ゲスト
(ka0000)
6月の門出の前に
マスター:言の羽

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- サポート
- 現在0人 / 0~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/05/31 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/06/09 07:30
オープニング
男の子が膝を抱えて泣いている。少し線が細いが、身長からして7、8歳くらいだろうか。大きな瞳からはぼろぼろと大粒の涙を流し、しかし唇は噛み締めて、一点を見つめながらしゃくり上げる。
カタン。木戸が開く音がした。男の子が泣いている場所は、何ということはない、家の裏手だ。咄嗟に立ち上がるも、隠れられる場所などなく。彼はいとも容易く姉に捕まった。
「どうしたの、泣きべそかいて……やだ。膝に擦り傷できてるじゃない」
屈み込むようにして、姉は弟の全身をチェックする。ふたりの年齢は10も離れていて、力で勝てるようになるまでまだまだかかる。
「だっ、だって、お姉ちゃんにベタベタしすぎだって……男が女にベタベタしてたら女になっちゃうんだぞ、って……」
理由を言うまで離してくれそうもなく、仕方なく男の子は理由を説明する。近所の同年代に負けたと自己申告するなど、できればしたくはなかったが。
「また喧嘩したのね? 大丈夫よ、どれだけベタベタしても女になりはしないわ。もし本当に女になってしまうなら、うちのお父さんは今頃、女のなかの女になってるわ!」
「……ぅー」
姉が胸を張って言い切る。確かに彼らの両親はいつも変わらず夫婦というより恋人のごとき仲の良さだ。男の子もしょっちゅうピッタリくっついている両親のことを思い出し、次に言うべき言葉が見つからない。
察したらしい姉が、咳払いをひとつする。
「ねえ、きょうだいが仲良しなのは、悪いことではないわ。せっかく同じ両親のもとに産まれたのよ。一緒にいられる間くらい、仲良くしたっていいじゃない」
そう言ってから白い歯を見せて笑った姉は、男の子にとってまさしくもうひとりの母のような存在だったのだ。
「ここ、僕みたいな子どもでも、お願いを聞いてくれますか」
「うん?」
ハンターオフィスの受付員が書類から顔を上げても、そこには一見、誰の姿も見えなかった。カウンターに両手をつき、上半身を押し出して確認すると、男の子がビクつきながら返答を待っていた。
受付員は書類を置いた。カウンターを出て、男の子の前でしゃがみこみ、目線を合わせる。
「やぁ、おちびさん。ここはハンターに仕事を紹介するところなんだよ。お願いを聞いてくれるかどうかは、ハンター達次第だ」
「ダメなの……?」
ニコリともせずに告げる受付員に、男の子は眉をへの字に曲げた。
「そうは言っていないさ。ハンターへの紹介までは引き受けよう。彼らがお願いを聞いてくれるかどうかは、おちびさんの話と私の腕次第だがね」
仏頂面に頭を撫でられて、男の子は意を決して話し始める。
男の子には、年の離れた姉がいる。この度めでたく姉の結婚が決まったのだが、遠い街へ嫁に行くのだという。当然、滅多に会えなくなってしまう。
姉はいつも自分を守ってくれた。怒って怖い時もあったけど、とても優しかった。自分も姉の結婚をお祝いして、自分のことは心配いらないからと笑顔で見送りたい。そのためには、姉の好きな花をブーケにしてプレゼントするのがいいと考えた。
――まとめるとこんなところだ。
肝心の、姉が好きな花の名を受付員が尋ねると、男の子は躊躇いながらも答えた。そして受付員の頬がぴくりと動く。
「なるほど、ここに来るわけだ。この辺りでは、あの日当たりのいい崖にしか咲いていない花じゃないか」
採集にはハンターでもそれなりの工夫がいるだろう。受けてくれる者がいればいいが。
心配そうに両手を組む男の子を宥めながら、受付員はそう願うのだった。
カタン。木戸が開く音がした。男の子が泣いている場所は、何ということはない、家の裏手だ。咄嗟に立ち上がるも、隠れられる場所などなく。彼はいとも容易く姉に捕まった。
「どうしたの、泣きべそかいて……やだ。膝に擦り傷できてるじゃない」
屈み込むようにして、姉は弟の全身をチェックする。ふたりの年齢は10も離れていて、力で勝てるようになるまでまだまだかかる。
「だっ、だって、お姉ちゃんにベタベタしすぎだって……男が女にベタベタしてたら女になっちゃうんだぞ、って……」
理由を言うまで離してくれそうもなく、仕方なく男の子は理由を説明する。近所の同年代に負けたと自己申告するなど、できればしたくはなかったが。
「また喧嘩したのね? 大丈夫よ、どれだけベタベタしても女になりはしないわ。もし本当に女になってしまうなら、うちのお父さんは今頃、女のなかの女になってるわ!」
「……ぅー」
姉が胸を張って言い切る。確かに彼らの両親はいつも変わらず夫婦というより恋人のごとき仲の良さだ。男の子もしょっちゅうピッタリくっついている両親のことを思い出し、次に言うべき言葉が見つからない。
察したらしい姉が、咳払いをひとつする。
