ゲスト
(ka0000)
密売人と野犬の群れ
マスター:深夜真世

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- プレイング締切
- 2015/05/18 12:00
- リプレイ完成予定
- 2015/05/27 12:00
オープニング
ここは同盟領、農耕推進地域「ジェオルジ」の片田舎。
「俺はこれから集落に戻るが、お前はどうするんだ?」
男が旅支度を調えて銀髪の少年に聞いた。
少年の名は、モータル。
この男の集落に自分が身を寄せていた盗賊の襲来を告げたものの信用してもらえず盗賊に襲われ、数日経過している。
「自分の力を試したい」
モータル、ぶっきらぼうに返した。
「だったら……」
この言葉を聞いて男は改めて息を吸い込みモータルを正面に位置した。そして真顔になって言葉を絞り出す。
「いいか、『危ない橋を渡れ』」
その響きにはっとするモータル。
「自ら望んで『危ない橋を渡れ。誰かのために、自分で』」
「……」
力説する男の迫力に息を飲んだ。どう返していいか分からない。
「俺のオヤジは、あの集落で密造酒製造に積極的に関わった。……不作が続いてどうしようもなかったと子どものころに聞いた。だから俺も誇りを持って密造酒に関わった。里のみんなのために、もしもばれても里の罪にはならずに数人の罪になるように」
こくり、と頷くモータル。
この男の言いたいことはとてもよく分かった。男の実体験からくる話に大きく心を揺さぶられた。
「だから、俺は残った密造酒のいくらかを役人に窃取される前に捌くため、里を抜けた。……戻れば罪に対する償いが待ってるだろうが、この金だけは集落の復興のため、隠し財産としてこっそり渡さないといけない」
新たな使命に燃えていた。そしてモータルには、お前はもう無関係だという視線。
やがて男は小さな袋をモータルに渡す。
「これは俺に付き合ってくれた礼金だ。自分の力を試したいというなら、やってみろ」
「ありがとうございます」
「もしも」
頭を下げたモータルに、男は間髪入れずに言葉を重ねた。
「もしも、俺の言った言葉を大切にするなら、密造酒を売り捌いた『ベンド』という密売人の男に付いていくといいだろう」
「ベンド?」
「ああ。密売人と言えば聞こえは悪いが、地方で困ってる俺たちみたいな住民の暮らしを支えてくれる、良い密売人だ。決して人の命を軽んじる闇の密売人じゃない」
「良い密売人……」
モータル、瞳を輝かせた。
自らのあこがれる「義賊」像に近いと感じた。
そしてベンドという男に正式に世話になることとなった。
「ゴブリンに襲われて戦ったんなら歓迎やな。いま、護衛にハンター呼んだとこや。まあ、雇ったるわ」
背を曲げた男は両手をこね合わせながらモータルを引き取った。
「じゃあな」
「……ありがとう。『危ない橋を渡れ。自分が、誰かのために』」
モータルは男から送られた言葉を口にする。初めて、自分を認めてくれ一目置いてくれた、自己犠牲をいとわない男の中の男からの大切な言葉だ。
「そうだ。『自分が、誰かのために。危ない橋を渡れ』」
男はまっすぐモータルの視線を受けとめ、合言葉のように返して頷いた。
こうして、男は密造酒の里に帰っていった。秘密の復興資金を届けるために。
一方、モータル。
「ほなモータル、行くで。ハンターが来たら次の街や」
「何を運ぶんです?」
聞いたモータルに、ベンドは曲げた背中越しに振り向いた。にぃっ、と不気味な笑みだった。
「知らん方がええ。信用できへんなら、積荷を好きに調べてええで」
ひひひ、と笑うベンドだった。
やがてベンドは次の商いに出発する。
「年老いた馬に……小さな荷馬車が一つ。しかも荷物は樽が数えるほど……」
モータル、積荷や商隊編成を見て呆れた。
「それでハンターまで雇って……商売になるんですか?」
「ベンド商会の取り扱い商品は、目に見えるもんだけやないねん。ハートを運ぶんや!」
ベンドは意気揚々とムチをならして出発する。
道中、森の中で野犬の群れに襲われることになるが。
