ゲスト
(ka0000)
【讐刃】憎悪の剣
マスター:松尾京

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/05/23 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/06/01 07:30
オープニング
●影
ルイスは森の中、『影』に向かって言った。
「覚醒者の、たったの数人にも勝てなかった。俺は、強くなってないんだ」
マントで体を覆った、漆黒の影は、首を振る。
「ルイスよ。一度や二度の失策で、自分を責めるな。生きている時点で、お前の勝ちだ。覚醒者は、これからいくらでも殺せるのだからな」
「だが、俺は……」
「ルイス」
「……」
「案ずるな。人形は、また貸してやる。お前はもっと、強くなれる」
影はかすかに笑った。
●仇
数日後。
一人のとある山賊が、その日も獲物を見つけんと、山に潜んでいた。
名は、ガムズ。無精髭に、着古した衣服。そして血で汚れた手斧。
手慣れた悪漢で――同時に、覚醒者でもあった。
「この山は久しぶりだからな――食費程度稼げれば、いいか」
ガムズは言って、卑しく笑う。
ハンターすら殺したことのある男である。仕事を失敗する不安はなかった。山に入る全員が、カモだ。
「しかし、相変わらず人が少ねえな」
この山、いつ以来だったか記憶も曖昧だが……朝から獲物にありつけていなかった。
仕方ない、と。潜伏場所を変えようとした、そのときだ。
ばすっ、と。突如、乾いた音がガムズの足元を通過した。
「? 銃弾、か……!」
狙撃されている、と気付いたガムズは、素速く移動した。
何でこんな山で。ついてない――思う間も、連続で銃声は追ってくる。
最初の狙撃は、実力を計るためにわざと外したのだとでもいうような、正確さをもって。
そして強烈な痛み。遅れて、ガムズは自分が撃たれたと理解した。
「く、くそ……!」
ガムズの脚が言うことを聞かなくなったあたりで――ようやく、人影は出てきた。
ばさっ!と、ガムズの腹を剣で切りながら。
「ぐお……、な、何もん、だ……!」
うめきながら、ガムズは目を懲らす。
それは、フードを被った痩身の男だった。薄暗く、どこか生気がない。
何にせよ、ただ者じゃない。同業者か?
ただ、ガムズが見ていると――その人影は止まっていた。
ガムズは怪訝な面持ちになる。
――何だこいつは……? 装備から察するに、ハンター、か……?
制止している男に、どう対処したものかと考えていると。
男は――ガムズを見て、目を見開いていた。体を、小さく震わせて。
「貴様、どこかで見たことが、あると思ったら……。――嗚呼」
突如、感動したような哀しむような顔となる。歓喜と悲嘆の、交じった声。
「山賊、山賊、山賊。見つけたぞ。貴様、単なる覚醒者じゃない……。あのとき、ジュリアを殺した男か。そうだろう? 覚えているぞ」
男――ルイスは、体をわななかせていた。
●禍根
ガムズははじめ、ルイスの言っているのが、何のことだかわからない。
だが、直後に、はっと思い出した。
それはおよそ一年前の記憶。
この山で、新米ハンターの男女をカモとして襲ったこと。そこで女の方を殺したこと。
その時は金目のものはあらかた奪えたし、男の方は斧で一振りして崖下に落としたから気にしていなかったが……間違いない。
「お前は、あのときの死に損ないの新米ハンター……」
ガムズは、かつて餌食にした男が、目の前にいる男なのだとようやく気付いた。
ルイスはひゅっと剣を振る。ぶしゅ、とガムズの脚から血が出た。
「ひっ……」
ガムズは、恐怖に顔を歪めた。あのときと違い、ルイスはガムズなどより、強い。
「ジュリア……見ているかい。君を殺した覚醒者まで、俺は見つけた。ちゃんと、見ていてくれよ。殺して殺して、ずたずたにしてやる」
ひと思いにはやらない、とでもいうように、ルイスはガムズを切っていく。
「ひ、ひぃ……!」
ガムズは這いつくばって逃げながら――あの日のルイスのように、崖下に転げ落ちた。
