ゲスト
(ka0000)
【春郷祭】珈琲サロンとぱぁずの贈り物
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/06/08 07:30
- リプレイ完成予定
- 2015/06/17 07:30
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●
乗り合いの馬車で街道を行き、ジェオルジに到着したのは黄昏時、その日はすぐに宿を取って、日が昇ってからあちこち見て回ることにした。
黒いワンピースの妙齢、ユリアはフマーレで喫茶店、珈琲サロンとぱぁずを営む祖父に代わって店長を務めている。店長と呼ばれる度に代理だと応えているが、店の仕切りも大分板に付いてきた。
不機嫌な顔でジェオルジの町を眺めているのはとぱぁず唯一の店員、ローレンツ。ユリアの祖父の頃からの古株で、常連客の多くは彼の煎れるコーヒーを目当てに来ている。
過日、彼等の店で使っているコーヒー豆をジェオルジから卸している問屋の店主が亡くなった。
酷い事故だったようで、暫く周辺は騒がしくしていたが、落ち着きを見たのでこうして2人、豆の買い付けにジェオルジまで直接出向くことにした。
日付が変わり、朝、宿の食堂で朝食を摂りながら、ローレンツはそのコーヒーが店の物とは異なるが良い香りで質の高い物だと言い、ユリアはスクランブルエッグに添えられた自家製ケチャップがとても美味しいと言った。
「だって、私がコーヒーに詳しくなったら、きっとお祖父ちゃんは帰ってこないでしょ?」
今はヴァリオスにいるらしい祖父にユリアは目を細め、ローレンツは孫に通じない祖父の思惑を哀れんで眉間を押さえた。
「あら、ロロさん頭痛いの?」
今日は休む、とユリアは朗らかに尋ねる。
いつも食事時は人の溢れる店を閉めているのだから、そうそう休んでもいられないと、ローレンツは宿を出た。
ジェオルジのいくつかの店を回って、出来ればフマーレとのパイプがある店を探して、これからとぱぁずにも定期的に卸してもらう契約を取り付けなくては。
畑ばかりの町を少し外れて、店の並ぶ通りへ出た。
多くが日用品や日配品、生鮮食品を扱う店だが、遠方への移送を請け負っている店もちらほらと見える。
全ての店はその窓を、ドアを、或いは柵まで、可憐なブーケを飾っていた。
●――ユリア・エーレンフリート
通りを少し歩くと、ある店の看板に少女が一抱えのカラーを吊していた。
店の少女が飾っていたブーケは白い物が殆どだが、その店と、左右の店の窓に吊されたカラーは7色のグラデーションを描いている。
ユリアは1軒戻って紫から、紅色まで1つずつ眺めて歩いた。
お祭りなんですよ、と少女が言った。
春の郷祭。今年は、花がテーマなんです。
この辺りはまだ飾っているだけですが、向こうの会場はステージも出ていますし、屋台のご飯も美味しいんです。
うちも、サンドイッチの屋台、出す予定なんですよ。
少女と別れ、ユリアは花の香る通りを眺めた。
少女の言っていたサンドイッチの屋台には、滞在中に行けそうにないけれど、今出ている屋台をちょっと覗いたり、ブーケをお土産にするのも良いかも知れない。
「ね、ロロさんもそう思わない?――あら?」
隣に声を掛けたが返事はない。
広い通りにユリアは1人ぽつんと取り残されていた。
「……はぐれちゃったのかしら……仕方ない、帰りの馬車で落ち合いましょう」
気持ちを切り替えて、きっとロロさんのことだから、のびのびと美味しいコーヒーを探してくれているだろう。
「そうね、偶には、いつものお礼を……」
花の盛りの会場へ。
一際目を引いたのは大輪のデージー、鮮やかな黄色を囲む清廉な白い花弁。
通りすがりの住人が、今年の目玉だと教えてくれた。
「これは不思議な花でね、昼間はこうして光を集めて、夜にはその光で照らしてくれるのさ」
素敵だろ、と目を細めた住人に礼を言って、ユリアはじっとその花を見詰めた。
屋台には花が溢れている。
何種類ものデージーに、その不思議な花。ポピー、カトレヤ、マリーゴールド。
鉢に咲いたピンクに黄色に紫の洋ランが雫を浴びて鮮やかに咲く。