もちろんこれは織り込み済み。
野犬退治の囮として、そしてこの状況を利用し、ある大切な商いのために危険な近道を通るのだ。
「俺はこれから集落に戻るが、お前はどうするんだ?」
男が旅支度を調えて銀髪の少年に聞いた。
少年の名は、モータル。
この男の集落に自分が身を寄せていた盗賊の襲来を告げたものの信用してもらえず盗賊に襲われ、数日経過している。
「自分の力を試したい」
モータル、ぶっきらぼうに返した。
「だったら……」
この言葉を聞いて男は改めて息を吸い込みモータルを正面に位置した。そして真顔になって言葉を絞り出す。
「いいか、『危ない橋を渡れ』」
その響きにはっとするモータル。
「自ら望んで『危ない橋を渡れ。誰かのために、自分で』」
「……」
力説する男の迫力に息を飲んだ。どう返していいか分からない。
「俺のオヤジは、あの集落で密造酒製造に積極的に関わった。……不作が続いてどうしようもなかったと子どものころに聞いた。だから俺も誇りを持って密造酒に関わった。里のみんなのために、もしもばれても里の罪にはならずに数人の罪になるように」
こくり、と頷くモータル。
この男の言いたいことはとてもよく分かった。男の実体験からくる話に大きく心を揺さぶられた。
「だから、俺は残った密造酒のいくらかを役人に窃取される前に捌くため、里を抜けた。……戻れば罪に対する償いが待ってるだろうが、この金だけは集落の復興のため、隠し財産としてこっそり渡さないといけない」
新たな使命に燃えていた。そしてモータルには、お前はもう無関係だという視線。
やがて男は小さな袋をモータルに渡す。
「これは俺に付き合ってくれた礼金だ。自分の力を試したいというなら、やってみろ」
「ありがとうございます」
「もしも」
頭を下げたモータルに、男は間髪入れずに言葉を重ねた。
「もしも、俺の言った言葉を大切にするなら、密造酒を売り捌いた『ベンド』という密売人の男に付いていくといいだろう」
「ベンド?」
「ああ。密売人と言えば聞こえは悪いが、地方で困ってる俺たちみたいな住民の暮らしを支えてくれる、良い密売人だ。決して人の命を軽んじる闇の密売人じゃない」
「良い密売人……」
モータル、瞳を輝かせた。
自らのあこがれる「義賊」像に近いと感じた。
そしてベンドという男に正式に世話になることとなった。
「ゴブリンに襲われて戦ったんなら歓迎やな。いま、護衛にハンター呼んだとこや。まあ、雇ったるわ」
背を曲げた男は両手をこね合わせながらモータルを引き取った。
「じゃあな」
「……ありがとう。『危ない橋を渡れ。自分が、誰かのために』」
モータルは男から送られた言葉を口にする。初めて、自分を認めてくれ一目置いてくれた、自己犠牲をいとわない男の中の男からの大切な言葉だ。
「そうだ。『自分が、誰かのために。危ない橋を渡れ』」
男はまっすぐモータルの視線を受けとめ、合言葉のように返して頷いた。
こうして、男は密造酒の里に帰っていった。秘密の復興資金を届けるために。
一方、モータル。
「ほなモータル、行くで。ハンターが来たら次の街や」
「何を運ぶんです?」
聞いたモータルに、ベンドは曲げた背中越しに振り向いた。にぃっ、と不気味な笑みだった。
「知らん方がええ。信用できへんなら、積荷を好きに調べてええで」
ひひひ、と笑うベンドだった。
やがてベンドは次の商いに出発する。
「年老いた馬に……小さな荷馬車が一つ。しかも荷物は樽が数えるほど……」
モータル、積荷や商隊編成を見て呆れた。
「それでハンターまで雇って……商売になるんですか?」
「ベンド商会の取り扱い商品は、目に見えるもんだけやないねん。ハートを運ぶんや!」
ベンドは意気揚々とムチをならして出発する。
道中、森の中で野犬の群れに襲われることになるが。
もちろんこれは織り込み済み。
野犬退治の囮として、そしてこの状況を利用し、ある大切な商いのために危険な近道を通るのだ。
解説
※この依頼のOPは前回の依頼「旅立ちの序曲」の続きになっていますが、
あくまで単発の依頼なので今回の依頼の達成度などには関係しません。
