ゲスト
(ka0000)
魔剣
マスター:湖欄黒江

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/05/15 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/05/24 12:00
オープニング
●
「そのぅ、大変申し上げにくいことなのですが……」
劇団長は、まるで拷問椅子のような物々しい金属製の椅子に座らされたまま、
帝国きっての大資本家、ルートヴィヒ・フォン・ペンテジレイオスの視線に耐えていた。
相手は大事なパトロン、それも団員10名そこそこの小劇団『魔剣』には見合わない、大物の出資者だ。
他所の劇場へ貸し出した自作の演出装置が彼の目に留まったということで、
今回、ルートヴィヒが所有する大劇場への出演が決まったのだが、
「……脚本家が、いなくなりまして」
「ほほぅ」
冷汗をかく団長。対するルートヴィヒの表情は全く読めない。
怒っているのか? 面白がっているのか? それとも、何も考えていないのか?
ルートヴィヒは形の良い口髭を生やした、禿頭の美男だ。
右目を覆う片眼鏡は、贅を凝らしたサロンの照明を受けて白々と光り輝く。
さぞ眩しかろうに、ルートヴィヒは面談が始まってからろくに瞬きもしない。
灰色をした、変わった格好の背広を着ている。
「これかね? リアルブルー製だ。リゼリオの、あの船で作られたものだよ」
「えっ」
気づかぬ内に、相手の服装をじろじろと眺めてしまっていたらしい。団長はこくこくと頷いて、
「え、ええ、素敵なお召し物でいらっしゃいますね」
「で、セレベラ氏に何があったのかね」
話題が戻った。団長は椅子の肘掛を無意識にまさぐりながら、絞り出すように答える。
「彼にはたちの悪い酒癖と賭博癖がありまして、密かに多額の負債を抱え、きつい取り立てを受けていたそうです。
そうと知っていたら彼には頼まなかったろうに……私の不徳の致すところです」
「ふぅん」
気まずい沈黙が流れた。団長は自分の膝を見つめたまま、何とか相応しい言葉を探そうと考えを凝らす。
下手な受け答えをしてパトロンの機嫌を損ねたら、この話はお流れだ。
千載一遇のチャンスが泡と消える前に、何とか――
かちっ、という音がして、気づくと団長の指が、肘掛に仕込まれた小さなボタンを押していた。
何だろうと考える間もなく、焦った団長は声を上げる。
「しかし! 予定には必ず間に合わせせせせせせっ」
●
「知り合いの発明家が持ってきた、機導式マッサージチェアだそうだ。
背中のツボを、数十か所同時に刺激してくれる優れものという触れ込みでね」
「そそそそそそうですか、ここここれは大変、けけ結構な、しししかしどどうやって止め」
団長は激しく振動する椅子の上で、ぶるぶると震えながら、
「ととと止めて頂けますかかかか」
「うん」
ルートヴィヒが立ち上がって団長の椅子の横に回り、停止スイッチを探す。
「えーと、どれだったか……」
適当なボタンを押すと、振動が余計にひどくなった。
太り気味の団長の尻が、揺さぶられる内にどんどん椅子の中へ沈み込んでいく。
「っと、これだ」
椅子の後ろにつけられた緊急停止ボタンを押す。
ようやく椅子が止まると、茫然とした顔の団長をルートヴィヒが覗き込み、
「で、どうするの」
「あっハイ、頑張ります」
「そうじゃなくて」
失踪した脚本家は、劇団の次回演目の脚本を任されていた。
開演まであと半年程度という短期間。兎に角早くて上手い作家を、
団長がパトロンの金と虎の威を借りて探し出したのだが、それが逃げ出してしまったとなると、
「このままでは間に合わんねぇ。急なスケジュールを組ませた私も悪いのだが」
「いえいえ、滅相もない! 全て私の責任でございまして……」
「じゃ、舞台のキャンセル料は自腹でよろしく」
団長が息を呑む。それから、悲鳴に似た声で、
