ゲスト
(ka0000)
夢幻に見ゆる、魂の錬成
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/05/14 22:00
- リプレイ完成予定
- 2015/05/23 22:00
オープニング
「そうですよね、まだ……夢は終わりません」
路地の向こうから若い女の声が聞こえた。
錬金術師レイオニールの研究所が錬成失敗によって爆発してしばらく。借金取りたちの仕事は亡失した金目の物の回収であった。風と共に散らばった文献だのレポートなどをかき集めていた彼の耳に留まったのはその声であり、目に留まったのはルビーの輝きであった。
「おい、それはレイオニールの研究所にあったルビーじゃねえのか?」
書類を懐に押し込んだ借金取りの男が声をかけると、少女はこちらを向いた。プラチナブロンドの綺麗な髪。吸い込まれるような蒼い瞳。白磁のような肌に思わず借金取りの胸が飛び跳ねた。そして胸に抱いたルビーの塊には痩せこけた人の顔が象られていた。
宝石のような少女。宝石でできた仮面。闇夜に輝くそれはどこか幽玄で、底知れない恐怖もはらんでいた。
「そ、そのルビーを渡して……くれないか。うちの雇主のものなんだ」
少女はルビーの仮面を抱きしめて、静かに首を振った。
「貴方に夢はない。レイオニール様は体を失っても夢は残っているんです」
男は少しだけ自分の雇われ生活を恥じ入った。彼女の瞳は夢を失い自堕落な自分を拒否しているかのようだった。
心がキリリと痛んで、男は迷う。
「そ、そうか。いや、でもな? レイオニールの夢はうちの雇主のものでもあるんだ。仕事は決着をつけないとダメだろ? もしかしたら雇主が夢の続きを何か考えてくれるかも、しれねぇ」
どうして無理やりに引っぺがさないのか、男は自分でも良くわからなかった。
だが、彼女にうかつに触れと壊れてしまいそうで怖かった。世界が。自分の心が。
「……レイオニール様の夢を、叶えてくれるのですか?」
「あ、ああ。俺も手伝うからさ」
●
「そうか、ブリュンヒルデ殿。良く分かった。いやぁ、私も惜しいことをしたものだ。こんな価値のあるものを作れるのならば言ってくれればいいのに」
恰幅の良い男、借金取りの雇主であり、レイオニールのパトロンでもあった男はルビーの仮面をしげしげと眺めてそう言った。
「遺影がこうして残るのも、彼の意志がこもっていると思わずにはいられないな」
ルビーの大結晶を作り上げるとレイオニールは言っていた。
レイオニールはそれを途中で失敗し、研究所ごと爆発し吹き飛んだ。
だが、極大の熱はルビーを確実に溶かしていた。そしてルビーの液体は爆風によってレイオニールの顔にはじけ飛び、そこで結晶化した。少女ブリュンヒルデが抱えていたのはレイオニールのデスマスクであった。
「しかして、我々はレイオニールの遺志をどうやって聞き出せばよいのかな?」
「その中に意志は宿っています。耳を当てれば聞こえます」
ブリュンヒルデの言葉にふむ、と主人は頷き、彼女を連れてきた男を呼びつけた。
「お前、やってみろ」
「はぁ……」
借金取りの男がデスマスクを顔に当てたくないのは態度を見ればよくわかる。逡巡していたがブリュンヒルデの瞳と目が合うと「手伝うよ」と言った自分の言葉を思い出したようで、意を決したように顔に押し当てた。
「…… ……ぉ ぉ」
男の体が震えた。大きく震え、そしてしばらく痙攣したように何度も何度も。その中で声が漏れてきた。
男が喋っているはずなのに、今まで聞いたこともない。濁った声が漏れ出てくる。人の言葉のようには聞こえなかったが、男は懐にしまっていた書類の束を取り出して、まるで懇願するようにそれを突き出す。
「おお、おお……」
「マテリアルの熱と風で精錬したルビーの結晶には、強力なマテリアルを内包できるそうです。生命に匹敵するマテリアルの結晶が……」
ブリュンヒルデにはその言葉は通じたようで、その意図を話した。それを追認するように男の差し出していた書類には、確かにマテリアルを閉じ込めることにより、大きな力を内包した結晶を作り出せるかもしれないというレイオニールの実験記録とグラフが描かれていた。
今、レイオニールが肉体を失っても存在するのは、ルビーに宿った命の炎がレイオニールの魂と結合した奇跡によるものだとという。
魂をもつなぎとめる、幻の錬成。
それは錬金術師が目指す至高の一端、不死の追及における終端の一つにほぼ近いものだ。
レイオニールは限りなく近いところまでそこに手をかけていたのだとパトロンもようやく気付かされた。
錬魔院の研究者をも凌駕する天賦の才を持ち合わせていることにも。
「どうか夢を終わらせないでください。レイオニール様ならば必ずできます」
ブリュンヒルデの言葉に主人は色めきだって立ち上がった。信じられないような夢物語だが、目の前にある存在こそが何よりの証明だった。伝説が間近にできると知った主人が胸躍らせるのも無理はなかった。
「近くの錬金術師を雇おう。場所も用意しよう。レイオニールよ! やってくれるか!!」
「ぉぉぉ ぉぉ ぉ」
