフェ・ルネッタは最適ですね。大通りからも離れていて静かですし、店主はとても美人ですわよ」
「俄然行く気になるぜ、それは」
「うふふ。とても面白い方ですわよ」
シスター・マリアは穏やかな笑みを浮かべた。この街出身の彼女に聞けば、ルクスの街のことは大抵分かってしまう。街に興味を持ってもらえているためか、彼女自身も聞かれるととても嬉しそうに返してくれるのだ。
おすすめはカプチーノというものですわよと話しているところに、執務室の扉が開いた。
「あの……シスター・カテリナです。よろしいでしょうか……?」
「どうぞ。ようこそ、シスター・カテリナ」
部屋に入ってきたシスターは、背の低く、金髪の映える色白の少女だった。今年十四になるシスターの見習いである。
「あの……司教様……。レティシア・ベネット様が、お見えです……」
「レティシア・ベネット?」
「まぁ、あら、司教様。彼女ですわよ。ほら、カフェ・ルネットの店主ですわ」
「今すぐ行く」
現金な司教は、そそくさと居住まいを正し、シスター達と一緒に部屋を出た。
●
なるほどシスター・マリアが美人というのが分かる。
教会を訪れたレティシア・ベネットは、ゆるやかな赤毛を少しまとめ、大きな緑色の瞳が印象的な女性だった。目の覚めるような絶世の美女というほどではないが、十分人目をひく外見だろう。
「ようこそ、レティシア・ベネット。責任者のジェラルド・ロックハートだ」
「よろしくお願い致します」
「……」
「……」
用件を待つのだが、レティシアがぽやっとしたまま口を開かない。
間に負けてジルが先に言った。
「あー……何か、お困りのことがあると聞いたんだが」
「あ……ごめんなさい。そうです。相談があって」
「……」
「……」
どうにもテンポが遅い。ルクスの街をぎゅっと凝縮したかのような女性だが、ここで根負けするようなジルではない。なにより、女性には徹底して優しい男だ。
レティシアが用件を言うまで、ここから更に十分。笑いを堪えるシスター・マリアの隣で、ジルは非常に根気良く、女店主の話を聴き続けた。
要するに、カフェの床が腐ってしまったので、張り替えたいという話だった。
こういった小さな相談事は、実はとても多い。ハンターズソサエティに言うまでも無いことは、この教会が全て請け負っている。
「大工に頼むとかじゃダメなのか?」
「知り合いの大工さんが、皆さん、出張で。お店を開ける必要もありますし」
「なるほどな」
競合を防ぐため、職人を擁する業界は街の中できっちりと縄張りを線引きしている。些細なことなら喜んで助けあうが、金銭が絡むことそれぞれの陣地に引っ込んでしまうのがこの街だ。シルベリアブルーの工房しかり、大工屋しかり。
それでも全く困らずに生活できているあたり、この街ののほほんさが見えるというものだ。異邦人たちにはなかなか分からない風習かもしれないが。
ほとほと困った、というようなレティシアは頬に手を当てて首を傾げていた。
「お礼はしますので……」
「いや、礼は構わないぜ。その代わり、明日、カフェを貸し切らせてくれりゃ良い」
「貸し切り……?」
「ああ。ちょっと連れて行きたい奴らがいるんでな」
「……」
「……」
「……構いません。喜んで、お迎えします」
こんなので客商売は大丈夫かと心配になるような間合いで言ったレティシアに、「面白い方」と表現したシスター・マリアの言葉がよく分かったジルであった。
古き信仰の街、ルクス。
この街を、子どもたちが列をなして歩く。向かいから来た大きな男と標準サイズの男に、子どもたちはワッと声を上げて手を振った。
「あー。しきょうさまだー。しきょうさまー」
「おう、元気か?」
「うん! しきょうさまのね、おそばに、つかえるためにね、ぼく、がんばってるよ!」
「『勉学に励み、遊楽に興じよ。均衡を保ち、自らの器を育め』という一節があるしな。楽しみにしているぜ」
行き交う子供達とそんな言葉を交わしたジェラルド・ロックハートに、引率の女性が恭しく頭を下げた。
街の見回りを始めた司教は、自分が初めてだという。小さな街だからと自ら色々とこなすジルが、この街の人々にはとても珍しく、またエクラ教への敷居を更に下げて身近な存在に感じさせてくれるようだ。
「だからって、これ幸いと出歩かないでください。書類仕事も溜まっていますよ」
「オーライ、分かってるぜ」
これも仕事になる、と主張して一日出歩く師に呆れつつも、エミリオ・アルバートはジルに同行している。こうでもしないと、この男はすぐにどこかへ消えてしまうのだ。
「しかしなぁ……書類書類で、どうにも肩が凝るぜ。あー、どっかでまったりできねえかな」
「あんた、まったりしたくなるほど働いてないでしょうが。気持ちは分かりますが」
「お、珍しく意見が一致するな」
「別に珍しくありません。一致する時はしています」
つれなく言ったエミリオに苦笑しつつ、ジルは「そうだよな」と呟いた。
ルクスの街が以前働いていた場所よりもずっと田舎であることは承知で来ていたが、どうにもこの街はのんびりとしている感じがしてならない。おそらく住民の気質であろうが、彼らと触れ合っていると教会内で行う書類事務がどうにもこう、退屈で……。
(は。いけない、いけない。私までジェラルド様と同じになっては……!)