「お、お支払いができるかどうかっ!」
「冗談だ。私としても、できることはやってみよう。
しかし、今から実力のある、仕事の早い脚本家を探すとなると、私でも難しいだろうな」
演劇界にも顔の広いルートヴィヒだが、同時に社交界きっての変人でもある彼にとって、
ただ金に飽かせて間に合わせの作家を雇うことはプライドが許さないらしい。
「その点、セレベラ氏は面白いものを書く男と聞いていたが。残念だよ。
脚本の下書きくらいは、見つからなかったのね」
脚本家の残していったノートからは、『主人公:はんたぁ ヒロイン:かわいい』というたった1行、
酔っ払って書いたようなひどい字でメモされているのが見つかっただけだった。
「こちらとしましても氏を信用して、
私どもの舞台装置が生かせるような派手な見せ場が作れるよう、
ハンターを主人公とした冒険譚とだけ注文しておりまして……」
「ハンターか」
自分の椅子――マッサージチェアではない、普通の安楽椅子――に戻ったルートヴィヒは、
再び照明に眼鏡を光らせながら、宙を見上げて何やら思案する。
●
「君が、明日から女装をして街を歩かねばならないとしたら」
「へっ?」
「ものの例えだよ。君が着る服、君の化粧、どうやって選ぶべきか、誰に尋ねる?」
「それは……やはり、本物の女にでしょう」
ルートヴィヒはほとんど姿勢を変えないまま、安楽椅子を後ろへ目いっぱい傾かせて天井を仰ぐ。
「劇も同じだ。ハンターを演じるならば、ハンターにものを尋ねるべきだろう。
腕の良い、現役のハンターを集めて原作を作ってもらう。どうかな?」
団長は腕を組んで考え込む。無名の弱小劇団の長とは言え、演劇には真剣なのだ。
いくらハンターの実情に詳しくとも、素人に任せるのは如何なものか。
「君たちは新しい演劇の形を模索しているのだろう?
何ごとも実験だよ。君もプロなら、演出家としての技量を以て彼らのアイデアを生かせる筈だ」
劇団『魔剣』の最大の売りは団長自ら考案した魔導機械で、
火や水、稲妻を舞台上に実際に作り出す特殊効果にあった。
しかし、1度に複数の装置を動かすには大がかりな作業が必要で、予算もかかる。
その為に、貧乏発明家上がりの団長はこれまでチャンスに恵まれてこなかった。
「確かに……話題作りにも良いでしょうね。
現役ハンターが原作の脚本で、ハンターを主人公とした芝居をやる……」
「脚本の形にまとめるのは私がやろう。良いね? それでは」
善は急げとばかりに、ルートヴィヒが手近に置かれていた魔導伝話の受話器を取り上げる。
「私だ。依頼がしたいのだがね、そう、6人ばかり。なるべく早くに。うん」
あっさりと依頼を済ませ、ルートヴィヒが椅子から立つ。
一緒に立ち上がろうとする団長だったが、臀部ががっちりとマッサージチェアに嵌っている。
力ずくで抜け出そうと肘掛をぐっと掴めば、再びマッサージ機のスイッチが入ってしまった。
中腰のままがくがくと揺れる団長を前に、
「そいつを劇場の座席に採用するのはどうだろう? 演出に併せて椅子が揺れるんだ。迫力が出るよ。
寝てる客や気に食わない評論家にだけ、不意打ちでスイッチを入れるのも楽しそうだ」
ルートヴィヒは、真顔でそう言った。
「そのぅ、大変申し上げにくいことなのですが……」
劇団長は、まるで拷問椅子のような物々しい金属製の椅子に座らされたまま、
帝国きっての大資本家、ルートヴィヒ・フォン・ペンテジレイオスの視線に耐えていた。
相手は大事なパトロン、それも団員10名そこそこの小劇団『魔剣』には見合わない、大物の出資者だ。
他所の劇場へ貸し出した自作の演出装置が彼の目に留まったということで、
今回、ルートヴィヒが所有する大劇場への出演が決まったのだが、
「……脚本家が、いなくなりまして」
「ほほぅ」
冷汗をかく団長。対するルートヴィヒの表情は全く読めない。
怒っているのか? 面白がっているのか? それとも、何も考えていないのか?