レイオニールはこくりと頷いた。
路地の向こうから若い女の声が聞こえた。
錬金術師レイオニールの研究所が錬成失敗によって爆発してしばらく。借金取りたちの仕事は亡失した金目の物の回収であった。風と共に散らばった文献だのレポートなどをかき集めていた彼の耳に留まったのはその声であり、目に留まったのはルビーの輝きであった。
「おい、それはレイオニールの研究所にあったルビーじゃねえのか?」
書類を懐に押し込んだ借金取りの男が声をかけると、少女はこちらを向いた。プラチナブロンドの綺麗な髪。吸い込まれるような蒼い瞳。白磁のような肌に思わず借金取りの胸が飛び跳ねた。そして胸に抱いたルビーの塊には痩せこけた人の顔が象られていた。
宝石のような少女。宝石でできた仮面。闇夜に輝くそれはどこか幽玄で、底知れない恐怖もはらんでいた。
「そ、そのルビーを渡して……くれないか。うちの雇主のものなんだ」
少女はルビーの仮面を抱きしめて、静かに首を振った。
「貴方に夢はない。レイオニール様は体を失っても夢は残っているんです」
男は少しだけ自分の雇われ生活を恥じ入った。彼女の瞳は夢を失い自堕落な自分を拒否しているかのようだった。
心がキリリと痛んで、男は迷う。
「そ、そうか。いや、でもな? レイオニールの夢はうちの雇主のものでもあるんだ。仕事は決着をつけないとダメだろ? もしかしたら雇主が夢の続きを何か考えてくれるかも、しれねぇ」
どうして無理やりに引っぺがさないのか、男は自分でも良くわからなかった。
だが、彼女にうかつに触れと壊れてしまいそうで怖かった。世界が。自分の心が。
「……レイオニール様の夢を、叶えてくれるのですか?」
「あ、ああ。俺も手伝うからさ」
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「そうか、ブリュンヒルデ殿。良く分かった。いやぁ、私も惜しいことをしたものだ。こんな価値のあるものを作れるのならば言ってくれればいいのに」
恰幅の良い男、借金取りの雇主であり、レイオニールのパトロンでもあった男はルビーの仮面をしげしげと眺めてそう言った。
「遺影がこうして残るのも、彼の意志がこもっていると思わずにはいられないな」
ルビーの大結晶を作り上げるとレイオニールは言っていた。
レイオニールはそれを途中で失敗し、研究所ごと爆発し吹き飛んだ。
だが、極大の熱はルビーを確実に溶かしていた。そしてルビーの液体は爆風によってレイオニールの顔にはじけ飛び、そこで結晶化した。少女ブリュンヒルデが抱えていたのはレイオニールのデスマスクであった。
「しかして、我々はレイオニールの遺志をどうやって聞き出せばよいのかな?」
「その中に意志は宿っています。耳を当てれば聞こえます」
ブリュンヒルデの言葉にふむ、と主人は頷き、彼女を連れてきた男を呼びつけた。
「お前、やってみろ」
「はぁ……」
借金取りの男がデスマスクを顔に当てたくないのは態度を見ればよくわかる。逡巡していたがブリュンヒルデの瞳と目が合うと「手伝うよ」と言った自分の言葉を思い出したようで、意を決したように顔に押し当てた。
「…… ……ぉ ぉ」
男の体が震えた。大きく震え、そしてしばらく痙攣したように何度も何度も。その中で声が漏れてきた。
男が喋っているはずなのに、今まで聞いたこともない。濁った声が漏れ出てくる。人の言葉のようには聞こえなかったが、男は懐にしまっていた書類の束を取り出して、まるで懇願するようにそれを突き出す。
「おお、おお……」
「マテリアルの熱と風で精錬したルビーの結晶には、強力なマテリアルを内包できるそうです。生命に匹敵するマテリアルの結晶が……」
ブリュンヒルデにはその言葉は通じたようで、その意図を話した。それを追認するように男の差し出していた書類には、確かにマテリアルを閉じ込めることにより、大きな力を内包した結晶を作り出せるかもしれないというレイオニールの実験記録とグラフが描かれていた。
今、レイオニールが肉体を失っても存在するのは、ルビーに宿った命の炎がレイオニールの魂と結合した奇跡によるものだとという。
魂をもつなぎとめる、幻の錬成。
それは錬金術師が目指す至高の一端、不死の追及における終端の一つにほぼ近いものだ。
レイオニールは限りなく近いところまでそこに手をかけていたのだとパトロンもようやく気付かされた。
錬魔院の研究者をも凌駕する天賦の才を持ち合わせていることにも。
「どうか夢を終わらせないでください。レイオニール様ならば必ずできます」
ブリュンヒルデの言葉に主人は色めきだって立ち上がった。信じられないような夢物語だが、目の前にある存在こそが何よりの証明だった。伝説が間近にできると知った主人が胸躍らせるのも無理はなかった。
「近くの錬金術師を雇おう。場所も用意しよう。レイオニールよ! やってくれるか!!」
「ぉぉぉ ぉぉ ぉ」
レイオニールはこくりと頷いた。
解説
●概要
とある金持ちからの依頼です。「レイオニールが遺した錬成を再現するために、知識と技術と経験を借りたい」とのことです。
●場所