ルイスははっとする。
「逃がした、か――? いいや。逃さない。すぐに仇は取る」
そうして、急いで山を下りはじめた。
その様子を、離れた位置から影が見ていた。
「ふむ――ルイスめ。言ったそばから、冷静さに欠いた行動を……」
だが、ルイスが山賊を追った理由を思えば、わからなくもない。禍根のある山賊と出会ったとは、中々の偶然だ。
「まあ、それも一興。是非、近くで見させてもらおう」
影は、すた、と地に降り立つと――ルイスの後を追った。
●その村で
ガムズは傷だらけになって、ふもとの村に逃げ込んでいた。
とはいえ、身の安全が保証されたわけではない。ルイスに見つかれば、待つのは死だ。
「だ、誰か……」
ガムズは半ば平静を失って、必死で村中をかけずり回った。
すると、運の良いことに――そこに、別の依頼の帰りで村に留まっていた、ハンターの姿を見つけた。
ガムズは救われた気持ちでひざまずいた。
「た、助けてくれ! こ、殺されそうなんだ!」
ハンターは、ガムズの尋常でない様子に、顔を見合わせる。
ハンターが詳しい事情をたずねると――ガムズは一瞬だけ迷った。が、結局、真実を話した。
ルイスが来れば明らかになることだし、迷っている暇などなかった。
「……俺に復讐しようとしているやつがいるんだ」
それからガムズは、とうとうと語る。かつて襲った男女のこと。残った男が今、自分の前に現れたこと……。
「ああそうだ。俺からまいた種だよ。やったことにいいわけをするつもりは、ねえ。……でも! このままじゃ、殺される」
ガムズは涙目で頭を床にこすりつけた。
「命が助かるなら、償いでも何でも、する。だから、あいつをどうにかしてくれ」
そこで外から騒ぎの音が聞こえた。
窓の外、林の向こうに……フードを被った集団がいた。
そしてそれを統べる男――ルイスも。
あたりに、ルイスの声が響く。
「ここに、奴が――怪我をした山賊の覚醒者が逃げ込んだはずだ。出せ。出さないならこっちから探す」
「あ、あいつだ。頼む……助けてくれ!」
ガムズは懇願した。
ルイスは森の中、『影』に向かって言った。
「覚醒者の、たったの数人にも勝てなかった。俺は、強くなってないんだ」
マントで体を覆った、漆黒の影は、首を振る。
「ルイスよ。一度や二度の失策で、自分を責めるな。生きている時点で、お前の勝ちだ。覚醒者は、これからいくらでも殺せるのだからな」
「だが、俺は……」
「ルイス」
「……」
「案ずるな。人形は、また貸してやる。お前はもっと、強くなれる」
影はかすかに笑った。
●仇
数日後。
一人のとある山賊が、その日も獲物を見つけんと、山に潜んでいた。
名は、ガムズ。無精髭に、着古した衣服。そして血で汚れた手斧。
手慣れた悪漢で――同時に、覚醒者でもあった。
「この山は久しぶりだからな――食費程度稼げれば、いいか」
ガムズは言って、卑しく笑う。
ハンターすら殺したことのある男である。仕事を失敗する不安はなかった。山に入る全員が、カモだ。
「しかし、相変わらず人が少ねえな」
この山、いつ以来だったか記憶も曖昧だが……朝から獲物にありつけていなかった。
仕方ない、と。潜伏場所を変えようとした、そのときだ。
ばすっ、と。突如、乾いた音がガムズの足元を通過した。
「? 銃弾、か……!」
狙撃されている、と気付いたガムズは、素速く移動した。
何でこんな山で。ついてない――思う間も、連続で銃声は追ってくる。
最初の狙撃は、実力を計るためにわざと外したのだとでもいうような、正確さをもって。
そして強烈な痛み。遅れて、ガムズは自分が撃たれたと理解した。
「く、くそ……!」
ガムズの脚が言うことを聞かなくなったあたりで――ようやく、人影は出てきた。
ばさっ!と、ガムズの腹を剣で切りながら。
「ぐお……、な、何もん、だ……!」
うめきながら、ガムズは目を懲らす。
それは、フードを被った痩身の男だった。薄暗く、どこか生気がない。
何にせよ、ただ者じゃない。同業者か?