ルートヴィヒは形の良い口髭を生やした、禿頭の美男だ。
右目を覆う片眼鏡は、贅を凝らしたサロンの照明を受けて白々と光り輝く。
さぞ眩しかろうに、ルートヴィヒは面談が始まってからろくに瞬きもしない。
灰色をした、変わった格好の背広を着ている。
「これかね? リアルブルー製だ。リゼリオの、あの船で作られたものだよ」
「えっ」
気づかぬ内に、相手の服装をじろじろと眺めてしまっていたらしい。団長はこくこくと頷いて、
「え、ええ、素敵なお召し物でいらっしゃいますね」
「で、セレベラ氏に何があったのかね」
話題が戻った。団長は椅子の肘掛を無意識にまさぐりながら、絞り出すように答える。
「彼にはたちの悪い酒癖と賭博癖がありまして、密かに多額の負債を抱え、きつい取り立てを受けていたそうです。
そうと知っていたら彼には頼まなかったろうに……私の不徳の致すところです」
「ふぅん」
気まずい沈黙が流れた。団長は自分の膝を見つめたまま、何とか相応しい言葉を探そうと考えを凝らす。
下手な受け答えをしてパトロンの機嫌を損ねたら、この話はお流れだ。
千載一遇のチャンスが泡と消える前に、何とか――
かちっ、という音がして、気づくと団長の指が、肘掛に仕込まれた小さなボタンを押していた。
何だろうと考える間もなく、焦った団長は声を上げる。
「しかし! 予定には必ず間に合わせせせせせせっ」
●
「知り合いの発明家が持ってきた、機導式マッサージチェアだそうだ。
背中のツボを、数十か所同時に刺激してくれる優れものという触れ込みでね」
「そそそそそそうですか、ここここれは大変、けけ結構な、しししかしどどうやって止め」
団長は激しく振動する椅子の上で、ぶるぶると震えながら、
「ととと止めて頂けますかかかか」
「うん」
ルートヴィヒが立ち上がって団長の椅子の横に回り、停止スイッチを探す。
「えーと、どれだったか……」
適当なボタンを押すと、振動が余計にひどくなった。
太り気味の団長の尻が、揺さぶられる内にどんどん椅子の中へ沈み込んでいく。
「っと、これだ」
椅子の後ろにつけられた緊急停止ボタンを押す。
ようやく椅子が止まると、茫然とした顔の団長をルートヴィヒが覗き込み、
「で、どうするの」
「あっハイ、頑張ります」
「そうじゃなくて」
失踪した脚本家は、劇団の次回演目の脚本を任されていた。
開演まであと半年程度という短期間。兎に角早くて上手い作家を、
団長がパトロンの金と虎の威を借りて探し出したのだが、それが逃げ出してしまったとなると、
「このままでは間に合わんねぇ。急なスケジュールを組ませた私も悪いのだが」
「いえいえ、滅相もない! 全て私の責任でございまして……」
「じゃ、舞台のキャンセル料は自腹でよろしく」
団長が息を呑む。それから、悲鳴に似た声で、
「お、お支払いができるかどうかっ!」
「冗談だ。私としても、できることはやってみよう。
しかし、今から実力のある、仕事の早い脚本家を探すとなると、私でも難しいだろうな」
演劇界にも顔の広いルートヴィヒだが、同時に社交界きっての変人でもある彼にとって、
ただ金に飽かせて間に合わせの作家を雇うことはプライドが許さないらしい。
「その点、セレベラ氏は面白いものを書く男と聞いていたが。残念だよ。
脚本の下書きくらいは、見つからなかったのね」
脚本家の残していったノートからは、『主人公:はんたぁ ヒロイン:かわいい』というたった1行、
酔っ払って書いたようなひどい字でメモされているのが見つかっただけだった。
「こちらとしましても氏を信用して、
私どもの舞台装置が生かせるような派手な見せ場が作れるよう、
ハンターを主人公とした冒険譚とだけ注文しておりまして……」
「ハンターか」
自分の椅子――マッサージチェアではない、普通の安楽椅子――に戻ったルートヴィヒは、
再び照明に眼鏡を光らせながら、宙を見上げて何やら思案する。
●
「君が、明日から女装をして街を歩かねばならないとしたら」
「へっ?」
「ものの例えだよ。君が着る服、君の化粧、どうやって選ぶべきか、誰に尋ねる?」
「それは……やはり、本物の女にでしょう」
ルートヴィヒはほとんど姿勢を変えないまま、安楽椅子を後ろへ目いっぱい傾かせて天井を仰ぐ。
「劇も同じだ。ハンターを演じるならば、ハンターにものを尋ねるべきだろう。
腕の良い、現役のハンターを集めて原作を作ってもらう。どうかな?」
団長は腕を組んで考え込む。無名の弱小劇団の長とは言え、演劇には真剣なのだ。
いくらハンターの実情に詳しくとも、素人に任せるのは如何なものか。
「君たちは新しい演劇の形を模索しているのだろう?
