ゲスト
(ka0000)
The Time Of The Oath
マスター:葉槻

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2015/06/03 19:00
- リプレイ完成予定
- 2015/06/12 19:00
オープニング
●某所 私室
「そうか……漸く、尻尾を捕まえられたの。ご苦労様じゃ」
穏やかな声音で老紳士が労ると、壮年の貴族と思われる男は跪いて頭を下げた。
「そのようなお言葉……身に余ります。むしろここまで時間がかかってしまったこと、陳謝いたします」
「いやいや、わしこそ、お前さんたちに無理を強いたと思っているから、むしろ今見つかって良かったと言うべきじゃろう。……漸く、動き出した。それを逃さず見つけてくれた。『猟犬』(ヤークトフント)の名に恥じぬ素晴らしい働きじゃ。感謝する」
男はさらに深く頭を下げて手放しの讃辞を受け止める。
――暫く2人は談笑した後、男が丁寧に頭を下げて出て行くと、独り部屋に残った老紳士は窓際に立ち空を見た。
「さてと、それじゃどう動いたもんかの……」
穏やかな風貌、しかしその目は獲物を狙う獣の目と同じ輝きを宿していた。
●ある森の中
男達は無言で馬車を走らせる。
自分達が運んでいる『モノ』が何であるか、うすうす感付いてはいたがそれを口にしたが最後、自分達も『それ』の仲間入りすることになることが解っていたからだ。
この仕事を無事終えれば1年は食べていけるだけの収入が保証されていた。
男達は何が何でも生きてこの荷物を目標の土地まで運ばなければならなかった。
この男達4人は皆同じ村で牧畜を営んでいたが、疫病により牛が全滅してしまい、明日食う物にも困る有様だった所に、この話が持ちかけられた。
「前金として10万G支払おう。……それとも小麦や食糧の方がいいかな?」
依頼人の男は優しい声音で、男達に最大限譲歩するように交渉を持ちかけてきた。
「そんなに危険はないはずだよ。……ただ、盗賊やゴブリンが出ないとは限らないから……その時は申し訳無いけど、命の保証は出来ない。でも万が一、貴方たちに何かがあっても3割の金額を家族に支払うことを約束するよ」
男の声音も提案も何処までも優しい。しかし、男から漂う気配が、どうにも空恐ろしく感じていた。
「なんで俺たちに声をかけた。そんなに重要な荷を運ぶなら、ハンターを雇えばいいじゃないか」
あまりに旨すぎる話しに、1人が不安になって問うた。
「僕はね、ハンターって名乗る連中があまり好きではないんだよ」
男は口元に弧を描くと、困ったな、と頭を掻いた。
「それに何より、僕自身も農家の出自でね……困っている貴方たちの助けになれたら、と思っているんだ」
男は幼少の頃に襲われた大凶作の話しを語った。
それはこの地方で第一次産業に関わっている者なら誰もが覚えている悪夢のような年月。
「その時、僕の家族も同じように救われたんだ。……ねぇ、この国を支えているのは地に足を付けて働いている、貴方たちのような農家や畜産家なのに、あまりにないがしろにされているとは思わないかい?」
ちょっとバケモノと戦う力があるだけで、法外な報酬を得られるハンターだって、ご飯を食べられなきゃ死んじゃうのにね、と男は笑った。
その笑みに暗いものを感じて、一同は黙り込む。
「それで、どうするの? 僕は確かに胡散臭いかもしれないけれど、貴方たちを助けたいと思っているのは本当だよ。……引き受けてくれるかな?」
農家の出だという言葉が、助けたいという言葉が男達の心の敷居を低くしたのは否めない。
それに何より切実に逼迫して家族が家族として生きていく為には金が必要だった。
男達は互いに顔を見合わせて「やらせてください」と男に頭を下げたのだった。
鬱蒼とした針葉樹の森を馬車はひた走る。
指示された場所まで、あと3日も走れば辿り着けるはずだった。
しかし、馬車は無常にも止められた。
道を横断するように倒された樹。
その周囲には、武器を持った者達。