帝国のとある町にある錬金術の工房です。(レイオニールの研究所ではありません)
●任務内容
錬成に参加します。機導士か魔術師ならば参加できます。
錬成中のイメージがルビーの結晶に少なからず影響をあたえます。錬成中にはコントロールの他、どんなイメージで錬成をするか決めてください。
機導士、魔術師以外の方は錬成には参加できませんが、その他のことはできます。
●人物
パトロン(依頼人、OP中における主人) 錬成前後は出かけているらしく会うことはできません。
ブリュンヒルデ 基本的に姿を見せませんが、隠れて差し入れしてくれたりします。タイミングを合わせれば会う事はできるかもしれません。
レイオニール(というか借金取りの男) PCが会えば直感的にわかりますが亡霊(もっとざっくり言うと雑魔)です。言葉は話せず、また動きもぎこちないですが生者に攻撃したりはしません。レイオニールとしての意識があり、文字を指さすなどでコミュニケーションは取れます。
協力する錬金術師 10人くらいいます。特に設定はありません。適当に手の足りないところに使ってあげてください。
●有用なスキル等
機械知識・魔術知識
前作「夢より出る、炎の錬成」「幻に消ゆ、炎の錬成」への参加経験。(スキルがなくとも魔法陣や補佐機械の大まかな仕組みは理解しているものとして扱います)
●補足事項
雑多な錬金術師が協力として手伝います。参加者はその指揮をすることができます。
関連知識のスキルを保有したPCがレイオニールの資料の解析をすればわかりますが、錬成によりマテリアルの結晶から魂を保持することは可能なようです。しかし資材・技術・人足面から今回以外で再現するのは不可能とします。
とある金持ちからの依頼です。「レイオニールが遺した錬成を再現するために、知識と技術と経験を借りたい」とのことです。
●場所
帝国のとある町にある錬金術の工房です。(レイオニールの研究所ではありません)
●任務内容
錬成に参加します。機導士か魔術師ならば参加できます。
錬成中のイメージがルビーの結晶に少なからず影響をあたえます。錬成中にはコントロールの他、どんなイメージで錬成をするか決めてください。
機導士、魔術師以外の方は錬成には参加できませんが、その他のことはできます。
●人物
パトロン(依頼人、OP中における主人) 錬成前後は出かけているらしく会うことはできません。
ブリュンヒルデ 基本的に姿を見せませんが、隠れて差し入れしてくれたりします。タイミングを合わせれば会う事はできるかもしれません。
レイオニール(というか借金取りの男) PCが会えば直感的にわかりますが亡霊(もっとざっくり言うと雑魔)です。言葉は話せず、また動きもぎこちないですが生者に攻撃したりはしません。レイオニールとしての意識があり、文字を指さすなどでコミュニケーションは取れます。
協力する錬金術師 10人くらいいます。特に設定はありません。適当に手の足りないところに使ってあげてください。
●有用なスキル等
機械知識・魔術知識
前作「夢より出る、炎の錬成」「幻に消ゆ、炎の錬成」への参加経験。(スキルがなくとも魔法陣や補佐機械の大まかな仕組みは理解しているものとして扱います)
●補足事項
雑多な錬金術師が協力として手伝います。参加者はその指揮をすることができます。
関連知識のスキルを保有したPCがレイオニールの資料の解析をすればわかりますが、錬成によりマテリアルの結晶から魂を保持することは可能なようです。しかし資材・技術・人足面から今回以外で再現するのは不可能とします。
マスターより
錬金術師レイオニールが失敗して夢、幻となってしまった錬成法を復活させよう、の回です。
オカルティックな要素も混ざってますが、至って普通の錬成の試行が目的です。
この錬成は「イメージによって結果が左右される」ようになっています。参加される方で色々調整してみると、面白い結果になるかも、しれませんね?
気になるところはとても多いと思います。さて、いくつの答えが見つかるでしょうか。楽しみにお待ちしております。
オカルティックな要素も混ざってますが、至って普通の錬成の試行が目的です。
この錬成は「イメージによって結果が左右される」ようになっています。参加される方で色々調整してみると、面白い結果になるかも、しれませんね?
気になるところはとても多いと思います。さて、いくつの答えが見つかるでしょうか。楽しみにお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/17 02:06
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 レイレリア・リナークシス(ka3872) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/05/14 12:23:27 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/10 21:51:06 |