• 戦闘

貴方がたの真価をといますわ

マスター:朝臣あむ

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/07/11 12:00
リプレイ完成予定
2014/07/19 12:00

オープニング

 周囲を高い壁に囲まれ、幾つもの支柱と銅線が張り巡らされた都市――アネリブーベ。
 都市の中央には、幾つもの銅線を束ねた塔がある。空に剣を伸ばしたように立つ塔は、この都市の中枢を担う施設であり、都市を管理する帝国第十師団の本拠地でもある。
「――であるからして、討伐に兵士を出す必要があるでしょうな」
 塔の内部に在る師団長の執務室で報告書を読み上げていたマンゴルト・ワッホイは、目の前で退屈そうに欠伸を零す人物に目を向けた。
「ゼナイド、聞いておるかいの?」
「……聞いておりますわ」
 そう言いながら再び欠伸を零したこの人物こそ、第十師団の団長ゼナイドだ。
 彼女は小柄な体を玉座のような椅子に沈ませて足を組むと、豊満な胸の前で腕を組んでマンゴルトの頭を見た。
「相変わらずつるつるですわね。武器だけでなく育毛剤の調合もしてみたら如何かしら」
 クッと口角を上げて笑む彼女の顔は、口元以外を兜のような面で覆っていて見えない。その為か、黒い口紅で彩られた唇が笑む度に、冷たい印象が彼女を包み込んだ。
「わし頭はどうでも良いだがの、討伐に向かわせる兵士を如何するか考えてはくれんか」
「貴方が考えればよろしいのでは? わたくし今は何も考えたくありませんわ。陛下もオズワルド様も新しい玩具を見付けて遊んでると言うのに、わたくしだけ真面目に仕事をするだなんて不公平ですもの」
 そうは思いませんこと? そう囁くと、ゼナイドは背凭れに沈めていた身を起こした。そうして何かを思い付いた様にゆったりと微笑む。
「そうですわ。陛下やオズワルド様がなさったように、わたくしたちもハンターに頼めば良いのですわ」
「ハンターに?」
「ええ。貴方はハンターと会っていますけれど、わたくしはまだ。良い機会だとは思いませんこと?」
 名案を思い付いたと言わんばかりにクスクス笑う彼女に不安を覚える。とは言え、ハンターに協力を仰ぐと言うのは悪い案ではない。
「しかしの……全てをハンターに任せるのは如何かと思うぞ。今回の敵は雑魔だけではないからのぉ」
「でしたらわたくしが同行しますわ」
「なに?」
「わたくしが同行しますわ」
 大事な事なので2度言った。が、マンゴルトは速攻で彼女の申し出を払い除けた。
「却下ですな」
「何故ですの!」
「師団長が直々に出向いて倒すほどの相手でもないですからな。ましてやお前さんが手を出したら、ハンターが倒す前に終わってしまうわい」
 マンゴルトの言う事には一理ある。だがゼナイドは退かない。
「陛下もハンターに混じって依頼をこなしたと聞きますわ。それにあのちんくしゃエルフも色々動いているそうではありませんの。わたくしだって何かしたいですわ」
 流石は自称・ヴィルヘルミナマニアである。
 何処から情報を仕入れたのか、意外と正確だから恐ろしい。
「陛下は陛下ですぞ。お前さんはアネリブーベで兵士等を監視せねばならん。行くならわしが――」
「却下ですわ」
 冷たく、しかも適当に言い放ち、ゼナイドは被っていた兜を取った。そうして少しだけ小さくなった面を被る。
 顔面を覆っているのも、口元しか見えないのも同じだ。違うのは大きさと威圧感だけ。
「顔は晒しませんわ。勿論、武器も変えて参ります。服も必要でしたら兵士の物に変えますわ」
 それに。と言葉を切ってマンゴルトの持つ報告書を顎で示した。
「わたくしハンターの力を信じてませんの。もし彼等が勝手に死んでしまったら困るでしょう? そうなったらわたくしの所為にされてしまいますもの。それは嫌ですわ」
 つまり不測の事態には自分がいてこそ安全、そう言いたいのだろう。
「顔を隠さずともバレやせんと思うが……」
 どうせ陛下の真似をしてお忍び遊びをしたいのだろう。マンゴルトは暫く思案した後、やれやれと息を吐いて彼女の同行を許可した。