「ちょっと、荷物を検めさせて貰えるかな?」
男達4人にはその声が地獄からの死刑判決に聞こえた。
最初の1台には大きな幌付きの荷台が付いていた。幌の中には大小様々な木箱が積み重ねられている。
後ろの1台には大きな木箱が荷台に積まれていた。
銃を持った男が、顎で荷をほどくように指示をする。
「中身はなんだ?」
「お、俺たちはこれを運べ、と依頼されただけだから……知らねぇ!」
後ろの馬車を任されていた男は、突きつけられた銃に恐怖し、愛しい家族の顔を思い浮かべながら涙し、震える手で大きな木箱の蓋に手をかけた。
「た、頼む。荷はくれてやる……だから、俺たちの命までは……!!」
「……? いや、俺たちは……」
その時、前の馬車から「ビンゴだ!」という声が上がった。
「マジか!?」
銃を持った男が前の様子を窺おうと視線を木箱から逸らした。
同時に木箱の蓋は開けられ、その中にあった鉄の棺が露わになる。
その、棺の蓋に男が手をかけた。
――棺の蓋が僅かにずれた、その瞬間、男の首が喰われた。
「……なっ!? うわぁっ!」
銃を持った男は降りかかる血飛沫に視界を奪われた所、頭上にモーニングスターの鉄球が振り下ろされて頭蓋骨が砕け倒れた。
「まさか……剣機……?!」
それは水死体のようにぶくぶくと3倍ほどに膨らんだ体躯を持ち、人の頭を食いちぎれるほどの口を持った機械仕掛けのゾンビだった。
「そうか……漸く、尻尾を捕まえられたの。ご苦労様じゃ」
穏やかな声音で老紳士が労ると、壮年の貴族と思われる男は跪いて頭を下げた。
「そのようなお言葉……身に余ります。むしろここまで時間がかかってしまったこと、陳謝いたします」
「いやいや、わしこそ、お前さんたちに無理を強いたと思っているから、むしろ今見つかって良かったと言うべきじゃろう。……漸く、動き出した。それを逃さず見つけてくれた。『猟犬』(ヤークトフント)の名に恥じぬ素晴らしい働きじゃ。感謝する」
男はさらに深く頭を下げて手放しの讃辞を受け止める。
――暫く2人は談笑した後、男が丁寧に頭を下げて出て行くと、独り部屋に残った老紳士は窓際に立ち空を見た。
「さてと、それじゃどう動いたもんかの……」
穏やかな風貌、しかしその目は獲物を狙う獣の目と同じ輝きを宿していた。
●ある森の中
男達は無言で馬車を走らせる。
自分達が運んでいる『モノ』が何であるか、うすうす感付いてはいたがそれを口にしたが最後、自分達も『それ』の仲間入りすることになることが解っていたからだ。
この仕事を無事終えれば1年は食べていけるだけの収入が保証されていた。
男達は何が何でも生きてこの荷物を目標の土地まで運ばなければならなかった。
この男達4人は皆同じ村で牧畜を営んでいたが、疫病により牛が全滅してしまい、明日食う物にも困る有様だった所に、この話が持ちかけられた。
「前金として10万G支払おう。……それとも小麦や食糧の方がいいかな?」
依頼人の男は優しい声音で、男達に最大限譲歩するように交渉を持ちかけてきた。
「そんなに危険はないはずだよ。……ただ、盗賊やゴブリンが出ないとは限らないから……その時は申し訳無いけど、命の保証は出来ない。でも万が一、貴方たちに何かがあっても3割の金額を家族に支払うことを約束するよ」
男の声音も提案も何処までも優しい。しかし、男から漂う気配が、どうにも空恐ろしく感じていた。
「なんで俺たちに声をかけた。そんなに重要な荷を運ぶなら、ハンターを雇えばいいじゃないか」
あまりに旨すぎる話しに、1人が不安になって問うた。
「僕はね、ハンターって名乗る連中があまり好きではないんだよ」
男は口元に弧を描くと、困ったな、と頭を掻いた。
「それに何より、僕自身も農家の出自でね……困っている貴方たちの助けになれたら、と思っているんだ」
男は幼少の頃に襲われた大凶作の話しを語った。
それはこの地方で第一次産業に関わっている者なら誰もが覚えている悪夢のような年月。