摘み立てのカーネーションにかすみ草、チューリップにガーベラがバケツに水揚げされている。
「花とおもてなしの春郷祭」、主役の花は季節を問わず何でも揃っているようだ。
●――ローレンツ・ロンベルグ
通りを少し歩いて1つ折れると、静かながらメニューの豊富な喫茶店を見付けた。
この時間からは賑わっていないようだが、ローレンツは一先ずその店に入り、ジェオルジのコーヒーを堪能することにした。
店主との世間話ついでに、フマーレで喫茶店に勤めていることと、コーヒー豆の仕入れ先を探していることを話すと、暫し考えてからいくつかの店名と簡単な地図を書いて寄越した。
この店の仕入れ先らしい。
特に、丸を付けた店はヴァリオスやポルトワールにも卸しているらしいから、行ってみたら良いと、丁寧に道順を説明した。
知人の店だから、繁盛するのは嬉しいそうだ。
一頻りそんな話をしてから、店主が祭には行くのかと尋ねた。
祭、とローレンツが聞き返すと、店主は豪快に笑いながら、今ジェオルジは都市を上げての春郷祭の最中だと言った。
メモを手に店を出ると確かにその店にも、隣も、隣も、通りに花が溢れていた。
「すごいな、ユリア君…………」
広い通りにローレンツはぽつんと1人。さて、店に入るときに、ユリアはいただろうかと首を捻る。
「ああ、いなかったな。……まあ、子供ではないさ、どこかで会えるだろう」
会えなくとも、馬車の時間は決まっている。
ローレンツは紹介された店に向かった。
元々とぱぁずで煎れていた豆が取り扱いの商品にあったらしく、トントン拍子に話は弾み、フマーレ行きの荷と一緒に届けて貰うことになった。
これまでのように無くなったら近所の問屋へ買いに行くという気軽な事は出来ないが、店の味を保てるならば上々だとローレンツは頷いた。
その店にも、当然のように花が飾られていた。
小さな花や大きな花、ユリアや店長の亡き妻が好みそうなピンクと白の可愛らしい花束だ。
「花の祭ですか」
「ああ。春郷祭は初めてですか。今年は花がテーマでね。この辺りは店にブーケを飾っているんですよ」
今回の目玉の花は光る花で面白いから、花に興味が無くとも見ていったらいい。祭の広場は近くだからと勧められた。
広場には様々な屋台が出ていた。
ファーストフードから、アクセサリーや雑貨、ジェオルジらしい新鮮な野菜に、それを使ったスープ。
ローレンツはベンチで一息吐くと、近くの屋台に例の花を見付けた。
「花とおもてなしの春郷祭」か。
ユリアに、偶には何か贈ってみようか。
あの子が幼い看板娘だった頃、女の子の勝手が分からず戸惑いながら贈ったバースデイの人形のように。
●
乗り合いの馬車で街道を行き、ジェオルジに到着したのは黄昏時、その日はすぐに宿を取って、日が昇ってからあちこち見て回ることにした。
黒いワンピースの妙齢、ユリアはフマーレで喫茶店、珈琲サロンとぱぁずを営む祖父に代わって店長を務めている。店長と呼ばれる度に代理だと応えているが、店の仕切りも大分板に付いてきた。
不機嫌な顔でジェオルジの町を眺めているのはとぱぁず唯一の店員、ローレンツ。ユリアの祖父の頃からの古株で、常連客の多くは彼の煎れるコーヒーを目当てに来ている。
過日、彼等の店で使っているコーヒー豆をジェオルジから卸している問屋の店主が亡くなった。
酷い事故だったようで、暫く周辺は騒がしくしていたが、落ち着きを見たのでこうして2人、豆の買い付けにジェオルジまで直接出向くことにした。
日付が変わり、朝、宿の食堂で朝食を摂りながら、ローレンツはそのコーヒーが店の物とは異なるが良い香りで質の高い物だと言い、ユリアはスクランブルエッグに添えられた自家製ケチャップがとても美味しいと言った。
「だって、私がコーヒーに詳しくなったら、きっとお祖父ちゃんは帰ってこないでしょ?」
今はヴァリオスにいるらしい祖父にユリアは目を細め、ローレンツは孫に通じない祖父の思惑を哀れんで眉間を押さえた。
「あら、ロロさん頭痛いの?」
今日は休む、とユリアは朗らかに尋ねる。
いつも食事時は人の溢れる店を閉めているのだから、そうそう休んでもいられないと、ローレンツは宿を出た。