自分で自分の頬を叩くエミリオである。
前任の司教はよほどこの街が暇だったのか、わざわざ引継書に「暇なのでお気をつけて」と記載するほどだった。気をつけるも何も、サボり上等のこの司教には、全く意味がない。まあ、おかげでエミリオの負担――ジルの尻を蹴っ飛ばして仕事をさせること――は増えたわけだが。
そう思うとなんだかムカついてきたエミリオに向かって、ジルはのほほんと言い出したものだ。
「あ。エミリオ。俺、明日非番な」
「……いきなりどうしたんですか?」
「ちょっと今、良さそうな店を見つけた。行ってみたいから明日休みにする」
「街から出ないというなら構いませんが」
「出ない出ない」
なんてったって、この街が気に入ってるからな、とジルは付け加えて、弟子と背中を並べて歩いて行く。
●
「まぁ、それは『カフェ・ルネッタ』ですわ、司教様」
午後、書類を持ってきたシスター・マリアに見つけた店の話をすると、こんな言葉が返って来た。ぽん、と紙に判を押しつつ、ジルは口元を緩める。
「またこの街にしては洒落た名前だな」
「ええ。リアルブルーから来た方が開いたお店なんですの。お行きになられるのですか?」
「明日な。ちょっとまったりしてこようと思ってよ」
「あら、それでしたらカフェ・ルネッタは最適ですね。大通りからも離れていて静かですし、店主はとても美人ですわよ」
「俄然行く気になるぜ、それは」
「うふふ。とても面白い方ですわよ」
シスター・マリアは穏やかな笑みを浮かべた。この街出身の彼女に聞けば、ルクスの街のことは大抵分かってしまう。街に興味を持ってもらえているためか、彼女自身も聞かれるととても嬉しそうに返してくれるのだ。
おすすめはカプチーノというものですわよと話しているところに、執務室の扉が開いた。
「あの……シスター・カテリナです。よろしいでしょうか……?」
「どうぞ。ようこそ、シスター・カテリナ」
部屋に入ってきたシスターは、背の低く、金髪の映える色白の少女だった。今年十四になるシスターの見習いである。
「あの……司教様……。レティシア・ベネット様が、お見えです……」
「レティシア・ベネット?」
「まぁ、あら、司教様。彼女ですわよ。ほら、カフェ・ルネットの店主ですわ」
「今すぐ行く」
現金な司教は、そそくさと居住まいを正し、シスター達と一緒に部屋を出た。
●
なるほどシスター・マリアが美人というのが分かる。
教会を訪れたレティシア・ベネットは、ゆるやかな赤毛を少しまとめ、大きな緑色の瞳が印象的な女性だった。目の覚めるような絶世の美女というほどではないが、十分人目をひく外見だろう。
「ようこそ、レティシア・ベネット。責任者のジェラルド・ロックハートだ」
「よろしくお願い致します」
「……」
「……」
用件を待つのだが、レティシアがぽやっとしたまま口を開かない。
間に負けてジルが先に言った。
「あー……何か、お困りのことがあると聞いたんだが」
「あ……ごめんなさい。そうです。相談があって」
「……」
「……」
どうにもテンポが遅い。ルクスの街をぎゅっと凝縮したかのような女性だが、ここで根負けするようなジルではない。なにより、女性には徹底して優しい男だ。
レティシアが用件を言うまで、ここから更に十分。笑いを堪えるシスター・マリアの隣で、ジルは非常に根気良く、女店主の話を聴き続けた。
要するに、カフェの床が腐ってしまったので、張り替えたいという話だった。
こういった小さな相談事は、実はとても多い。ハンターズソサエティに言うまでも無いことは、この教会が全て請け負っている。
「大工に頼むとかじゃダメなのか?」
「知り合いの大工さんが、皆さん、出張で。お店を開ける必要もありますし」
「なるほどな」
競合を防ぐため、職人を擁する業界は街の中できっちりと縄張りを線引きしている。些細なことなら喜んで助けあうが、金銭が絡むことそれぞれの陣地に引っ込んでしまうのがこの街だ。シルベリアブルーの工房しかり、大工屋しかり。
それでも全く困らずに生活できているあたり、この街ののほほんさが見えるというものだ。異邦人たちにはなかなか分からない風習かもしれないが。
ほとほと困った、というようなレティシアは頬に手を当てて首を傾げていた。
「お礼はしますので……」
「いや、礼は構わないぜ。その代わり、明日、カフェを貸し切らせてくれりゃ良い」
「貸し切り……?」
「ああ。ちょっと連れて行きたい奴らがいるんでな」
「……」
「……」
「……構いません。喜んで、お迎えします」
こんなので客商売は大丈夫かと心配になるような間合いで言ったレティシアに、「面白い方」と表現したシスター・マリアの言葉がよく分かったジルであった。
解説
ルクスの街にある『カフェ・ルネッタ』の床の修繕を行い、その後カフェでまったりしましょう。
●ルクスの街
☆基本情報
ピースホライズン近郊にある古き信仰の街。