「その時、僕の家族も同じように救われたんだ。……ねぇ、この国を支えているのは地に足を付けて働いている、貴方たちのような農家や畜産家なのに、あまりにないがしろにされているとは思わないかい?」
ちょっとバケモノと戦う力があるだけで、法外な報酬を得られるハンターだって、ご飯を食べられなきゃ死んじゃうのにね、と男は笑った。
その笑みに暗いものを感じて、一同は黙り込む。
「それで、どうするの? 僕は確かに胡散臭いかもしれないけれど、貴方たちを助けたいと思っているのは本当だよ。……引き受けてくれるかな?」
農家の出だという言葉が、助けたいという言葉が男達の心の敷居を低くしたのは否めない。
それに何より切実に逼迫して家族が家族として生きていく為には金が必要だった。
男達は互いに顔を見合わせて「やらせてください」と男に頭を下げたのだった。
鬱蒼とした針葉樹の森を馬車はひた走る。
指示された場所まで、あと3日も走れば辿り着けるはずだった。
しかし、馬車は無常にも止められた。
道を横断するように倒された樹。
その周囲には、武器を持った者達。
「ちょっと、荷物を検めさせて貰えるかな?」
男達4人にはその声が地獄からの死刑判決に聞こえた。
最初の1台には大きな幌付きの荷台が付いていた。幌の中には大小様々な木箱が積み重ねられている。
後ろの1台には大きな木箱が荷台に積まれていた。
銃を持った男が、顎で荷をほどくように指示をする。
「中身はなんだ?」
「お、俺たちはこれを運べ、と依頼されただけだから……知らねぇ!」
後ろの馬車を任されていた男は、突きつけられた銃に恐怖し、愛しい家族の顔を思い浮かべながら涙し、震える手で大きな木箱の蓋に手をかけた。
「た、頼む。荷はくれてやる……だから、俺たちの命までは……!!」
「……? いや、俺たちは……」
その時、前の馬車から「ビンゴだ!」という声が上がった。
「マジか!?」
銃を持った男が前の様子を窺おうと視線を木箱から逸らした。
同時に木箱の蓋は開けられ、その中にあった鉄の棺が露わになる。
その、棺の蓋に男が手をかけた。
――棺の蓋が僅かにずれた、その瞬間、男の首が喰われた。
「……なっ!? うわぁっ!」
銃を持った男は降りかかる血飛沫に視界を奪われた所、頭上にモーニングスターの鉄球が振り下ろされて頭蓋骨が砕け倒れた。
「まさか……剣機……?!」
それは水死体のようにぶくぶくと3倍ほどに膨らんだ体躯を持ち、人の頭を食いちぎれるほどの口を持った機械仕掛けのゾンビだった。
解説
●概要
貴方たちハンターは『武器屋を襲った盗賊がこの街道を通る』という匿名のタレコミがあった為、2日間ほどこの街道で通行人達から話しを聞いていた
本来であれば信憑性が薄いと伏される依頼であったが、報酬金額がしっかりしていたことと、この街道がシュレーベンラント州に繋がる街道であった事から、このところのきな臭い動きを警戒して『念のため』と承認された経緯がある
今回の馬車は2台連れで、とても盗賊には見えない御者4名ではあったが、貴方たちの顔を見た途端青ざめて挙動が不審だった
●状況
一台目から武器が発見され、それとほぼ同時に二台目から剣機系歪虚が出現
一台目の御者2人は、それぞれ一台目の荷台の傍に
二台目の御者の内1人は、そのまま御者台に、もう1人は喰われて絶命
なお、銃を向けていた男はハンターだったが、覚醒が間に合わず即死
突然の歪虚の出現に生きている3人の御者は恐慌状態にある
●戦場
深い針葉樹の森の中を通っている街道
幅は馬車2台がギリギリすれ違える程
シュレーベンラント州側に樹が道を塞ぐように倒されている
馬車は道に沿って2台並んで止まっている
馬車馬は計4頭存命
時刻は夕方、あと1時間で日没となる
●荷馬車
一台目には大小様々な木箱が積まれていた。その中身は斧や槍、分銅付きのメイスなどの武器類
二台目には大きな木箱が積まれていた。木箱の中に収めてあった棺から剣機と思われる歪虚が出現
●目標
当初は『盗賊を捉え、武器を回収する』ことが目標だったが、剣機が現れた今はこの剣機を退治し、事のあらましを報告をすることを最優先とする