ただ、ガムズが見ていると――その人影は止まっていた。
ガムズは怪訝な面持ちになる。
――何だこいつは……? 装備から察するに、ハンター、か……?
制止している男に、どう対処したものかと考えていると。
男は――ガムズを見て、目を見開いていた。体を、小さく震わせて。
「貴様、どこかで見たことが、あると思ったら……。――嗚呼」
突如、感動したような哀しむような顔となる。歓喜と悲嘆の、交じった声。
「山賊、山賊、山賊。見つけたぞ。貴様、単なる覚醒者じゃない……。あのとき、ジュリアを殺した男か。そうだろう? 覚えているぞ」
男――ルイスは、体をわななかせていた。
●禍根
ガムズははじめ、ルイスの言っているのが、何のことだかわからない。
だが、直後に、はっと思い出した。
それはおよそ一年前の記憶。
この山で、新米ハンターの男女をカモとして襲ったこと。そこで女の方を殺したこと。
その時は金目のものはあらかた奪えたし、男の方は斧で一振りして崖下に落としたから気にしていなかったが……間違いない。
「お前は、あのときの死に損ないの新米ハンター……」
ガムズは、かつて餌食にした男が、目の前にいる男なのだとようやく気付いた。
ルイスはひゅっと剣を振る。ぶしゅ、とガムズの脚から血が出た。
「ひっ……」
ガムズは、恐怖に顔を歪めた。あのときと違い、ルイスはガムズなどより、強い。
「ジュリア……見ているかい。君を殺した覚醒者まで、俺は見つけた。ちゃんと、見ていてくれよ。殺して殺して、ずたずたにしてやる」
ひと思いにはやらない、とでもいうように、ルイスはガムズを切っていく。
「ひ、ひぃ……!」
ガムズは這いつくばって逃げながら――あの日のルイスのように、崖下に転げ落ちた。
ルイスははっとする。
「逃がした、か――? いいや。逃さない。すぐに仇は取る」
そうして、急いで山を下りはじめた。
その様子を、離れた位置から影が見ていた。
「ふむ――ルイスめ。言ったそばから、冷静さに欠いた行動を……」
だが、ルイスが山賊を追った理由を思えば、わからなくもない。禍根のある山賊と出会ったとは、中々の偶然だ。
「まあ、それも一興。是非、近くで見させてもらおう」
影は、すた、と地に降り立つと――ルイスの後を追った。
●その村で
ガムズは傷だらけになって、ふもとの村に逃げ込んでいた。
とはいえ、身の安全が保証されたわけではない。ルイスに見つかれば、待つのは死だ。
「だ、誰か……」
ガムズは半ば平静を失って、必死で村中をかけずり回った。
すると、運の良いことに――そこに、別の依頼の帰りで村に留まっていた、ハンターの姿を見つけた。
ガムズは救われた気持ちでひざまずいた。
「た、助けてくれ! こ、殺されそうなんだ!」
ハンターは、ガムズの尋常でない様子に、顔を見合わせる。
ハンターが詳しい事情をたずねると――ガムズは一瞬だけ迷った。が、結局、真実を話した。
ルイスが来れば明らかになることだし、迷っている暇などなかった。
「……俺に復讐しようとしているやつがいるんだ」
それからガムズは、とうとうと語る。かつて襲った男女のこと。残った男が今、自分の前に現れたこと……。
「ああそうだ。俺からまいた種だよ。やったことにいいわけをするつもりは、ねえ。……でも! このままじゃ、殺される」
ガムズは涙目で頭を床にこすりつけた。
「命が助かるなら、償いでも何でも、する。だから、あいつをどうにかしてくれ」
そこで外から騒ぎの音が聞こえた。
窓の外、林の向こうに……フードを被った集団がいた。
そしてそれを統べる男――ルイスも。
あたりに、ルイスの声が響く。
「ここに、奴が――怪我をした山賊の覚醒者が逃げ込んだはずだ。出せ。出さないならこっちから探す」
「あ、あいつだ。頼む……助けてくれ!」
ガムズは懇願した。
解説
●目的
村へ被害を出さずに事態を収拾する。
ガムズ、ルイスへの対応/判断はハンターに一任する。
●このシナリオについて
『【讐刃】ブラック・ハンター』から繋がっている形となります。
●状況
覚醒者連続殺人事件の犯人ルイスが、山賊ガムズを追って村までやってきた。
現在、ルイスはガムズを捜索、身柄を渡せと呼びかけている。
ガムズはハンターと一緒に屋内にいる。
●場所
農村。林で区画を区切るような構造。北に森がある。
--------------------------