●朽ちた洋館
 鬱蒼とした森の中にそれは在った。
 立ち込める雰囲気も、辺りに漂う静けさも、他とはまるで違う。単純に不気味と言うには足りないくらいの寒さがそこには在った。
(やはり雑魔だけではありませんわね)
 洋館に足を踏み入れて以降、鷹ほどの大きさをした蝙蝠型の雑魔が襲い掛かってくる。その動きはまるで行く手を阻むよう指示をされているかのようだ。
「一階は以上ですわね。残るは二階ですが……大丈夫ですの?」
 ゼナイドはケロリとしているが、ハンター達は少し疲労が溜まり始めているらしい。
 蝙蝠型の雑魔は牙で喰らい付き、超音波らしき音で攻撃をしてくる、遠距離と近距離を併用した戦い方だが対策は簡単だ。一気に接近して羽を落とせばいいのだ。後は落としたその場で止めを刺す。
 しかしこれをずっと繰り返していれば疲れるに決まっている。けれどゼナイドは言う。
「ここからが本番ですわよ。二階は全部で三部屋、報告ですと奥の一番大きな部屋に根源が居るそうですわ」
 彼女の言う根源こそ、今回討伐すべき対象だ。
「歪虚は雑魔よりも遥かに強いですから、気を引き締めて参りましょう。大丈夫ですわよ、今の貴方がたには期待しておりませんわ。逃げても咎めたりしませんわよ……あら、何かしらその目は」
 疲労の中で確実に覗かせた闘志の光にゼナイドの目が細められる。そうして鞘に納めていた剣を取り出すと、彼女は二階に目を向けた。
「陛下のお気に入りの玩具は壊れやすいのかしら、それとも……うふふ、面白くなってきましたわね」
 ゼナイドは密やかに呟くと、久々に感じる感情に胸を躍らせ足を踏み出した。

解説

●目的
洋館に巣食う歪虚の討伐

●特殊ペナルティ
今回の作戦では各人のスキル使用回数を二回減らした状態でスタートとなります。
理由は一階の掃討作戦で力を使ったためです。
尚、HPは減っておりませんのでご安心下さい。

●場所
昼間の洋館で、二階で通路を中心に、左右に一部屋、奥に一部屋の計三部屋がある。
左右の部屋には雑魔がおり、時間経過と共に奥の部屋へ向かう。
また奥の部屋の歪虚は移動しないが、周囲に雑魔を置いているため注意が必要。
部屋の中に障害物はない。

●敵情報
・ヒッピーバット(略・HB)
蝙蝠型の雑魔で、牙と超音波で攻撃してくる。
目が見えないため急な接近に弱い。
闇に乗じて上空から近付いて来るのが特徴。

・ウィークヴァンプ(略・WB)
吸血鬼型の歪虚で、暴食の眷属の中でも下位の存在。
美しい青年の姿をしているが、人語を解する事は出来ないため会話は不可能。
HBを率いて人を狩る習性があり、獲物を逃がさないために発達した速さを持ち合わせる。
攻撃は己の牙と爪で、牙に関しては喰い付いたら簡単には引き剥がす事が出来ない。
尚、十字架など伝承の中で吸血鬼に効果のあるものはWBには効かない。

●同行NPC
ゼナイド
帝国第十師団の団長だが身分を一般兵と偽って参加。一般兵と同じ服を着ている。
童顔に豊満な肉体を持つエルフで、高飛車で傲慢な性格。
ハーフタイプの兜を被っているため口元しか見えない。
細身の剣を装備。戦闘は基本的に危なくなったら動く。戦力として期待してはいけない。

※白紙防止に「がんばる」だけでも先に書いておきましょう。

マスターより

こんにちは、朝臣あむです。

今回は雑魔ではなく歪虚の討伐です。しかも何かくっ付いて来てます。
いろいろ挑発的なことも言っておりますので、その辺の心情にも触れると面白いかもしれません。
敵も強めですし、戦闘に関しても工夫できる部分があると思いますので、ぜひ楽しんで参加してみて下さい。
略はプレイングの文字数圧迫解消にご利用くださいませ♪

ちなみに朝臣は技名を叫ぶのが好き…という特徴があります。
そういう熱いプレイングも大歓迎です!
皆様のご参加とプレイングを、心よりお待ちしております!!
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/07/16 05:01

参加者一覧

  • 完璧魔黒暗黒皇帝
    デスドクロ・ザ・ブラックホール(ka0013
    人間(蒼)|34才|男性|機導師

  • ロト(ka0323
    エルフ|13才|男性|魔術師

  • ゲルド・マルジェフ(ka0372
    ドワーフ|30才|男性|霊闘士

  • クリュ・コークス(ka0535
    エルフ|25才|女性|疾影士
  • 堕落者の暗躍を阻止した者
    レオン・フォイアロート(ka0829
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 鍛鉄の盾
    イーディス・ノースハイド(ka2106
    人間(紅)|16才|女性|闘狩人
  • ドワーフ認定三ツ星料理人
    不動 大(ka2136
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士

  • ライオット(ka2545
    人間(紅)|30才|男性|疾影士
依頼相談掲示板
アイコン 質問卓
イーディス・ノースハイド(ka2106
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2014/07/05 22:14:43
アイコン 相談卓
イーディス・ノースハイド(ka2106
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
最終発言
2014/07/10 23:25:46
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/07/06 19:53:49