●剣機
体長2m程の大きな体躯の人型
おそらく未確認の剣機系歪虚の一種と推察
右手にモーニングスター
左手は肩から指先までが金属
人の頭を食いちぎる程の鋭い歯と顎、またその大きさに見合った剛力が予想されるが、それ以外の能力は不明
貴方たちハンターは『武器屋を襲った盗賊がこの街道を通る』という匿名のタレコミがあった為、2日間ほどこの街道で通行人達から話しを聞いていた
本来であれば信憑性が薄いと伏される依頼であったが、報酬金額がしっかりしていたことと、この街道がシュレーベンラント州に繋がる街道であった事から、このところのきな臭い動きを警戒して『念のため』と承認された経緯がある
今回の馬車は2台連れで、とても盗賊には見えない御者4名ではあったが、貴方たちの顔を見た途端青ざめて挙動が不審だった
●状況
一台目から武器が発見され、それとほぼ同時に二台目から剣機系歪虚が出現
一台目の御者2人は、それぞれ一台目の荷台の傍に
二台目の御者の内1人は、そのまま御者台に、もう1人は喰われて絶命
なお、銃を向けていた男はハンターだったが、覚醒が間に合わず即死
突然の歪虚の出現に生きている3人の御者は恐慌状態にある
●戦場
深い針葉樹の森の中を通っている街道
幅は馬車2台がギリギリすれ違える程
シュレーベンラント州側に樹が道を塞ぐように倒されている
馬車は道に沿って2台並んで止まっている
馬車馬は計4頭存命
時刻は夕方、あと1時間で日没となる
●荷馬車
一台目には大小様々な木箱が積まれていた。その中身は斧や槍、分銅付きのメイスなどの武器類
二台目には大きな木箱が積まれていた。木箱の中に収めてあった棺から剣機と思われる歪虚が出現
●目標
当初は『盗賊を捉え、武器を回収する』ことが目標だったが、剣機が現れた今はこの剣機を退治し、事のあらましを報告をすることを最優先とする
●剣機
体長2m程の大きな体躯の人型
おそらく未確認の剣機系歪虚の一種と推察
右手にモーニングスター
左手は肩から指先までが金属
人の頭を食いちぎる程の鋭い歯と顎、またその大きさに見合った剛力が予想されるが、それ以外の能力は不明
マスターより
初めまして、またはまたお目にかかれて光栄です。葉槻(はづき)です。
12作目はUNマーク付きでお送りしたいと思います。
皆さんには『盗賊団を捕まえる』つもりで待機していたのに、歪虚(剣機)が現れた! という状況を是非とも格好良くスマートに収めていただけたらと思います。
とはいえ、歪虚は1体だけですし、冷静に対応していただけたらきっと問題無いでしょう。
逆に抜け落ちがありますと、危険です。ゆえの『やや難』です。ご注意下さい。
それでは、あなたらしい戦いを。
12作目はUNマーク付きでお送りしたいと思います。
皆さんには『盗賊団を捕まえる』つもりで待機していたのに、歪虚(剣機)が現れた! という状況を是非とも格好良くスマートに収めていただけたらと思います。
とはいえ、歪虚は1体だけですし、冷静に対応していただけたらきっと問題無いでしょう。
逆に抜け落ちがありますと、危険です。ゆえの『やや難』です。ご注意下さい。
それでは、あなたらしい戦いを。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2015/06/10 00:09
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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剣機系歪虚討伐に向けて クロエ・アブリール(ka4066) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2015/06/03 01:27:19 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2015/05/30 20:46:28 |