森森森森森森森森森森森森森
森森森森森▽森森森森森森森
林林林林林林 林林林林林林
林■ ■林 林■ ■林
林 ○ 林
林■○☆○林 林 林
林林林○林林 林林 林林林
○ ○
林林林 林林 林林 林林林
林■ 林 林◆ ■林
林 ○ 林
林■■ ■林 林■■ ■林
林林林林林林○林林林林林林
--------------------------
1マス4スクエア。
■:家
◆:ハンターとガムズのいる家
☆:ルイス
○:人形歪虚
▽:何者かの存在
空白部分は道。家の付近は農地。
北以外の村外は未整備の野原(足場が悪い)。
●人物/戦力
・ルイス
覚醒者を狙う殺人鬼。元ハンター。
前回負ったけがが治っているかは不明。アサルトライフルと直剣を持つ。
人形歪虚と見られる配下を連れる。
・人形歪虚×8
嫉妬の歪虚。以前にルイスが連れていたものと同等の強さと思われる。
現状から確認できる範囲で、
南端の一体:ライフル、南西の一体:剣、東端の一体:槍を装備。他は不明。
・ガムズ
山賊。かつてルイスの恋人ジュリアを殺した犯人であることがわかっている。
ルイスが殺人鬼となったことは知らない様子。
覚醒者であり、相応の力はあるようである。
手斧所持。
村へ被害を出さずに事態を収拾する。
ガムズ、ルイスへの対応/判断はハンターに一任する。
●このシナリオについて
『【讐刃】ブラック・ハンター』から繋がっている形となります。
●状況
覚醒者連続殺人事件の犯人ルイスが、山賊ガムズを追って村までやってきた。
現在、ルイスはガムズを捜索、身柄を渡せと呼びかけている。
ガムズはハンターと一緒に屋内にいる。
●場所
農村。林で区画を区切るような構造。北に森がある。
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森森森森森森森森森森森森森
森森森森森▽森森森森森森森
林林林林林林 林林林林林林
林■ ■林 林■ ■林
林 ○ 林
林■○☆○林 林 林
林林林○林林 林林 林林林
○ ○
林林林 林林 林林 林林林
林■ 林 林◆ ■林
林 ○ 林
林■■ ■林 林■■ ■林
林林林林林林○林林林林林林
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1マス4スクエア。
■:家
◆:ハンターとガムズのいる家
☆:ルイス
○:人形歪虚
▽:何者かの存在
空白部分は道。家の付近は農地。
北以外の村外は未整備の野原(足場が悪い)。
●人物/戦力
・ルイス
覚醒者を狙う殺人鬼。元ハンター。
前回負ったけがが治っているかは不明。アサルトライフルと直剣を持つ。
人形歪虚と見られる配下を連れる。
・人形歪虚×8
嫉妬の歪虚。以前にルイスが連れていたものと同等の強さと思われる。
現状から確認できる範囲で、
南端の一体:ライフル、南西の一体:剣、東端の一体:槍を装備。他は不明。
・ガムズ
山賊。かつてルイスの恋人ジュリアを殺した犯人であることがわかっている。
ルイスが殺人鬼となったことは知らない様子。
覚醒者であり、相応の力はあるようである。
手斧所持。
マスターより
今回は人里を守るのが優先ですので、村に被害なくすませればひとまず成功となります。
やり方によっては戦闘自体を回避できます。ただ不測の事態はつきものですので、充分な準備をもって挑むことが望まれるでしょう。
森にいる存在については、一定条件下で接触可能です。
やり方によっては戦闘自体を回避できます。ただ不測の事態はつきものですので、充分な準備をもって挑むことが望まれるでしょう。
森にいる存在については、一定条件下で接触可能です。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/05/30 09:40
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/19 00:38:20 |
|
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相談卓 柏木 秋子(ka4394) 人間(リアルブルー)|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2015/05/23 02:53:49 |