何ごとも実験だよ。君もプロなら、演出家としての技量を以て彼らのアイデアを生かせる筈だ」
劇団『魔剣』の最大の売りは団長自ら考案した魔導機械で、
火や水、稲妻を舞台上に実際に作り出す特殊効果にあった。
しかし、1度に複数の装置を動かすには大がかりな作業が必要で、予算もかかる。
その為に、貧乏発明家上がりの団長はこれまでチャンスに恵まれてこなかった。
「確かに……話題作りにも良いでしょうね。
現役ハンターが原作の脚本で、ハンターを主人公とした芝居をやる……」
「脚本の形にまとめるのは私がやろう。良いね? それでは」
善は急げとばかりに、ルートヴィヒが手近に置かれていた魔導伝話の受話器を取り上げる。
「私だ。依頼がしたいのだがね、そう、6人ばかり。なるべく早くに。うん」
あっさりと依頼を済ませ、ルートヴィヒが椅子から立つ。
一緒に立ち上がろうとする団長だったが、臀部ががっちりとマッサージチェアに嵌っている。
力ずくで抜け出そうと肘掛をぐっと掴めば、再びマッサージ機のスイッチが入ってしまった。
中腰のままがくがくと揺れる団長を前に、
「そいつを劇場の座席に採用するのはどうだろう? 演出に併せて椅子が揺れるんだ。迫力が出るよ。
寝てる客や気に食わない評論家にだけ、不意打ちでスイッチを入れるのも楽しそうだ」
ルートヴィヒは、真顔でそう言った。
解説
今回の依頼の目的は、資本家・ルートヴィヒがパトロンの小劇団『魔剣』の、
次回演目の脚本原作を作成することです。
依頼に際して劇団側からは、
「ハンターを主人公にした冒険譚であること」
「最新式の舞台装置を生かせるような、派手な場面があること」
「何かひとつ、登場人物か物語に個性的な要素があること」
の3つを満たすことが求められています。
以下のテンプレートに従い、登場人物のプロフィールと物語のあらすじを作成して下さい。
ひとりが全項目を埋める必要はありませんが、全員の提案を合わせて空欄の出ないよう気をつけて下さい。
かぶった場合はランダムで選択。各提案を組み合わせ、脚本の下地となる物語を作ります。
また、それ以外に衣装、舞台装置、演出、台詞等のアイデアも随時受けつけています。
1.主人公
2.ヒロイン
3.協力者
4.悪役
5.その他脇役1
6.その他脇役2
7.冒険のきっかけ
8.主人公を襲う第1の試練
9.第2の試練
10.第3の試練
11.最後の対決
12.結末
次回演目の脚本原作を作成することです。
依頼に際して劇団側からは、
「ハンターを主人公にした冒険譚であること」
「最新式の舞台装置を生かせるような、派手な場面があること」
「何かひとつ、登場人物か物語に個性的な要素があること」
の3つを満たすことが求められています。
以下のテンプレートに従い、登場人物のプロフィールと物語のあらすじを作成して下さい。
ひとりが全項目を埋める必要はありませんが、全員の提案を合わせて空欄の出ないよう気をつけて下さい。
かぶった場合はランダムで選択。各提案を組み合わせ、脚本の下地となる物語を作ります。
また、それ以外に衣装、舞台装置、演出、台詞等のアイデアも随時受けつけています。
1.主人公
2.ヒロイン
3.協力者
4.悪役
5.その他脇役1
6.その他脇役2
7.冒険のきっかけ
8.主人公を襲う第1の試練
9.第2の試練
10.第3の試練
11.最後の対決
12.結末
マスターより
皆さんで知恵を出しあい、演劇の脚本原作を作って頂きたいと思います。
主人公がハンターであること以外、内容はろくに決まっていないので、
真っ当な冒険物語にするも良し、ギャグに走るも良し、ロマン良し、ホラー良し、
依頼主は変人なので、多少ぶっとんだお話でも受け入れてくれるでしょう。
あまり公序良俗に反する要素があると、
帝国政府からうっかり発禁を食らってしまうかも知れませんが……。
主人公がハンターであること以外、内容はろくに決まっていないので、
真っ当な冒険物語にするも良し、ギャグに走るも良し、ロマン良し、ホラー良し、
依頼主は変人なので、多少ぶっとんだお話でも受け入れてくれるでしょう。
あまり公序良俗に反する要素があると、
帝国政府からうっかり発禁を食らってしまうかも知れませんが……。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/22 04:48
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 九龍(ka4700) ドワーフ|21才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/05/15 02:04:15 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/12 13:26:50 |