ベンド商会の商隊を護衛してください。
敵は想定される状況で、ベンドもそれを見越してハンターを雇っています。
道中の森で襲ってくるのは、野犬×約15匹です。
ただし、この野犬の群れは商隊に警戒されてしまうほどにわかに有名になってきた存在で、統率の取れた行動をします。非常に狩りは得意で、多くの商隊が被害に遭っています。
敵の戦法は今のところ、5匹一組になって襲ってくるというものです。単体の動きは軽快です。
ただし、基本的に単体の強さは低く、駆け出しのハンターでも一対一で苦戦することはないでしょう。
繰り返しますが、敵は狩りに長けており、商隊の移動ルートは敵のホームグラウンドです。あっさりと失敗判定になる可能性を秘めています。
道中、開けた場所、両側が木々に囲まれている場所、森の中の急カーブ、起伏の激しい道などがあります。敵は地形を利用し、目的に合った地点でそれを活用しつつ襲ってくるでしょう。
モータルは剣を持ち自己防御戦闘に専念することになると思います。
なお、運んでいる物が気になればベンドに聞いてみてもいいかもしれません。
悪の片棒を担ぐ仕事ではないので、この点だけはご安心を。
早朝に出発し、森を抜けて目的の街には夜に到着します。
あくまで単発の依頼なので今回の依頼の達成度などには関係しません。
ベンド商会の商隊を護衛してください。
敵は想定される状況で、ベンドもそれを見越してハンターを雇っています。
道中の森で襲ってくるのは、野犬×約15匹です。
ただし、この野犬の群れは商隊に警戒されてしまうほどにわかに有名になってきた存在で、統率の取れた行動をします。非常に狩りは得意で、多くの商隊が被害に遭っています。
敵の戦法は今のところ、5匹一組になって襲ってくるというものです。単体の動きは軽快です。
ただし、基本的に単体の強さは低く、駆け出しのハンターでも一対一で苦戦することはないでしょう。
繰り返しますが、敵は狩りに長けており、商隊の移動ルートは敵のホームグラウンドです。あっさりと失敗判定になる可能性を秘めています。
道中、開けた場所、両側が木々に囲まれている場所、森の中の急カーブ、起伏の激しい道などがあります。敵は地形を利用し、目的に合った地点でそれを活用しつつ襲ってくるでしょう。
モータルは剣を持ち自己防御戦闘に専念することになると思います。
なお、運んでいる物が気になればベンドに聞いてみてもいいかもしれません。
悪の片棒を担ぐ仕事ではないので、この点だけはご安心を。
早朝に出発し、森を抜けて目的の街には夜に到着します。
マスターより
こんばんは、深夜真世です。
物語はモータルという少年の旅の続きですが、前回を知らなくてもまったく問題ありません。依頼はあくまでベンド商会の護衛です。
同盟は商人が幅を利かせている領域。
苦しい民の生活などを支える、良い闇の商人、義侠あふれる密売人を扱いたいと思います。
では、類推戦闘をお楽しみください。
物語はモータルという少年の旅の続きですが、前回を知らなくてもまったく問題ありません。依頼はあくまでベンド商会の護衛です。
同盟は商人が幅を利かせている領域。
苦しい民の生活などを支える、良い闇の商人、義侠あふれる密売人を扱いたいと思います。
では、類推戦闘をお楽しみください。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/25 06:11
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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商隊護衛作戦卓 ケイルカ(ka4121) エルフ|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/05/18 01:56:10 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/14 23:03:30 |