ジェオルジのいくつかの店を回って、出来ればフマーレとのパイプがある店を探して、これからとぱぁずにも定期的に卸してもらう契約を取り付けなくては。
畑ばかりの町を少し外れて、店の並ぶ通りへ出た。
多くが日用品や日配品、生鮮食品を扱う店だが、遠方への移送を請け負っている店もちらほらと見える。
全ての店はその窓を、ドアを、或いは柵まで、可憐なブーケを飾っていた。
●――ユリア・エーレンフリート
通りを少し歩くと、ある店の看板に少女が一抱えのカラーを吊していた。
店の少女が飾っていたブーケは白い物が殆どだが、その店と、左右の店の窓に吊されたカラーは7色のグラデーションを描いている。
ユリアは1軒戻って紫から、紅色まで1つずつ眺めて歩いた。
お祭りなんですよ、と少女が言った。
春の郷祭。今年は、花がテーマなんです。
この辺りはまだ飾っているだけですが、向こうの会場はステージも出ていますし、屋台のご飯も美味しいんです。
うちも、サンドイッチの屋台、出す予定なんですよ。
少女と別れ、ユリアは花の香る通りを眺めた。
少女の言っていたサンドイッチの屋台には、滞在中に行けそうにないけれど、今出ている屋台をちょっと覗いたり、ブーケをお土産にするのも良いかも知れない。
「ね、ロロさんもそう思わない?――あら?」
隣に声を掛けたが返事はない。
広い通りにユリアは1人ぽつんと取り残されていた。
「……はぐれちゃったのかしら……仕方ない、帰りの馬車で落ち合いましょう」
気持ちを切り替えて、きっとロロさんのことだから、のびのびと美味しいコーヒーを探してくれているだろう。
「そうね、偶には、いつものお礼を……」
花の盛りの会場へ。
一際目を引いたのは大輪のデージー、鮮やかな黄色を囲む清廉な白い花弁。
通りすがりの住人が、今年の目玉だと教えてくれた。
「これは不思議な花でね、昼間はこうして光を集めて、夜にはその光で照らしてくれるのさ」
素敵だろ、と目を細めた住人に礼を言って、ユリアはじっとその花を見詰めた。
屋台には花が溢れている。
何種類ものデージーに、その不思議な花。ポピー、カトレヤ、マリーゴールド。
鉢に咲いたピンクに黄色に紫の洋ランが雫を浴びて鮮やかに咲く。
摘み立てのカーネーションにかすみ草、チューリップにガーベラがバケツに水揚げされている。
「花とおもてなしの春郷祭」、主役の花は季節を問わず何でも揃っているようだ。
●――ローレンツ・ロンベルグ
通りを少し歩いて1つ折れると、静かながらメニューの豊富な喫茶店を見付けた。
この時間からは賑わっていないようだが、ローレンツは一先ずその店に入り、ジェオルジのコーヒーを堪能することにした。
店主との世間話ついでに、フマーレで喫茶店に勤めていることと、コーヒー豆の仕入れ先を探していることを話すと、暫し考えてからいくつかの店名と簡単な地図を書いて寄越した。
この店の仕入れ先らしい。
特に、丸を付けた店はヴァリオスやポルトワールにも卸しているらしいから、行ってみたら良いと、丁寧に道順を説明した。
知人の店だから、繁盛するのは嬉しいそうだ。
一頻りそんな話をしてから、店主が祭には行くのかと尋ねた。
祭、とローレンツが聞き返すと、店主は豪快に笑いながら、今ジェオルジは都市を上げての春郷祭の最中だと言った。
メモを手に店を出ると確かにその店にも、隣も、隣も、通りに花が溢れていた。
「すごいな、ユリア君…………」
広い通りにローレンツはぽつんと1人。さて、店に入るときに、ユリアはいただろうかと首を捻る。
「ああ、いなかったな。……まあ、子供ではないさ、どこかで会えるだろう」
会えなくとも、馬車の時間は決まっている。
ローレンツは紹介された店に向かった。
元々とぱぁずで煎れていた豆が取り扱いの商品にあったらしく、トントン拍子に話は弾み、フマーレ行きの荷と一緒に届けて貰うことになった。
これまでのように無くなったら近所の問屋へ買いに行くという気軽な事は出来ないが、店の味を保てるならば上々だとローレンツは頷いた。
その店にも、当然のように花が飾られていた。
小さな花や大きな花、ユリアや店長の亡き妻が好みそうなピンクと白の可愛らしい花束だ。
「花の祭ですか」
