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「くそ……」
　茂みの中で青年は苦々しげにそう呟いた。その手には１枚の古い地図が握られている。
　青年が祖父から譲り受けたこの地図に記されているのは、ある村の位置。それはかつて過疎化が進み人がいなくなってしまった……いわゆる廃村。祖父が生まれ育ち……そして捨て去った故郷でもある。
　恐らく、祖父はそう長くない。気難しいところがある人だが、仲は良い方だったと思っている。だから、次第に近づいてきた祖父との別れを考えると、悲しさがこみあげてくる。
　だからその前に、幾度となく祖父が話した故郷。そこを復興させ、その様子を祖父に見せてやりたい。
　青年はそう考え、こうして家を離れ１人道なき道を地図に従い歩いてきた。
（そうしてやっと着いたと思ってたのに……）
　地図に書かれていた場所。そこにはいくつかの家屋があった跡がみられる。確かに、村はここにあった。だが同時に、青年の視界には人影のようなものが映った。
　ここは廃村。人などいるはずはない。その考え通り、そこにいたのは人ではなかった。
　その体に肉は無く、骨だけの身でありながら動き続ける……あれは、いわゆるスケルトンという奴だ。それらが１、２……全部で６体、村をフラフラと徘徊している。
　言うまでもない、あれは歪虚……このままではこの近辺のマテリアルが喪失し、この村の復興は難しくなるかもしれない。少なくとも祖父が生きている間には無理だろう。青年にはそう思えた。
（けど、どうすることもできない……）
　何故なら、青年は只の人間だから。歪虚と正面切って戦う力を持たない、只の一般人なのだ。
「くそ……っ！」
　叫びたい気持ちを押し殺し口中で呟く。自分に力が無いから、今すぐどうにかすることが出来ない。そんな悔しさを滲ませて。
　村に背を向けた青年は静かにその場を離れていく。　この状況を打破する。そのためには、歪虚と戦う力を持つ人々に助けを求めるしか手は無い。
　青年は村の方へ一度振り向き、歪虚が見えなくなったことを確認すると、今度は全速力で来た道を走り出す。
「覚醒者……ハンターズギルドのハンターならあいつらを倒してくれるはずだ……きっと！」
　こうして、ハンターズギルドに依頼が並ぶ。
　青年の『祖父のふるさとを取り戻してくれ』という願いと共に。

●目的
　敵集団の殲滅。

●状況
　ＰＣはハンターズギルドで依頼を受けたハンターとなる。
　戦場となるのは名もなき廃村。元々小さな村だったので、それほど広くは無い。
　建物があった形跡はあるものの、どれもほぼ崩壊している為見通しは良い。少し障害物の多い平原での戦闘とも解釈できる。
　敵集団は廃村内に点在。目的も無くフラフラと歩いている。
　
●敵情報
・スケルトン×６
　全て長剣と盾で武装。鎧などは装備していない。
　遠距離攻撃が可能な武装は確認できていないが、過去に骨を投げつけて攻撃してきたという報告もあるため注意が必要。
　何か目的があってうろついているわけではない様子で、知性の程も怪しい。このことから連携を取る可能性も低いと考えられる。ただ、攻撃を受ければこぞって反撃してくることは想定されるため、個人プレイの結果連携らしい行動を取る可能性はある。

　お世話になっております、植田です。
　ついに始まりましたファナティックブラッド。一発目の依頼は極力シンプルな感じにしてみました。存分に戦っていただければと思います。
　それでは、皆様の参加お待ちいたしております。