街の中心部には小さな古い教会があり、ジルが責任者を務めています。
☆カフェ・ルネッタ
大通りを一本外れたところにある、小洒落たカフェ。
店主はレティシア・ベネット。
●一日の流れ
☆カフェの修繕
店の床を張り替え、清掃してください。
店の床は木製で、テラスは石畳です。
修繕に必要なものは、カフェから徒歩五分程度の大工屋に揃っています。
大工屋は不在ですが、事前にジルが借りられるよう手配しています。
なお、材料や工具の運搬もハンター達で行います。
☆カフェでまったり
まったりします。
飲食代は所持金からマイナスされます。
●その他
☆参加の動機
ハンター達がカフェにやってくる動機は自由です。ジルを介さなくても構いません。
なお、ジルはハンターズソサエティにも依頼を出しています。
☆行動時間
昼帯で夕暮れには現地解散です。
カフェの場所が分からない場合は、教会集合です。
☆カフェのメニュー
メニュー名はリアルブルー式ですが、クリムゾンウェストの食材で作っています。
なお、メニューにないものも一般的なものなら出してくれます。
オリジナルブレンド 700G |カプチーノ 600G
抹茶ラテ 700G |オレンジジュース 300G
お茶(各種あり) 300G |紅茶(各種あり) 500G
ミートソースパスタ 900G |レティシアのワッフル 800G
日替わりスイーツ 800G
●注意事項
原則、カフェから出られません。
カフェの厨房への立ち入り、酒類・お菓子類の持ち込みは禁止です。
ペットは大型のもの(馬とか)以外は同行自由です。プレイングで指定してください。
出発24時間前まで、ジルが質問を受け付けます。
●ルクスの街
☆基本情報
ピースホライズン近郊にある古き信仰の街。
街の中心部には小さな古い教会があり、ジルが責任者を務めています。
☆カフェ・ルネッタ
大通りを一本外れたところにある、小洒落たカフェ。
店主はレティシア・ベネット。
●一日の流れ
☆カフェの修繕
店の床を張り替え、清掃してください。
店の床は木製で、テラスは石畳です。
修繕に必要なものは、カフェから徒歩五分程度の大工屋に揃っています。
大工屋は不在ですが、事前にジルが借りられるよう手配しています。
なお、材料や工具の運搬もハンター達で行います。
☆カフェでまったり
まったりします。
飲食代は所持金からマイナスされます。
●その他
☆参加の動機
ハンター達がカフェにやってくる動機は自由です。ジルを介さなくても構いません。
なお、ジルはハンターズソサエティにも依頼を出しています。
☆行動時間
昼帯で夕暮れには現地解散です。
カフェの場所が分からない場合は、教会集合です。
☆カフェのメニュー
メニュー名はリアルブルー式ですが、クリムゾンウェストの食材で作っています。
なお、メニューにないものも一般的なものなら出してくれます。
オリジナルブレンド 700G |カプチーノ 600G
抹茶ラテ 700G |オレンジジュース 300G
お茶(各種あり) 300G |紅茶(各種あり) 500G
ミートソースパスタ 900G |レティシアのワッフル 800G
日替わりスイーツ 800G
●注意事項
原則、カフェから出られません。
カフェの厨房への立ち入り、酒類・お菓子類の持ち込みは禁止です。
ペットは大型のもの(馬とか)以外は同行自由です。プレイングで指定してください。
出発24時間前まで、ジルが質問を受け付けます。
マスターより
お世話になっております。冬野です。
今回はルクスの街のカフェでまったりするシナリオです。
歴戦の皆様はお分かりかと思いますが、メインは修繕ではなく“まったり”です。
まったりしましょう。
まったり。
今回はルクスの街のカフェでまったりするシナリオです。
歴戦の皆様はお分かりかと思いますが、メインは修繕ではなく“まったり”です。
まったりしましょう。
まったり。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/18 19:37
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓的な キサ・I・アイオライト(ka4355) エルフ|17才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2015/05/13 01:27:13 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/09 02:36:37 |
|
![]() |
ジル司教さんに質問! 鳴沢 礼(ka4771) 人間(リアルブルー)|15才|男性|舞刀士(ソードダンサー) |
最終発言 2015/05/10 22:28:49 |