「ああ。春郷祭は初めてですか。今年は花がテーマでね。この辺りは店にブーケを飾っているんですよ」
今回の目玉の花は光る花で面白いから、花に興味が無くとも見ていったらいい。祭の広場は近くだからと勧められた。
広場には様々な屋台が出ていた。
ファーストフードから、アクセサリーや雑貨、ジェオルジらしい新鮮な野菜に、それを使ったスープ。
ローレンツはベンチで一息吐くと、近くの屋台に例の花を見付けた。
「花とおもてなしの春郷祭」か。
ユリアに、偶には何か贈ってみようか。
あの子が幼い看板娘だった頃、女の子の勝手が分からず戸惑いながら贈ったバースデイの人形のように。
解説
目的 お祭りを楽しむ
ユリアorローレンツと春郷祭の広場を回って、お互いへの贈り物を探しに付き合って下さい。
●ユリア……妙齢の店長代理
「花束を贈ろうと思うんだけど、ロロさん何色が好きだったかしら?」
花を置いている屋台の側にいます。
他の屋台もちょっと気になっています。
花の屋台には一通りの花が揃っているようです。
花束は自作も可能ですが、
屋台の店員にイメージを伝えて頼めば、作って貰うことも可能です。
花以外を贈ることも出来ます。
●ローレンツ……老齢のベテラン店員
「いざ考えてみると、さっぱり思いつかんな」
ベンチに座って祭を眺めています。
何を贈ろうか全く見当が付いていません。
近くの屋台では、軽食、髪飾り、お守り、コスメティック、ステーショナリー、野菜等が扱われています。
遠くの屋台まで行けば、他にも何かあるようですので、
○○を探す、と言うことも可能です(が、見付かる保証はありません)。
●祭会場
ジェオルジの住人や、祭を見に来た他の都市の住人で少々混雑しています。
ミニブーケやキャンディーブーケなどを配るピエロの姿もあるようです。
小さなステージが有り、誰かが歌っていたり、踊っていたりしているようです。
●注意
ユリアorローレンツの、どちらに同行するかを、
プレイングに明記して下さい。
ユリアorローレンツと春郷祭の広場を回って、お互いへの贈り物を探しに付き合って下さい。
●ユリア……妙齢の店長代理
「花束を贈ろうと思うんだけど、ロロさん何色が好きだったかしら?」
花を置いている屋台の側にいます。
他の屋台もちょっと気になっています。
花の屋台には一通りの花が揃っているようです。
花束は自作も可能ですが、
屋台の店員にイメージを伝えて頼めば、作って貰うことも可能です。
花以外を贈ることも出来ます。
●ローレンツ……老齢のベテラン店員
「いざ考えてみると、さっぱり思いつかんな」
ベンチに座って祭を眺めています。
何を贈ろうか全く見当が付いていません。
近くの屋台では、軽食、髪飾り、お守り、コスメティック、ステーショナリー、野菜等が扱われています。
遠くの屋台まで行けば、他にも何かあるようですので、
○○を探す、と言うことも可能です(が、見付かる保証はありません)。
●祭会場
ジェオルジの住人や、祭を見に来た他の都市の住人で少々混雑しています。
ミニブーケやキャンディーブーケなどを配るピエロの姿もあるようです。
小さなステージが有り、誰かが歌っていたり、踊っていたりしているようです。
●注意
ユリアorローレンツの、どちらに同行するかを、
プレイングに明記して下さい。
マスターより
出張とぱぁず@ジェオルジのどこか。
花束作りorお土産選びです。
花束作りorお土産選びです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/06/17 02:57
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
【雑談卓】春郷祭観光 白水 燈夜(ka0236) 人間(リアルブルー)|21才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2015/06/07 00:01:03 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/06/08 07:00:56 |