「ねえ、きょうだいが仲良しなのは、悪いことではないわ。せっかく同じ両親のもとに産まれたのよ。一緒にいられる間くらい、仲良くしたっていいじゃない」
そう言ってから白い歯を見せて笑った姉は、男の子にとってまさしくもうひとりの母のような存在だったのだ。
「ここ、僕みたいな子どもでも、お願いを聞いてくれますか」
「うん?」
ハンターオフィスの受付員が書類から顔を上げても、そこには一見、誰の姿も見えなかった。カウンターに両手をつき、上半身を押し出して確認すると、男の子がビクつきながら返答を待っていた。
受付員は書類を置いた。カウンターを出て、男の子の前でしゃがみこみ、目線を合わせる。
「やぁ、おちびさん。ここはハンターに仕事を紹介するところなんだよ。お願いを聞いてくれるかどうかは、ハンター達次第だ」
「ダメなの……?」
ニコリともせずに告げる受付員に、男の子は眉をへの字に曲げた。
「そうは言っていないさ。ハンターへの紹介までは引き受けよう。彼らがお願いを聞いてくれるかどうかは、おちびさんの話と私の腕次第だがね」
仏頂面に頭を撫でられて、男の子は意を決して話し始める。
男の子には、年の離れた姉がいる。この度めでたく姉の結婚が決まったのだが、遠い街へ嫁に行くのだという。当然、滅多に会えなくなってしまう。
姉はいつも自分を守ってくれた。怒って怖い時もあったけど、とても優しかった。自分も姉の結婚をお祝いして、自分のことは心配いらないからと笑顔で見送りたい。そのためには、姉の好きな花をブーケにしてプレゼントするのがいいと考えた。
――まとめるとこんなところだ。
肝心の、姉が好きな花の名を受付員が尋ねると、男の子は躊躇いながらも答えた。そして受付員の頬がぴくりと動く。
「なるほど、ここに来るわけだ。この辺りでは、あの日当たりのいい崖にしか咲いていない花じゃないか」
採集にはハンターでもそれなりの工夫がいるだろう。受けてくれる者がいればいいが。
心配そうに両手を組む男の子を宥めながら、受付員はそう願うのだった。
解説
男の子「できれば自分で採りたいけど……」
基本的に、男の子は同行しません。
年齢的な問題から両親に内緒で街の外へ出るわけにはいかないようです。ハンター達に採ってきてもらう花をブーケにする作業は、自分でやろうと考えています。
●花
小さめの花です。形は百合に似ています。茎はあまり長くありません。ひと株から2、3輪が花開きます。太陽に向かって咲く性質があり、そのため崖の側面に間をあけて生える傾向があります。
ブーケにするには、できれば20輪ほど欲しいところです。
●崖
1日で行って帰れるところにあります。高さは4メートル程度、角度は70度といったところです。滑りやすいですがよじ登るのは一応可能、ただし対策なく落ちればそれなりに怪我をするでしょう。崖の上や下には歩いて行くことができます。
目的の花以外にも、名もなき花がちょこちょこと彩りを添えています。茂みや低木も点在。
基本的に、男の子は同行しません。
年齢的な問題から両親に内緒で街の外へ出るわけにはいかないようです。ハンター達に採ってきてもらう花をブーケにする作業は、自分でやろうと考えています。
●花
小さめの花です。形は百合に似ています。茎はあまり長くありません。ひと株から2、3輪が花開きます。太陽に向かって咲く性質があり、そのため崖の側面に間をあけて生える傾向があります。
ブーケにするには、できれば20輪ほど欲しいところです。
●崖
1日で行って帰れるところにあります。高さは4メートル程度、角度は70度といったところです。滑りやすいですがよじ登るのは一応可能、ただし対策なく落ちればそれなりに怪我をするでしょう。崖の上や下には歩いて行くことができます。
目的の花以外にも、名もなき花がちょこちょこと彩りを添えています。茂みや低木も点在。
マスターより
はじめまして。あるいは、お久しぶりです。
言の羽(ことのは)です。どうぞよろしくお願いします。
仲良し姉弟、それぞれの門出となるでしょうか。
戦闘の心配はありませんが、ケガのないよう、事前の準備は怠りなく。
皆様のお力添えをお待ちしています。
言の羽(ことのは)です。どうぞよろしくお願いします。
仲良し姉弟、それぞれの門出となるでしょうか。
戦闘の心配はありませんが、ケガのないよう、事前の準備は怠りなく。
皆様のお力添えをお待ちしています。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/06/08 00:20
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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【相談】ブーケでお祝い ミオレスカ(ka3496) エルフ|18才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2015/05/29 14:10:00 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/31 06:31:59 |